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第一章 気象(文献3)
1-1 気象と気候
 地球をとりまいている空気全体を大気といい、大気の温度・湿度などの状態や、風・雲・雨など大気中でおこる自然現象を気象という。
 ある場所での気温・湿度・気圧・風・降水量・雲などを観測して知ることができる要素を気象要素と呼び、そして、各地の気象要素を長期間にわたって観測・調査すると、その土地特有の気象状態がわかる。このように、ある場所での長期間にわたる気象の総合的な平均状態を気候という。
 
1-2 気象要素
(1)気温
 大気の温度を気温といい、地上1.5mの高さの温度を温度計で測り、一般に摂氏(℃)で表す。気温は、主として太陽熱によって地表面が暖められ、その放射熱によって空気が暖められるので、日中でも時刻によって変り、また、年のうちでも熱帯地方を除いて季節によって変化する。
(2)湿度
 空気の湿っている度合を表す目安を湿度(相対湿度)といい、空気中の水蒸気量と、それと同温・同体積中に含みうる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)との比でパーセント(%)で表す。飽和水蒸気量は気温が高くなるほど多くなる。従って空気中の水蒸気量が一定の場合、気温が高くなるほど湿度は低くなる。また、空気中の物体を冷却していくと、ある温度に達すると物体の表面には、空気も冷やされて水蒸気量が飽和に達することから、水滴がつく。このときの温度を露点という。
(3)気圧
 地球をとりまく大気は、地球の重力に引かれて地球の表面を押している。この大気の圧力を気圧という。気圧は絶えず変化しているが、平均の気圧は海抜0mのところで1013hPAで、これを1気圧といい、1気圧は1m3当り約1kgの重さの圧力に相当する。
 気圧の変化は天気と関係が深く、一般に気圧が高いときは天気が好く、低いと天気が悪くなることが多い。
(4)風向、風速、風力
 風の吹いてくる方向を風向または風位といい、16方位で表わす。
 なお、海流・潮流などの流向は流れて行く方向を表わしている。(図1-1)
 風の速さを風速といい、1秒間に空気の流れる距離(m/s)で表わすが、風速は常に一定していないので、10分間の平均を求め、これを平均風速いう。
 航走行中の船で観測した風向・風速は見掛けのもので、真の風向・風速ではないことに注意する。(図1-2)
 海上で真風向を知るには波頭(なみがしら)を見ればよい。
 風は風向が急に変わったり、風速も強くなったり弱くなったりすることがあり、これを風の息といい、瞬間的に最も強い風を最大瞬間風速といい、平均風速の1.5〜2倍になる。
 
図1-1 16方位
 
図1-2 見掛けの風向・風速
 
(5)降水量
 降った雨の量は、平らな地面に吸い込まれないでたまったときの深さ(mm)で表し、これを雨量といい雨量計で測る。雪・霰(あられ)・雹(ひょう)などは水にしたときの量とし、雨量をまとめて降水量という。
(6)雲
 空に現れる雲を見ると、大気の状態や天気の変化の様子を知ることができる。雲には、ゆるやかな上昇気流によって発生する層状性の雲と、激しい上昇気流によって発生する対流性の雲があり、その形やでき方、高さなどによって分類される。雲量とは、空の面積を10とし、そのうち雲の占める面積の割合をいい、雲量0〜1のときの天気を快晴、2〜8を晴れ、9〜10を曇りといっている。
(7)視程
 視程とは、大気の濁り具合の程度を表わす尺度の一つで、昼夜間、空を背景とした水平方向の目標を肉眼で明らかに識別できる最大距離をいい、方向によって見える距離が違うときは、その最短距離を視程とする。
 単位はキロメートル(km)、但し海上では海里(マイル)(1海里=1,852m)も使用する。
 
1-3 気団と前線
(1)気団
 空気が大陸や海洋のようなほぼ均一な性質の地表の上に、広範囲にわたって長期間滞留すると気温や温度などの性質がほぼ同じようになる。このように、水平方向に一様な性質をもつ空気の塊を気団という。
 日本付近に出現して日本の気候に影響を与える気団を表1-1及び図1-3に示す。
 
表1-1 日本付近の気団
気団名 発源地
(北半球)
日本付近に現われるもの 出現時期と特徴
寒帯海洋性気団 オホーツク海・千島沖 オホーツク海気団 梅雨期・秋季、湿った北東の風を吹かす
寒帯大陸性気団 シベリヤ シベリヤ気団 冬季、日本海側に大雪・太平洋側に晴天をもたらす
熱帯海洋性気団 日本の南方海上 小笠原気団 夏季、南寄りの風として吹く
熱帯大陸性気団 揚子江流域以南 揚子江気団 春・秋季、移動性高気圧によって運ばれてくる
赤道海洋性気団 赤道付近 赤道気団 台風によって赤道付近から運ばれてくる
 
図1-3 日本の気候に影響を与える気団
 
(2)前線
 気団と気団が接触した場合、その境を前線面といい、この面が地面と接してできる線を前線という。前線面の付近では、寒気団が暖気団を押し上げて上昇気流をつくるので、天気の悪いことが多くなる。前線には次の4種類がある。
(1)温暖前線(図1-4)
 暖気団が寒気団の上にのし上がって生ずる前線で、発生する雲は層状で区域も広く、雨は連続性のしとしとした地雨になり、この前線が通過すると気温が高くなり天気は回復する。しかし、その後には寒冷前線が控えている。
 
図1-4 温暖前線
 
(2)寒冷前線(図1-5)
 寒気団が暖気団の下に沈み込み、暖気団を押し上げて生じる前線で、発生する雲は、垂直に発達する積雲や積乱雲などである。
 前線が通過するときには強いにわか雨や雪を降らせ、また、雷や突風をともない、気温も急に下がる。突風とは、突然に激しく吹き出した風をいい、寒冷前線が通過する場合に吹くことが多く、風速は短時間に20m/s以上にもなることもある。
 
図1-5 寒冷前線
 
(3)停滞前線(図1-6)
 暖気団と寒気団の勢力がつり合って、ほとんど動かないような前線で、この前線が現れると天気はぐずつく。
 梅雨前線は停滞前線の一例で、日本南方の小笠原気団(暖気団)と北方のオホーツク海気団(寒気団)の接触面にできる。
 
図1-6 停滞前線
 
(4)閉塞前線(図1-7、図1-8)
 寒冷前線は温暖前線より速く進むので、温暖前線に追いつき、そのときできる前線が閉塞前線で、寒冷前線側の寒気団が強いと前側の寒気団の下にもぐり込むので寒冷型閉塞前線となり、前側の寒気団が強いと後側の寒気団がその上にはい上がるので温暖型閉塞前線となる。
 
図1-7 寒冷型閉そく前線
 
図1-8 温暖型閉そく前線
 
 図1-9は天気図に用いられる前線の記号を示す。
 
図1-9 前線の記号


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