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チャレンジデー2006 ワークショップ 要約
CHALLENGEDAY
平成18年7月27日(木曜日)
海洋船舶ビル10階 ホール
 
 チャレンジデー2006は、93ヵ所の自治体・地域の参加を得て、5月31日(水)に全国一斉に実施された。
 今回のチャレンジデーでは、93ヵ所の内42ヵ所が新規自治体・地域での参加であり、それぞれの自治体・地域が試行錯誤しながら実施をしていた。今回のワークショップでは、その取り組みを次年度にどのように繋げるかを検討するための情報の交換の場として開催し、担当者同士が直接意見交換しそれぞれの思いを語る場とした。
 また、今回参加した中で42ヵ所が市町村合併に関係していることから、事例報告では「市町村合併とチャレンジデー」というテーマを中心に報告をお願いし、その後パネルディスカッションで、それぞれの取り組みや今後の自治体や地域でのスポーツ振興や健康づくりのあり方を論議した。
 
1. 開催日時:平成18年7月27日(木)15:00〜17:00
2. 開催場所:海洋船舶ビル10Fホール(東京都港区虎ノ門1-15-16)
3. 参加者:58自治体・地域70名
 
◆オープニング
挨拶:笹川スポーツ財団 藤本和延常務理事
 
◆チャレンジデー2006 実施報告
 
(1)実施結果報告
 平成18年5月31日(水)に全国93ヵ所の自治体・地域が参加。初参加は42自治体・地域。全国で957,011人がチャレンジデーに参加した。
 地域別参加状況では、九州・沖縄ブロックからの参加が約半数の45%を占め、逆に関東地方の参加が少なく、埼玉県小鹿野町のみの参加にとどまった。
 参加自治体の推移では、2004年に97ヵ所だったのが、2005年に77ヵ所に減少してしまった。この時期が平成の大合併と関連性があると推測された。
(2)実施形態別の割合について
 2006年のチャレンジデーでは、実施主体が行政主導と総合型地域スポーツクラブの割合が前年に比べ増加している。実施形態を分類すると大きく6つに分類できる。
・合併後の新体制で自治体主導 16%
・合併後の旧体制で自治体主導 17%
・合併後の新体制で民間主導 1%
・合併後の旧体制で民間主導 10%
・地区での参加で民間主導 17%
・従来の体制で実施 39%
(3)実施イベントについて
 各地で取り組まれた種目のうち実施が多かったものは、ゲートボール、ラジオ体操、グラウンド・ゴルフ、健康体操、ウォーキングであった。特徴的な取り組みとしては、ダンスパーティー、クリーン運動、リレーマラソン、ダイビング等があった。
(4)過去5年間の推移(5年間の参加状況から)
 過去5年間の推移の前に市町村合併の状況について報告があった。合併の状況をみると2004年4月1日から2006年3月31日の2年間に1,280自治体が減少した。
 チャレンジデー実施自治体も2004年から2005年にかけて約20%減少したが、自治体の数でも23%減少しており、参加自治体の減少も数字的には自然の流れと思われる。今後は、平成の大合併によりカテゴリー4・5の人口規模の多い自治体の参加が期待できる。
(5)近隣自治体等に対する参加のよびかけについて
 2007年のチャレンジデーでは、100ヵ所100万人の参加を目指しており、今後近隣自治体や姉妹都市等の情報があればご紹介いただきたい。スタッフが直接足を運びご説明させていただくことも可能である。
 
◆実施自治体事例報告
報告(1):合併後の市民への周知と課題
甲賀市(滋賀県) 甲賀市教育委員会生涯スポーツ課 安田 正治 氏
甲賀市(人口95,713名)平成18年6月30日現在
 
 
 2004年(平成16年)10月1日に、水口町、土山町、甲賀町、甲南町、信楽町の5町が合併して、甲賀市が誕生した。(信楽町2001年から2004年実施)2005年のチャレンジデーから新体制で実施し、2回の参加となった。
 市町村合併による新体制で実施した2005のチャレンジデー。その目的と効果、問題点はどうであったのか。そして、その反省をもとに実施した2006。市民への浸透と合併にともなう全市の一体感をつくりあげるにはどのようなことに着目したか事例をもとに報告願った。
 甲賀市では、チャレンジデーから学んだ市民に向けての啓蒙・啓発活動、健康増進へのきっかけづくりの重要性等を、市として今後どのように現実化させていくかを考えている。
 その部分で、四つの課題をあげた。一つにはチャレンジデーからの地域の住民に、健康増進と生涯スポーツの参加へのきっかけづくりをどのようにするか。二つ目がチャレンジデーに向けての実行委員会組織の動かし方。三つにはチャレンジづくりの市民9万5千人の認知度をどう高揚させるか。最後に、対戦自治体とのそれ以後のつながり、これらをどう考えていくかという課題である。そして、それぞれの方向性として、まずチャレンジデーを年1回のイベントではなく、主として市民に健康づくり、また生涯スポーツへの参画と有益利用、構造的に市民と福祉部局との連携を図りながら、「甲賀市は元気がいい」ということを進めながら、毎月最終水曜日にそのよう日を設け、一人15分間以上の運動が実施できる態勢を整え定着させ、5月の最終水曜日のチャレンジデーには、さらに特別の日として取り組んでいけたらと考えている。
 実行委員会組織の部分では、市長が実行委員長として、市内の各種団体の代表者により組織しているが、それらが一つの組織の中で動いていくというのはなかなか難しい。その組織をスリム化したい。下部組織についても、主要な市機関とし、特にワーキングスタッフの部分では、各種団体から市民へ、実行部隊として組織をしていきたい。
 三つ目は、チャレンジデーの認知度を向上させるため、より粘り強く市内の啓発活動を行っていくことも重要であり、全国の自治体がチャレンジデーでの健康増進や生涯スポーツ参加へのきっかけづくりの重要性、これらを認識してもらうこと。また合併以降、予算削減の理由等で、参加率も下がっているのが実態であるが健康増進や生涯スポーツヘの参画が希薄にならないためにも、ぜひこのチャレンジデーの意味合いを十分認識して、全国的にも認知度を上げていけるような取り組みであればいいと思っている。
 また、そのためにはチャレンジデーで対戦した自治体間での、開催以降のスポーツ事業等の交流事業も行っていければ、意義のあるチャレンジデーになるのではないかと思う。との報告があった。
 
