日本財団 図書館


里親だより 第75号 平成19年2月1日
第75号
 
トピック
第52回 全国里親大会が横浜で開催
 10月1日(日)、今回で52回目を迎える全国里親大会が、横浜市において開催されました。会場は、みなとみらいの「パシフィコ横浜」会議センターメインホールで開催され、全国各地から里親、里子、関係者、学生等約700名が参加しました。
 里親信条の朗読から大会は始まり、式典は来賓からの祝辞、そして顕彰者への表彰状の授与等が行われました。その後、約1時間をかけ厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長・藤井康弘氏による行政説明が行われました。質疑応答も行われ、里親から多くの質問があり、時間の許す限り藤井課長が回答してくださいました。
 午後からは、基調講演・シンポジウムが行われ、基調講演は東洋大学教授高橋重宏先生が「子どもの権利からみた里親制度〜社会的養護におけるあり方〜」をテーマに講演いただきました。
 その後シンポジウムが行われ、コーディネーターに高橋先生、シンポジストに地域で児童福祉に関わる5名の方と助言者として神奈川県中央児童相談所長の小林秀次氏を迎え、それぞれの立場で地域における里親制度の現状や問題点、そして支援のあり方についてお話いただき、これから里親制度を地域でどう支えていくか討論しました。
 短い時間でしたが、社会的養護の重要な役割を担う里親制度がますます発展し、里親が地域の中で当たり前の存在となり、子どもを育ててみたいと思っている人が誰でも里親として活躍できる社会、そして家庭を必要としている子ども達のために里親家庭を提供できるようになることを願いました。
 また、前日には第2回全国里親研究協議会も開催され、全国大会との両日で里親とは、里親制度とは何かを改めて考え直すよい機会となりました。
 なお、詳細につきましては12ページに報告をしております。
 
特集
「養育費と里親手当の研究」
〜各自治体の状況から〜
1. はじめに
 里親仲間の間で養育費や里親手当の話をすると嫌がる人が多くいます。私たちはボランティアでやっているのであって、お金の話はしたくないというのですが、子どもの養育にはお金がかかるのも事実です。
 養育費や里親手当はどうなっているのでしょうか。里親大会などで他の県や市の里親さんと話していると「え、そちらではそんなに多いの」ということがよくあります。お金のことだけではなくて、委託のことでも養育のことでも地域によって大きな差があります。地方の時代ですから、その地域の事情によって差があってもよいのでしょうが、できることならよい取り組みをしている自治体に他の自治体も近づけていきたいというのが本音でしょう。
 今回、都道府県市の62里親会にアンケートを行い、61里親会から回答が寄せられました。こんなに回答率のよいアンケートははじめてです。「ぜひ他の自治体の内容が知りたい」という声もいただきました。関心の高さがうかがえます。
 お答えいただいた里親会事務局の皆様に感謝申し上げます。
 なおアンケートは、06年11月に実施したものであり助成の金額は06年度現在の数字です。「0歳〜3歳未満」「3歳〜就学前」「小学生」「中学生」「高校生」に分けて聞きました。また比較がしにくいことから、「小学5年生の10月単月の助成」についても聞きました。
 
2. 国からの助成費(表1参照)
 地方自治体の助成をみていく前に、国からの助成費をご紹介します。
 
(表1)
対象 国からの助成
種類 金額
0才〜3才未満 生活費 48,080/月
期末一時金 5,070/年
採暖費 6,820〜1,260/月
3才〜就学前 生活費 47,680/月
期末一時金 5,070/年
採暖費 6,820〜1,260/月
小学生 生活資 47,680/月
期末一時金 5,070/年
採暖費 6,820〜1,260/月
入進学支度金 39,500/年
教育費 2,110/月
見学旅行費 20,600/6年時
中学生 生活費 47.680/月
期末一時金 5,070/年
採暖費 6,820〜1,260/月
入進学支度金 46,100/年
教育費 4,180/月
見学旅行費 55,900/3年時
高校生 生活費 47,680/月
期末一時金 5,070/年
採暖費 6,820〜1,260/月
特別育成費
(公立)
(市立)
(加算分)

22,270/年
32,970/年
56,800/入学時
見学旅行費 108,200/3年時
就職支度費 69,000/1件
大学進学等自立生活支度費 69,000/1件
里親 里親手費 33,000/月
専門里親 90,200/月
里親委託支度費 31,500/件
レスパイトケア費(年7日まで) 5,500/日
 
