河原広弥(島根県防犯連合会推薦)
出雲大社といえばお分かりかと思いますが、我々はイズモオオヤシロと地元では言っております。言葉も出雲弁です。お許しください。わからんところは聞いてください。誰か通訳する人がおるかと思います。僕はいつもいろいろな所へ出て、いろいろしゃべっていますけれども、じつは町内会長なのです。地区によっては自治会長とかいろいろな言い方をしております。平成6年から町内会長をやって13年経ちました。
防犯ということについてですけれども、私が町内会長になった頃に、町内で下着泥棒、のぞきというのが発生した。警察にいってもしょうがない。町内で生活安全委員を作り、役を一つ付けるということで、生活安全委員を5人ほど作った。それで夜中にパトロールをする。5人が警棒を持って、自分の町内をパトロールする。よその町内まで行く必要はない。私の町内だけを定期的に、「今日やるぞ」と電話をして、この5人しか知らない、他の誰にも教えないということで、やりだした。そうしたら下着泥棒がなくなった。のぞきが来なくなった。非常に良い効果を得たというのが、町内会長になって平成6年から8年の2年間です。
平成8年に、大社町は町内会長が155人いるのですけれども、これを基に各町内も作ってくれということで、1回全部、町内会長を集めて説明したのです。そのうち半分の80ほどの町内が作ってくれた。だけど、警察本部が邪魔に入ってきた。なぜか。私は報道を呼んで報道をさせますから。というのが平成6年から地域安全推進委員なるものを警察が作った。おれは町内会に生活安全委員を作ってくれということである。ちょっと警察本部としては、こういう相手は煙たい相手である。ということで、ちょっと邪魔が入ってきたけれど、「まあよかろう」と、警察は警察で我々は我々ということでやっていました。
ところが、平成13年に皆さんがご承知のように池田小学校の事件があった。これはどこでいつ起きるかわからないということで、大社町でも教育委員会と警察と、我々、町内会長連合会とで「大社町幼稚園・学校安全ネットワーク」というのを立ち上げた。小地域福祉ネットワークは皆さんご存知だと思うけれど、各町内に高齢者の方とかいろいろな見守り、見回り活動ということでやっている町内に、助け合いチームというのを作れというので作りつつあったときだ。「福祉ネットワーク」なのだけれども、「安全」を付けてくれと、「福祉安全ネットワーク」で、福祉も高齢者だけではなくて子供を入れてくれということを言った。ということで、「福祉安全ネットワーク」ということで子供の見守りから高齢者に至るまでということをやりだした。
そのときは、何にもない状態です。地域安全腕章をガバッとまとめて買いました。各町内10軒に1枚で配ったのです。10軒に一つきているのだから10人で回してくれ。子供が学校へ行く時に家の前に立ってくれ。帰るときに家の前に出ておいてくれ。それだけでいい。後は何もする必要はないということで全体的に防犯活動をやってもらった。
ところが今度は市町村合併というものが近づいてきました。平成17年に市町村合併をしたわけですけれども、これに伴って警察の再編があるという。今までなんぼ小さい大社町でも出雲大社があるから警察署というものがあった。署員24名ですけれども頼りない警察といったら叱られるけれども、ほんとに頼りない。だけど、そこと我々とが連携をとって町内連合会や大社町を全部まとめているわけです。犯罪の予防とかいろいろなことを一緒にやってきた。これがなくなる、交番になるという話なのです。出雲署に全部統合するという。警察署が交番になるというのは住民に不安が出るのです。
我々は本部から説明をひそかに聞いていたから、うまいこと反対がないように協力はしました。そのときに思いついたのが青色回転灯、青パトです。12月18日に出発式をやりました。中国地方では我々が最初のスタートでした。あとは広島の行政と岡山の行政がやりました。民間では我々が最初でした。最初は25人でした。これも町内会長に「青パト夜警、青パト夜警」と言いましたが、言っても駄目だということでやめた。それで一本釣りです。25人一本釣りして入れて、書類を全部作った。これは人を見てやらないといけない。誰でも彼でもではいけない。自分の車で、自分の油で、自分の手間です。「町内会長だからみんなのためにやれ」というだけのことです。町内会長は人が喜ぶことをやらないかん。今はいっぱいおりますよ。
出雲市は公民館をコミュニティセンターといった。公用車を1台早めた。これも全部青パトにした。コミュニティセンターの職員も全部講習を受けさせた。全部、実施者証を持っています。そういう状態の中で、ただ出雲は防犯ボランティア連合会を去年の12月1日に立ち上げた。これも早いですよ。10月の地域安全運動中に全国的に研修会をやります。出雲でやっているときに「青パトのことを言ってくれ」といわれたので言った。
せっかくこれだけ団体がいて、代表が2、3人来ていたから「防犯連合会を作ろう」と言いました。そうしたら拍手が来た。拍手が来たということは「作る」ということで、12月1日に作った。おれもたちが悪いからね。立ち上げたらこっちのものだ。「お前の所も青パトやれ。お前の所もやれ」とどんどん。今324団体354台。一つの所では全国トップです。だけど、これは書類を全部作った。「おれがやるから心配するな」。
さっきも警察から頼まれて講師で出ると5,000円くれる。青パトの講習をやるときにはこんな資料を作って配りますよ。こんな物を作っても大した金じゃない。それで、みんな徹底して講習をやります。警察から4人出て、僕は民間で1人出ます。最近は金もくれなくなった。警察も予算がない。おれはただでやるからとただでやっています。これだけ知らない中でできた。いつもおれは言っている。「おれは町内会長だ。地域安全推進委員でもない。警察の手先でもない。町内会会長はみんなのことを考えなきゃいかん。ただそれだけでやっているんだ」。
