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高谷行雄(新潟県防犯協会推薦)
 短い時間でやりたいと思います。私はピンチヒッターでございますので、資料も何も持ってきませんでした。ネタがございません。皆さん今広い意味でのお話をされているようですので、私は狭めて話をしたいと思います。私らの小学校校区は約50自治会があります。その中で私の自治会が800所帯です。すべてサラリーマンです。ここの自治会長で周りからいろいろ言われていますけれど、私なりに5年間続けております。
 私、生まれは宮城県の仙台でございます。そこから東京の会社に就職いたしまして、小田急線の狛江に住居を構えて、仕事柄、西は姫路、北は八戸まで仕事をずっとやっておりました。そういう関係でこんな生活をしていたら結婚できないのではないかと思って、家庭に対してすごくあこがれを持っていました。ましてや、地域、地域に行きますと、お祭りをやったりいろいろな地域の行事があります。それを見ていると、「おれもいつかこういうふうに地域で何かいろいろやってみたいな」という気持ちがありました。
 新潟に来まして30年経つのですが、その間、自治会の関係と子供会の会長を15年やっておりました。またPTAの会長もやっておりました。そういうことで、私の自治会は800所帯と言いましたけれども、小学生が130名、未就学児を入れますとその倍です。高齢化が出てきて、75歳以上が130名います。この間、敬老会が終わったばかりです。そういうような自治会でございます。
 では、「うちの自治会は防犯につながって何をやるか」と考えました。私が自治会長になったとき、「安心・安全のまちづくり」というキャッチフレーズの中でまずやろうとしたのは環境整備です。ゴミステーションを全部きれいにしました。カラスがいるものですから網も張りました。それからゴミ掃除の当番も輪番制で全部決めました。ゴミステーションが全部で20あります。それから、不当投棄ゴミ。線路が走っていますので、その辺の空き地、公園、生活道路といわれている所のゴミ、吸殻まであります。これを随時やっていくということです。今、役員が54名、組長が54名います。そこに私がいるということで、百何十名の自治会の組織でやっております。
 そういうことで、生活道路の美化にプラスしまして子供会育成会で私が始めたときからですが、「花いっぱい運動」という春から秋まで花が咲くようにということでやっております。春、最初に咲くのはスイセンだと思いますが、スイセンからチューリップ。チューリップは新潟の花です。その後、いろいろな丈の低い花を植えています。昨日も鉢にみんな植えてきましてけれども、鉢の数も300ぐらいあります。老人クラブには短い時間で結構なので雑草を取ってくれということで、やっております。自治会としましては、除草機がありますので、みんなで空き地、公園等を含めて年間3回ぐらいやっております。
 それから、遊具の点検から何からみんなやって、悪いのは全部取り替えてもらっています。今度は防犯灯なのですが、ここにも書いてあるのですが他の自治会なのでそこまで分かりませんが、青色に全部取り替えたのです。広島の方がいらっしゃるかどうか分かりませんが、広島の例らしいのです。広島でもこういう地域があって、ブルーの蛍光灯に取り替えたのです。これは県からの助成でやっております。私の町内は240の防犯灯があります。子供たちや通勤の皆さんが通う道路を今度、照度アップします。今まで既存の蛍光灯の倍の照度にしましてやっております。ただし、お金がけっこう掛かります。3年計画でやっていこうと、今年は1年目で相当数替えました。そういうことで、まず環境整備をしようということが一つでございます。
 ではソフト関係はどうかといいますと、地域安全協議会というのがありますが、それを中心としまして、通勤通学の時間帯、また下校時の時間帯に交通安全と防犯とを兼ねた立会いと声掛け、挨拶運動をやっております。子供会を15年もやっていますと、だいたいの子供がこっちの顔を分かっているのです。私は分かりません。小さいときから大きくなって顔かたちが変わりますから。だけど、子供たちはよく分かっているのです。
 先ほど、背広姿で子供をしかりつけるという話がありましたが、あれは毎日やっていると子供たちもお互いに分かってくるのです。これが初めての人から言われると腹が立つのです。お父さんお母さんから怒られても子供はあまり腹が立たないのです。他人から言われると「何でおまえに言われる必要があるんだ」と反発するわけです。そういうことで、ただパトロールするということも大事なのですけれども、やはり子供と顔見知りになったほうがいいのではないかと私は思っています。そういうことで、挨拶運動、声掛け運動をやっていく。
 それから、夜間は夜間でやはり公園周辺を徹底的にやる。うちの公園は四つあります。それから、今、皆さんがおっしゃっているのをみると、だいたい特定の人間がやられているのではないかと思います。ついて来てくれる、共感してくれる人がたくさんいれば一番いいのですけれども、なかなかそれが出来ないだろう。私の自治会も役員が五十何名と言いましたけれども、ほとんど輪番制で入ってくるものですから中には一生懸命やるのもいるし、「まあ、しょうがない。」とやる人もいるし、「あわよくば顔を出さなくても済むんじゃないか」というのもいるわけです。
 この11月25日に、1年間ずっと準備してきた「地域自主防災」というのを結成します。その準備委員会の中で出た話は、新潟県は地震県だと言われながらも、先のことは忘れてしまうのです。そういうことで、いつ起きるか分からない災害に備えるよりも、いま地域の皆さん方が一番不安に思っているのは何なのだろうというと、防犯なのです。それで、県のほう、市のほうといろいろ相談し、「自主防災の中に防犯を入れてもいいのかな」と言いました。全国的にみると他の所は福祉活動を入れたり、当然防犯活動を入れたり、様々な活動を入れてやっています。まず地域の皆さんが「自主」ですから、自ら考えて行動するのですからどんなかたちでもいいですよということで、防犯を入れました。
 それで、役員が今40名。これは黙って自分で手を挙げてきた連中です。今度は部員を募ります。ボランティアですからあくまで強制しません。そういうことで11月25日何名集まるかなということを見ていますけれども、とりあえず発足します。しかし、作るのは簡単だけれども、先が続くかなというのが一番心配です。ですから、私は言うのです。私は私に出来ることしか出来ません。あなたはあなたに出来ることしか出来ないでしょ。だけど、お互いにそれなりの力はあるでしょう。その小さな力を合わせましょう。そして、本当にゆっくりと。時間は掛かりますよ。それでもやって行きましょう。
 また団塊の世代が地域に帰ってきました。彼らも自治会の活動に参加したいのだけれど、なかなか勇気と機会がございません。そういう方たちを何とか仲間に入れて防犯だけではなくて、防災だけではなくて、いろいろな活動の中に引っ張り込んでいって地域のコミュニティーを深めて行きたいと思っております。取り留めのない話ですいませんでした。ありがとうございました。(拍手)
 
渥美勝昭(静岡県防犯協会連合会推薦)
 静岡県浜松市からまいりました渥美でございます。私は浜松中央警察署の地域安全協議会の中の冨塚交番管内の班長としていま現在やっております。実際にはいろいろな資料を持ってきて皆さんに浜松地域の活動をご報告すればいいのですけれども、今日は持ってきておりませんので、自分の町のことだけについてご報告させてもらいます。
 私どもの町は連合自治会としては6自治会で、そのうち私の自治会が一つで、西自治会と言っています。全部で7,000所帯。その中で冨塚交番の地域安全推進員は6名です。6名なものですから、地域が6自治体ある中で回らなければいけないのは大変厳しい状況です。その中で予定としていま回っているのは月2回で、それを地域ごとに6か所あるものですから回ります。ですから、1回、回ると、なかなか他の地域には行けないというのが現実の状況なのです。
 少ない人間の中でどうやっていくか。こういうことを言っては失礼になるのですけれども、市役所は市役所で私どもの連合自治会に70万の予算を作って防犯活動をやってくれと言います。それから、それ以外に健全育成会という組織がありますが、その中に補導部会というのがある。それぞれ役所によっていろいろなかたちで回ってきますけれども、なかなか横の連絡が取れないものです。ですから、私、地域安全推進員としては警察のほうにもいろいろお願いして、できるだけ行政で横のつながりを持って予算についてもきちんと手当をしてもらいたいということをお話ししました。
 警察のほうからもらっているのは県警本部から税金を引かれて4,700円程度です。それを所得申告しろと言われてやっていますけれども、現実には年に3回しか来ません。大変少ない中で活動をしています。金についてはできるだけもらわないほうが、皆さんから文句を言われても「ボランティアだから文句を言ってはいかんよ。」ということで言えます。なかなかそうはいきませんので、その辺は努力をしてやっています。
 たまたま私の所は新興住宅地の団地があります。これがだいたい280ぐらいなのですけれど、この地区はどうしたわけか空き巣によく入られます。私どもが現場に行ってみますと、そこの住宅が緑地協定で、ブロックで囲んではいけないのです。ですから、皆さん生け垣です。同時に土地が斜面になっているものですから、高く木を植えてしまうと中が見えない。そういった面で空き巣に入られたのが何軒かあったのです。
 そこで防犯教室を開いたのです。その中で入られたお宅は一生懸命になって防犯教室に参加していただけます。だけど、入られていないお宅は「われ関せず」でなかなか警察の呼びかけ、私どもの呼びかけでも講習会に出て来ないという状況です。年に2回ほど開きました。県と警察の指定地域になりましたので、「セーフティー・タウン空き巣の対策」の地域に指定されました。
 私はちょっと恥ずかしいのですけれども、地域の方にはこういうかたちで指定を受けたから、自主で頑張ってやって欲しいということです。それで、のぼり旗を16本地域で立ててもらう。それから、郵便受けに「泥棒撃退」「ツーロック」というようなステッカーを貼ってもらうように、今進めております。これらも私が回ってみた中で、100%の受け箱、塀に貼ってもらいたくても、なかなか貼っていないのが現実の姿なのです。あと、ベスト、帽子も用意しています。これは5着ずつしかありませんので、10着ほど自治会へ渡してやってもらっています。けれどもなかなかそれもうまくいかない。だから、どうやったらこういうものを地域の方が自分の身になってやるか。
 私どもの力不足なのですが、これからそういう面で頑張らないといけないかなと思っています。けれども、なかなか6人では厳しいところがあります。少ない人間で防犯活動を今後とも続けていきたいと思っております。以上です。(拍手)
事務局長
 6人という少ないメンバーの中での活動はなかなか大変だろうと思いますが、今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に大阪府防犯協会のほうからご推薦の木村様よろしくお願いいたします。


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