 表1を参照ください。生活費については月50,000円弱。期末一時金や採暖費が年間で5,000円から7,000円弱でています。小学生、中学生では教育費が毎月2,000円から4,000円でています。年ベースでは入進学支度金が40,000円から50,000円弱でています。最終学年で見学旅行費がでます。高校生では教育費に代わって特別育成費が毎月出るほか、最終学年で見学旅行費が100,000円、就職支度費、大学進学等自立生活支度費が70,000円弱でています。
 里親手当については毎月33,000円がでており、専門里親の場合は90,200円。この他、委託時の支度費、レスパイトケア費がでています。
 
3. 地方自治体の助成費
 国からの助成費に加えて、地方自治体が独自に加算する仕組みがあります。独自の助成がない自治体は20、残り41自治体は、何らかの助成を行っています。
 
(1)0歳〜3歳未満の加算(表2参照)
 年齢別にみていくと「0歳〜3歳未満」では加算のない自治体がさらに24で、合計44の自治体で加算がない状況です。加算名目はさまざまですが、高額なのは大阪市の児童等処遇向上事業で月額10,600円。文化体育活動等奨励事業も月額1,500円。大阪市の特徴は、高額な加算があるが養子縁組を前提とするものは対象外としている点。
 東京都も生活費加算が月額7,650円と高額です。加算名目でユニークなのは神奈川県、川崎市、横須賀市で障碍児加算が月額15,000円でています
(2)3歳〜就学前の加算(表2参照)
 「3歳〜就学前」では、加算のない自治体が12。どの年齢層でも加算のない20自治体を加えると32の自治体で「3歳〜就学前」の年齢層で加算のない状態です。
 
(表2)
自治体 0歳〜3歳未満児童に支払われる助成費 3歳〜就学前児童に支払われる助成費
岩手県 社会参加促進費/月1530 社会参加促進費/月1530
山形県 幼稚園通園費/月6000
群馬県 就学前児童処遇改善費(小学校入学前1年間)/月6500
埼玉県 処遇高度化推進費/月1800 処遇高度化推進費/月1800・入園奨励金40000・幼稚園通園費(年長児)/月5000
千葉県 一般生活費/月2710・冬季暖房費(11〜3月) 月930
新年特別給食費(1月)1920
生活指導訓練費/月690・冬季暖房費(11〜3月) 月930
新年特別給食費(1月)1920・保育材料費(就学前)/月540
東京都 生活費加算/月7650・冬季暖房費(11〜3月) 月2380
生活指導訓練費月1100・お年玉(1月)月2000
幼児育成費/1年目(入園月)111000・(それ以外)月7000・2年目以降(4月のみ)17000・(それ以外)月7000・生活費加算/月7650・暖房費(11〜3月)月2380・生活指導訓練費/月1100・お年玉(1月)2000
神奈川県 3歳未満児加算/月4500・期末一時金加算250・生活費諸費加算/月2250
採暖費/月700・障碍児加算/月15000
期末一時金加算250・幼稚園教育費(公立)月6200(私立)月10000
入園一時金(私立)40000・採暖費/月700・障碍児加算/月15000
山梨県 保育材料費/月650 保育材料費/月650
岐阜県 幼稚園保育料(4〜5歳児)実費
滋賀県 指導育成費/年13500 指導育成費/年13500・入園支度金4790
京都府 お年玉2500 お年玉2500
岡山県 児童生活訓練費等/年7000 児童生活訓練費等/年7000
山口県 幼稚園就園費(4月)6000(その他)月2000
香川県 歳末一時金(図書券)3000 歳末一時金(図書券)3000
長崎県 幼稚園就園費(公立)月2500(私立)月7500
宮崎県 幼稚園就園費(公立)月3000(私立)月5000・私立幼稚園入園助成25000
札幌市 お年玉補助3000 お年玉補助3000・幼稚園入園費補助2万を超える実費(3万以内)
仙台市 里子育成費 幼稚園在園/年20000
さいたま市 生活費等加算/月1800 生活費等加算/月1800・幼稚園入学助成40000・幼稚園通園費/月5000
千葉市 保育材料費/月540・冬季暖房費(11〜3月)月930
新年特別給食費1920・飲食物費加算(1月)2710
生活指導訓練費/月690・保育材料費/月540・冬季暖房費月930
新年特別給食費1920・飲食物費加算(1月)2710
川崎市 生活費加算/月3000・期末一時金加算250・採暖資(11〜3月)
月700・3歳児未満加算/月5000・障碍児手当/月15000
生活費加算/月3000・期未一時金加算250・採暖費(11〜3月)月700
幼稚園教育費/月15000・入園一時金100000・障碍児手当/月15000
横浜市 幼稚園就園費/月15000・入園時加算/実費(上限100000)
横須賀市 3歳未満児加算/月4500・期末一時金加算250・生活費諸費加算/月2250
採暖費/月700・障碍児加算/月15000
期末一時金加算250・幼稚園教育費(公立)月6200(私立)月10000
入園一時金(私立)40000・採暖費/月700・障碍児加算/月15000
静岡市 地域活動参加費(年1回)1500以内 地域活動参加費(年1回)1500以内
名古屋市 私立幼稚園就園費(年少児)月11410(年中・年長児)月6500
京都市 幼稚園就園奨励金(4、5歳児の幼稚園児)
大阪市 児童等処遇向上事業/月10600・文化体育活動等奨励事業/月1500 児童等処遇向上事業/月10600・文化体育活動等奨励事業/月1500
神戸市 幼稚園就園費(公立)3000・(私立)11600・幼稚園入園支度金7000
福岡市 幼稚園入園支度費(公立)8700(私立)52000・幼稚園教育費(公立)月4700(私立)月15000
 
