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 ではそれに対する対策があるのかないのか。今までは日本の場合は便利さを追求してきました。日本は平和だったからこれで良かったのです。これが(注:旧式の鍵)出回ったのは東京オリンピック以降ぐらいですよね。今はこの錠前はご苦労様です。官民の合同会議で、どこが改善されたかお話しします。
 これは鎌デッドです。バールでこじても開かないようになっています。従来のものであったらバールを使えば簡単に一発で開いてしまいます。鎌デッドですと、バールでこじても5分どころか10分以上持ちます。ぜひこういうのを選んで欲しいと思います。もちろんピッキングもできないしドリルに対してもオーケーです。
 今までと違ってサムターンも、引っ掛け上げてもいきません。たたいてもいきません。つまんで回すとか、いろいろ選べます。こういう鍵付きのものもあります。
 皆さん、ドアスコープは内側から外側をのぞく防犯のために非常に重要ですよね。今泥棒はこんなものを使っています。これはリバーススコープといいます。今泥棒が一番嫌なのは家人の方に居留守を使われること。捕まってしまうし、顔を見られたりすることが泥棒は嫌なのです。
 皆さんがパトロールしてくれたり、挨拶をしないといけないかというのは泥棒が顔を見られたり挨拶されることが、とっても嫌だからです。私が泥棒から聞いた話だから絶対にそうです。
 泥棒が今何を求めているかというと、居留守を使われたら困るということで、泥棒はこれを買って持っています。すぐに回収できるから、3万5,000円で若干高いと思っても便利なものだったらすぐ買うのです。廊下側から室内がよく見えるのです。奥さんが寝ころがったり、居留守使っても分かる。そして犯行する。そこまでしている。
 それに対しては、実はこんな対策品も売られている。両面テープを取り付けるだけで家がのぞかれなくていいじゃないですかね。もう一つ、今日は特別にこういうの。もし皆さんがリーダーとしてすぐできる防犯の話をする時に、こんなことがあったらこうすればいいという時に、こんなものを作って話をされたら町の人は、ああ、やっぱりリーダーはさすがだと思います。手作りですぐできる防犯ということで、こうやってみてください。これは両面テープで付けていてもいいのですよ。ここに貼ります。誰か来たなと思ったら上げればいいです。もしできたらここの所に、のぞいたら泥棒嫌よとか、泥棒嫌いとか書いておいてもらったら、これでいけると思います。
 神奈川の方もいますが、神奈川の生安の防犯実務講習というのがありました。生安の各署から来ている警察官に話した時に、「富田さんそれはいい、パクッていい」と言うからいいと言った神奈川さんはこれを8万部作って街の人に配布しています。ここの所に両面テープで留めて、メッセージを書いています。
 取りあえず出来るところからということを考えたら、警察からいろいろな情報をもらって皆さん自身で考えてこういうことをして欲しいなと思います。
 はしょって話してきましたけれど皆さんにお願いしたいことは、今、子どもさん達が本当に危機的な状態で、いろいろな先生方からのお話があったと思います。子どもが親を殺してしまうとか、子ども同士で殺し合うとか、いじめだとか自殺してしまうとか。これは本当に社会の根幹を揺るがすような問題です。
 まずできることは子どもさんを褒めてあげて欲しいと思うのです。私は子どもの前に行くと、実はこんなことをするのです。(ドラエモンを使った手品を披露)。邪道かも知れませんけれど、こうです。子どもの前でこんなことをすると笑ってくれるのです。エヘッて。そうすると、これを見ていて子どもが笑うと、その親御さんはそれを通じて私をいい人だと勘違いするところがあります。私は刑事として手帳を出したこともありません。マジックをやる刑事だなんて言えば、ばかばかしいですけれども、実はこれは100円コーナーで売っているドラえもんです。
 これは家内が蛍光灯に付いているやつを寝ながら引っ張ったので落っこちたものです。これを使ってマジックをします。こんなことで結構、「えっ」て思ってもらえる。
 これはコミュニケーションになっています。コミュニケーションを取るきっかけはいろいろなことがあると思います。褒めてあげることもそうだし、私は子ども達とコミュニケーションを取るためにこんなことをしています。
