●ディスカッション
津田 ありがとうございました。今の出口さんのお話ですと、実質1カ月ぐらいですよね。非常にタイトなところだったのではないかと思いますけれども、今回の経験を生かしていただいて、来年にまたつなげていただければと思います。
それでは今の3名のコメント、それから事例報告をいただいた2名の方のお話をもとに、ちょっと議論していきたいなと考えております。先程、表の中でもありましたけれども、「チャレンジデー2006」、合併後の新体制で自治体主導、それから合併前の旧自治区で行政が主導というのがありますね。それと合併後の新体制で民間、合併前の旧の体制で民間主導、それから地区での民間主導、それから従来の方法で実施という、さっきの6パターンがあると思います。
それをちょっと頭に置いていただきながらお話を進めていきたいと思います。最初に5名の方にお聞きしたいのですが、チャレンジデーのご担当になられて、出口さんの場合は2カ月ぐらいしか期間がなかったと思うのですが、担当者として一番何を期待したか。このチャレンジデーというのをまずお聞きになって、内容をお知りになって、どういうところに一番期待したかというのをコメントいただきたいのですが、まず、完全に初回ということなので、出口さん阿波市はどういうところを期待されたか簡単にお願いできますか。
チャレンジデーへの期待
出口 私個人的な意見でございますが、今回初めてで、「期待すること」ということでございますが、私自身は健康づくりが大事だということもありますが、それに向けても、自分なりに取り組んでいる方は大部分が運動するというのを前から見かけていたのです、その状況を。かなり今回参加が望まれるということを思っていたのですが、残念ながら今回はこのようになってしまいました。ですので、多くの方が健康づくりのために身体を動かすということはできていると思いますので、今後ますます参加が増えていくということを期待しております。
津田 ありがとうございます。そういう健康づくりをやられている潜在的な方は結構いらっしゃるということでございますね。
続きまして、今度は、過去最多の実績を誇る旧加茂町があります雲南市の小林さん、いかがでしょうか。
小林 私も旧加茂町出身ですけれども、新市になったということでチャレンジデーを通じて、各町の方が交流できればということが一番期待したことなのですけれども、実際のところは、それぞれの町においてもイベントに参加されるという方たちが多かったので、もう少し交流ができるようなイベントを少しは考えてあげないといけなかったなという気がしております。
津田 ありがとうございます。要は、旧の6町の場所に参加する方が多くて、全市挙げての取り組みになかなか参加が得られなかったということですか。
小林 そうです。
津田 はい。分かりました。続いては、前沢牛のブランドをお持ちの千葉さんのほうはいかがですか、一番感じたことは。
千葉 皆さんと同じだと思いますけれども、さっきの「ピンピンコロリ」が目的の一つでありますし、実際に身体を動かしていくことによって健康づくりができている、これはやっぱり運動のきっかけづくりになっているなというように期待をしたいと思いますし、それと同じ種目に対して、一つの地区で取り組むことによる連帯感の形成におおいに役立っていると思いますし、期待をしたいところです。
津田 ありがとうございます。先程から千葉さんのお話で、地域のコミュニティの連帯感というところですか。その辺、秋田県で不幸な殺人事件がありましたけれど、あそこは旧の農家の方と新興で建てられたところのようなのですね。そこであのような事件が起きてしまったという。ですから、ああいうところでもコミュニティづくりができればということなのかと思います。
続いて、甲賀市の安田課長のほうから、期待すること、お願いできますか。
安田 甲賀市におきまして、大きく2点で期待をかけていたわけでございます。合併の効果というところで一つこれは。これは旧5町の合併ということで、それぞれ各地域、各地で行われていましたイベント関係、やはりわが町のイベントがよそより優れているという意識がそれぞれの町に見受けられます。
そういった部分も払拭するという部分で、市となった以上は、それらの事業の統合という部分でありますとか、一部廃止というこういった部分が合併協議の中でも行われて参りましたが、市民の人が一つの日的に向かって取り組む事業を何かしていかなければならないということで、こういった部分においては、チャレンジデーが一番望ましい事業だなというのが思ったところであります。
そういった思いもあって、一応ここに担当になりましたので、これを提言しながら、合併以後、2年連続してこのチャレンジデーに取り組んだところでございます。市民意識という部分、旧町意識をしながら市民意識、大きな合併という効果を果たしていくという一つの目標でございます。
