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発達障害幼児の家庭養育

 事業名 障害児子育て支援のための研修会等の開催
 団体名 全国心身障害児福祉財団  


第2章 あそび
●豊かなあそびをつくりだす
●おもちゃの選び方
●環境を整える
 
I 豊かなあそびをつくりだす
1. みることを大切に
 私たち人間にとって、「みる」(視覚機能)ということは、発達の様々な面で大切な役割を担っています。私たちは、外界からの情報の80%以上を目の働き――みること――に頼っているといっても、過言ではないほどです。
 赤ちゃんは「みる」ことによって、人や物に興味を抱き、口を近づけてみようとしたり、手を伸ばして触ろうとしたりします。そして、なめたり、触ったりして得た情報をもう一度、目でみて確かめます。子どもがもう少し大きくなると、おもちゃを自分で操作した時に生じる変化や結果をみて楽しむようになります。また、大人や他の子どもたちがすることをみて、同じようにしてみよう、同じようにあそんでみようとまねをし出します。こうして子どもは、その育ちの中で「みる」経験を通して、いろいろな事柄を学習していきます。
 私たちが日々接している子どもたちの中には、視線は全く違う方向に向きながらそばにあるおもちゃを手にとっていく子や、足元をほとんどみないで歩くためよくころんでしまう子、視点が定まりにくく絶えず視線が動いてあちこち動きまわる子、また視線は向けているけれど漠然としていて、ほとんど情報として目から入っていないと感じさせる子もいます。こういった子どもたちをみていると、人や物に気づき、しっかりとみつめる経験が不足していることを感じます。
 重い運動障害のために、一人では全く動けない子や動ける範囲が限られてしまう子もいます。この子どもたちは見ることのできる範囲も限られてしまうために、目から入ってくる情報も狭められてしまいがちです。耳の不自由な子どもたちにとっては、それを補うものとしてみることの学習はとても大切です。
 どのような障害があるにしても、この子どもたちが興味を持ってじっとみようとするものを用意し、「みる」機会とみた物を楽しめるだけの時間を子どもたちに与えていかなければなりません。そして、
○人や物に気づき、目を止め、しっかりとみつめること
○目で人や物の動きを追うこと
○みることと他の感覚が結びついていくこと
○手元をみて物を操作し、その結果を楽しむこと
○みることで物の違いを感じとること(色や形など)
などの経験を子どもたちに積み重ねていってほしいと思います。これから、みることを大切にしたあそびを紹介していきますが、第一段階としての「物や人に気づく」ための工夫のポイントをまず、いくつかあげておきます。
・初めの段階では、白黒のコントラストがはっきりしていて凹凸のある物や止まっている物よりも動いている物の方が目にとまりやすいものです。この意味からも、表情のある人の顔や指はよいおもちゃとなるでしょう。
・子どもの目に訴えていくと同時に、わかりやすい声かけや音などで、気づきやすいように助けてあげましょう。
・みることに集中できるような姿勢にしてあげることはとても大切です。不安定な姿勢では視線を定めることはできません。
●お母さんのあやしかけ
 先にも述べましたように、人の顔はすばらしいおもちゃになります。目と目を合わせるようにしながら、あやしかけてあげましょう。(この時、声をかけてあげることも忘れないで下さい。)
●いないいないバア
 お母さんの顔や好きなお人形、ぬいぐるみなどがあれば、それを使ってあそぶのもよいでしょう。かくれた顔やお人形が出てくるのを、子どもは期待し、目をとめて待ちます。そして、それが目の前に現れると驚いて喜ぶことでしょう。そんなやりとりを楽しんで下さい。
 このたぐいのあそびで使えるおもちゃに、“踊り出る人形”というのがあります。これは手作りでもできますから、是非試してみて下さい。作り方は後で紹介します。
●モビール(図2-1)
図2-1 モビール
 これは、自分で動くことのできない子どもにも目にとまりやすく、よいおもちゃです。モビールに下げる物としては、
・銀紙やスパンコールなどキラキラ光るもの
・黒と白の縞模様など、コントラストのはっきりした模様のもの
・ティッシュペーパーや色のきれいなリボンなど、ひらひらするもの
・子どもの好きな人形やぬいぐるみ
など、いずれにしても風や少し触れただけで簡単に動くようなものがよいでしょう。
●起き上がりこぼし(図2-2)
図2-2 起き上りこぼし
 これはいろいろな種類が出ていますが、みるということからいうと、顔のようなコントラストのはっきりした模様のついたもので、少し触れただけで大きく動くものが好ましいでしょう。
●光であそぶ
<セロハン>
 セロハン紙をいろいろな形に切ったものや、クシャクシャにしたものを子どもの部屋の窓に貼ってあげましょう。窓辺にさす日の光と重なってセロハンがキラキラと輝き、子どもの興味をそそることでしょう。
<ペンライト>(図2-3)
図2-3 ペンライト
 ペンライトの光をよりはっきりとさせるために、暗い部屋で使うことをおすすめします。子どもの目の前でペンライトの光を動かしたり、つけたり消したりしてみて下さい。子どもの注意はペンライトの先端の光へと向かうはずです。何らかの障害によって、目がよくみえていないのではないかという子どもにはペンライトの光のような刺激は入っていきやすいようです。
<ミルキーメリーウェイ>
 ねじを回すとドームの中のあかりがつき、ドームがゆっくり回転します。それと同時に、オルゴールも鳴り出します。ペンライトと同様、暗い部屋で使うことをおすすめします。
●鏡
 ドレッサーなど据えつけの大きな鏡を、抱っこなどでお母さんも一緒にのぞいてあそんであげましょう。始めはキョトンとしているかもしれませんが、じきに興味を持って鏡に手を伸ばすようになることでしょう。また、小さな子が持ちやすく、こわれにくい鏡も市販されています。持つことができるようになった子どもには、そんな鏡を与えてあげるとよいでしょう。
●ガラガラ(写真2-1)
 写真のものは、ガラガラの類ですが、棒や円盤が出たり引っ込んだりするので、その変化を目で楽しむことができます。子ども自身が持つことができなければ、大人がみせてあげて、子どもの注意をそこに向けさせてあげましょう。
●ローリングロール・ロコロコ(写真2-2)
 簡単な手の操作で、ロールが回ったり、中の物が動いたりします。同時に音も出ますから、子どもの注意をひくことでしょう。腹ばいやおすわり、テーブルの上にのせて立った姿勢でといった具合に、設定する高さによっていろいろな姿勢で楽しめます。
 
