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(2)段差解消機の型式適合認定チェックリスト
 3-2-1で示した建築基準法に基づき、段差解消機が型式適合認定を取る際に各事項に基づいた確認が必要となる。以下にチェックリスト及びエレベーター設計書を示す。
 また、新たな階段昇降装置の基本仕様及び安全基準を検討する際、最も類似する昇降装置として以下の段差解消機のチェックリストに基づくこととする。
 
図3-1 段差解消機の型式適合認定チェックリスト(1)
 
[段差解消機の型式適合認定チェックリスト]
 
適合欄記入例(核当;○、構造認定;△、非該当:−)、参照先欄(仕:仕様書、計:計算書、図:図面、資:資料)の該当欄に記載頁を記入
条項 関連告示 内容 適合 参照先
1 令第129条の4第1項、第2項及び第129条の8 告示第1414号による強度検証法及び告示第1429号による制御装置 主索或いは鎖でかごをつる駆動方式又は油圧駆動方式であること。
(これ以外の駆動方式の場合は、性能評価・大臣認定が必要である。)
2 令第129条の3第2項 告示第1413号第一第七号 鉛直型では、昇降行程が4m以下であること。
3 定格速度が15m以下であること。
4 かご床面積が2.25m2以下であること。
5 令第129条の6第一号(かご各部の衝撃に対する安全性が確保されているか。)
6 令第129条の7第四号(昇降路内の突出物除去、引っ掛かり防止措置が講じられていること。)
7 告示第1413号第一第七号イ(かごの構造) 昇降行程が1m以下で、かごの出入口以外の部分に手すりを設置していること。
8 昇降行程が1mを超えるのものでは、次のいずれかによる。 下記以外 出入口以外に、高さlm以上の壁又は囲いを設置しているか。
床から高さ15cm以上の立ち上がり及び高さ1m以上の丈夫な手すり設置していること。(昇降路側壁等に挟まれるおそれがない部分に限る)
9 車いす専用(1人乗り) 出入口以外に、高さ65cm以上の壁又は囲いを設置しているか。
床から高さ7cm以上(出入り口の幅が80cmの場合は6cm)の立ち上がり及び高さ65cm以上の丈夫な手すり設置していること。(昇降路側壁等に挟まれるおそれがない部分に限る)
10 昇降行程が1mを超えるものは、かごの出入口に、戸又は可動式手すり(遮断棒を含む)を設置していること。
11 告示第1413号第一第七号ロ(表示・定員) 用途、積載量、最大定員をかご内に表示していること。 車いす専用(1人乗り)
上記以外
12 積載量に対し、定員:65kg人、車いす:110kgで除した値(定員)
13 告示第1413号第一第七号ハ(昇降路の構造) 次のいずれかによる。 高さ1.8m以上の壁又は囲い及び出入口の戸又は可動式の手すりを設置していること。
14 かご下にスカートガード等を設置していること。
15 挟まれ検出スイッチで保護していること。
16 かごの床先と乗場の床先との水平距離は4cm以下であること。
 
図3-2 段差解消機の型式適合認定チェックリスト(2)
条項 関連告示 内容 適合 参照先
17 令第129条の3第2項 告示第1413号第一第七号ハ(昇降路の構造) つり合おもり付きの場合、人や物に触れないよう壁又は囲いを設置のこと。
18 かご内の人又は物が挟まれ又は障害物に触れない構造とすること。
19 告示第1413号第一第七号ニ(安全装置置) 昇降行程が1mを越えるものは、かご及び昇降路の戸又は可動式の手すりが閉じているときのみ運転を許可するスイッチを設けていること。
20 折りたたみ式の場合 鍵でかごの開閉ができる装置を設けていること。
21 開閉動作中のかごに人又は物が挟まった場合に開閉の停止装置を設けているか。
22 かご内に人がいるか又は物がある場合にかごを折りたためないようにしているか。
23 着脱式かごの場合 かごがレールに確実に取りつけられていない場合には、かごを昇降できない装置としていること。
24 非住宅用では次のいずれかによる。 (専任操作者の付添いなしで使用する場合)積載荷重を著しく超えた場合の警報とかごの昇降停止装置を設けていること。
25 (専任操作者の付添い付きで使用する場合)鍵を用いなければかごの昇降ができない装置を設けているか。
26 令第129条の4第2項、第2項 告示第1414号第二第一号(かごを主索でつる段差解消機の荷量)
(注:油圧式の場合は項番36、37による。)
主要な支持部分等に作動する荷重算出のための係数をα1=1.6、α2=2.0としていること。ただし、レールは、α2=6.0(早ぎき式非常止めの場合)
27 告示第1414号第二第二号(かごを主索でつる段差解消機の安全率) かご枠、床版及び支持はりの安全率を、常時≧3.0、安全装置作動時≧2.0としていること。
28 告示第1414号第二第二号(段差解消機のガイドレールの安全率) 次のいずれかによる。 ガイドレールの安全率を、常時≧3.0、安全装置作動時≧2.0としていること。
29 建設省告示により短期許容応力度を定められた鋼材その他の金属のガイドレールにあっては、常時の応力度が規定又は認定された許容応力度の1.5倍以下、安全装置作動時の応力度が規定された又は認定された許容応力度以下であること。
30 告示第1414号第二第三号(かごを主索でつる段差解消機の主索) 主索をワイヤーロープとし、主索直径≧8mmφ、鋼車直径/主索直径≧30であること。ただし、主索の綱車巻き掛け角度が90度以下の場合は、綱車直径/主索直径≧20
31 主索端部を鋼製ソケットにバビット詰め、鋼製楔式ソケット、据え込み式止め金具、鉄製クリップ止め又は鋼製ソケットに樹脂固定としていること。
 
