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(3)安全管理規程の作成・届出等義務付け対象事業者
法律名 安全管理規程の作成・届出等義務付け対象事業者
鉄道事業法 許可を受けた鉄道事業者及び索道事業者のすべて
軌道法 特許を受けた軌道経営者のすべて
航空法 許可を受けた本邦航空運送事業者の内、運航する航空機の客席数が三〇席以上又は最大離陸重量1万5千kg以上である事業者
道路運送法 許可を受けた旅客自動車運送事業者の内、二百両以上の事業用自動車を保有するバス事業者及び三百両以上の事業用自動車を保有するハイヤー・タクシー事業者
貨物自動車運送事業法 許可を受けた貨物自動車運送事業者の内、三百両以上の事業用自動車(被けん引自動車を除く)を保有する事業者
海上運送法 許可を受け又は届出を行った事業者のすべて
内航海運業法 登録を受けた内航海運業者のすべて(船舶の貸渡しをする事業のみを行うものを除く。)
 
(4)新制度の開始日
 安全管理規程の作成・届出及び安全統括管理者の選任・届出等の新制度については、平成一八年一〇月一日からスタートしました。
 なお、同年九月以前から事業を行っている航空運送事業者以外の事業者については、同年一〇月一日から三ヶ月以内に近畿運輸局等に届出を行う必要があります。
 
(5)その他の改正概要
〔各改正事業法に共通する事項に限る。〕
(1)法目的に「輸送の安全の確保」が追加されました。
(2)「事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない」旨の規定が追加され、輸送の安全性向上に向けた取組みが義務付けられました。
(3)国土交通大臣は、毎年度、輸送の安全にかかわる情報を整理し、公表することとなりました。
(4)各運輸事業者は、輸送の安全を確保するために講じた措置及び講じようとする措置その他の輸送の安全にかかわる情報を記載し、又は記録した安全報告書等を作成し、これを公表しなければなりません。
 
〔鉄道事業法固有の事項に限る。〕
(1)運転士の資質の維持管理等に責任を有する「運転管理者」選任が義務付けされました。
「運転管理者の職務」
 列車の運行の管理、運転士の資質の保持等運転に関する業務を管理・監督
(2)鉄道事業者の業務の受託者に対する監視・監督が強化されます。
(3)輸送の安全に関する事業改善命令に違反した場合の罰金の大幅な引上げが行われます。
(4)公営鉄道の運転士にも鉄道営業法上の資格要件等を適用し、運転士の資格要件(動力免許省令)等地方公営鉄道について適用除外とされている根拠規定(営業法第二八条の二)が削除されました。
 
 
〔航空法固有の事項に限る。〕
(1)事故・重大インシデント(※)以外の安全上のトラブルの報告が義務付けされました。
(2)航空機の整備の受託者に対する監視・監督が強化されます。
(3)輸送の安全に関する事業改善命令に違反した場合の罰金の大幅な引上げが行われます。
 
※インシデントとは重大事故に至る可能性がある事態が発生し、なおかつ、実際には事故につながらなかった潜在的事例をさします。
 
 
事故原因究明再発防止のための国の組織機能の強化
●原因究明等のため、国の事故等調査機能の充実が必要
【航空・鉄道事故調査委員会設置法等の一部改正】
(平成一八年四月一日施行)
(1)航空・鉄道事故調査委員会について、被害軽減のための調査提言機能が追加されました。
(2)海難審判庁について、海難発生防止のための提言機能が追加されました。
(3)運輸審議会について事業者の安全マネジメント評価の実施方針についての調査審議機能が追加されました。
 
踏切道の安全性の向上
●歩行者への安全対策として開かずの踏切対策の促進が必要
【踏切道改良促進法の一部改正】
(平成一八年四月一日施行)
(1)改良が必要と認められる踏切道の指定を行う期間を平成一八年度以降の五ヶ年間に延長されました。
(2)踏切道の改良の方法に歩行者等立体横断施設の整備が追加されました。
(3)勧告制度・報告徴収制度が創設されました。
(4)連続立体交差事業に係る無利子貸付制度が創設されました。
 
国・近畿運輸局の動き
(1)国土交通省では、当面は、新たに導入される安全管理規程に係る制度の周知、啓発等に努めることとしています。
 平成一八年八月二九日 安全管理規程に係る事業者向け説明会の開催(鉄道、自動車、船舶)
(2)自動車運送事業における安全対策にあっては、運行管理制度等を基礎として輸送の安全の確保が図られているため、「現行の運行管理制度の徹底」、「監査の強化」及び「安全マネジメントの導入」を三位一体として取り組み、安全対策を総合的に推進してまいります。
(3)海事運送事業における安全対策にあっては、運航管理規程や運航管理者のあり方を見直すとともに、監査体制等の充実を図ります。また、ISMコード(※)を普及促進するため啓蒙活動・認証を行う執行体制の充実強化を図ってまいります。
 
※ISMコードとは、海上人命安全条約(SOLAS条約)付属書に規定する「船舶の安全航行及び汚染防止のための国際管理コード」国際航海に従事する全ての旅客船と五百総トン以上の貨物船は、ISMコードに適合していなければなりません。
 
 最後に、運輸事業者にあっては、公共交通機関の安全の確保は最も基本的なサービスであることを再度肝に銘じ、運輸の安全性の向上のため、この制度導入にご理解をお願いします。会社全体に安全意識が浸透した信頼される公共交通機関として更なるご発展を祈念します。


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