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防犯ボランティアの活性化事業 「中央研修会」報告書

 事業名 防犯ボランティアの活性化事業
 団体名 全国防犯協会連合会 注目度注目度5


 (質問)「今、コミュニティーと言われました。私も地域でやっています。子どもさんは今守られていないということで、父兄に自分の家から四つ角へ出てくれとお願いしているのですが、なかなか出ないです。それはなぜかと聞きましたら家を空けて鍵を閉めているのは辛いから家の前に行かして欲しい。そこだけで見させて欲しい。せめてもうちょっと四つ角に出てくださいと言うのですけど、なかなかそれが皆さんに理解してもらえなくて、一番辛いところなのです。」(研修生)
 おっしゃる通り。人間のスクラムを組む機会が日本にはなくなったのです、本当に。だけど、もしあなたに子どもがいるならば、あなたの子どもを安全にするためには、まずあなたの周りの20メートル、これは責任取ってください。そういう言い方があっても僕はいいと思う。
 犯罪はどこでも起こるということを言いました。犯罪というものを見ると、必ず前兆があります。今日、本当は連れてくればよかった、私の大友人がいます。日本の残り少ない無形文化財の賊という大泥棒がいるのです。立派ですよ。僕は東大の客員教授をしているのですが、東大へ連れて行って法学部の人達の前で講義をやったの、二人で。そうしたら彼が泣いたの。「私も親から捨てられた。父親は死んで母親は再婚。もう12歳の時から泥棒稼業一直線。」何が言いたいのかだんだん忘れてきたけれど、ともかく彼と話をして分かったことがある。
 ここのところがやっぱり基本、20メートルだと言うわけです。20メートルでやる気になったという。この時に彼はどうするか。必ずこの周りを下見で回る。どんな犯罪者でも捕まらないために、もしくはうまくやるために必ず回ります。9割の犯罪者は回ります。突然ボンというのもいるかも知れない。そんなのは早く捕まっちゃう。捕まらないためにはやはり情報がいる。
 ということはどういうことか。これも覚えておいてもらいたい。犯罪との戦いは情報戦争です。犯罪者は情報を集める。皆さん方も情報を集める。そして向かい合う。逆に言えば自分達は危ない情報は出さない。それから犯罪者が嫌な情報を出す。そういう情報のやり取りなのです。
 例えば、聞いてみてもいいと思う。コンコンコンと来ました。シロネコヤマトですと言います。ちょっとハンコを。どうします。「すぐ開けない」(研修生)偉い!そうなんです。よく、コンコンコン。ちょっとハンコを。じゃあ、待ってて。開けっ放しにして取りに行く。ハンコと現金。大切なものを大体セットにして置いてあります。こっち側の部屋に入らずに、こっち側に行ったというだけで既に情報を与える。それをじっと見ている。そんなもんです。ともかく、犯罪者は回る。
 私のその大泥棒は大体2回しか回らない。どういうふうに回るか。こう回ったら、逆方向からこう回る。前から見てみるのと後ろから見てみるのとでは先ほど言ったチャンスというものの目の付けどころが違ってくる。ということは皆さん方も例えばパトロールなさる時にはこう回ったらこう回りなさい、ということなのです。
 それで、9割の犯罪者は回っているということは9割の犯罪者は何らかの動きを皆さん方の前に見せている。女の子をいたずらする、男の子だって同じですけれど、その場合どういう時に動いているか。夜中は動かない。だって得られる情報が限れているもの。昼間歩いている。(笑)
 それで、どういうことが言えるか。私達の経験では半年の間に8回変なことがあった、変な人がいた。これは危ない。危ないねーという感じ。2ヵ月に4回あった。危ないじゃないか。1週間に3回あった。危ない!ということなのです。こういう目安があるわけです。
 問題は何か。幾つかの問題がある。まず最初に変な人というのはどんな人か。どんな人ですか。お前だよって言われたら困る。(笑)分かりませんよね。これは分からない。変な人。当てます。(笑)「その場には似つかわしくないと言いますか」。(専務理事)当たり。100点あげます。(笑)「あとで何をされるか分からないからね」。(笑)おっしゃる通り。
 変な人というのはいろいろな人がいます。顔が見せきれないとかね。基本的にはおっしゃる通りです。その場、その時がその人に似合わない。ふさわしくない。ご名答です。