もう1点につきましては、チャレンジデーという健康増進を目的としているということで、これは参加率を望む心もありますが、やはり市民の皆様の健康増進、さらには健康になっていただくことによって保険料の軽減という、大きな課題になるか分かりませんが、そういった方向への転換、それ以外のことということで、その2点について期待をしながら今日まで取り組んできたところであります。以上です。
津田 ありがとうございます。市民の方の健康増進を図るために目的意識を高めていただくということだと思います。ありがとうございます。最後に、志布志市の田村さん、いかがでしょうか。
田村 皆さんが言われる通り、合併した直後で、かつ新規の特色とかを出すというか、新規というよりは一体となれるような取り組みになることが一番にしていきました。
普段なかなか顔を合わせることもない方々との交流をして、地域づくり、健康づくりになることをすごく期待していました。
津田 ありがとうございます。それでは時間のほうもだいぶ迫ってきまして、もう一つだけお聞きしたいのですけども、これは多分、皆様方も感じるところだと思うのですが、参加率を確保するために一番ポイントを置いた点、またどこに置けばよかったかなという点をお話いただければと思うのですけども、出口さんから、順次お願いできますか。
参加率の確保
出口 参加率の確保ということで、私のほうは、ほとんど保育所から、幼稚園、小学校、中学校、それから市内に高校が三つございます。そちらの学校で取り組んでいただくと、それを重点的に今回は取り組みをさせていただきました。
あと、いろいろスポーツを行っている団体とかボランティア団体等にも要請はしておりましたが、報告が上がってきたところはわずかでしたので、今後そちらのほうのご理解いただけるように努力して参りたいと思っております。以上でございます。
津田 ありがとうございました。出口さんの場合、担当になられて期間が短かったというのもあるでしょうけれども、学校中心での取り組みに重点を置かれたということでした。それでは、小林さんお願いいたします。
小林 どこにポイントを置いたかというと、実際に参加されるのは平日ということがありますので、朝のラジオ体操とか夕方にイベント開いて、そこへ参加していただくというところにポイントを置いたのですけども、もう一つ、日中は高齢者の方とか主婦の方などが自宅にいるのではないかということで、なるべく参加できるようなイベントを、大体、時間ごとで対象はどこに合わせるかというような感じで行いました。
次回の反省ということでは、時間帯のそれぞれ対象ではわずかですけれども、実際になかなか参加をしていただけないというのが実態ですので、もうちょっと普段からできるようなことを皆さんにしていただければと、いうように思っています。以上です。
津田 ありがとうございます。「普段からできるようなもの」というのは、何かすごくポイントになってくるように感じました。では、田村さん、お願いいたします。
田村 志布志市のほうでは、21の校区自治会で参加率を競うという取り組みを行っているので、住民参加型イベントとよくいっていて、391の自治会に、先程もお話したように、チャレンジデーの中において、一番取り組みやすいのが朝のラジオ体操じゃないかなということで、そこをずっと強くお願いをして、地域まで行っていただいたのですが、各自治会の幹部さんというのがあるので、今後は一つの自治会に対して説明会等を行っていきたいと思っています。
今後、皆さんも考えられていると思うのですけれど、市の場合は参加登録用紙を回収箱が市内のあらゆるところに設置してあって、そこに投函するかたちになっているのですが、その投函するまでがなかなか始まらないという人は電話でもファクスでも送ってという方法もとっているのですが、「ああ、登録はしなかった」とかいう声をきいたりして、どういうふうにもっていけばいいのかなと。
集計の仕方についても、過去の有明町での取り組みの場合もすごく時間がかかったので、なかなか。こうやったら、簡単にというか、まとめて簡単にしていける、「集計も楽だよ」という知恵があったら、今日またこのあと皆さんのほうから教えていただきたいと思っております。
津田 ありがとうございました。田村さんのお話を聞いていると、志布志市さんは、かなり頻繁に説明会は実施されているのかなという印象を受けております。そうしましたら、安田さんのほうからお願いできますか。
安田 参加率の過去のポイントですが、多寡という部分と、どこにポイントを置いてきたという今後の方向性も含めてでございますが、もう皆さんからお話いただいた内容と変わりがないわけでございますが、学校とか組織立てての参加というのは、これはもう望めないことであります。
個人の参加というのが一番重要なポイントになってくるかと思います。今後地元がやはり、その自治区、個人がいかに参加いただくかということであって、小さな組織から、いろいろ人が呼び込み大きな実績につながっていくというような観点から、将来的にやはり健康づくりというのが大きな目的でもございますので、一人一人がこのチャレンジデーに取り組める、また日常の中で健康増進のために何ができるかという部分で、一つの事業を定着させるにはやはり、1年、2年というスタンスではなかなか難しいと思いますので、10年先を見越しての細かい策とポイントを置きながら小さなところから大きな実績という方向で進めていければというように考えております。
