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佐藤 それでは、パネルディスカッションのほうを始めさせていただきたいと思います。進行については、先程の津田のほうでいたしますのでよろしくお願いいたします。
 
◆パネルディスカッション
津田 それではパネルディスカッションということで、チャレンジデーのワークショップはこういう形式で行うのは初めての試みです。それで私のほうも何分慣れないもので、どのような方向に進んでいくのか非常に不安ではありますがよろしくお願いいたします。
 まず進め方と趣旨のほうをご説明したいのですけども、先程から申しますように、今年の4月で自治体の数が1,820という数字になっております。今の事例発表をいただいた中でも、今後の行政サービスをどのように進めていくかというのも課題になってくるのではないかと考えております。
 チャレンジデーの目的として、町づくり・健康づくり・スポーツの振興、そのようなものが挙げられて、新たな試みも今後必要になってくるのではないかということで、その辺を踏まえながらこの会を進めていきたいと思います。
 最初に先程、事例をお二方から発表していただいておりますので、今回、向かって右側にお座りのお三方のほうから、5分程度ですがお話をお伺いしたいなと考えております。
 まず、島根県雲南市の小林さんにお話をいただきたいと思うのですが、概要を説明いたします。その前に、雲南市さんはこの豪雨で結構大変だったというようにお聞きしております。速水市長がテレビのニュースで取材されておりましたが、もう大丈夫ですか。お見舞い申し上げます。
 雲南市は、2004年11月に、大東、加茂、木次、三刀屋、吉田、掛合という6町村が合併して雲南市になりました。この6町村のうち4町村、加茂、木次、三刀屋、吉田、この4町村が実際にチャレンジデーを実施しておりました。ですから6町村中4町村がチャレンジデーを実施していたという、希有なケースであるなと思います。
 その4町村がチャレンジデーを実施していたころの参加率が65%から83%ぐらいで推移していたのですが、2005年から新体制で参加し、参加率が64、55%と、ちょっと最近伸び悩んでいらっしゃるようなのですけども、その問題点と課題、その辺を簡単に5分程度でお話いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
問題点と課題点
小林 失礼します。島根県雲南市教育委員会保健体育課の小林と申します。よろしくお願いいたします。
 先程、津田さんのほうから概要というか説明していただきましたけれども、2004年、平成16年11月1日に6町村で合併しましまして、雲南市として島根県で久し振りに市制が誕生いたしました。このうち4町村のほうでは長い間チャレンジデーの実施をしてきておりまして、ある程度の内容については知っているという感じでおりました。あと2町については、合併してから初めてするということで非常に不安をもったまま実施をしていたという感じです。
 雲南市の体制として、本庁、あと旧町村のほうで総合センターというかたちで行政を行っております。合併して1年目は、各町にあります総合センターの中に教育委員会の教育分室ということで出先機関がありましたけれども、今年の4月、機構改革がありまして、教育分室がすべて廃止するということで、今まで教育分室でやっていた業務も本庁のほうに持ってきて業務を行っております。
 チャレンジデーにつきましても、本庁のほうで教育分室と連絡とりながら、各町の住民の窓口になっていただくというかたちで動いておりましたけれども、廃止になったということで、すべて保健体育課のほうで窓口対応というかたちになったのが、一番この参加率が落ちてしまった原因になったのではないかなという気がしております。
 実際に、分室というのは地元の住民の方と直接接するわけですので、何かと相談に乗るとか、そういったことができていたのではないかというように考えておりますけれども、本庁のほうで対応するとどうしても顔が見えないということで、なかなか住民の方も実際に何をどういうふうにすればいいのかという気持ちでおられたというのがあって、参加率が落ちてしまったという気がしております。
 あと実際に担当していたのですけれども、あまりにも行政側がお膳立てをし過ぎている気がしております。実際に住民の方も「行政がすべてやったら参加してあげるよ」という気持ちを持っておられる方が、結構話を聞くと、おられるようです。ですので、今後、参加率を上げるということを考えるならば、もうちょっと住民の方に、「行政はここまでしますけれども、ここから先は住民の方も一緒にやっていただけませんか」という協力体制がとれれば、一番いいかなという気がしております。
 ちょっと何をしゃべっているか自分でもよく分からないのですけれども、とりあえず終わらせていただきます。
 
津田 ありがとうございました。6町村が合併して当然面積広くなって、それで本庁一括となれば、住民の方も非常に顔が見えなくなるということはあることだと思います。今小林さんがおっしゃられた参加率を上げるためには、住民の方も一緒に参加してもらうというところで今後進めていかれるということでよろしいでしょうか。
 
小林 そうですね。
 
津田 ありがとうございました。続きまして、紅一点でございます。志布志市、田村さんのほうから事例を紹介していただきますけれども、志布志市は鹿児島県にありまして、2006年の1月1日に、松山町、志布志町、有明町の3町が合併して志布志市が誕生いたしました。この3町のうち旧有明町さんが「2004」「2005」で、チャレンジデーを実施しております。
 取り組みの中で、市内の391の自治会にチャレンジデー係を2名選出してもらって、普及・啓発活動をしたという実績がございます。ですからその辺を中心に、一般市民向けの周知活動等、どういうことをやられたのか。参加率も目標を上回ったということですので、その辺についてお聞きしたいと思います。
 人口の比率から言いますと、チャレンジデー係の方というのは、50人に1人置かれているということになってくるのかなと思います。では田村さん、よろしくお願いいたします。
 
 
チャレンジデー係
田村 皆さん、こんにちは。鹿児島県志布志市役所の田村と言います。よろしくお願いします。
 志布志市は、先程言われましたように、18年の1月1日に合併して誕生したばかりの市なのですが、合併したその時点ではチャレンジデーの参加というのは決まっていませんでした。事業計画の中にもチャレンジデーは基本的に中に入っていなくて、2月に市長選挙があって、そこで旧有明町長が初代の市長に当選して、市長の一言できまりました。
 過去の2年間旧有明町で参加してきた実績を基に、市民が一体となった取り組みを目指すというか、住民が参加できるイベントはこれしかないのではないのかということから。市になって市民が一体となり取り組むのはこういうのがいいのではないかということで、希望されたので、今回も参加をするということになりました。
 チャレンジデーの実行委員会の設置についても、委員は市内の各種の団体にお願いをして体制をつくりました。チャレンジデーの実施までに短い期間の取り組みだったのですが、過去2年間取り組んだ有明町の実績をもとに取り組んでいきました。
 体制としては、志布志市役所の本庁舎は旧有明町にあって、あと松山支所と志布志支所と各地域にありましたので、地域ごとに支所での対応をしてもらいました。市の職員につきましても、旧有明町の職員は過去協力をし、手伝いできているので理解をしてもらっていたということで、あと、その他の職員については、まずは、職員からチャレンジデーを知ってもらうということで説明会を、最後の1人が参加してくれるまで何回も市役所や支所のほうでも繰り返し行いました。
 それと並行して、各種団体の総会が3月から4月にかけてありますので、総会等でお時間をいただいて、資料を持って旧有明町の取り組みのビデオがありましたので、それを持ってずっと説明をしていきました。
 市内に391の自治会があるのですが、いきなり391の自治会に下ろしたわけではなく、その上には21の校区自治会がありまして、まずその校区自治会長さんたちに、「こういう取り組みを市で考えています」ということをお伝えして、そのあと各校区自治会単位で自治会長さんを集めて説明会を行い、チャレンジデー係として、5月の31日当日に朝のラジオ体操の運営などをしていただくという担当をお願いしました。今度はチャレンジデー係が各自治会から2名ずつ選出されてきて、このチャレンジデー係の方に対しての説明会を21校区、支所と協力し進めていったところです。
 チャレンジデー係も、説明等受ける中で、自分なりのとかいろんな意見が出て、そこで鹿児島のほうにあります鹿屋体育大学の学生さんにストレッチの指導などをしてもらって、こうやって簡単に取り組めるんだということなどを理解していただいて、チャレンジデー当日に実施していただきました。
 
 
 また市の職員も説明を受けていたりしているので、自分の自治会に行かれたときに「チャレンジデーってこういうことだったね」、「みんなでその日の朝は顔を合わそうか」とか何回も声を掛けていただいたり、当日の朝、参加の登録用紙回収等にも協力をいただいたということです。
 その他、小中学校等は、いろいろな大会での呼びかけをしたり、それだけではなく、学校等の独自のプログラムを考えて、「何か取り組んでみてください」と投げ掛けたところ、地域住民を巻き込んでのプログラムを考えてくださるところとか出てきて、それが、また参加率の増加につながったと思っております。
 合併して市になって難しかったのが、企業・事業所等への呼びかけです。旧有明町は大きな企業というのはあまりなかったものですから、目につくような事業所等には自分たちで走っていって、「お願いします」とお願いをしていったのですが、旧志布志町のほうは港を持っていまして、こちらのほうが大きい企業が多数入っておりまして、大きな企業だけに声をかけると、ほとんど地元の企業がなかなか声をかけてもらえないという状況が出てくるので、志布志地域では、企業・事業所説明会を実施したり、各団体長さんにお願いをして、事業所と企業等を巻き込んでいったところです。
 チャレンジデー当日は、グラウンド・ゴルフ大会、ゲートボール大会、バトンリレーマラソンなど各種大会を行い、近隣の自治体から参加した方が、チャレンジデーを知り、「どうする?」「何するの?」という感じで、報告してもらったという点もありました。
 いろいろとチャレンジデーに関しては電話等もいただいて、「私は身体が不自由なのだけど」という電話で、お話を聞くと、スポーツイベントなので「スポーツをしないといけない」というイメージがすごくあったみたいで、「参加できない」ということでした。スポーツ・運動で、身体を動かすというのだけでなく、「リハビリ等でも大丈夫ですよ。それでも参加になりますよ」って声を掛けるとすごく喜んで、自宅療養中の方とかもわざわざ電話等で参加登録をされる方もいらっしゃいました。
 先程の前沢区長さんの「ピンピンコロリ」という言葉は、うちの市役所のほうでも好きな方がいて、保健課のほうで「コロリ」をそっと抜いて、「ピンピン元気塾」といって、保健・健康運動として高齢者向けの教室を開いたりしています。チャレンジデーでも特別塾を開催し盛り上げていっています。
 なかなか要領が得ないのですが、以上で終わります。
津田 ありがとうございました。今の田村さんのお話を聞いていますと、新しい市長さんのトップダウンということになると思うのですけれども、その後の動きというのでしょうか、すごくピラミッド型の説明会を開いているような感じをお受けしました。鹿屋体育大学の学生さんは、事前にチャレンジデー係の方たちに講習をされたわけですね。当日ではないですね。
 