 子どもさんは防犯協会の役員さん、皆さんから褒められて、あのおじさんに褒められたと思ったら、それはすごい自信になります。それを誇りに思います。もっと頑張ろうと思います。街を愛するということ、私はそういう思いで子ども達に声を掛けることかなと思います。それをぜひ皆さんがリーダーとしてやって欲しいなと思うのです。
 時間がなくなってしまうので次に行きます。私の話は道具を使ったり、あちこち動いたりしますので、論理的ではなく正統な講義ではありませんが魂だけは込めてお話をしようと思っています。
 実はこれはルーバー窓という非常に効果的なもので採光もいいし風通しもいいということで人気のあるものですが、泥棒がこれを狙ってきているというのがあります。特に世田谷とか目黒とか高級な住宅街の夜入る泥棒。これはガラスを破っています。サイドのツメを起こしてガラスを外していくという泥棒が圧倒的に多いのですが、この泥棒はガラスを割っています。そしてこのガラスを外して潜り込みます。
 中に入って脱衣の背広だとか、かばんのところからキャッシュカードとか現金を取りますけれども、無い場合は包丁を突き付けて強盗事件になっているのです。やはり、私が長いこと担当してきた中で今までとは違うなというのは、泥棒は秘かに犯行に及び、また次の現場に行くとか、そういうレベルではなくなってきたということです。
 これはオートロックマンションです。この場合は、実はここにセンサーがあって、これを簡単に解除するやつもいます。私はオートロックを否定するものではありません。オートロックは、やはり泥棒の抑止になることが非常に多いです。でもこれは防犯カメラがあることを知りながら帽子を目深にかぶってきているというところです。
 川崎のマンションの廊下から子どもが落とされて殺された事件がありました。あの映像で駐車場に来る写真が良く撮れていました。犯人が特定できましたよね。
 やはりセキュリティー的なこと、ここは共同で使う所ですけれども、このエリアは絶対に入って来てもらっては困る所はちゃんと防犯対策をしておく必要があります。
 そのエリアの中でどうしても入って来てもらっても困る所はアングルを考えた付け方もあるでしょうし、カメラの選び方もあるでしょうけれど、手を打たないといけない。それは私達がこれからいろいろ検討していかないといけないことだと思います。
 これはエレベーター。泥棒とか犯罪者はカメラがあることが分かったら、ドアが開くと後ろ向きに入ってくるのです。またこうやって出て行くから顔なんか全く分からないのです。こういうのもいるということです。
 だから、私はエレベーターの中のカメラが必要ないなんて絶対言いません。こういうのもいますよということなのです。私どもがこういうことを積み重ねた情報の中でどこにヒントがあるか考えることが大切です。犯罪があった中で未遂に終わったり、何で未遂に終わったのかというところに防犯のヒントがあるということです。だから、一般的な今までの概念的なことではない具体的なことを、やはり情報として、しっかりつかんでいかないといけないと思います。
 こちらは、バールによるマンションのドア錠のこじ破りとか受け座壊しです。この手口は発生件数が右肩上がりなのです。さっきご覧いただいたように右肩下がりはピッキングですよね。これが右肩上がりというのは、これから傾向があるということです。全体的な数字を見たら少ないですけれども、どこがポイントかなと言えば、さっきのカマデッドであればいいのです。
 金庫というのは、この程度の金庫、ホームセーフですと空き巣の泥棒は必ずバールを持っていますから壊すのに何秒も掛かりません。数10秒で開いてしまいます。破壊要領を得ています。こんなバールを住宅街で持っていたらおかしですよね。これはゴルフバッグに詰めています。これも指定侵入工具でバールも24センチ以上、幅2センチ以上というのは警察が捕まえることができます。
 ぜひ、おかしいやつがいるよということでいいですから110番をお願いします。捕まえてくれなんて言わないですよ。今、やはり刃物を持ったり、変わった犯罪者がいますから、皆さんが格闘なんかしなくていいです。こういうものを持っていたらおかしいな。私どもの話の中からで、それだったら協力できるというところがありますよね。そういう連絡を時には迷わずにして欲しい。適切な連絡です。それが遅れてしまうと、後でいいわといって30分後で110番は困るのです。
 泥棒もネジ式のバールを考案して携帯しています。これは1本のバールですけれど、こういうふうに3本連結して。パテントものですよね。考えているでしょ。こういうのを持っているということです。これも規制の対象になります。
