●国際会議報告
昨年、里親関係の二つの国際会議に全国里親会として参加しましたのでご報告します。
I. 第14回国際里親養育機構(IFCO)
(1)開催日時:2005年8月7日〜13日
(2)開催地:
米国ウィスコンシン州マジソン市
(3)日本からの参加者:
全国里親会理事 佐野利昭
北海道里親会副会長 中兼夫妻
愛知県社会福祉士 矢満田篤二
大分県里親会前会長 安田貴順
アドバイザー ヘネシー澄子
(4)参加国:
世界37の地域から各国里親会及び児童福祉関係者が集った
マジソン市はウィスコンシン州の州都で、有名な州立大学があり、二つの湖に挟まれた静かで落ち着いた町です。
(5)議題:
里子の養育問題、財政問題、児童虐待・愛着障害問題、性の問題など児童を取り巻く広域な問題について
(6)開会式:
佐野理事が日本の里親会を代表して挨拶
(7)分科会
8月9日(大会3日目)14:00〜17:00
〜「日本の里親事情」〜
中兼氏が座長でワークショップを開催。
・佐野理事が最近の里親制度に関する渥美会長の英文レポートを報告
・中兼夫妻が里親としての養育体験談を発表
・矢満田氏がスライドを使って現場のソーシャル・ワーク活動を発表
・会場からの質疑に対しての通訳を兼ねてヘネシー澄子先生が助言
分科会は、常時10人以上が参加し、日本の里親制度の普及状況、行政との関係や里親としての資格要件、研修体系、里子と養子縁組の関係、麻薬や飲酒の問題などに関して、活発な意見交換が行われた。
(8)その他
この大会に参加した成果の一つに、韓国里親会との交流があり、カン・スンウォン会長(ハンシン大学教授)と日韓両国里親会の今後の協力関係を協議した。
II. 日韓里親セミナー
(1)韓国里親会からの要請により昨年11月14日にソウルで開催された
(2)我が国からの参加者は、佐野理事、中兼夫妻、津崎京都府立大学教授、土渕北海道児童相談所ケースワーカー
(3)韓国では比較的親族間の養育が多いようで、中兼夫妻の里子との親密な交流関係に強い関心が寄せられた
III. 感想
以上二つの国際会議を通じて、世界各国で児童の養育環境の劣悪化に対する強い危機感と、その改善のための様々な取り組みが示され、各国が知恵を出し合い、協力しあって児童の健全な養育を図るための環境づくりを強力に推進していかねばならないと感じた。
(文責:佐野)
日韓里親セミナーに参加して
平成17年11月14日、韓国ソウル市で日韓里親セミナーが開かれました。日本側からは、全国里親会佐野理事、京都府立大学津崎教授、旭川児童相談所土渕課長、私と妻の5人、韓国側からはカン・スンウォン韓国里親会会長、フー・ナムスン教授、チョウ東明・テグ広域市家庭委託支援センター所長が発表しました。
韓国政府の強い支援を受け、両言語間の同時通訳を用意するなど、韓国の熱意と勢いを感じさせられました。2000年に1,772人だった家庭委託児童(里子)が、2004年には10,198人に増加したそうです。そのほとんどは親族への委託ですが、一般の里子は、2000年の114世帯への149人から、2004年には662世帯への869人と、6倍に増えました。
韓国里親会は、1997年に発足した若い会です。その年の夏に発生した韓国経済危機により、家庭に恵まれない子どもたちが多く発生し、その子ども達に家庭を与えようとするパク・ヨンスク前会長の個人的努力が実を結び、法制度が整備されました。
近く、各国の里親関係者を集めて、「アジア里親会議」を開きたいと張り切っています。今後、里親会と草の根の両方向から、交流を進めることが望まれます。
里親 中兼正次(北海道)
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