 大きく言えばそういうこと。この時に似合わない、ふさわしくないというのは自分で信じていいのです。そこでもって何かをしなければ、あとはしようがない。実際に襲いかかった時に変な人と言ったってもう遅い。
 例えば、夕方の公園に帽子をかぶったおじさんがジーッと車の中に座っている。おかしい。会社員の服を着た立派な身なりをした人がスニーカーを履いて歩いている。おかしい。歩いた時に顔を合わせてこない。おかしい。それでいいですよ。それでいい。
 ただし、こういうことが言える。例えば、泥棒がいた。Aさんがいた。それから子どものいたずらをするBさんがいた。それから引ったくりをやろうとしたCさんがいた。不思議なことなのだけれども、かなり重なってくるのです。
 例えば、私の家内は私が見た変な人というのは髪が長くていい男だったと言う。隣の奥さんは私が見たのは小作りで何か早足で歩いていた。Cさんに関してはまた別の言い方がある。だから、一人じゃない。変な人を見たのは一人じゃないか、まあいいか。多くの人はそう見る。違うんだ。やっぱりこういうものは重なってきているのです。変なことが重なっている。さっきの割合で。やっぱり変だ。変だということが、この回数があれば、変なのです。
 自分の家を中心にして、自分の子どもを中心にして、もしくはお隣の子どもも登下校の場所を中心にして、この20メートルの所で変なことがあった、変な人がいたという時には、やはりきちんと皆さん方がコミュニティーの底力でやらなければいけない。
 どういうことをやればいいか。きちんと挨拶をしよう。20メートルだった。例えば私の家から20メートルだったら私はきちんと挨拶できる。挨拶するというのはとても大切なの。挨拶する瞬間に何が起こっているかというと目を見ているのです。こう向けているのです。やはり挨拶の時、おはようございます。そういう時におかしいやつは目を合わせない。連れてくればいいかな。本物のあれだったら挨拶はする。おはようございます。ちょっと合わせるけれども、じっとは合わせない。それが特徴。
 犯罪者というのは、いかにも犯罪者というのは少ない。普通の格好をしてぺたぺた歩いていますよ。だけど唯一できないことがある。そこに住んでいる人達から、先ほど言った見とがめられる。これが嫌だ。だから見とがめられないように普通の格好をしてぺたぺた歩いているけれども挨拶された瞬間に空気が崩れる。だから大胆不敵な人は目を合わせてこんにちはと言うかも知れないけれども、「こんにちは」なんですよ。(すぐ目をそらす。)いかがでしょうか。彼はそうします。
 警察官から話しかけられた時はどうするか。自分から声を出すと言うのです。あ、こんにちは、ご苦労さん。逆に言えば、知らない人がなれなれしく、やあ、こんにちはというのも、おかしい。する必要もない挨拶なんかされる覚えはない。
 ですから、皆さん方はまずこの20メートルでそういう挨拶ができる人間関係。ここはわが街、わが町内という思いがあれば、ここに一緒に住んでいるということがあれば、わが家の周り、隣の家の周りを歩いている人におはようございますとは言えるよね。こんにちは。どちらへと言える。これでいい。これで、この20メートルから少なくとも犯罪者は次の20メートルを求めて歩いて行く。
 だから、私が言いたいことは、皆さん方のお住まいになっている所を中心にして子どもの安全というものをしっかり固めなさい。ずーっと向こうの500メートルも1キロも向こうの所まで行って子どもの安全を守るというのも大切かも知れないけれども、最も効果があるのはしっかりとした挨拶ができる、ここなんだということ。
 ここの20メートル、次の人の20メートル。だから、あなたがおっしゃるように街角まで出てくださいよ。あなたの言うことは偉い。間違いじゃない。そういうことが出来ない人が集まってきているから今、街が崩れて安全が崩れたんだよ。だけど、今の安全・安心というのは実はそこに何とか気が付き始めた。だから、そういう街づくり、人づくりの時代に今来ているわけです。ここまで何か質問。どんなことでもいいですよ。
 (質問)「栃木県です。今市事件で11ヵ月過ぎたのですが何ら進展していないのです。ただ、今の学校の子どもというのは私達の子どものころとは違って、下を向いて歩いているのです。だから見えないのです。下を向いて歩かないといけないことは何なのか。それが分からない。こういう子どもに対して手の差し伸べようがないのです。声を掛ければ、それはいいですけれど。」(研修生)