図3-3 段差解消機の型式適合認定チェックリスト(3)
条項 関連告示 内容 適合 参照先
32 主索の安全率が、設置時≧5.0及び使用時≧4.0並びに安全装置の作動時において、設置時≧3.2(巻胴式又は油圧間接式では≧2.5)及び使用時≧2.5であること。
33 主索端部の安全率が、設置時≧4.0及び使用時≧3.0並びに安全装置の作動時において、設置時≧2.0及び使用時≧2.0であること。
34 告示第1414号第二第三号(かごを主索でつる段差解消機の主索)
(注;主索併用の油圧式を含む。)
主索の限界安全率が、設置時≧3.2(巻胴式又は油圧間接式においては、≧2.5)及び使用時≧2.5であること。
35 令第129条の4第2項、第2項 告示第1414号第二第三号(かごを主索でつる段差解消機の主索) 主索端部の限界安全率が、設置時及び使用時≧2.0であること。
36 告示第1414号第三第一号(油圧式段差解消機の荷重) 油圧プランジャーの有効細長比が、250以下であること。
37 主要な支持部分(シリンダーその他かごを支える部分、かご並びに圧力配管を含む)等に作動する荷重算出の係数をα1=1.3、α2=2.0としていること。ただし、レールは、α1=1.6、α2=6.0(早ぎき式非常止めの場合)
38 告示第1414号第三第二号(油圧式段差解消機の安全率)
(注;ガイドレールは項番28、29による。)
かご枠、床版、プランジャー、シリンダーその他かごを支える部分、圧力配管の安全率を、常時≧3.0(脆性金属の場合は、≧5.0)、安全装置作動時≧2.0(脆性金属の場合は、≧3.3)としていること。
39 油圧ゴムホースの安全率を、常時≧6.0、安全装置作動時≧4.0としていること。
40 告示第1414号第三第三号(鎖でつる油圧式段差解消機の安全率) ローラーチェーンであること。
41 鎖端部は1本ごとに鋼製止め金具で緊結していること。
42 鎖及びその端部の安全率は、設置時≧5.0及び使用時≧4.0並びに安全装置の作動時において、設置時≧2.5及び使用時≧2.5であること。
43 鎖及びその端部の限界安全率が、設置時及び使用時≧2.5であること。
44 告示第1414号第三第三号(鎖でつる段差解消機の強度検証法) 項番26〜29及び項番40〜43と同じ
(適合状況記入は、夫々、同上項番欄とする。)
45 令第129条の4第3項 (段差解消機のかご及び支持部分の構造要件) かご及び主要な支持部分で腐食又は腐朽のおそれのあるものは、適切な材料を用いるか、又は防腐のための措置を講じたものであること。
46 主要な支持部分に摩損又は疲労破壊を生ずるおそれのある場合は、2以上の部分で構成し、夫々が独立してかごを支えることができるものであること。
47 滑節構造とした接合部(ガイドシュー等)は、地震等で外れないこと。
48 滑車を使用してかごをつる場合は、地震等で主索が滑車から外れないこと。
49 令第129条の5 告示第1415号第五号(段差解消機の積載荷重) 積載荷重は、かごの床面積が2m2以下の場合は、1,800N以上。また、2m2を越え2.25m2以下の場合では2,400N以上としていること。
 
図3-4 段差解消機の型式適合認定チェックリスト(4)
条項 関連告示 内容 適合 参照先
50 令第129条の8 告示第1429号第一第一号及び第二第三号(段差解消機の制御装置) かご内で動力を切ることができる装置を設けること。
51 告示第1429号第一第二号(かごを主索でつる段差解消機の制御装置) かごに積載荷重の1.25倍の荷重が加わった場合でもかごの位置が著しく変動しない構造とすること。
52 令第129条の8 告示第1429号第二(油圧式段差解消機の制御装置) かごの停止時における自然降下を調整するための床合せ補正装置を設けていること。
53 圧力配管には、有効な圧力計を設けていること。
54 令第129条の10第1項、第2項 告示第1423号第六(段差解消機の制動装置) 動力が切れた場合にかごの降下を自動的に制止する装置を設置のこと。(油圧式における逆止弁を含む。)
55 主索又は鎖が切れた場合にかごの降下を自動的に制止する装置を設置するか、又は、自動的に制止する構造とすること。
56 かご又はつり合おもりが昇降路の底部に衝突しそうになった場合において衝突しないうちにかごの昇降を自動的に制御し、制止する装置を設置すること。
57 かごが昇降路の底部に衝突した場合でも、かご内の人が安全であるように衝撃を緩和する緩衝器又は緩衝材を設置すること。
58 乗降口及びかご内でかごの昇降を停止させる装置を設置すること。
59 告示第1423号第六第三号(油圧式段差解消機の制動装置) 作動油圧力が異常に上昇したときに常用圧力の1.5倍を超えないようにするリリーフ弁を設置すること。
60 (必要に応じ)油温を摂氏5度以上摂氏60度以下に保つ装置を設置すること。
61 プランジャーがシリンダーからの離脱を防止する鏡板を設けていること。
62 電動機の空転防止装置を設置のこと。
63 (かごに天井を設ける場合に)かご上運転をする場合において、頂部安全距離1.2メートル以上を確保し、頂部安全距離以上のかごの上昇を自動的に制御する装置を設けること。
64 告示第1423号第六第四号(主索又は鎮併用の油圧式段差解消機の制動装置) 主索又は鎖が緩んだ場合に、動力を自動的に切る装置を設けること。
65 主索又は鎖が伸びた場合に、プランジャーの行過ぎを防止する装置を設置すること。ただし、プランジャーの余裕ストロークにより安全上支障ないものでは、この限りでない。
 
(出典:財団法人日本建築設備・昇降機センター資料)


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