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平成19年度里親関係予算要望書
厚生労働大臣 川崎二郎 殿
財団法人 全国里親会
会長 渥美 節夫
 児童の健全な成長を図るためには、実の家庭こそが最も基本的な環境であるということは、世界共通、人類不偏の原理でありますが、不幸にして児童がそのような環境に恵まれない場合には、里親家庭が代替的環境として最高であることも、これまた世界共通の認識であります。
 厚生労働省は、このような認識の下に、特に我が国の加速化する少子化傾向という国家存亡の危機に対処し、里親委託制度の拡充強化を図ることとされておりますことは真に喜ばしく、全国里親会はこの趨勢を歓迎し、これに最大限協力し里親の育成普及に努めていきたいと考えます。
 つきましては平成19年度厚生労働省の予算編成に当り、次の事項について、その実現を期して頂きたいと強く要望いたします。
 
1 里親型グループホーム制度化について
 先進国における脱施設化への経過的制度として発足したグループホーム制は、それ自体独自な機能を発揮し、世界各国でも急速に普及しています。
 一里親家庭においての単数里子の養育は、意欲ある里親であっても往々にして力不足の嫌いがあり、効率的、意欲的な里親に対して積極的な取り組みが望まれています。
 一方、里子の側においても複数里子による年長、年少を組み合わせての共同生活の活用が図られ、里子養育の向上が期待されます。
 これら里親、里子側双方に多くの利点を有する里親型グループホームが現に一部自治体で制度化され、里子の養育に大きな成果を挙げていると報告されています。
 さらに、行政サイドにおいては、養育里子数の増加にも寄与することが大きく期待されています。
 里親型グループホームの問題点としては、居室の確保、アシスタントの充足、事務経費に対する配慮等、この制度運営に必要な経費の確保のための制度化が必要であり、行政側の配慮が強く要望されます。ただし、これらの諸経費の増額も施設経営費に比べて半額以下であると報告されており、里親型グループホームの制度化は、確実に現行里親制度の拡充に対し大きな刺激を与え、里親制度の発展に寄与されるものと思われます。
 
2 専門里親、親族里親制度の改善について
 実施5年度を経ていますが、専門里親制度は、虐待児の定義が不確定で、その判定の不明確さ、虐待児療育内容の不明瞭さ、非行・不良少年の判断規準の不明確さ等、制度実施に際して曖昧さが多く、また、マニュアルの設定がなく、この制度の順調な推進が阻まれています。
 この際、むしろ、世界各国で実施されている心身障害児等療育困難な里子のための専門里親制度の確立を緊急に設定することが必要と考えます。
 また、親族里親制度は里子の養育に適合するものとして世界各国で急速に普及しています。我が国において未だ欠落している親族里親に対する里親手当の支給を一刻も早く創設し、制度の進展を図ることが必要であります。
 
3 里子の大学進学等自立生活支度費の創設について
 この施策は新たに発足したものでありますが、里子に対するアフターサービスとして有終の美を飾るための有力な施策であり、一部先進国では既に21歳までの助成が行われています。厚生労働省におかれてもその実効を挙げるべく都道府県においてこの制度のスムーズな運営がなされるよう指導されることを望みます。
 
4 里親支援事業の国庫補助率の改善について
 厚生労働省の里親委託推進事業として、里親委託割合の増加目標の設定、児童相談所での委託推進員の配置等具体的な事項を設定されましたが、都道府県の里親支援事業費に対する国庫補助率が三分の一では財政危機にある都道府県の事業遂行に支障が生じ、予算の消化が困難となっておりますので補助率の改善を図っていただきたい。
 
5 里親委託費及び里親手当の増額について
(1)現行の委託費及び里親手当は、1人1人の児童の健全な養育に必要な額とはいえず、生活のための最低額が計上されているのに過ぎません。有為な人材としての里子がその能力を発揮できるよう、委託費及び手当を全面的に是正するよう検討することが必要であります。
(2)また、手当額は、対象児童の身体的、精神的、情緒的等の具体的特殊性に対する養育技術に対応する必要額を、段階的に設定すべきであります。
 
 里親制度は最早、個々の里親の善意や慈悲心に頼って運営される時代ではなく、児童福祉政策の近代化構想の下で運営実施される時代を迎えています。
 全国里親会としては、この新構想を念頭に大きく前進したいと考えています。
 
全国里親会事務局から
新しい里親会の紹介
 横須賀市里親会・堺市里親会が4月1日(財)全国里親会に加入され、全国62里親会になりました。
■横須賀市里親会
〒238-0024
神奈川県横須賀市小矢部2-14-1
春光学園内
TEL046-851-2362
FAX046-851-2332
■堺市里親会
〒593-8301
大阪府堺市西区上野芝町2-4-2
堺市子ども相談所内
TEL072-276-7123
FAX072-277-4303
 
愛知県里親会連合会事務局が変わりました。
■新住所
〒479-0847
愛知県常滑市新浜町5-30
細川 明代様方
TEL0569-34-3405
FAX0569-34-3405
 
第52回全国里親大会開催
第2回全国里親研究協議会の開催について
 神奈川県横浜市において上記大会が開催されますので、会場等の詳細をお知らせします。
 お問い合わせは、各県・指定都市里親会または、神奈川県里親会(Tel:0466-84-5700)にご連絡をお願いします。
 
■第52回全国里親大会
平成18年10月1日(日)
10時(受付9時)〜16時30分
「パシフィコ横浜」
会議センターメインホール
横浜市西区みなとみらい1-1-1
Tel:045-221-2155
 
■第2回全国里親研究協議会
平成18年9月30日(土)13〜17時
「ウィリング横浜」
横浜市港南区上大岡西1-6-1
ゆめおおおかオフィスタワー内
Tel:045-847-6666
 
 多くの関係者の方々にご参加いただき、まだまだ知られていない里親の存在を強くアピールし、また里親同士の交流や研鑽の場にしたいと思いますので、ご参加をお願いします。
 
編集後記
■今回の特集は専門里親についてとりあげました。アンケートのコメントのなかに「自治体の取り組みについても調べてほしい」とありました。確かに、目治体によって取り組みに温度差があるようです。登録数や委託数によってうかがい知れますが、機会をみて調べてみたいものです。
(木ノ内)
■北海道・里親の新井さん、牧草の最盛期にもかかわらず、心良くインタビューに応じて下さりありがとうございました。また、沖縄の新垣さんもお忙しいなかありがとうございました。二葉乳児院の中村先生にはお忙しいなかいろいろとお話を聞かせていただいた上、資料を提供していただきありがとうございました。それぞれの出来上がりが楽しみです。
(小林)
■小学3・4年の教科書で「盲導犬の里親」という表現があり、文部科学省・教科書会社に訂正のお願いをしました。小学生は初めて里親という言葉をこの教科書で知ることになるのですから、影響は図り知れません。しかし思っていたより早く、教科書会社から来年度の教科書から訂正しますと嬉しい連絡が入りました。まだまだ誤用問題は山積みですが、事務局では一つ一つ正しい使用を求めていきますので、ご協力をお願いします。
(宮越)
 
訂正とお詫び
 前号73号で、第2回全国里親研究協議会の会場を「ウェディング横浜」とお知らせしましたが、「ウィリング横浜」の間違いでした。
 ここに訂正してお詫び申し上げます。


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