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新しい里親さんの素朴な疑問に答えます
〜ファミリーサポートってなぁに?〜
 ファミリーサポートセンターという名称を聞いたことがありますか?
 里親の多くは「自分が急に病気になって一時的に養育できなくなったらどうすればいいんだろう?」「ちょっと出かけたいのだけれどそのためにレスパイトを使うのはちょっと大げさだな・・・。」などと考えたことがあると思います。そんな時、この「ファミリーサポートセンター」は役立ってくるかもしれません。
 
 ファミリーサポートセンターとは、「地域において育児や介護の援助を受けたい人と行いたい人が会員となり、育児や介護について助け合う会員組織」です。
 この事業は働く人々の仕事と子育て、または介護の両立を支援する目的から、労働省(当時)が構想し、活動が始まりました。
 現在、育児のサポートの対象は、子を持つすべての家庭に広がってきています。
 今回、ファミリーサポートセンターをHPで紹介している女性労働協会を訪問してお話を伺いました。
 
■どんな援助をしてくれるの?
 
 育児や介護の援助を利用することができます。
〈育児の援助〉
・保育所までの送迎を行う
・保育所の開始前や終了後の子どもを預かる
・学校の放課後や学童保育終了後、子どもを預かる
・学校の夏休みなどに子どもを預かる
・保護者等の病気や急用等の場合に子どもを預かる
・冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際子どもを預かる
・買い物等外出の際、子どもを預かる、など
〈介護の援助〉
・高齢者等の食事の準備や後片づけを行う
・高齢者等の部屋の掃除や衣類の洗濯を行う
・高齢者等の通院、買い物などに付き添う
・遠くに住んでいる労働者に代わって、高齢者等へ上記の世話や訪問による安否確認を行う、など
 
■利用するには?
 
 援助を受けたい方(依頼会員)、援助を行いたい方(援助会員)が、それぞれセンターに申し込むことによって会員になります。特別な資格などは必要ありません。
 援助を受けることと行うことの両方を希望する場合には、両方会員になることもできます。会員の方が安心して育児または介護に関する相互援助を行えるよう、センターでは会員を対象に育児または介護に関する知識・技術を身につけるための研修会を実施しています。
 
■依頼会員とは?
 
 「残業続きで、保育園のお迎えが心配・・・」「自分の習い事に子どもを連れていけない」
⇒会員登録すると、援助をしていただける方を探してくれます。
 
■提携会員とは?
 
 「子どもも成長して、空いている時間を何か有効に使いたい」「子どもが好きだから」「子育て経験を生かしたい」「子育てしている人の援助をしたい」
⇒会員登録すると、援助を受けたい人を探してくれます。
 
■登録するのにはお金がかかるの?
 
 利用するときにはそれぞれ規定された金額はかかりますが、登録するときにはお金はかかりません。子どもを預かってもらう金額はそれぞれのファミリーサポートセンターで異なりますが、だいたい1時間500円から1000円という金額です。
 
■実際にはどうやって利用するの?
 
 ファミリーサポートセンターは次のようなステップを踏んで利用します。わからないことがあれば、地域のファミリーサポートセンターに問い合わせてみてください。
 
〈利用の流れ〉
(STEP1) 会員登録
 会員登録をして、研修を受けます。
 研修を受けるのは提携会員のみで依頼会員には、会の仕組みから登録の流れが説明されます。
(STEP2) 事前打合せ
 センターから紹介された援助会員と打合せをします。
 「子どもの健康状態は??」
 「週に1、2回幼稚園の送り迎えをお願いしたいのですが・・・」などなど
(STEP3) 援助を頼む
 前もって、援助を頼みたい日時と援助の内容をセンターに申し込みます。
 その後、センターは援助会員に依頼の連絡をします。
 「○月○日幼稚園へお迎えの後、夜6時まで預かってもらえますか?」
 「子どもが急に熱を出してしまったので明日1日預かってもらえますか?」等々
(STEP4) 援助活動
 援助会員の家へ子どもを預けます。
(STEP5) 援助活動の終了・報酬の支払い
 援助活動が終了したら、依頼会員は援助会員に報酬を支払います。
 
■このサービス、里親でも利用できる?
 
 もちろんです。
 登録していただければサービスを利用することができます。
 
■どこに問い合わせしたらいい?
 
 住んでいる地域のファミリーサポートセンターにまずは問い合わせしてみてください。
 また、より詳しく知りたい場合は女性労働協会に直接お問い合わせ下さい。
電話:03-3456-4410
FAX:03-3456-4420
Eメール:w-women2a@jaaww.or.jp
受付時間は午前8時30分から午後5時
 (月曜日から金曜日まで、ただし祝日を除く)になります。
 
書籍紹介
「平和の種をまく」
〜ボスニアの少女エミナ〜
いのちのえほん18
岩崎書店1,500円
 
 1992年から95年にかけて、ボスニアでは大きな戦争がありました。その戦争のさなかに生まれた「エミナ」を通して戦争がどういうものだったか、なぜ起きたのかを知りたくて、大人たちに聞きます。そこでわかったことは「だれも戦争なんかしたくなかった」ということ。
 平和への意識が弱まりつつある今の日本、「戦争を知らない子ども」であるボスニアのエミナとともに、戦争を防ぐために、わたしたち一人一人に何が出来るのか。一度は敵として殺し合った民族が、ふたたび心を通わせる、戦後十年目のボスニアの姿を写した写真絵本です。
 
「里親とは何か」
〜家族する時代の社会学〜
和泉広恵著
勁草書房2,940円
 
 さまざまな葛藤を抱えてやってくる子ども達。彼らと向かい合いひたむきに養育してきた里親。そして、気がつけば家族になっていた。
 実際に里親として養育を経験した方々の語りを通して、私たちが当たり前のように考えてきた「家族」の核心に迫ります。里親だけでなく多くの人に読んでもらい、里親養育の実情を知って、支援が必要であるということを理解してほしいという著者の思いが強く伝わります。
 
●地区別里親研修大会報告
 毎年8ブロックで開催される里親研修大会が、6月1日中国地区から始まりました。里親研修大会は日本財団から助成を受け、県・指定都市里親会がそれぞれ持ち回りで主催しています。
 研修内容は各地域の特色を生かし、里親・関係者に現在の制度の状況や具体的な活動の報告、さらに養育方法や里親のあり方を講演や分科会で研究討議しています。
 
全体会風景
 
ナイトセッション
 
6月1日(木)〜2日(金) 中国地区里規大会
鳥取県鳥取市(ホテルモナーク鳥取)参加者約200名
講演:「人と人とのつながりの大切さ」
特定非営利活動法人マムやんのお理事長 小林康乃氏
6月9日(金)〜10日(土) 東海・北陸ブロック里親研究大会
石川県加賀市(山代温泉雄山閣)参加約150名
講演:「里親と児童養護施設・児童相談所が連携するということ」
聖霊病院聖霊愛児園(児童養護施設)園長 安川実氏
6月24日(土) 近畿地区里規研修会
大阪市(アピオ大阪)参加約300名
映画上映「石井のおとうさん、ありがとう・・・岡山孤児院・石井十次の生涯」
7月8日(土)〜9日(日) 関東甲信越静里親研究協議会
甲府市(山梨英和大学)・笛吹市(いさわ温泉慶山)参加約500名
講演:「幼児期の愛着形成と思春期の行動障害」
梅ヶ丘病院診療部長 田中哲氏
7月9日(日) 九州地区里親研修大会
宮崎市(宮崎観光ホテル)参加約300名
講演:「石井十次の子育てに学ぶ」
社会福祉法人石井記念友愛社理事長 児嶋草次郎氏
7月29日(土)〜30日(日) 東北地区里親研修会
福島県会津若松市(東山グランドホテル)参加者150名
講演:「いのちを守り、いのちを育む」
小さないのちを守る会代表 辻岡健象氏
 
今後の開催予定
○9月15日(金)四国ブロック 会場:ウエルサンピア高知
○10月1日(日)北海道ブロック 会場:岩見沢市文化センター
 
参加者アンケート
 平成18年度から新規取り組みとして、研修会をより充実させる為に、参加者にアンケート調査を行い、フィードバックすることとなりました。アンケートに寄せられた参加者の声をいくつかご紹介します。
 
・同じ目的をもつ多くの里親と交流し、事例発表に勇気づけられた。
・里親の立場からの意見ではなく里子の立場からの意見や気持ちも聞きたい。
・児童福祉施設職員として参加したが熱い思いを直接聞くことができた。社会的養護を担う仲間として今後も理解を深めていきたい。
・措置解除後の子どもをすぐに社会に出すことには困難が多い。措置後の里子の自立についての研修を受けたい。
・特別養子を望んでいる方と、養育(純粋に)を望んでいる方とは、聞きたいことが違う。これらに応えられる分科会であるとよい。
・事例発表や分科会の時間を長くして欲しい。


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