 これは中国の玄関、二重のドアです。これは鉄扉で外側に開きます。中国へ行かれた方がいると思いますけれど、ちょっと参考に見てください。
 面付けの本締り錠というのは、泥棒は、やり辛いのです。補助錠を付ける時にはこういうのを選んでください。面付けの本締り錠。
 これはドアです。外側に開きます。ここに木製のドアがあります。これは内側に開く二重のドアです。中国の場合、この錠前がヨーロッパスタイルの錠前なのです。私も中国へ行っていろいろ調べてみたのですが、日本のものはありません。
 これは皆さん外国に旅行された方は分かると思いますが、こういう錠前。錠ケースはフランスもイタリアもドイツも同じなのですが、ここだけシリンダーは自分で交換します。日本のようにどこでも鍵が複製できるだなんて、そんなものはありません。自分で管理する。ここのネジを外してこれを差し込むことによってシリンダーが交換できます。自分で錠前を選ぶことができます。もちろん精度がありますし、グレードの高さもいろいろありますが、これをユーロスタイルと言います。
 これがどんなものかというと、鍵は1回転でなく、やはり2回転するのです。2回転というのは意外と動作としてはやり辛いのです。私はこれがいいとは絶対に言わない。日本の錠前が良くなったというのは、やはり工夫して良くなった。外国のものが全部入って来て、これが防犯だなんて言ってはいけないのです。日本は独自で私達がきちっと見て、改良すべきところはしていかないといけないのです。自分がどう選ぶのかということです。外国のものよりも日本のCP製品は素晴らしく良くなりました
 これは上海です。右側通行でゲートがあって、監視カメラもあります。警備員もいます。これは億万長者という方が住む所です。そういう人達は錠前もきちっと鉄扉で、頑丈な錠前が付いています。カマデット、もう既に中国の人が使っています。そしてこれはヨーロッパスタイルの錠前です。これは天津です。これから北京オリンピックでどんどんこのような建物が増えていくでしょうね。
 このドア錠は、ご覧いただきますと3回転するのです。金庫みたいなかんぬきです。上もグレモンといって上と下も出るのです。何でこんなのが必要なのか。私達は自分を守るとか家族を守るドアというふうに考えたことがありますかね。このドアで泥棒だけではなくて、自分達の命も家族も守ると言うことなのです。だから必要なのだと言うのです。外国では、防犯とはそういう感覚なのかなと思いました。
 オートロックマンションの上のほうの階の方は意外と戸締りをしていない方が多いのです。オートロックだから安心しているのです。それで夜中に入って来て、そっくりかばんごと持って行かれて、キャッシュカードでコンビニなどで下ろしてしまう事件が多いのです。
 これからマンションなんかでは自動的に電気錠が増えてくると思います。今そういう傾向にあります。
 これは私の田舎です。私は遠州森の出身なんです。これは旧家、友田家の古い家です。実は今年でちょうど手口制度が全国的に同一になって70年です。昔はしんばり棒外しなどという手口があったのです。そしてこれがサル、田舎にありますよね。皆さんのご実家、どこかにあるかも知れません。サルサン外しという手口もありました。
 これはトイレの鍵。日本の錠前といったら30年前まではこれです。これで良かったというのは日本の文化があったから。日本人の心があったからです。誰かが来たぞというと中にいる人が「エヘン」なんてせき払いをすると、あー、いるな。そういう心のつながりがあったから、これで十分だったのです。
 これはサルです。地方によってサルとかオトシとかクルルといいます。これは、米倉の釣なのです。これはどんなものか。敷居に溝が彫ってあって、引き戸を引っ張るとコトッと落ちます。外からこの釣を入れて、ここに引っ掛けてクルルっと上げるのです。そうすると開く。これは日本の鍵の原点です。
 古事記の三輪山伝説というのがあります。初めてこの鍵穴というのが文章の中に出てきます。これはやはりこのサルの錠と同じだと思うのです。三輪山伝説は結構おもしろいのですが、話していると2時間ぐらいかかるので、またの機会にしましょう。
 これは昔の鍵。さっき穴を開けてサムターン回しをやりましたよね。昔はこの穴からサル上げます。今は穴を開けて、用具でサムターンを上げます。何かあまり変わっていませんよね。


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