報告(2):合併前の旧体制で実施した事例について
奥州市前沢区(岩手県) 奥州市教育委員会前沢支所 千葉 桂 氏
奥州市前沢区(人口15,179名) 平成18年2月1日現在
 
 
 奥州市は2006年(平成18年)2月20日に、水沢市、江刺市、前沢町、胆沢町、衣川村が合併して、誕生した。人口130,174名(水沢市1995年から2005年実施、前沢町2002年から2005年実施)合併後旧体制の前沢区として実施。(水沢区も旧体制で実施)
 
 5市町村合併のなか、2市町が旧体制で実施。旧体制で実施となった経緯とその取り組み方はどのようなものであったか。また、今後水沢区を含めた新体制でのチャレンジデーへの取り組みはどのように考えるのか事例をもとに報告願った。
 
 旧前沢町長の思いは、「ピンピンコロリ」。これはいわゆる普段の生活をきちんとしておけば生活習慣病等にはならない。「運動して、80歳、90歳までピンピンしていて、コロリと逝ってくださいよ」ということだ。
 奥州市前沢区では、今後のチャレンジデーの実施について、担当者として旧5市町村の対抗チャレンジデーを実施しようと考えている。甲賀市のように、旧5町の対抗意識を払拭しようという話もあるが、奥州市では全く逆になる。それぞれがまだ田舎町のため、「前沢だ」「胆沢だ」という思いがある。その思いがあるうちであれば対抗させて、「よし、前沢には負けない」「江刺に負けない」というチャレンジデーをやったらいいのではということを考えている。
 今の国の問題でよく言われているが、「少子化・ニート2007」だが、これに田舎町の場合は「高齢化」が入る。「高齢化」が入るということは、ピンピンコロリをしないで1人の方が寝込むと、その自治体に2千万円の負担がかかると言われている。
 行政の人間が考えると、チャレンジデーはチャレンジデーとして、1日のイベントではあるが、これをきっかけにして、新しい町でもピンピンコロリのために、健康づくり・コミュニティづくりなどそういう取り組みを続けていきたい。との報告があった。
 
◆パネルディスカッション
「市町村合併とチャレンジデー」
 
雲南市教育委員会 スポーツ振興課(45,654名) 小林 誠 氏
 2004年(平成16年)11月1日に大東、加茂、木次、三刀屋、吉田、掛合の6町村が合併し雲南市が誕生した。
 このうち、4町村がチャレンジデーを実施しており、その参加率は65から83%で推移していた。
 2005年からは、合併後の新体制で実施しているが、参加率は64%、55%と伸び悩みぎみである。その問題点と課題はどこにあるのか報告いただいた。
 
志布志市企画部 企画政策課地域政策係(35,759名) 田村 千代子 氏
 2006年(平成18年)1月1日に松山、志布志、有明の3町が合併し、志布志市が誕生。(旧有明町が2004、2005年実施)
 市内391自治会にチャレンジデー係を2名選任してもらい住民に対する啓発を実施。市内企業、事業所に協力依頼。学校は独自プログラムで実施した。
 一般市民向けの周知活動により、目標を上回る参加率をあげた。自治会の取り組みやそれに向けての協力体制について報告いただいた。
 
阿波市教育委員会 社会教育課(42,861名) 出口 孝弘 氏
 2005年(平成17年)4月に板野郡・吉野町、土成町、阿波郡・市場町、阿波町の4町が合併して阿波市となった。今回は、その新体制でチャレンジデーに初参加した。目標を50%に設定していたが、結果はその半分にも満たなかった。住民への周知等の問題点はどのようなものであったのかについて報告いただいた。
 
 事例報告の中で甲賀市の取り組みは一つのモデルケースになるのではないか。5年10年という中長期的な計画を作って取り組んでいくことが、チャレンジデーの目的である、「まちづくり」、「健康づくり」、そしてそれをツールにした「スポーツ振興」というところへ繋がっていく。
 5年、10年の計画で実施していくのだが合併したてのため、草創期では、トップダウン、行政の力というのが非常に重要になってくる。意思決定を行う、啓蒙活動を行う、ムーブメントを推進する、これは首長、議会、三役、そして行政各スタッフが協力してやっていかないと、なかなか住民に浸透していかない。
 具体的な実施方策ということになると、雲南市の反省点、「行政が何でもやり過ぎてはいけない。」これは一つのキーワードだ。
 志布志市では、広域自治区から始まり、自治会、そして最後は個人の話に繋がっていく。取り込みやすいプログラムを作る、実際にそれを啓蒙し実施する。これはできるだけ住民が主体となり、自治会が中心となって進める方が良い。トップダウンによる行政の先導的役割と住民の主体的参加のバランスが、これから市町村合併を終えて、まちづくり、健康づくりをやっていく上では重要課題になる。
 前沢区の報告からも、素晴らしい活動をやっていると感じた。ただ、そこに住民部分の個々の動き、自立性というのが加わってくると、さらに素晴らしいチャレンジデーになり、また合併後の大きな市範囲でのチャレンジデーの発展につながるのだろうと感じた。
 


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