日本財団 図書館


 いじめの問題を見てもすごい世の中ですがジュン君の問題がありました。私は現場に行っていませんので無責任な言い方をして申し訳ないと先に断っておきますが、たくさんのカウンセラーを入れたのはよしとしても私があの学校の校長だったら体育館に子供達を集めて子供を癒します。そして「この事件で一番苦しかったのは誰だろうか。生きながらに一番苦しんでいるのは誰だろう」と聞きます。子供はバカではありませんから「ジュン君の母ちゃんだ」と言うに決まっていますから次に「母ちゃんをどうやって助けてやったらいいだろうか」と問います。子供は頭がいいですから「水道タンクにジュン君の好きな絵を描いてやったらいいと思います」「亡くなっていたところを花でいっぱい飾ってやったら母ちゃんは喜ぶと思います」「千羽鶴を持っていってあげたら喜ぶと思います」「似顔絵を描いたり手紙を書いたりしたら泣くくらい喜ぶと思う」と色々な知恵を出すでしょう。そうしたら私は「発言した子がリーダーになって皆でそれを実行しよう」と言い、もちろん私自身もその仲間に加わります。子供達は自分よりも苦しんでいる人がいるという事を嫌というほど知りジュン君の母ちゃんを助けようと努力する事で、もう子供達は助かっているのです。苦しみを無くそうと努力する子供達には既に自分の苦しみは無くなっているのだと何故、そんな簡単な事が分からないのでしょうか。人を幸せにしてあげるという事は自分よりも弱い、暗い子のためにやってあげようと動いている子供自身が成長しているのです。相手も助かっていますが自分も成長している、そんな簡単な事がどうして分からなくてカウンセラーばかりに頼るのでしょうか。自分の事だけしか考えていない、うちの子を守りたいという証拠なのです。そうではなくてあなたはこの国のために一体、何の役に立とうと思っているのかを教えるのが親なのではないでしょうか。自分よりも常に弱い人や役に立つところにいじめなどという行為はない、それを忘れた本当に情けない世の中になってしまったのです。
 今、不登校の子供、引きこもりの子供、ヤンキーの子供など色々いますがすごい錯覚に落ち入っています。先日、三年間も不登校をしている中学三年生の男の子のところへ行きました。彼はふんぞり返って「俺、高校行かない。大検取って国立の医学部を受けて医者になって社会に貢献する」と言いました。あまりにも自信を持って開き直っていましたので今まで誰にそれを話したか聞くと「カウンセラー、学校の先生、親、親戚、児童相談所」、更にその人達は何と言ったか尋ねると「素晴らしい、お前だったら出来る、親はどれだけでも金を出すと言った」と答えました。私は「お前はかわいそうな子や。親がバカだからそういう子が増えている。これからハッキリ大人の意見を言ってやるからよく聴け。お前、部屋の中でちょっと前まで何やっとった?三年間、勉強したか?国立の医学部って言ったな、普通の子でも受からんのに三年間も勉強しとらん奴がやれば出来る?ずうずうしい、もっと大切な事があるやろう。コツコツ取り戻していけばいいだろう、何でそんなに訳の分からん事で飛ぶの?人生には一攫千金なんてない、遅れた分だけ人の何倍も努力していいんだから一歩ずつ下手でもゆっくりでもいいからコツコツやる事を考えろ!」と言いました。そうすると横にいた父親が「実は父ちゃんも長田先生と一緒の意見だったんだよ。だけどカウンセラーの人が刺激をかけるなと言ったからやれば出来ると言ったけど本当は出来ないと思っていた」と言いました。男の子は「お前なんか親父じゃない!」と大声で泣き出しました。それから彼は前向きに取り組むようになったのですが、こういう錯覚をまず落とさなくてはならない、周りの大人が事なかれで体が良くて関わりを持たず本当の事を言ってあげないからです。私は小学校五年生の時に柿泥棒をして運悪く家人に見つかってしまい追いかけられた事があります。私はどんどん逃げてこれくらいだったらもう来ないだろうと振り返るとおじさんはしつこく追いかけてきました。それから家に帰って友達三人と柿は盗まないと約束をした思い出があります。ところが今のおじさんは追いかけてこない、陰から見ていて保護者へ電話せず子供達が通っている学校へ電話をかけて校長が出てきたらラッキーとばかりに「あなた、それでも教育者かね。君のところの生徒がうちの柿を盗んでいったよ、どういう教育をしているのかね。厳重に注意しておいてもらわなくては困る。ところで私が電話をしてきたという事は内密にして頂きたい、頼みましたよ」という風に人任せですから子供はそれで価値が分からなくなっているのです。子供はとてもいい奴ですから大人が嘘をつかなければ絶対に嘘はつきませんし大人がやる気を出せば子供だってやる気を出します。そのままをまねるだけなのに今の世では社会の大人が教えてくれないのです。昔は半人前で出しても一人前にしてくれる社会がありましたが今はないのです。