津田 ありがとうございます。個人の参加というところで、こちらも先程の小林さんと同じように、「普段からの取り組み」というようなことがキーワードになっているように感じました。では、千葉さんにお願いいたします。
千葉 参加率の確保ということで、行政でできることについては、ちょっと私はやり過ぎじゃないかというぐらいやっています。先程もお話しましたけれど、50の区があって50人の区長さんがいらっしゃいますが、その区長さんにその当日の夜の回収までお願いをしている部分もありますし、これとは別に、71の自治区民館があるのですが、それに対しては、こちらで無理やり押しかけて行きまして、ちょうど残ってらっしゃる高齢者の方を中心として、球入れを、無理やりお尻を押してさせるのです。そういう意味ではもう十分だろうと思います。むしろある区長さんからは、逆に個人の健康関係は個人の問題だろうと、役所が金をかけてやる必要はないのではないかという厳しいお叱りをいただいたりもしています。
参加率を確保するためにはどうすればいいかということですが、私はそこでは参加率の数字だけを考えれば、お話しました通り、報告カードを回収するのですが、その回収率を高めれば参加率は当然増えてきます。
何かというと、区長さんのお取り組みの姿勢で変わってきます。区長さんの任期は2年なのですが、「あの区長さんのときはいろいろチラシで、どこに行けば何をやっているか分かったのだけど、今度の区長は何も教えねえの」ということがあり、その辺、ちょっと申し上げにくいのですが、区長さんのやる気といいますか、思いに頼る部分もあります。
こちらでは、苦肉の策で、その報告カードには全部通し番号を打っていまして、通し番号で、最後は「抽選しますよ」なんていうことで、抽選の賞品はもちろん前沢牛でありますが(笑い)、前沢牛を餌にしてというと変ですが、出すと何かくれると。一遍、Tシャツなんかもその抽選の品物にして、「このカードを出すと良いことあるよ」という、そういう姑息な手段まで使っています。以上です。
津田 ありがとうございます。区長さんのやる気ということですけれど、それは千葉さんのやる気から見たら、だいぶ歯がゆく思えるのではないかなと思うのですけれども。
定刻が迫って参りました。最後に、先程分類したのですけども、今回この前にお座りの方々は、合併の新体制、合併の旧体制でやられている自治体主導の方たちです。合併の新体制で、総合型地域スポーツクラブが主体で動きました徳島県の三好市。いけだスポーツクラブの大西さん、先程の分類でいきますと、三好市のみが新体制で、なおかつ民間主導ということですので、実施する上で一番注意したこと、簡単にお話いただけますでしょうか。
クラブと行政のパートナーシップ
大西 いけだスポーツクラブの大西といいます。簡単にと言われましても、いろいろと意見はあるのですが、合併するまでのところで「2006」にチャレンジするのであれば、やはり新市となってやりましょうと。実行委員会の声、それから合併協の中、あるいは合併をする市長さんの会議の中でも、合併記念の市民の一体感を醸成する目的でやりましょうと。なおかつそのときの主管は今まで通りいけだスポーツクラブでということでしたので、私どもとしても非常に大変なところもありました。合併をしまして、面積は徳島県一広くなりまして、80%を超す山地です。それで周りの市町村の人たちはクラブも立ち上げていないし、チャレンジデーもやったことがない。しかも合併が今年の3月1日、市長選挙が4月15日ということで、本当に綱渡りのような状況でした。今までクラブのほうも行政の方たちとはパートナーシップをとって、地域の人たちのために健康づくりで町づくりということをやってきておりましたので、合併をするようになりましても体制が整うまでは、行政のほうで3月1日に合併をして以降も、生涯学習課の教育委員会支所のネットワークを通じて活用さしていただきました。専門的なところは私たちのところが出向いて、地域の人たちを集めていただいてくれれば、私たちもそこへ行って専門的なことをお話させていただく。
そうしないと、合併をして間もなかったので、スポーツ団体をはじめ、いろいろな団体が自分で思っているよりもまだできていない。いろいろな組織も使えないという状況でした。そこでも行政の人たちが主体になるのではなくて、そういう地域を挙げてのイベントに行政もできるところでパートナーシップを発揮していただいて、そのネットワークを利用させていただいて、できるだけ人が動かなくてすむような状況で、今回はチャレンジさしていただきました。以上です。
最後に
