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発達障害幼児の家庭養育

 事業名 障害児子育て支援のための研修会等の開催
 団体名 全国心身障害児福祉財団  


III 養育者の健康管理
 大好きなお母さんが心身共に健康でいてくれることが、子どもにとっては一番の願いです。どんなに重度な発達障害があっても、子どもは肌で、手のぬくもりを感じとっています。子どものためにも「健康」を大切に考えていただきたいと思います。健康は、自らつくるもので、予防することができます。
 重度発達障害があると、移動面、身辺処理面すべての自立が遅れたり困難ですから、長く介護することが必要となってきます。そのため、多くのお母さん方の間に二次的に、腰痛、頸肩腕症候群が発生しやすくなっています。心身両面の健康を保つための予防策や介護の工夫などについて説明します。
 
1. 心の健康
 養育上の不安があったり腰や肩の痛みが続いたりしますと、心の面も、ストレスが高まってイライラしたり沈みがちとなります。そのような時に、現在もさることながら、将来のことを案じて不安な気持が高じてしまうお母さんとも多く出会いました。心の問題は、まわりからはわかりにくいものです。家族みんなに支えられ、心のバランスが崩れないように、家族ぐるみの養育を心がけることが大切です。
 ともかく、一人で何もかも頑張ろうと気を張らず、気楽に相談できる専門家や友人をつくっておくとよいでしょう。最大の友人は、同じ障害児を育てていらっしゃる先輩であることが多いようです。近所づきあいや親類づきあいをしている中から、心を割って話せる親友がつくれるかもしれません。
 心の健康を保つのは、昔からいわれていることですが、心の持ち方一つで決まります。あまり小さなことでクヨクヨ悩まず、何事も楽観的に、ポジティブに“良い面”をみて明るく、楽しく暮らすことです。幸いなことに、わが国の福祉もずいぶん進展してきました。どのような福祉制度があり、どんな援助が受けられるのかを賢く学び、活用されるのも一つの解決方策となります。
 友人とお話しをしたり、食事をしたり、家族で出かけたり、趣味に打ち込む時間を上手に工面してつくり出したり、お菓子づくりをしたりなど、時には気分転換をはかることもよい方法です。自分をも大切にし、生活の立て直しをはかることで解決されることもあります。気持が沈んでから気づくよりは、楽しい生活を心がけることで心のバランスを保つことの方が賢明といえます。
 
2. 腰痛の予防、対応
 腰痛は、中腰でオムツを替えたり着替えをさせた後に腰を起こした時や、ベッドやお風呂場で子どもを抱き上げた時など、思いがけない時に起きています。腰痛は急に起きるばかりではなく、毎日の生活の積み上げの中で、ジワジワと腰や背中が重苦しく、鈍痛に悩まされている方も多くいます。重度発達障害児を育てているお母さんに聞きますと、大半の方が1〜2度は腰痛を経験されていました。
 
(1)原因
 腰痛の原因は、日常生活の姿勢や子どもを抱き上げる時(体重15kg以上は特に)の姿勢が第一点です(図1-29)。第二点は、脊柱を正しい位置に支える腹筋や背筋といった筋力の低下や体の弾力性、柔軟性の低下です。第三点は、最近若い人にも問題になっているカルシウム不足や運動不足による骨の脆弱化や、加齢に伴って骨がザラザラと弾力性がなくなる骨粗鬆症によるものです。
 
図1-29 腰痛になりやすい姿勢
a
腰痛の原因(抱っこ)
背中を丸め、膝を伸ばして抱き上げるのは危険
 
b
子どもを抱き上げる時は、自分の体の方へ引きよせ、背筋を伸ばし、膝を屈伸させて抱き上げる
 
c
悪い坐位姿勢
 
d
腰痛の原因となる腹ばい姿勢
 
(2)食生活の配慮による予防
 予防の第一点は、バランスのとれた食生活を心掛けることです。できれば、カルシウムが多く含まれた牛乳や小魚類、海草類は毎日の食卓に添えてほしいものです。
 
(3)姿勢の改善による予防
 第二点は、姿勢の改善です。図1-29cのような丸背の腰かけ方や腹臥位姿勢は脊柱の自然な弯曲を妨げ、負担がかかります。また、子どもを抱き上げる時には、図のように、膝を伸ばして中腰で抱きあげることは禁物です。両膝、あるいは片膝を曲げて、脊柱は真直ぐに伸ばして抱き上げるように習慣づけて下さい。
 なお、腰痛がある時には、図1-30のように、膝の下に座布団を半分にたたんだものかタオルケットをたたんだ物、細長い枕などを置いて、軽く膝を曲げて寝ると痛みが軽くなります。
 
図1-30 腰痛のある時の楽な寝方
 
(4)予防体操
 体全体の筋力をつけ、骨を丈夫にし、体の弾力性や柔軟性をつけるためには、歩いたり、なわ跳びやテニスなどの軽いスポーツをすることも、間接的に腰痛の予防につながります。もっと直接的に腹筋)、背筋などの体幹筋を強化したり、ストレッチするなどによって効果的に腰痛を予防する体操もあります。図1-31をみていただくとわかるように、どれも家の中で5分くらいで気軽にできるものばかりです。1回に2〜5回ずつ程度でも、毎日続けると効を奏してきます。
 
図1-31 腰痛の予防体操
予防体操1 腹筋強化
 
予防体操2 体幹回旋
 
予防体操3 股屈筋のストレッチ
 
予防体操4 股伸筋のストレッチ
 
予防体操5 アキレス腱のストレッチ
(療育ハンドブック第17集 全国肢体不自由児・者父母の会 1990.10より)
 
 この章では、子どもだけではなく養育者の健康を含めて、日常生活の中でどのように心身の健康を保持していったらよいかについて、障害や発達を考慮した健康に関する知識、具体的な対応方法、予防方法について述べてきました。また、生活の中で起こりやすい病気や事故をとりあげ、原因、注意の仕方、応急手当てなどの具体的な方法も紹介してきました。
 家庭での健康管理において、医療との関わりは大切なことです。健康保持の目的だけではなく、緊急事態が突然発生した場合の両面に関わってきます。日頃からあわてないで適切な対処ができるように、まず実際にやってみることで練習を重ね、とっさの場合も冷静な行動がとれるようにし、自信をもって子どもの養育に当たれるよう役立てていただきたいと思います。


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更新日: 2019年3月9日

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