 加算額の高い自治体は東京都。生活費加算、入園費、生活指導訓練費などで月15,600円が、低い月でもでます。入園月には111,000円が、また2年目以降の4月には17,000円がでています。大阪市の場合も高額ですが、年齢層に関係なく、一律に高いのが特徴です。名古屋市も私立幼稚園就園費が年少児で月額11,410円と高額。年中・長児は月額6,500円となっています。逆に年長児の加算額が大きい自治体もみられます。
 神戸市や福岡市も比較的高額の幼稚園教育費、幼稚園就園費がでています。
 加算名目の名称は一定しておらず、「社会参加促進費」「幼稚園通園費」「処置高度化推進費」「生活指導訓練費」などの名目で月々の加算があります。
(3)小学生の加算(表3参照)
 「小学生」では、加算のない自治体が14。どの年齢層でも加算のない20自治体を加えると34自治体で「小学生」への加算がない状況です。
 「小学生」への加算で多いのは見学旅行費、クラブ活動費、卒業時のアルバム代など。ユニークなところでは鳥取県の学力保障経費として塾の費用が認められています。
 高額なのは「小学生」に限らず大阪市の児童等処遇向上事業費(月10,600円)。東京都は名目が分散していますが「生活費加算」「生活指導訓練費」「地域クラブ」「学校教育費」などで月額1万以上加算されています。神奈川県、川崎市、横須賀市、横浜市では新規委託児童学用品代として10,000円程度がでています。新規委託の際には里親としてもなにかともの入りですから、こうした費用はありがたいと思います。
 