今度は、青色街灯をいっせいに町内会長に命令を出して、第1回目で半分替わった。第2回目を今やっている。今ずっと工事をやっています。だいたいこれで1,200基、青色に替わります。ただうちは観光地だからメイン通りは青にしない。これは町づくりで別のライティングを考えているから、入った場所、これは青にすることで今動いています。どんどん青色に替わっています。
これもみんながどこで買っていいかわからないから、売れていない。一般に市販されていない。そういうものまで含めて披露をして、島根県から出しています。広島の警察本部から出した、広島で実験した分を付けて出している。大社もこれを付けて出しただけなのです。それでも町内会長の半分が「買います」と言ってわっと出てきた。1本350円で今販売をしている。私が売っているんじゃないけど。警察本部が紹介してくれたのが547円です。それから考えると350円のほうが安い。ということでなかなか好評で、島根県の他の地区でも手がけるように少しずつ動いています。ということで大変長時間ありがとうございました。(拍手)
事務局長
河原さんの熱の入ったご説明ありがとうございました。さて、最後の最後まで行きますと皆さんのお食事の時間はきっとなくなります。そういうことで本日の活動報告はここまでにさせていただきまして、明朝予定通り8時30分から授業ということになっておりますが、その際に前半の20分だけ皆様の事例発表のほうに充てます。残られた広島県の宮川さん、福岡県の矢次さん、鹿児島県の蛭川さん、時間厳守で明日はご発表をひとつよろしくどうぞお願いします。本日はどうもありがとうございました。後また専務のほうからご説明があります。事例発表のほうは以上でございます。
事務局長
広島県防犯連合会推薦の宮川様。どうぞよろしくお願いいたします。
宮川孝史(広島県防犯連合会推薦)
おはようございます。私、広島県から推薦されました宮川です。今日は活動状況というよりは私の所の地域の特性を知っていただいて、これまで皆様方が発表されましたことを、取り入れてこれからの活動の師にしたいというように考えております。
私の所は「広大前地区防犯組合」というのですが、広大前というのは広島大学の門前町です。広島大学は平成7年に私の所の地域に移設してまいりました。それまでは人口800名ぐらいの小さな田舎町で山と田んぼしかない町でしたが、広大が移設完了いたしまして急激に人口が増えまして、当地区で5,900名ぐらいになりました。そして、世帯数が4,600世帯ぐらいに急激に増えたということです。
したがいまして、犯罪が今まで発生したことがなかったのに、それに伴って犯罪が非常に多くなりました。それで、平成11年に広大前交番というのができました。それまで多かった犯罪が、交番ができたおかげで非常に少なくなったというのが特徴です。その広大前交番が設置されたと同時に、広大前地区防犯組合というのがその年に設置をされ、現在に至っているという状況でございます。
人口的には学生が主体です。広島大学は1万6,000名学生がいるのですが、それを主体にした犯罪防止、環境づくりをするというのが広大前地区の組合設立の目的です。その中に小学校の校区も含まれております。近くに三ツ城小学校という800名の小学校がありまして、その800名のうち100名が広大地区防犯組合というのに入っております。これらの小学生の安全を確保するというのも広大前地区防犯組合の目的です。
それで、実際の活動状況というのはお手元の資料にある一般的な活動状況です。これは定期的に実施しておりますけれども、先ほど言いましたように、この地区内が小学校区は分かれているということで、各種そういった防犯ボランティア団体はあるのですが、それが独自にそれぞれ活動しているということです。山形県のように一体化してまとめてということがなかなか難しい状況です。
今後まとめてやったらどうかという意見はあるのですが、難しいところがあるので何かいい方法があれば模索していきたいというように考えております。各種ボランティア団体との情報交換というのは必要になってくると思いますので、定期的に実施してお互いの不備を補うということを推進してはおります。
今回、モデル地区ということで推薦されたのですが、皆さんがやっておられるように地域内の不備なところを直さないといけないというのがあり、青色防犯灯をこの度申請いたしました。これは申請をしてすぐ認可が出ると聞いておりますので、近いうちに、地域内をパトロールする青色防犯灯を設置した車を確保したいというように考えております。
地域の広さですが、東西約3キロ、幅が約1キロという狭い地域でありまして昔の田舎町ですので、市街化区域はその中の一部で、それを外れた所は犯罪が起きやすいような状況です。そういった所を重点的にパトロールしたい。実際、広大前交番のパトカーが1日に何回もパトロールをしておりまして、犯罪というのは起きにくいような状況です。けれどもその間隙を縫うという意味で、青色パトロールの実施をしたいと考えております。
何をしていけばいいかというのを、皆様方のいろいろな活動状況を拝聴いたしまして、これから考えていきたいです。そういった模索をしていく段階ですので、今後とも何かいい知恵がありましたらお貸し願いたいと考えております。以上でございます。(拍手)
事務局長
どうも宮川さんありがとうございました。続きまして、福岡県の矢次様。よろしくお願いいたします。
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