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■専門里親として子どもを受託しているか
 専門里親としての子どもの受託状況については、17人中「受託していない」が6人。うち、「児童相談所から委託したいという話のあった」人が3人。「委託の話はない」が2人。
 「新規に受託した」と答えた人が6人。「受託したが今はいない」が2人。「以前受託していた子どもを追認してもらった」が2人。「以前から受託している子どもは被虐待児だが追認はしてもらえない」が1人、となっている。
 里親本人は受託中の子どもについて被虐待児だと認識しているが児童相談所はそうは認識していない、というケースに見られるように、専門里親として受託する対象となる子どもかどうかは必ずしも明確ではない。(グラフ5参照)
 
(グラフ5)
専門里親として子どもを受託していますか
 
■受託していない理由はなんですか
 専門里親として受託していない理由を聞いたところ、「すでに2人以上の子どもを養育している」が4人。「養育の難しい子どもの受託に不安を感じる」が1人。「その他」が5人。「その他」のなかには「話はあっても受託に至らなかった」「被虐待児を4人受託しているのでこれ以上はムリ」などのコメントがあった。
 専門里親としての受託人数は2人までとなっているが、養育里親として経験のある人となれば現在養育中であることが多い。この辺にも委託の進まない原因がありそうだ。(グラフ6参照)
 
(グラフ6)
受託していない理由はなんですか
 
■専門里親制度について
 専門里親制度についてどのように考えているかを聞いた。「現在のままでよい」と答えたのは2人。「改善の余地がある」が10人。
 「改善の余地がある」と答えた人に、どのような改善を望んでいるか、を聞いた。「里親・里子に対する支援体制」、「家族の再統合のために実親のケアを」、「児童相談所が専門里親の必要性を感じていないようだ」、「もっと養育に関する情報をほしい」、「障碍児に対しても専門里親の対象としてほしい」、「専門里親を行政の方でもっと活用してほしい」など。特に障碍児を対象にしてほしいというコメントは3人からあった。
 専門里親の制度については課題を残しているというのが大方の意見である。自治体や児童相談所がこの制度を充分に活用しきれていない現状もあるようだ。専門里親が受託する対象となる子どもでも措置費の安い一般の養育里親に委託しているケースが見られる。(グラフ7参照)
 
(グラフ7)
専門里親制度についてどのようにお考えですか
 
■専門里親同士のネットワークの必要性
 専門里親として養育上の相談や行政に要望をしていくために「専門里親ネットワークの必要性があるか」について聞いたところ、「必要はない」がゼロ、「必要を感じている」が15人という結果になった。
 制度についての改善課題は多く、養育に関する悩みも仲間に相談したい。しかし、専門里親はまだ地域には少なく、全国に分布している。そういう意味では全国的な組織が必要なのだろう。
 
■意見
 自由筆記の欄にいただいた意見としては、「地域間格差、自治体間の温度差が見えるような調査をお願いしたい」、「養育里親と専門里親の違いは何なのか」というコメントがあった。
 専門里親制度に対する取り組みについては地域間格差が大きいようだ。専門里親になるための研修などに対する支援がまったくない自治体、専門里親に認定はしたが子どもの委託には否定的な自治体もある。
 また、一般の養育里親にも被虐待児など養育の難しい子どもたちが多く委託されており、専門里親のポジションが曖昧である。
 
都道府県別専門里親数と委託数
登録専門里親 委託専門里親
北海道 18 3
青森 5 2
岩手 1 -
宮城 - -
秋田 4 -
山形 4 1
福島 - -
茨城 2 1
栃木 8 -
群馬 1 1
埼玉 15 2
千葉 9 1
東京 9 -
神奈川 11 2
新潟 4 -
富山 4 -
石川 - -
福井 2 2
山梨 - -
長野 4 -
岐阜 3 1
静岡 5 1
愛知 15 2
三重 6 1
滋賀 4 -
京都 2 -
大阪 6 -
兵庫 6 3
奈良 - -
和歌山 3 -
鳥取 7 1
島根 2 -
岡山 14 3
広島 6 -
山口 6 -
徳島 2 -
香川 2 1
愛媛 - -
高知 - -
福岡 1 -
佐賀 - -
長崎 1 1
熊本 6 1
大分 4 -
宮崎 3 1
鹿児島 4 -
沖縄 9 1
札幌市 5 1
仙台 2 -
さいたま市 2 1
千葉市 3 2
横浜市 1 1
川崎市 7 3
名古屋市 2 -
京都市 2 2
大阪市 1 1
神戸市 3 -
広島市 4 -
北九州市 2 1
福岡市 2 1
H17.3.31現在
 
■まとめ
 ファミリーグループホームや児童養護施設の子どもたちに家庭生活を体験させる週末里親などはいわば自然発生的に地域から生まれてきたものだが、専門里親制度は国が音頭をとってスタートした。そのため、制度としてさまざまな制限を加えている。2年以上の養育経験が必要であったり、受託人数は2人まで、など。そのことが専門里親として窮屈さを感じさせる原因になっている。
 一方、対象児童についての定義があいまいであり、里親側は被虐待児と認識していても行政は専門里親への対象児童と認めないケースもある。養育の難しさでは身体的あるいは精神的な障碍児にも言える。そうした子どもを受託している里親も多い。現在、障碍児が専門里親の養育対象から除外されていることも残念である。
 養育里親と専門里親の役割があいまいなことから、専門里親無用論もでてくるが、養育の難しい子どもに対して専門的な知識やスキルをもって対応することは必要なことだろう。国が制度として設置したものでもあり、改善しながら、児童養護の重要な役割を担っていきたいものである。


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