小笠原の生活
戦前は火山列島の硫黄島などにも人が住んでいましたが、現在、小笠原諸島で一般の人が住んでいるのは父島と母島だけで、人口は約2,400人です。集落は父島では二見湾(ふたみわん)に面した地域とその周辺、母島では沖港に面した地域とその周辺に限られています。漁業や農業、マリンスポーツやトレッキングができる観光業などが村の産業となっています。
本土との定期的な交通路は6〜7日に1便の定期船(おがさわら丸)が東京と父島の間を片道25時間半で結んでおり、父島と母島の間は週4〜5便の定期船(ははじま丸)が片道2時間で結んでいます。一部の物資(ぶっし)は不定期の貨物船が運んでいますが、人や食料品、郵便物などのほとんどは定期船がたよりです。
町並み
二見湾
東洋のガラパゴス
小笠原諸島はこれまで一度も大陸と地続きになったことのない孤島(ことう)です。このような島は広い海が障害(しょうがい)となって、生物、とくに陸上生物の行き来が限られることから、風や海流、鳥などによって、偶然(ぐうぜん)に運ばれてきた生物の一部が島の生活に適応(てきおう)しながら、数百万年たつうちにその島でしか見ることのできない種類に進化することがあります。小笠原にはそうした小笠原でしか見られない独特(どくとく)な進化をとげた動植物の多いのが特徴(とくちょう)で、ダーウィンの進化論(しんかろん)で有名なガラパゴス諸島と似ていることから、「東洋のガラパゴス」と呼ばれることもあります。
母島南崎
小笠原の森
小笠原の植物
小笠原群島に自生(じせい)している植物は約300種ともいわれ、タコの足のような根を幹(みき)の途中(とちゅう)から生やしているタコノキやムニンノボタン、ムニンツバキなど、約40%が小笠原でしか見られない種類です。小笠原の林を大まかに分けると、土が浅く乾いた(かわいた)ところにはシマホルトノキやウドノキ、アカテツが多く、土が深く水分に恵まれたところではシマイスノキ、コバノアカテツ、タコノキなどが見られます。
小笠原の自生植物は、生息(せいそく)環境の開発、人が持ち込んだ動物による食害、人が持ち込んだ植物との競合(きょうごう)や、盗掘(とうくつ)などによってその生存がおびやかされているものがいます。
タコノキ
|