写真2-1 ガラガラ
 
写真2-2 ローリングロール
 
写真2-3 ビー玉コロリン
 
●目で追うあそび
<ビー玉コロリン>(写真2-3)
 上の写真のおもちゃは裏返せば太鼓として、また写真のような状態であれば入れてあそぶものとして使えます。これはすり鉢状になっているので、この面で円を描くようにビー玉をころがすと、遠心力が働いて、ビー玉はとてもおもしろい動きをしながら真ん中の穴に吸い込まれていきます。この動きは子どもの興味をとてもひくようです。大人がやってみせてあげて下さい。
<サウンドチューブ>(写真2-4)
 ブロックの頭を押しこむと、音を出しながらブロックがゆっくりと落ちていきます。動きがゆっくりなので、目で追いやすいでしょう。
<はしご人形>(写真2-5)
 人形が、ゆっくりとカタカタ音をたてながら落ちてくるのをみてあそぶおもちゃです。写真のものは手作りですが、市販のものも出回っています。
 
写真2-4 サウンドチューブ
 
写真2-5 はしご人形
 
写真2-6 玉ころがし
 
<玉ころがし>(写真2-6)
 写真は市販のおもちゃです。これは玉が出たり入ったりするので、目で追うだけでなく、また違ったおもしろさがありますが、玉ころがし自体は、お家の中のもので簡単に工夫できます。例えば、斜めにたてかけた洗濯板の上で、色のきれいなビー玉をころがしたり、透明なホースの中を、色の鮮やかな玉をころがすのもおもしろいものです。
 まず大人がやってみせてあげて、次に子ども自身にやらせてあげましょう。洗濯板の上ならば、子どもがそこにビー玉を落としただけでころがっていきますし、カタコトとおもしろい音も出ます。
<ボールころがし>
 お母さんと子どもが向かい合ってボールをころがし、やりとりするあそびです。
 この時使うボールは、色のきれいなビーチボールのようなものがよいでしょう。軽くて大きめなので、子どもにも扱いやすいと思います。ビーチボールの中に鈴などが入っていて、音が出るようになっているものもあります。
 ボールをころがすことができない子には、板(コタツ板で構いません)を斜めにして、その上にボールを置かせます。そうすれば手を離しただけで、ボールはころがりだします。長めの距離を目で追う場合、左右方向は難しくても、前後方向ならば追えるということがよくあります。初めの段階であれば、ぜひ子どもの正面から、ゆっくり子どもに向かってころがしてあげて下さい。ボールのかわりにミニカーなどでもよいでしょう。
<しゃぼん玉>
 しゃぼん玉をふいてみせてあげましょう。光を反射して、しゃぼん玉はキラキラ輝き、目に止まりやすく、またゆっくりと飛んでくれるので、容易に目で追うことができます。


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更新日: 2019年5月25日

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