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平成18年度社会貢献者表彰受賞者実績
The 2006 FESCO Awardees
第一部門
緊急時の功績
副賞/日本財団賞(賞金100万円)
The Nippon Fundation Prize
 
◎海難・水難、交通事故、遭難等に際し、身命の危険を冒して救助・救援に尽くされた功績
◎犯罪等の発生に際し、身命の危険を冒してその解決に協力された功績
 
The 1st Category
Emergency Life Saving: the Nippon Foundation Prize
 
*Acts of valor, at the risk of one's own life, to save the lives of others in crisis situations such as disasters and accidents at sea, on the road, and in the mountains.
 
*Acts of valor, at the risk of one's own life, to solve crimes and so on.
 
第一部門/緊急時の功績 Division 1: Acts of Valor in Crisis Situations
 
■三本 健志 Takeshi Mitsumoto
 
■澤山 祐樹 Yuki Sawayama
 
三本 健志(みつもと たけし)
(昭51.3.11生)新潟県見附市
 
 死者5人、重軽傷者32人を出した特急脱線転覆事故で、情報が少しでも遅れると、被害拡大につながることが充分予想された中、関係部署への早期通報や乗客への救助・応急手当活動を行い被害の防止に大きく役立った。
推薦者:全国消防長会/新潟県見附市消防本部:近藤 辰夫
 
Mr. Takeshi Mitsumoto (born March 11, 1976) Mitsuke City, Niigata Prefecture
 
 Following the overturning of an express train that killed five people and injured 32, Mr. Mitsumoto correctly surmised that delays in sending information of the accident would lead to higher casualties. He made a major contribution toward preventing further damage by immediately notifying authorities and engaging in rescue and first-aid activities.
Recommended by: Fire Chief's Association of Japan/Fire Headquarters of Mitsuke City, Niigata Pref. Mr. Tatsuo Kondo
 
 平成17年12月25日(日)19時頃、山形県庄内町で発生したJR羽越線特急(いなほ14号)の脱線・転覆車輌に偶然乗車していた見附市消防本部専任救急隊員の三本さんは、自らが入院するほどの傷を負いながら、懸命の救護活動を行った。
 当日、最上川の鉄橋を渡り終えて直ぐに「ドーン」と言う物凄い音がして、列車が脱線。乗車車輌は左側を下にして横倒しとなった。その時、車内は真っ暗になり、悲鳴やうめき声が飛び交った。三本さんも、何かに打ち付けたのか頭部から出血し、両膝も強く打ちつけ擦過創を負っていた。
 
 すぐにJR福知山線の脱線事故のことが思い浮かび、救助と二重事故防止へ体が動いた。体勢を整えながら、携帯電話で酒田地区消防組合消防本部へ救急要請(第1通報者)を行った。次に勤務先である見附市消防本部に、事故発生地点の特定と2次事故を防止するため、JR新潟支社へ事故の発生の連絡を依頼した。
 
 三本さんは、真っ暗な車内で携帯電話の液晶の明かりを頼りに、這うように座席を乗り越えると頭部から出血している乗客を確認。近くにあった座席カバーの布で止血処理をした。また、恐怖に慄く乗客には「直ぐに救助隊が来るから頑張るんだ」と、励ましの言葉を掛け続けた。その後、現場到着した地元救急隊に協力して負傷者の搬送を手伝った。自らも収容された救急車内に於いても、同乗した他の怪我人に対し、救急隊と協力し救護を手伝った。その後三本さんは、大事故の救護活動の経験を生かし、さらに円滑な活動ができるように知識と技術の研鑽に努めている。
 
(C)柿谷哲也、J RESCUE(イカロス出版)
 
受賞の言葉
 この度は、栄誉ある賞を頂き、心より感謝と御礼を申し上げます。応急手当は職業上、当たり前の事であるにもかかわらず、多大な御評価を頂き大変驚いています。
 今後は社会に対し、命の大切さや応急手当の必要性を伝え、社会貢献の輪が広がっていくような活動を続けていきたいと思っています。
 
脱線・転覆現場
写真提供/山形新聞
 
見附市消防本部
(C)柿谷哲也、J RESCUE(イカロス出版)
 
見附市消防本部
(C)柿谷哲也、J RESCUE(イカロス出版)
 
澤山 祐樹(さわやま ゆうき)
(平1.3.23生)愛知県西春日井郡
 
 液体をカウンターに撒き、「火をつけるぞ金を出せ」と脅した名古屋市北区の郵便局強盗事件において、自転車で逃走する犯人を身の危険も顧みず追跡し、凶器を持った犯人に怯むことなくこれを取り押さえ、事件解決に協力された。
推薦者:(財)警察協会
 
Mr. Yuki Sawayama (born March 23, 1989) Nishikasugai County, Aichi Prefecture
 
 In Kita Ward, Nagoya City, a man attempted to rob a post office by spreading a liquid on the counter and shouting, "I'll light it--give me your money!" Without regard for the danger to himself, Mr. Sawayama chased the robber as he attempted to flee on a bicycle. Despite the robber's possessing a weapon, Mr. Sawayama showed no fear in overpowering him, and he thus contributed to the solving of the crime.
Recommended by: Police Association
 
 2005年10月7日午後4時40分頃、名古屋市北区喜惣治一丁目459番地名古屋喜惣治郵便局に包丁とペットボトルを持った男が押し入り、液体をカウンターにまいて、局内にいた3人の局員に「火を付けるぞ、金を出せ」と脅した。そこへ別の局員が外から戻ってきたため、驚いた男はあわてて自転車で逃走した。
 
 澤山さんは、同日午後4時45分頃、アルバイト先の飲食店で勤務を終え自転車に乗って道路に出たところ、50歳くらいの男が自転車に乗って接近してくるのを認めた。男の後方からサラリーマン風の男性(郵便局員)がオレンジ色のカラーボールを手に持ち「強盗だ、強盗だ、捕まえてくれ」と叫びながら男を指差し走って追いかけてきたため、自転車の男は強盗犯人であると判断した。「僕が捕まえてやろう」とすぐに自転車で男を追いかけ約15分追跡した午後5時頃、同区会所町の路上で、男の後方から右手で男の肩を掴み左手で服を掴み停止させた。男は所持していた文化包丁を振り回し澤山さんは左腕に軽傷を負ったが、男の「刺すぞ」という言葉に対し勇敢に「刺せるものなら刺してみい」とその手を離さなかったところ観念したので、近くの喫茶店に通報をもとめ、駆けつけた捜索中の警察官に引き渡した。男は強盗致傷の現行犯として逮捕された。
 
 澤山さんは、追跡が長引いたが自分が捕まえなければと無我夢中で追いかけ取り押さえた。喫茶店にいた人達が出てきてくれた時にはほっとした、と話していた。
 
 
受賞の言葉
 今回、このような賞を受賞させていただき誠に光栄に思っております。今回受賞者の中で一番若いということで少々緊張しましたが万事うまくいき少々ほっといたしました。警察の方々の迅速かつ鋭敏な対応のお陰で無事に犯人を捕らえることができ感謝しております。自分の年代には犯罪を犯してしまう人や家に引きこもる人など非常に残念に思います。自分と同じ年代の方々の励みになる様、また自分の成長につながる様、今回の事をしっかりとこれからの飛躍につなげていきたいと思います。
 
強盗が押し入った喜惣治郵便局
 
新しくなった喜惣治郵便局


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