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(13)乗降途中や走行中に危険や不安を感じたときに必要な工夫や取組み
 ハード面「車いすの固定の簡略化(8件)」「車いすの安全で確実な固定(8件)」が多く、車いす使用者は安全かつ簡易な車いす固定装置の開発を切望している。
 ソフト面では、「運転手の教育(9件)」が最も多く、具体的には、高齢者・障害者理解、車いす乗降装置・固定装置の取扱方法、安全運転等が挙げられている。「車内放送等アナウンスの活用(7件)」には、カーブの事前告知、車いす使用者が円滑に乗車するための他の利用者への協力等を車内アナウンスする意見が含まれている。
 
表3-6-1  乗降途中や走行中に危険や不安を感じたときに必要な工夫や取組み その1
ハード(35件)
乗降装置の改善(6件)
・もう少しスロープの勾配を緩やかなものにしてほしい。(2件)
・乗降装置は全自動にすべきである。
・スロープではなく昇降機を付けてほしい。
・スロープを時間がかからない安全なものにする。
・スロープの鉄板の上に滑らないラバーを貼り付ける。
適切な乗降介助(4件)
・スロープをバックで降りる時は、必ず後でサポートしてもらいたい。
・スロープの傾斜が急な時は、必ず乗務員もしくは介護者に背もたれを持って押し上げてもらうことが必要。
・バックで降りる時は、乗務員の適切な介助を望む。
・乗降はヘルパーが後ろを持って、乗務員が前から持ち上げるのが良い。
停留所に停止位置を示す(1件)
・バス停には全て停止線をつけてほしい。
車いすの固定の簡略化(8件)
・車いすの固定をもっと簡単にするべき。
・もっと簡単にできる止め具の開発を望む。
・使いやすい固定金具の開発。
・固定器具を時間がかからない安全なものにする。
・車いすの固定をより簡単に素早く出来るものを作ってほしい。
・急ブレーキを掛けた時に、少なくとも前方に移動しにくくする簡便な(操作時間の短い)方法を取り入れてもらいたい。
・乗務員も障害者も他の乗客に気を使うので、手早く確実に固定できる工夫が必要。
・乗客として気持ちよく利用させてもらいたいという願いがあるが、車いす乗車の為に時間がかかることで乗務員の方がいらいらしたり他の乗客の方たちにも迷惑にならないような時間短縮の固定方法があるとよい。
 
表3-6-2  乗降途中や走行中に危険や不安を感じたときに必要な工夫や取組み その2
ハード(つづき)
車いすの安全で確実な固定(8件)
・車いすの固定をしっかりしてほしい。(2件)
・固定装置の技術の向上、安全装置の開発。
・乗車する前に車いすを動かないように固定してほしい。
・前輪が動かない工夫が必要。
・タイヤ固定、特にキャスターの固定をしっかりしてほしい。
・ベルトの固定の際には、徹底的な安全確認をする。
・車いす固定ベルトをしっかり締めてほしい。
(単に)固定装置の改善(1件)
・固定する器具などの改善。
危険を乗務員に知らせる仕組み(2件)
・危険な状態がある時は、乗務員に知らせること。
・危険をスイッチ等で乗務員に知らせることが出来るようにする。
手すりの設置について(2件)
・手すりを多く付けてほしい。
・手すりを持ちやすいところに設置してほしい。
車いすスペースを広くする(3件)
・短時間しか乗車しない都市部の路線バスの車いす固定位置は、シート跳ね上げ式でなく、車いす1台分だけでも常時空きスペースとはできないか。
・ノンステップバスに乗れる車いすの台数分の固定装置を必ず備え付けてほしい。
・車いすスペースを広くとった方が良い。
ソフト(41件)
乗降装置の乗務員の取扱(4件)
・スロープの角度を緩やかにすること。そのためにはドライバーがスロープの角度や扱いについて習熟していることと適切な位置にバスを停車させることが必要。
・バスの点検項目にスロープが設置できるかやニーリングが正しく行えるか等の車いすの乗降に関することや車いすスペースが座席を折りたたんで確保できるか等を加えてほしい。そうすれば、スロープが収納できなくなって車いす使用者が乗車したために後の運行を中止しなければならなかったり、固定スペースの確保が出来なかったため車いす使用者が通路で手すりにしがみついているような危険なケースは防止できるのでは。
・スロープを出す場所(停車位置)を少しずらして、歩道と車道との段差がある場所にスロープを出してもらえると、少し傾斜がゆるくなって、乗降しやすくなると思う。
・乗降位置を確認する。
 