先生は腕を落としたのではない、子供がかわいいのですからハッキリ教えたいのです。都内の四分の一もの学校教諭が訴訟保険に入っているという現実、陥れ社会になっているのです。不二家の問題もありましたが私達はペコちゃんでどれだけ癒されたでしょうか。あの老舗が危機に陥っている、封筒に社長名でメディア宛に何通かの手紙が送られてきて牛乳の賞味期限切れとか色々な事実が書いてあった、それで犯罪者のように扱われているのです。私の家の冷蔵庫に入っているものに賞味期限はあったものじゃない、鼻と味で確認して確認して出すのですから私は何度となく家族から逮捕されなくてはならないでしょう。不二家の問題は死人が出た訳でもないし入院した人がいたという事もありません、一人の社員の陥れなのです。これから訴訟がどんどん起こる社会になってきますから先生方は怒る事が出来なくなってきます。そしてバカな親が人権だの何だのと騒ぎます。その時に子供が世話になっているのに親は何故よそを向くのか、味方してあげなくてどうして先生の腕が悪いと言えるのでしょうか。先生のせいにするのはかまいませんが先生がいなくなった時にはあなたのせいになりますよと言いたいのです。
 先生が教育出来ない、社会の大人がやってくれない時代に合わせた子育てを皆さんはしているでしょうか?今は危機管理の中で子供を育てなくてはいけないのです。例えば「嘘をつくな」と教えますが、こんな事はサルでも出来る訳で「嘘をつかれるな」と教えなくてはならないのです。「人をいじめるな」ではなくて「人にいじめられるな」と教えなくてはならない、今の親はいじめから守る事しか考えていませんが見つける事が出来ないからいじめなのですから守れるはずがないのです。子供の身を守るのは子供自身であって親が守ってあげられると思っていたら大きな間違いです。子供の幸せを作るのは親ではない、きっかけは作ってあげられますが子供の幸せは子供自身の手で作るのであって親が作る事は出来ないのです。どれだけかわいがって育てた娘でも社会で変なおじさんに捕まったらアウトですから捕まらないだけの知恵を付けているでしょうか?そういう時代を迎えてしまったのですから片方で「いじめたら駄目よ」と教えなくてはならないし、もう片方で「いじめられるなよ」という知恵を付けなければならないのです。「人を食うな」という教育も必要ですが「人に食われるなよ」という教育がされているでしょうか?息子達が小さい頃、ぼんやりと食事をしていましたので私がおかずを盗むと「親のくせに盗む」と泣きましたが私は「盗まれるお前が悪い」と追い討ちをかけるように言ってきました。今では食べる物から目を離さなくなりましたから二人はゴキブリが死んでも生きていけると思っています。知恵や力、社会は厳しいですから親は自分達が亡き後の事を考えて育てるのが子育てなのです。会社でも十年、二十年先の事を考えて今を努力していないと潰れるように子育ても先々を考えていないと子供は潰れます。
 私は家庭からの教育再興プロジェクトというものを作りました。教科書は『人には聞けない 子ども問題撃退マニュアル』(MOKU出版)で、これは魂を入れて書きました。本を書いて儲けようというのではありません。子供に中途半端に関わるなら教育者を辞めろと言いたい、苦しい親と関わるのがどれだけ大変か説明しても分からない、その修羅場をくぐってこの教科書を作りました。とにかく今、母ちゃんが元気にならなくては駄目です。有識者は先生とか色々な事を言っていますし国は美しい日本を目指して教育再興会議などを開いてお金をたくさん使って美しい建物を作るのは分かりますがそこを活用する、集う子供達の心が荒んでいたら美しいも何もないのです。その心を作るのは美しい母ちゃんの心しかないと私は思ったのです。イギリスに「ゆりかごを揺する手が世界を支配する」という諺があります。これは正にその通りで母親の揺すり方一つで世界はどうでも変わる、そのくらい母ちゃんは力を持っているのです。血を流して子供を生む、昔のどんな立派な武将も母ちゃんが育てたのです。三百六十五日ご飯を作る、お金も何ももらわない、旦那を立てて子供も育てなくてはならない、それでも母ちゃんはご飯を作るのが好きなのですし嫌な事もありますが明るいのです。私の友達は息子が毎朝、トランクス一枚で食卓に出てきて歯を磨いて出かける最後の最後まで何度頼んでも制服を着てくれないとずっと悩んでいました。父親と下の子は先に出かけるので、そんな息子と食事をするのが苦痛だった彼女は頭に来てある日、自分もブラジャーとパンツ姿で食卓に座り息子がいつものように部屋から出てきたのですが、そのままUターンして制服を着て戻ってきたのだそうです。その夜に「明日から分かっとるやろうな」と言ったら「ハイ、分かりました」と答えたそうでめでたく問題解決したのです。「兄ちゃんと俺と何で子育てが違うんだ」と言われたら「うるさい、違って当たり前だ。お前と兄ちゃんは違うだろう」という事です。「文句があるなら今から荷物をまとめてよその子供にしてもらえ、さようなら」です。そして父ちゃんを強かに立て男を使い生きるのが母ちゃんなのです。その縦の序列の中で子供はいい子になりますから私は全国を回って母ちゃんを教育する事しかないと思ったのです。先生がこれだけ叩かれている中では先生自身が笑えない、それは子供が笑えなくなるという事なのです。
