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矢次光徳(福岡県防犯協会連合会推薦)
 福岡県から参りました矢次でございます。福岡県といっても大きいのですが、私が所属する所は所帯数が1万所帯ぐらいで、人口が4万8,000ぐらいで11校の小学校があります。その小学校の一校区の安全・安心推進教育会の会長をやっているような次第でございます。私は皆さん方の不評を買っております警察OBです。12年に警察を辞めまして、民間の警備会社に5年行きました。辞めたと同時に「待っていたぞ」というかたちで、「安心・安全を立ち上げてくれないか」とか「町内会長をしてくれないか」とか「スクールガードのリーダーを受けてくれないか」ということでした。
 ちょうど生まれも育ちも地元で、生まれた原籍地で退職できたという恵まれた幸せ者です。そういう関係で、今までした部分を何かフィードバックできるならということで立ち上げたような次第です。立ち上げた時思いましたのは、「これは人づくりだな」ということです。人づくりなら誰を巻き込むかということを考えました。
 校区内に7行政区あります。7行政区の区長、老人会長、PTA会長、育成会長という諸々の役を全部集めまして、こういう打診があるということで、会を重ねまして組織作りをしました。そういう顔の利く人、人集めの上手な人を全部役員の顧問ということで委嘱しました。それから、行政区長の下につく副行政区長を各支部長ということに位置づけて運営をしております。その中で規約等も作りました。
 創立のときにお金がないということで市長と折衝しまして、設立の準備金として69万円ほどいただきました。「安全安心というのは市民が中心になるものだよ。それならあなたがどうか力を貸してくれないか」というようなことで、お願いしました。
 活動の諸々は、皆様方が昨日から説明されたとおりでございます。私たちは田舎ですから「見せる活動」ということで、全部黄色の防犯帽子と防犯腕章、ブルゾンに西牟田校区安全・安心まちづくり何とかというようなことを入れました。だいたい会員が当初254名でブルゾンを150枚。帽子と腕章は全員ということです。「何でもいいから立ってくれ。散歩でもいい、買い物でもいい、孫の送り迎えでもいい。家の周りを掃くときでも帽子をかぶれ。おとっちゃんたちはゲートボールに行く途中でもいい」。というようなことで、しております。
 やはり、田舎ですのでお父さんお母さんたちはほとんどお勤めまたはパートに行っております。したがって活動の中心は老人会、町営会です。したがいまして、あまり夜はできない。怪我をされたら大変ということで気をつけております。だいたい登下校時が町内会の人たちの役。夜間のパトロールはPTAのお父さん、お母さんたち。帰ってきてからでもいいじゃないか、夕方元気な者が出ろということでだいたい月に2回ぐらい。その行政区の実情に合わせた時間帯に、立番等を実施しているような次第です。
 いま1年半ぐらい経っておりますが、女房いわく「お父さん、現職のときよりも忙しいね。現職のときより目が輝いているよ」というようなことです。と申しますのは歌の文句でないでけれど、「孫」と一緒です。孫を見るようなものです。「おじちゃん、今何時」と言ってきます。立番して横断旗か何かを持っておりますけれども「今何時」と聞くので、こうすると時計を見ます。すると、子供たちは何を言うか。「おじちゃん、昨日の時計と違うよ」と言います。これぐらい子供は観察が鋭い。
 それから靴を替えて、運動靴を履いたり、スニーカーとか、登山靴を活動しやすいように履くと、「昨日の靴と違う」「ジャージが違う」とかいろいろ言います。子供たちは関心を持っているのだなということで、肩を叩いたりするとやはり非常にうれしそうにして登校します。
 もう1年過ぎました。いま事件もないので、各行政区長さんに指示とか、依頼とかをしております。それで一番大切にしているのは情報交換です。情報は共有しようということで片田舎ですけれども、私もFAXを備えました。そして各校長やいろいろな方からのメモ程度の分でも連絡をもらって、それを会員の支部長さんに連絡をして徹底するという活動をしております。
 いつまで続くかわかりませんけれども、立ち上げた以上は継続が一番大切ということで、あまり強制しておりません。田舎の人は割り当てをすると、「このとき行かれなかった。誰かに迷惑を掛ける。そのように迷惑を掛けるならうちは会員にならんほうがよかろう」と非常に消極的な考え方が多いのです。「出られるときでいいよ」いうようなことにしております。やはり、人が3回立っときに1回も立たないとちょっともぞがゆい。ブルゾンを返さないといけないのではないかと、帽子が泣いているのではということで徐々にそういう気持ちが高揚していっている。
 あと一つ、昨日講師が言っていましたスクールガード関係、スクールガードリーダーというのを福岡県はやっております。各小学校の子供たちの安全安心学校対策、地域の対策というようなことで、自分が立つのではなくて立った人に対してどう指導するのか。それから、ここの行政区、校区の問題点はどこにあるのか。これは学校を訪問するいろいろな人、車両のチェックはどうしているのか。避難訓練はどうしているのか。という部分の関係もやりました。
 久留米は8校受け持って朝の7時半から9時半まで。2時半から5時半まで、都合5時間。これは教育委員会がだいたい所管ですので、そういう活動をしております。まだ元気です。酒がおいしくなるように活動しているのが実情でございます。今後も一生懸命頑張りたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)
 