表3-6-3  乗降途中や走行中に危険や不安を感じたときに必要な工夫や取組み その3
ソフト(つづき)
車いす固定装置の乗務員の取扱(3件)
・車いすの固定方法等乗務員の教育の徹底が必要。
・車いすの固定装置が置いてある場所や付け方を乗務員にしっかり教えてほしい。
・しっかり固定の仕方を覚えてほしい。
車内放送等アナウンスの活用(7件)
・満員の乗客に「車いすのお客様を押さないで下さい」とアナウンスをしてほしい。
・発進・停止の際には、車内放送で確認をとる。
・車内放送で交通事情、状況で急ブレーキを踏む時があることを周知してはどうか。
・カーブ時ではアナウンス等で必ず声をかけてほしい。
・急ブレーキ時に身体が前につんのめってしまうことを、周りの乗客にも声をかけて知らせたらどうか。
・安全運転と各ポイントでのアナウンス。
・カーブを曲がる時は車内放送をしてもらいたい。
スピードを出さない(4件)
・速度を落とす。
・運行が遅れてもスピードを出さずに運転してほしい。
・車いすの固定装置では、手すりまで手が届かず掴まっていられないので、スピードを上げないこと。
・ゆっくりなスピードで安全運転することを乗務員が常に気をつけることが大切だと思う。
右旋回に注意する(1件)
・ノンステップバス運行管理者がこの危険性を認識し、ノンステップバス乗務員に対して、車いす使用乗客が乗車している場合は、特に、右旋回に気をつけるように指導すべきである。
車いす使用者への理解促進(2件)
・固定に時間がかかるため、他の乗客への迷惑をとても考えてしまう。車いすの乗客が安全のために必要不可欠な行為や時間であることを認知させるためにCMをする等バス会社がキャンペーンをしていくことが大切である。
・介助者等に立っていてもらい、緊急時に踏ん張ってもらっているが、乗車中はずっと立っていてもらわなければならない。そのことによる互いの緊張感、不安感など、精神的不安はとても大きく、バスの利用を控えなければならないと思う時もある。
 
表3-6-4  乗降途中や走行中に危険や不安を感じたときに必要な工夫や取組み その4
ソフト(つづき)
乗務員の教育(9件)
・乗務員の教育(3件)
・乗務員の安全運転教育・訓練の実施。
・乗務員の教育が必要。その場で乗務員に言いたい。
・乗務員への教育(乗降装置の取扱方法、タイムスケジュール調整、安全運転)の徹底あるのみ。
・とにかく乗務員の教育が不十分なので、改善してほしい。
・乗務員の運転の向上及びバスの特性把握。
・心のゆとりを持つ余裕。
当事者を交えた教育(2件)
・車いす使用当事者を交えての研修教育の徹底。
・市バスの課長や部長等と利用者が直で面談するべき。
乗務員の高齢者・障害者への配慮(3件)
・ノンステップバスを運転している自覚がなさ過ぎる。
・乗務員の気づかい。
・お年寄りや障害者も乗せているということを常に自覚して運転するように毎朝、訓示する。
車いす使用者が注意すること(6件)
・バスのスピードや路上の車の流れを確認しつつ、バー等にしっかり掴まっていること。
・急発進・急停止に備えるため、きちんと手すりに掴まって踏ん張るようにする。
・手の不自由な人は、急発進・急停止の際に手すりに掴まって踏ん張れないので、乗務員に出発する前に「安全運転でお願いします」等の言葉をかけたらどうか。
・乗客が近寄って来た場合、遠慮せずに危険を知らせること。
・急ブレーキや急勾配のスロープで危険を感じた時には、その場で指摘、抗議も辞さない気持ちが必要。
・面倒でも乗務員にきちんとマニュアル通り車いすを固定してもらうこと。大丈夫そうな障害者を見ると固定を省略して、簡単な方法で済ます乗務員もいる。障害者も自分に自信があるとそれを受け入れてしまう。


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