(表3)
自治体 小学生に支払われる助成費 中学生に支払われる助成費
青森県 見学旅行費/17000 見学旅行費/30000
岩手県 社会参加促進費/月1530 社会参加促進費/月1530
山形県 生活指導訓練費/月700 生活指導訓練費/月1000
栃木県 見学旅行費(6年)/4000 見学旅行費(3年)/10000
埼玉県 処遇高度化推進費/月1800・修学旅行助成費2000 処遇高度化推進費/月2400・修学旅行助成費4000
千葉県 生活指導訓練費/月920・教育費/月1000・冬季暖房費
(11〜3月)/月930・新年特別給食費(1月)1920
生活指導訓練費/月1300・教育費/月1000・冬期暖房費
(11〜3月)/月930・新年特別給食費(1月)1920
東京都 生活費加算/月7650・生活指導訓練費(1〜3年)/月1400
(4〜6年)/月1500・お年玉(1〜3年)3000/(4〜6年)4000
地域クラブ/月700・学校教育費/月1350
入学支度金/6700・暖房費(11〜3月)2380
生活費加算/月7650・生活指導訓練費/2700
お年玉5000・学校教育費/月2400・入学支度金13400・高校受験料(2校まで)
暖房費(11〜3月)2380・入学支度金(各種学校)実費・(定時制)41200
神奈川県 生活費加算/月2550教育費等加算/一般月416旅行等(国との差額)実費
アルバム(卒業時)実費・入学支度金4000
新規委託児童学用品10000・障碍児加算/月15000
期末一時金加算/年250・採暖費/700
生活費加算/月2550教育費等加算/一般月416旅行等(国との差額)実費
アルバム(卒業時)実費・夜間夜食代/月1500
障碍児加算/月15000・新規委託児童学用品10000
期末一時金加算/年250・採暖費/700
富山県 見学旅行費加算(3年)7000
石川県 クラブ費用補助月/1000
長野県 地域サークル活動参加費月/500 地域サークル活動参加費月/500
山梨県 生活指導訓練費月/970・学校教育費(1〜3年)月/1300
(4年以上)月/2430・見学旅行費(小6)
(学校徴収金−20600)+4000夏季行事費年/600
生活指導訓練費月/1420・学校教育費年/2430
見学旅行費(中3)
(学校徴収金−55900)+7000
夏季行事費年/600
滋賀県 指導育成費年/13500 指導育成費年/13500
京都府 お年玉年/3500 お年玉年/4000
和歌山県 教育強化費(補助学習費又は部活動参加経費)年/24000
鳥取県 学力保障経費(塾費用 実費の1/2)月/上限5000 学力保障経費(塾費用 実費の1/2)月/上限10000
・高校受験料 公立2200 私立15000
岡山県 児童生活訓練費等年/7000 児童生活訓練費等年/7000
香川県 歳末一時金(図書券)3000 歳末一時金 図書券 3000
長崎県 見学旅行加算費(6年)1500 見学旅行加算費(3年)1500・就職促進費40000
宮崎県 見学旅行費5000 見学旅行費5000
沖縄県 見学旅行費33400
札幌市 お年玉補助3000・見学旅行費補助(鞄)3000 お年玉補助3000・見学旅行経費補助(鞄)5000
さいたま市 教育費等加算/月1800・修学旅行費2000 教育費等加算/月2400・修学旅行費4000
千業市 生活指導訓練費月/920・教育費月/1000・冬期暖房費
(11〜3月)月/930・新年特別給食費年/1920・飲食物加算
月/2710
生活指導訓練費月/1300・教育費月/1000・冬期暖房費
(11〜3月)月/930・新年特別給食費年/1920・飲食物加算
月/2710
川崎市 生活費加算月/3000・期末一時金加算年/250・採暖費加算
(11〜3月)月/700・入学支度金(1年時)4000
教育費月/500・見学旅行費差額分・新規委託児童学用品費10000・障碍児手当月/15000
生活費加算月/3000・期末一時金加算年/250・採暖費加算
(11〜3月)月/700・入学支度金(1年時)4000
教育費月/833・見学旅行費差額分・新規委託児童学用品費10000・障碍児手当月/15000
高学年児特別夜食費月/1200・クラブ活動費月/700
横須賀市 生活費加算/月2550・教育費等加算/一般月416
旅行等(国との差額)実費アルバム(卒業時)実費
入学支度金4000・資金委託児童学用品10000
障碍児加算/月15000期末一時金加算/年250・採暖費/700
生活費加算/月2550・教育費等加算/一般月416
旅行等(国との差額)実費アルバム(卒業時)
実費・夜間夜食代/月1500・障碍児加算/月15000
期末一時金加算/年250・採暖費/700
横浜市 見学旅行費 修学旅行/夏季行事等 保護単価との差額分
アルバム(卒業時)実費・新規委託児童学用品費10500
見学旅行費 修学旅行/夏季行事等 保護単価との差額分
アルバム(卒業時)実費・新規委託児童学用品費10500
静岡市 地域活動参加費(年1回)1500以内 地域活動参加費(年1回)1500以内
京都市 学習指導奨励金/月2500・修学旅行援助金(6年)2000 学習指導奨励金/月2500・修学旅行援助金(中3)5000
大阪市 児童等処遇向上事業/月10600・文化体育活動等奨励事業/月1500 児童等処遇向上事業/月10600・文化体育活動等奨励事業
月1500・教育奨励加算事業/月7500
神戸市 生活指導訓練費(小遣い)1〜3年/月600・4〜6年/月1000
入学支度費3000・修学旅行費(6年)2000・修学旅行費加算(国費との差額分)上限10000
生活指導訓練費(小遣い)/月1800・修学旅行費(3年)5000
入学支度費5000・修学旅行費加算(国費との差額分)
上限10000
北九州市 卒業就職支度金10000・卒業就職祝金25000
年末年始祝金1000
 
(4)中学生の加算(表3参照)
 「中学生」では、加算のない自治体が9。どの年齢層でも加算のない20自治体を加えると29自治体が「中学生」への加算がない状況です。
 「中学生」への加算名目でユニークなのは神奈川県、川崎市、横須賀市の夜間勉強夜食代が月1,200円から1,500円加算されていること。和歌山県では教育強化費として年額24,000円がでているし鳥取県では学力保障費が実費の2分の1が上限で月額10,000円。
 「中学生」に限りませんが、お年玉をだす自治体もあります。たとえば東京都では小学1〜3年生で3,000円、4〜6年生で4,000円、中学生で5,000円。札幌市ではお年玉補助が3,000円。
 進学や就職に関する助成としては、東京都が定時制高校入学支度金として41,200円でています。鳥取県では高校受験料の助成があります。長崎県では就職推進費が40,000円。北九州市では卒業就職支度金が10,000円、卒業就職祝い金が25,000円でています。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION