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(イ)錨泊又は漂泊して釣り中に飲酒した例(3件)
事例−1 居眠りして乗揚
[飲酒の状況]
 船長は、錨泊して釣り中、12時ごろ同乗者と共に昼食をとり、その際、350ミリリットル入り缶ビール2缶を飲んだ。
[飲酒に関する船長の認識など]
 船長は、「ビールを飲んだことで、眠気を誘ったと思う。」と証言している。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、友人4人を乗せ、釣りの目的で、07時30分マリーナを発航し、08時45分釣り場に至って錨泊して釣りを開始した。14時釣り場を移動のため抜錨し、船長は、操舵室のいすに座って操船中、疲労ぎみであったことと、飲んだビールの影響もあって14時15分半ごろ眠気を覚え、その後、居眠り運航となり、14時20分岩場に乗り揚げた。
[死傷及び船体損傷]
(自船)同乗者1人軽傷
(自船)船首部船底に大破口、左舷シャフトカバー及び左舷推進器翼脱落
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:眠気を催す
 
事例−2 見張り不十分で相手船に気付かず衝突
[飲酒の状況]
 船長は、釣り中に350ミリリットル入り缶ビール3缶を飲んだ。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、友人4人を乗せ、釣りの目的で、07時発航し、09時から11時50分まで釣りを行い、昼の休憩をとるため砂浜に向かって進行中、見張り不十分で、前路を右方に横切り衝突のおそれのある態勢で接近するプレジャーボートに気付かず、衝突を避けるための協力動作をとらずに続航中、12時05分同船と衝突した。
[船体損傷]
(自船)船首部損傷
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:注意力の低下
 
事例−3 釣りの帰りに船位を確認しないで防波堤に衝突
[飲酒の状況]
 船長は、発航前に350ミリリットル入り缶ビール1缶を飲み、18時10分から22時までの釣り中に同1缶を飲み、更に22時13分発進した際にも同1缶を飲んだ。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、友人3人を乗せ、釣りの目的で17時50分発航し、18時10分釣り場に至って釣りを行い、22時13分釣りを終えて帰航の途中、船位確認が不十分で、22時15分防波堤に衝突した。
[死傷及び船体損傷]
(自船)同乗者1人軽傷
(自船)船首部圧壊
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:注意力の低下
 
(ウ)錨泊又は漂泊して花火大会を見物中に飲酒した例(2件)
事例−1 花火見物の帰りに係船浮標に衝突
[飲酒の状況]
 船長は、友人9人と共に、花火大会を見物中、350ミリリットル入り缶ビール24缶、同容量の缶入りカクテル10缶を飲んだ。
[飲酒に関する船長の認識など]
 船長自身は、「缶ビールを2缶ないし3缶飲んだが、酔った意識はなかった。」と証言している。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、友人9人を乗せ、花火見物の目的で、18時30分運河沿いの係留地を発航し、川の花火大会見物を行い、花火終了後、川を下って遊覧中、花火見物時の飲酒により注意力が散漫となり、見張り不十分で、前路の係船浮標に気付かないまま進行し、22時30分同浮標に衝突した。
[死傷及び船体損傷]
(自船)同乗者1人重傷、5人軽傷
(自船)船首部に大破口、のち廃船
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:注意力の低下
 
事例−2 花火見物の帰りに見張り不十分で衝突
[飲酒の状況]
 船長は、花火見物をしながら350ミリリットル入り缶ビール2缶を飲んだ。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、家族・知人など6人を乗せ、花火大会見物の目的で、18時30分発航し、海上に至って花火を見物したのち、21時10分帰途に就き進行中、見張り不十分で、前路を右方に横切る態勢のプレジャーボートに気付かず、警告信号を行わず、衝突を避けるための協力動作をとらないまま続航し、21時22分同船と衝突した。
[死傷及び船体損傷]
(相手船)同乗者1人軽傷
(自船)左舷外板損傷、(相手船)右舷外板損傷
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:注意力の低下
 
(エ)クルージングの途中で飲酒した例(2件)
事例−1 河口に向けて進行中、船位を確認しないで突堤に衝突
[飲酒の状況]
 船長は、花火大会があると思った湾に至って19時40分から20時15分まで漂泊した際、350ミリリットル入り缶ビール2、3缶を飲んだ。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、友人3人を乗せ、花火大会見物の目的で、19時15分発航し、19時40分、予定の湾に至って漂泊したところ、花火大会日程の違いに気付き、20時15分周遊に切り替えて発進し、その後、見物のために入った川の河口に向かって進行中、船位不確認のまま転針し、20時43分突堤に衝突した。
[船体損傷]
(自船)船首部圧壊
〔推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:注意力の低下
 
事例−2 甲板上で横になっていた同乗者が海中転落
[飲酒の状況]
 船長及び友人は、09時10分発航時に缶ビール1缶を飲み、更に途中それぞれ同1缶を飲み、10時58分定針して機帆走中、更に同1缶ずつを飲み、その後同乗者はウイスキーを飲んだ。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長と友人1人が乗り組み、ヨットのクルージングの目的で、09時10分発航し、機帆走中、12時10分船尾甲板上で横になっていた同乗者が海中に転落して行方不明となった。
[死傷]
(自船)同乗者1人死亡
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:ほろ酔い期
飲酒の影響:警戒心の低下
 
(オ)クルージング又は釣りの途中、上陸して飲酒した例(1件)
事例−1 薄暗い状況下、橋に接触して転覆
[飲酒の状況]
 船長は、友人3人と共に船遊びの途中、16時30分岸辺に上陸して17時20分までバーベキューを楽しみ、その際、各人が350ミリリットル入り缶ビールを3缶ほど飲んだ。さらに川を上り、途中17時40分ごろ船を係留して川沿いにある行きつけの居酒屋に立ち寄り、約30分間ビールを飲んだ。
[発生に至る経緯及び海難原因]
 船長は、1人で乗り組み、友人3人を乗せ、船遊びの目的で、川の岸を発航して上流に向かい、16時30分途中の岸辺に上陸してバーベキューを楽しみ、17時20分発進し、さらに川を上り、17時40分船を係留して川沿いにある行きつけの居酒屋に立ち寄り、18時15分係留地点に戻った。当該係留地点から発航するためには既に薄暗くなった中を川岸から発航して狭い橋脚を通過しなければならず、高度な操船技術を必要とされ、航行すること自体無理な状況であったが、発航を中止しなかった。18時15分係留地点を発進し、後進で川の本流に出たとき、台風の影響で集中的に降った雨のため強まった水流の影響で圧流され、18時20分付近の橋の橋脚に接触して転覆した。
[死傷及び船体損傷]
(自船)同乗者2人死亡
(自船)右舷外板及び船底損傷、のち廃船
[推定される飲酒との関係]
酔いの状況:酩酊初期
飲酒の影響:警戒心の低下、判断力の低下


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