蛭川純雄(鹿児島県防犯協会推薦)
 鹿児島から参りました蛭川と申します。自己紹介というか、地域的なところから申し上げますと、武岡台というのは、新幹線が今度鹿児島のほうにも開通しましたが、私どもの住宅の下をトンネルが通っています。トンネルを出ますと鹿児島市内に入ります。トンネルを出た所に桜島が見えます。その眼下に西郷隆盛の生誕の地があるという地域です。
 さて、私どもの取り巻く状況も、日常誰もが危惧している非常に厳しい状況であると思います。一人ひとりでこの環境を変えていくというのは非常に難しいというふうに思っております。そこで、私ども鹿児島県では平成6年から各地区の下部組織として、安全で犯罪等のない明るい町づくりを進めるために、地域安全活動の中核となる地域安全モニターというのが組織されております。そして、平成15年4月からこの地域安全モニターの武岡地区の防犯の代表として、私が町内会長のみんなに呼びかけをしました。数名ずつの動員をしてもらい、モニターの手伝いをしてもらいたいということを提案いたしました。
 校区公民館運営審議会というのがあるのですが、その審議委員会の役員を私がさせてもらっています。これを機に皆さん方に呼びかけをしましたが、その時点では一致を見ませんでした。校区公民館というのは小学校区に必ず1個公民館を建てているわけです。そこで、今の審議員に申しました。
 皆さん方も記憶されているかもしれませんが、平成14年の4月武岡中学校の生徒が防空壕跡で火遊びの結果、一酸化炭素で4名なくなったことがあります。その痛ましい事故が発生をして、何とかしなければという住民の気持ちが反映されて全会一致でこれを決めたということです。私どもの特徴は校区の公民館で防犯パトロールを立ち上げたということです。「武岡台安心安全まちづくり協議会」という会です。
 いま会員が全部で45名います。当初の35名から10名ほど、今年度になって伸びています。これを将来は100名体制にしたいということで今頑張っているところです。昼間部の場合は週に1回。夜間部の場合は週2回という感じで青色パトを導入して進めているところです。鹿児島県では昨年25年ぶりに刑法犯が1万5,000件を下回りました。本年度もさらに減少を続けている傾向にあるということは、住民が私たちの町を守るという意識が芽生えた結果ではないかというふうに確信をしています。
 まとめて言いますと、私が今思っているのは、やはり一人で頑張るよりかみんなに分かってもらうということで、進めていくのが一番ではないか。みんなに知らせるということが一番ではないかということです。もう一つは、皆さん方のお話をお聞きしますとやはり運営費についての問題があるようです。これも校区審議会のほうで今いろいろ模索しながら、出資してもらうことを住民のみんなにお願いをしようということで進めています。以上です。ありがとうございました。(拍手)
 
おわりに
(財)全国防犯協会連合会 専務理事 松原 洋
 皆さま、お疲れ様でした。皆様方の発表していただいた中で、非常に先進的な活動をされている団体の方もおられましたし、自分の身近な場で地味ではあるけれどもこつこつと日々の活動に取り組んでおられる方の発表もございました。私はそのいずれもが大事だというふうに思うわけです。
 防犯という問題については、一つの考え方だけで全てが解決できるというものではないのです。一つのものの見方だけで、正しい対策が取れるかというと、決してそういうことはない。いろいろな角度から物事を見て、自分なりの判断をしていくということが大事だろうと思います。
 そういう意味で誰の意見が正しくて、誰の意見が間違っているということはありませんし、それぞれのいいところを少しでも取り入れて、またヒントとしていただいて、それぞれの立場でそれぞれの持ち味を活かしながら、これからも活動を続けていただければというふうに思っております。
 研修は終わりましたけれども、研修というのはあくまでも始まりです。この研修を機会に皆さん方がお互いのネットワークを自らの手で作っていただいて、これからも連絡を取り合う関係を築いていただければと思っております。
 2日間、誠にご苦労様でした。これからもお元気でご活躍いただきますよう心から祈念いたしまして研修を終わりたいと思います。(拍手)


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