津田 ありがとうございました。行政とクラブのパートナーシップということで、「できるところをやりましょう」というように進まれたようです。
もっといろいろご意見をお伺いしたかったのですけれども、例えば旧の体制で民間主導だった北広島町(広島県)の大朝とか豊平とかの事例もあると思うのですけれども、時間のほうが迫ってきてまいりました。このあと懇親会がありますので、そちらで個別にいろいろなお話をしていただきたいと思います。
簡単に今日のまとめをさしていただくと、まず、チャレンジデー、町づくり、健康づくり、スポーツ振興、いろいろなそれぞれの自治体の目的、それから、いろいろな手法があると思います。ただ、その目的を達成するには、参加率が上がれば住民の方に目的が浸透していくという結果になると思います。ですから、最初は「参加率ではない」という、われわれもお話するときに「参加率ではないですよ」というお話はしますけれども、結果として皆さんがお考えの目的を浸透させるには参加率を上げるということが重要になってくるのではないかと思います。
来年の「チャレンジデー2007」、5月の30日になります。それに今日の皆様方のご意見をつなげていただければ幸いです。要は、先程から出てきています、「普段通り」「普段から」というのがやはりポイントになるのではないか。毎日がチャレンジデーになれば、その運動習慣、それから健康づくりというのが根付くというふうになるのではないか。ですからチャレンジデー自体もやはり継続して進めていただいて、10年後どういう結果になったというふうに実施していただければというように思います。われわれも微力ですけれども、チャレンジデーに向けてお手伝いいたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
最後に、私どもの渡邉常務理事のほうからご挨拶させていただきたいと思います。
渡邉 笹川スポーツ財団の渡邉でございます。約2時間にわたりまして、ワークショップにご参加いただきましてありがとうございました。事例発表いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
本日のテーマ、「市町村合併とチャレンジデー」ということで、笹川スポーツ財団では、この市町村合併をどう捉えてチャレンジデーを推進していこうか、これが大きなテーマになっています。スポーツ・フォー・エブリワンを推進するという中では、チャレンジデーという事業の位置づけがものすごく高いのですね。SSFの中でも優先順位が高い。
本日いろいろな事例紹介をいただきましたけれども、甲賀市、これは一つのモデルケースになるのではないかと思って聴いていました。今、総括で津田から話がありましたけれども、やはり5年10年という中長期的な計画を作って取り組んでいくことが、おそらくチャレンジデーの目的であります、「まちづくり」、「健康づくり」、そしてそれをツールにした「スポーツ振興」というところへ繋がっていくのだと思うのです。
皆さんのお話をちょっと私なりにまとめさせていただきますと、5年、10年の計画でやっていくのですが合併したてですから、やはり草創期というのは、トップダウン、行政の力というのが非常に重要になってくると思います。意思決定を行う、啓蒙活動を行う、ムーブメントを推進する、これはやはり首長さん、議会、三役、そして行政各スタッフが協力してやっていかないと、なかなか住民に浸透していかないのだろうと思います。ただ具体的な実施方策ということになりますと、雲南市の方から反省点というようなお話がありましたが、「行政が何でもやり過ぎてはいけない。」これは一つのキーワードだと思います。
志布志市の話を伺うと、広域自治区から始まって、自治会に行って、そして最後は個、個人の話に繋がっていきます。取り込みやすいプログラムを作る、実際にそれを啓蒙する、実施する、これはできるだけ住民が主体となり、自治会が中心となって進める方が良いのだろうと思います。従ってトップダウンによる行政の先導的役割と住民の主体的参加のバランスが、これから市町村合併を終えて、まちづくり、健康づくりをやっていく上では重要課題になるのだろうと。
前沢の方からもご苦労を聞かされまして、首長のお話も伺いました。素晴らしい活動をやっているなと思って感心しています。ただ、そこにおそらく住民部分の個々の動き、自立性というのが加わってくると、もっと素晴らしいチャレンジデーになり、また合併後の大きな市範囲でのチャレンジデーの発展につながるのだろうなと思って聴いておりました。
ちょっと言葉が過ぎましたけれど、非常に大きな果実を受けた本日のワークショップだったと思います。どうも皆さん、遠いところからご参加いただきまして、ありがとうございました。このあと表彰式そして懇談会ございますので、ごゆっくり時間の許す限り、お過ごしください。以上です。
津田 ありがとうございました。
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