 私が親分になって直した親がいます。「問題から立ち直った親の会」というのですが、この人達を連れて全国を講演して歩いています。母ちゃんを教育するのは母ちゃんしかありません。問題解決して立ち直った方が関西から来ていますので話を聞いてあげて下さい。
 
(京都在住:Yさん)
 こんにちは、私は子供を不登校にした今の問題を全て持った親です。何故、うちの子が不登校になったのか、今は元気に学校へ行っていますがどういうきっかけで学校へ戻る事が出来たのかをお話ししたいと思ってこの会に寄せて頂きました。
 私は子育てに手を抜いたつもりは全くなくて幼稚園の教員もしていますので子供は大好きで大切に育てました。どちらかと言うと大切にし過ぎるくらい育てていたのですが中学に入ってから下の息子が不登校になりました。主人は優しく子供も上のお姉ちゃんはオール五を取ってくるくらいでしたので私は天狗の鼻で子育ては私の得意分野という風に生活していて不登校は全く受け入れられない状態で過ごしました。色々な教育相談やカウンセラーなどに通ったのですが言われる事は一律「待ちましょう」という言葉で、その中に本当に二、三年ずっと待って過ごしていた親御さんもいて「こんな事をしていても絶対どうにもならない」と焦りが湧いた頃、主人が長田先生の本を持って帰ってきました。そこに書いてあったのが「過管理、過保護、過干渉のお子さま状態の中で育った子供に問題があります」で、具体例があまりにも自分にぴったりだったので私の愛情のかけ方は違っていたのかと全ての自信を失うような状態になりました。一家の柱である主人を立てる事を全くしていませんでしたし子育て上手だと天狗になっていましたのでお父さんの意見を伺う事も、また意見を言ってきてもシャットアウトするような毎日を送っていて我が家には父性というものが全くありませんでした。しかし世間体がすごく大事だったのでそこをカバーするような子育てをその後もしばらく続けていて表向きは「進学塾に通う生徒会長」という座の元で息子は生活をしていました。私のためにいい子を演じ続けようと生活する中で息子は本当に苦しかったと思うのですが私は輝かしい生活をさせてもらっていると思いながら過ごしました。そんな生活は長くは続かず生徒会の大役を終えた頃から息子の様子がどんどん変わり始めて完全な無気力状態になるには時間はかからず不登校に突入しました。その時に初めて子育ての大きな間違いに痛いほど気付いて「もうこれでは駄目だ、ニートになるかも知れないし家庭内暴力、果ては殺人を犯すかも知れない」と思った時に「自分が変わらなかったら子供は変えられない」と動く事が出来ました。
 お陰様で再登校を始めて一年半、今は元気に過ごしています。問題を振り返って痛感したのは子供によかれと思ってレールを敷いた事もその上を歩かせた事も決して子供のためではなくて全て自分のためだったという事です。長田先生がおっしゃったように息子の幸せは息子にしか作れないという事が解りましたし、私は何もしてやる事が出来ないと解った時、子供から密着していた母親の部分が取れました。本当に軽くなった息子は子供らしさを取り戻して失敗しながら生活をし始めました。そして学校の先生をはじめ周りの大人の方が助けて下さって元気に学校に戻る事が出来ました。これからは鼻っ柱の高かった自分を変えて主人に寄り添って人様に感謝して生きていきたいと思っています。ありがとうございました。
 
 今、こういう上等なお母さんの子供が潰れているのです。色々な理由がありますが、まず「お子さま」状態の「過管理、過保護、過干渉」であるという事、もう一つは先生が怒れなくて金髪で改造制服を着て十時くらいに登校してきても「何や、今日は昨日よりちょっと早かったな」くらいの事しか言えない、そうすると一番腐るのはよい子なのです。先日も先生から聞いたのですが十センチくらいの小枝で先生から叩かれたと泣いて帰ってきた子供がいたそうです。それから三人のいい子が一人の規則違反の子供を注意したらその子が泣いて次の日から不登校になった、いい子がどれだけ嫌な思いをしているか解るでしょうか。だから危機管理、だからこういう親のよい子も潰れる世の中になったからどうか皆さん、母ちゃんに勇気と元気と希望を与える時代に入りましたので私や親の会のメンバーが全国を回っていきますのでどうか色々な場所を与えて下さい。それから『子ども問題撃退マニュアル』も命がけで書きましたので是非ご一読下さい、ありがとうございました。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION