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平賀典明(北海道防犯団体連合会推薦)
 ご苦労様でございます。札幌で「山の手セーフティーネット」という名前で行動をしております。先ほど、10月11日は「安全・安心まちづくりの日」と言われた日に、北海道の要請がありまして、私はパワーポイントで発表をいたしました。これをプリントしてまいりました。そこから6分間でしゃべりたいと思います。
 まず、ボランティアは「情熱が必要」というモットーで私は始めました。そして、何よりも継続が必要というのが私たちの理念でございます。それから、セーフティーネットの基盤になりましたのは、平成13年の大阪の池田小学校です。あの後に文部科学省が学校の安全に対する省令を出した。そのとき、公募があり、山の手小学校は応募をした。そのときにモデル地域に指定され、大変大きな予算をいただき、今の山の手セーフティーネットの基盤を作ったわけであります。
 平成17年からタクシー業者の申し出がございました。山の手には2校の小学校がありますが、2校の校区内を1台のタクシーが、登校時30分、下校時1時間半を、貸し切り状態、非営業状態で毎日巡回をしております。ただ、冬休み、夏休み、土日、祝祭日はしておりません。地域活動はタクシーの他に青色回転灯です。これは、私が代表で自分からしなくてはけないということで、自家用車に青色回転灯を付けて毎日巡回をしております。私も現役なものですから5時過ぎから約1時間、山の手地区を巡回しております。
 文科省からいただいた予算で、こういうステッカー、腕章、パネルを買うことができました。現物はここにございます。こういう小さいパネルからこういう大きいパネル。これは、自転車のかごに付けたり、自動車のフロントのダッシュ板に付けたりするよう、皆さんにお願いしております。先ほどの講師の方も言われましたが、ボランティアということで押し付けたり、「何時何分どこで」ということは山の手ではしておりません。日常の生活パターン、移動、犬の散歩、買い物、お庭の掃除といったようなごく自然な状態のパトロール。こういう物をぶら下げたり、付けたりして、いつどこでも見られるような町づくりをしております。
 これがグッズを使った「わんわんパトロール」。それから、最近このようにバンダナを印刷しまして、犬の散歩の方にお配りしております。さっき警察の課長が言われていました子ども緊急装置が山の手には7基付いております。これがテレビカメラ、マイク、押しボタンです。この押しボタンは信号機と同じような大きいボタンで、子どもの高さにしてあります。これはテレビ取材のときの映像です。
 日常化の難しさ。これが防犯パトロールの一番の課題です。本当に私たちがやってみてそうなのです。毎日、雨の日も、風の日も、雪の日も下校時に見守るということは大変なことだ。この他に読売新聞の記事もございましたが、取り組みで一番何が大切かというと、9割方はパトロールと答えます。実際に参加していただくとなれば1割程度です。だから、10人いても1人ぐらいというぐらい難しい。
 最後に教育評論家の方のコメントがあります。低学年が2時半、高学年が3時半、そこで1時間の差がある。ボランティアでパトロールをするこの1時間は非常に負担であるというような問題。この方は「その時間をまず考えて欲しい」ということを書いてあります。これが昨年4月から始めましたタクシーパトロールの新聞記事です。
 どのように走っているかというと、マグネットパネルを付け、乗務員の方は蛍光色ジャンパー、帽子といったことです。今は学校の要望によりまして、登校時はやめ、下校時2時間集中して回っております。これが子供たちの触れ合いです。乗務員の方と子供たちが毎日手を振ってコミュニケーションをとっているところです。これは私の青色回転灯です。
 活動を始めましてから山の手で不審者情報の警察に通報した件数は、16年度が13件、17年度が8件、18年度4月1日から10月末現在は未だにゼロという。たいへん大きな成果ではないかなと思っております。
 ただタクシーがボランティアで巡回しているのだと思われても困るのです。私は毎日両方の学校を行ったりしているものですから、1年生から6年生が両方の学校を合わせて1,100人ぐらいいるのですが、全員カード式、高学年は作文というふうに3月の卒業前に書いていただきました。
 その作文で一番多い言葉は「安全という言葉の考え方が分かった」「自分のためではなく友達を危険から守り、みんなと助け合うという意味だと思う」。これは5年生の子です。「パトロールが始まってからは安全意識を持つようになった」「タクシードライバーに感謝の気持ち」「手を振り返してくれることがうれしい」「タクシーに会わないと寂しい気持ちがする。今どこを走っているのかと振り向く」「腕章を付けている方に挨拶ができるようになった」といった具合に、子供の作文を抜粋してまいりました。
 それぐらい子供の意識が高まりまして、先ほど言いました「いかのおすし」という精神が、十分養われたのではないかなと思います。それから、子供たちばかりではない。光星ハイヤーさんというのですけれども、その乗務員室の掲示板をいつも私は取り替え、取り替え貼っているのです。「子供たちから感謝状が届いたよ、何が届いたよ」ということでしょっちゅう書いて、乗務員さんにも知らせております。ですから、その当番に当たらなくても、乗務員さんが市内を流している間も子供を見る目ができた。会社のほうにもいろいろな相乗効果が表れている。子供の自転車の接触事故もゼロ件になったというように、いろいろな効果が表れていると思います。
 それから、先ほどの方もお話がありましたが、何せボランティアで予算がございません。警察庁のほうからモデルステーションの事業、いろいろな防犯グッズは貸与していただいております。その他に、腕章、パネルという物を買うお金がございません。それでどうしたらいいかを皆さんと相談をしました。これは西区のほうで立派なボードを買ってもらいました。最近はこれも足りなくなり、どこへ行けばこれがもらえるかということです。予算もありません。それでPTAの方とか学校を通しました。
 ラミネートパックで十分間に合うと思います。腕章は最初作ったのが800円です。当然100本買えば8万円です。それで、考えましたのが、100円ショップで、マジックテープが付いた立派な物が105円です。それで、こういう印刷物を入れて今は間に合わせております。といった具合に、予算とかはそういう物でクリアしたらいかがでしょうか。紹介させていただきます。(拍手)
 
今野 博(宮城県防犯教会連合会推薦)
 皆さんおばんでございます。わたしは宮城県の仙台のほうから参りました。私のほうは「総合グランド前防犯協会」と言います。その名の通り総合グランドなのです。その前に面する防犯協会ですから、施設の面は面積的には大変広い。ここオリンピック記念青少年総合センターも広いのですけれども、私らのグランドもだいぶ広いグランドに面している防犯協会でございます。今日私が発表をするということは県防連のほうから何も話がございませんでしたので、資料的なものは持ってまいりませんでした。私の昨年の活動報告を申します。
 皆さんご存知のように仙台のほうにプロ野球の楽天球団が誕生いたしました。おととしはライブドアさんと楽天さんとで、宮城県の仙台市に球団を持って来るということで丁々発止の戦いをやったのは皆さんもよくご存知だと思います。最終的には楽天さんのほうに軍配が上がったようでございます。
 その話が持ち上がりました時期、私らの防犯協会はちょうど矢面にある防犯協会でしたので、「これは大変だ」ということになりました。だいたい年間100万人ぐらいのお客様がわが町内の中を通り抜けていく。これにはいったいどうしたらいいかということで、防犯もさることながら町内会が大騒ぎになりました。それで町内会の長老の面々は、「防犯協会に任せる。人ごみ、雑踏警備は防犯協会だ。おまえたちやれ」ということでした。こういう話が持ち上がりまして、それでは仕方がないと防犯協会が前面に出ました。
 たくさんの方々がお見えになることから、考えられないような犯罪とか、ゴミの問題とか、車の問題とかいろいろ問題が出てきます。私らの防犯協会は今15人ほどで構成をしております。その15人も、昔からの防犯協会ですから皆、自営業です。八百屋さん、魚屋さん、本屋さん、酒屋さん、米屋さん、そういう面々で構成しております。それでも、町を守るという意気込みは皆さん持っております。
 それでは、何をやろうかということで緊急会議を何回も開きました。結論は、とてもじゃないけれども我々の力ではどうしようもないということでした。最終的には宮城県知事さん、仙台市の市長さん、区役所の区長さん、警察署の署長さんという方々にいろいろご相談を申し上げて、対策協議会を設けました。それで、100万人も来られるお客様をスムーズに事故のないようにしていくにはどうしたらいいかということで、10回ほど会議を開きましていろいろ対策をいたしました。結果的には全部お金の掛かることでした。
 たとえば地域は街灯があります。その街灯が、私らの言葉でいうと蛍のけつというやつです。本当に暗くて電信柱の高い所に付いて、電気が点いているというだけの調子で、足元まではとてもじゃないけれども照らしません。それは区役所の道路課に行きまして、「とにかくこの街灯を今の明るさの3倍にしてくれ」と言いました。そうしたら、区役所は「予算がない」。行政の常とう手段ですが、急に言われても予算化できないということでした。
 それで、私は市長さんに言う、それから、県のほうに言う。やはり、トップの力はすごいです。「そういうことで困っているなら街頭をみんな明るくしろ」とトップダウンでやっていただきました。やっぱり、言わなきゃ駄目なのですね。そういうことで、町内の街灯はすごく明るくなりまして、これならば地域の住民も安心して暮らせる。
 それから、車の問題がございました。車の問題は防犯とはそれほど関係ないと思ったのですが、大渋滞を起こすということで、交通指導隊、交通安全協会とも相談いたしました。町内には車を入れないようにするにはどうしたらいいかということで、これは楽天球団に相談をいたしました。「あんたたちのために我々は迷惑をするんだ」と逆にそう言うしかありませんでした。駐車場が1,500台ぐらいしかないのです。予想としては3,000台ぐらい来るということで、残りの1,500台は恐らく町内の路地に入ってきて置いて野球を見に行く。それでは困る。
 楽天さんは「それではカラーコーン、とんがりコーンを町内の希望する分だけ用意しましょう」と言われた。それで、一番安いカラーコーンを買ってきたようです。約500個買っていただきまして、各町内の家の前に立て車を置かれないようにしました。要するに道路を狭くしたのです。そして、車が入って来ないように、車を置いていけないように防衛を図ったわけです。
 それからゴミの問題が今度は出ました。約2万人強のお客さんが来ますので、どうしてもゴミを持ち帰らない方がいるのです。そして、町内に入ってポイ捨て。ペットボトルも飲みながらグランドから出て来る。飲み終えると、個人の塀の上に置いたり、玄関の前にポンポンとビニール袋と一緒に置き始めたのです。「これは楽天さんが悪い、何とか責任を持ってくれ」ということを言いました。
 マナーの問題ですので、楽天さんのほうには厳重に申し入れまして、エコサービスという部隊を作っていただきました。これもボランティアで、約200名ほど募集をしたそうです。ゴミは外に持ち出さないように、分別して捨てるようにしました。その分別方法もいろいろ問題がありましたけれども、約半年ぐらいでだいたいお客様も慣れました。それで、だいぶゴミは外に持ち出さないようになりました。
 私ら地域の一おやじたちがいくら動いても、やはり行政なり、警察なりバックアップがないとなかなか事がうまく進まないということが今回でよく分かりました。じつは私も酒屋でございます。私も税金を払っている者です。行政には、地域がよくなるのであればどんどんお金を出していただきたいと、これは粘るしかありませんでした。
 これは仙台だけの野球場ではありません。名前が東北楽天となっておりますので、東北地方から来るということで仙台の玄関口になるようなかたちになりますので、行政の方も積極的に参加していただきまして、今のところはうまく行っているように思っております。これからもいろいろ問題が出て来ると思いますが、私は地域だけではやはりある程度の限度があると思います。地域だけではなくて、行政も巻き込んでの防犯活動に私はしたいと思っております。だいたいこんなところでございます。ありがとうございました。(拍手)


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