田村 当日もいろいろな会場でストレッチ指導などされました。
 
津田 はい分かりました。ありがとうございました。
 もう一方、徳島県の阿波市から出口さんにお越しいただきました。徳島県阿波市は、2005年の4月、吉野町、土成町、市場町、阿波町の4町が合併して阿波市になられました。今回、その新体制でチャレンジデーに初参加。こちら阿波市の場合は、過去4町のいずれもチャレンジデーは実施しておりませんでした。ですから、完全な新規初参加ということになります。
 結果ですが、目標を50%に設定していましたが、なかなか伸びなかった。住民への周知等の課題点、今後どうしたらいいだろうかというところを中心にお話をいただければと思います。お願いします。
 
新規初参加
出口 皆さん、お疲れさまでございます。徳島県阿波市教育委員会社会教育課の出口と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、阿波市の合併から実施までの経緯をお話して、今回の問題点、解決策をお聞きいただこうと思います。
 まず、先程ご説明がありました通り、2005年の4月1日に板野郡吉野町、土成町、阿波郡阿波町、市場町が合併しまして、阿波市は今小笠原市長でございますが、合併以前に旧2町がすべての住民を対象にした町民体育祭を行っていました。それと同時に2005年からは、体育祭を開催するには展示する場所ですとか内容、そういうものがみんな統一したものということで非常に困難であるという判断をいたしまして、開催を中止しました。
 そこで市民から「何か事業を示せ」という要望がありまして、このたびチャレンジデーを急遽開催することとなりました。今年の1月の末ごろ参加を決定いたしまして、急いで申請させていただきました。4月には役所の人事異動等がございまして、担当者も代わりまして、どこまで内容が決まっているのですかということで前任者から聞いてみますと、まだ内容が何も決まっていないということで、4月になってからこのチャレンジデーの内容等をすべて決定したわけでございます。
 今回、住民周知の問題点ということでございますが、住民への広報といたしまして、みんなよその自治体の方とかもされていると思いますが、広報のチラシを2回に分けまして、最初のほうは目的とかおおまかな内容の説明をした広報を決めまして、5月の1日の日に全戸配布をいたしまして、もう1回あとのほうは直前に、参加の文章を一緒に付けまして、詳しく「どこで何をします」というふうなイベント内容を記載した広報紙を全戸配布いたしました。
 あと市内に放送されている防災無線、それとケーブルテレビがございます。そちらのほうでも広報も行いましたが、そちらのほうの広報はあまりみんな関心がないのか分かりませんが、「住民に伝わってない」という状況を聞きましたので、市の広報車を急遽出しまして、市内一円ずっと周回したわけでございますが、まだ多くの住民に周知いただいていないということでございました。
 私たち阿波市というのは農村地帯でございます。ですので住民の方は、身体を動かすのは農作業をされたり、最近流行っておりますウオーキング等を行っている方は大勢見かけます。参加の報告と、あと電話・ファクス、それぞれ受け付けますよと、広報紙で配付した報告書で報告された方がもうほとんどだったのです。電話とかファクスで報告してという方というのは、ほんの数件しかありませんでした。ですので、報告をどのようにしたらいいのかなと、そこらは行ったらいいのかなというので、次回からは中央の職員とかボランティアを集いまして、そちらの方に市内一円を回っていただいて、散歩している人とかウオーキングされている人を見かけましたら、その人に声を掛けて報告書を書いてもらうというふうな取り組みをしないと、これは難しいのではなかろうかという結果になっております。こういうところでございます。以上でございます。


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