 そう、おっしゃる通り。私が言いたいことをすべて言われてしまったという感じがしています。栃木県、日光今市市へ行きました。もし私が昔のように科警研にいたら何かやったかも知れないなと思いました。実は今市の写真を持って来たのです。これから子どもの問題に少し入っていきたいと思います。
 今の犯罪というのは一つの言葉で言うならば全体的な印象としては、子どもの安全を含めてタブーがなくなったということではないかと思います。どういうことか。やってはならないことは、やってはならないということがあった。ところが今は何でもありですよ。
 お年寄りを対象にしてオレオレ詐欺で何千万というこんな無慈悲なことをやったって仕様がない。子どもの首を絞めてどうするんだ。そういうやってはならない犯罪というものの垣根が取れた。これを痛めちゃいけないという対象、被害者がなくなった。大人だって子どもだって老人だってやられちゃうということなのです。
 ただ、実際に数字を見ると、小学校6年生以下の子どもの犯罪被害に遭っているのは2万件か3万件の中でこうなのです。警察が認知した子どもの犯罪被害というのはこうなのです。今年2万件を切ったかどうか分からないけれど、少なくとも昨年までは2万件のボーダーを交通関係等は除いて切れなかった。これだけ努力しながら2万件切れないのです。
 この2万件の中を見ると、その6割から7割は窃盗。自転車とかちょっとした物が取られるという犯罪。さらに、その残ったものの中の半数以上は知り合っている人の中での、例えば、学校でやられたり、そういう犯罪。性の問題や嫌なことをやられた、そういう本当に子どもが泣く犯罪は年間200から500ある。そんなものです。
 嫌なことは何かというと、そういう本当に世の中の真っ黒黒の事件、例えば栃木県の今市の事案、ああいう事件の周りに警察に届けられない、もしくは警察に届けるのは嫌だ、そういう事件が実はこれは膨らんでいるわけです。
 それからもっと嫌なのは、事件ではないとは思うけれども、例えば渋谷区の人はいませんか。この前、僕はあそこで女の子のインタビューをやった。皆さん、手を挙げて「いやあ、オカネもうけちゃった」という。何だよと聞いたら、知らないおじさんが来て、ちょっと公園まで行っておじさんのお尻を叩いたら、1発2万円。僕にひと言、言ってくれれば2万。20発だって30発だって叩いてあげますよ。そんな事件。(笑)
 それから、もっと言うと、おじさんにつばをかける。嫌だ!親が聞いたらゾッとするような事件、親にとったら事件。そういうものが止めどもなく広がってきた。これが嫌なのです。これが不安なのです。そして、こんな事件というものが昔はタブーだった。田舎ではやらない。私達の街ではやらせないというのがあった。しかし今や、どの街でも起こる。
 実は昨年からいろいろな子どもの事件というのが起こった。本当に嫌な事件が私から見れば四つ。先ほど言った日光、今市を含めて四つです。その四つはどこで起こっているかというのを考えてみる。すごく大きな特徴がある。何か。先ほど言ったように犯罪というのは被害者がいて初めてでき上がる。では被害者がたくさんいる東京の真ん中でも起こっているか。起こってない。皆、例えば東京で言えば町田、立川など周辺で起こっている。そしてさらに東京を中心に考えてみると例えば神奈川なら厚木、大和、相模原などで起こってきた。
 そしてさらに、東京を中心にして考えてみると広島、はずれの広島。ごめんね、はずれと言ってはいけない。東京から遠い。あの事件が起こったのは広島市と昔軍港があった呉市との境目の小さい街だった。広島市から見ればはずれ。
 同じように秋田で起こった。東京から遠く離れた秋田。秋田でも秋田市ではなくて能代という所。この前、事件が起こった川崎も多摩川沿いをずーっと上がって行ったはずれの一角。
 何が言いたいか。一つは今やこういう犯罪というものは昔のように秋田の能代、きれいな田畑の広がる土地ですよ。そこで皆が地域の人達がネットワークを組んで、うちの街は皆で幸せなんだよ、子どもの犯罪なんか起こらないと思っていた。起こる。
 逆に言えば、端ほど今は起こる、起こっている、この事件は。ということはどういうことか。端ほど実は危ない所にある。端ほど、この10年間、地域は壊れているのではないか。それは今の地域格差という問題とも関係あるのではないか。


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