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(9)乗務員の接遇・介助の改善点
 「車いすの取り扱い等運転手の教育を充実させてほしい」とする要望が80.2%と最も高く、乗務員の接遇・介助全般にわたるスキルアップが望まれている。
 「できる限り歩道に近づけて停車してほしい(68.3%)」「乗降(スロープの展開)に時間をかけないでほしい(45.5%)」は、後述する自由回答でも指摘されているように、全ての乗務員が歩道への正着、スロープの取り扱いを習熟し、安全かつ適切な介助技術を習得する事が必要である。乗務員が車いす使用者の乗車を認識した事が伝わりにくいため、「到着時に車外放送等で車いすで待っている人への案内をしてほしい」の要望も35.6%あった。
 「車いすの固定に時間をかけないでほしい」は39.6%で、ハードの開発とあわせて、固定装置の取り扱いに関する運行管理責任者から乗務員への教育内容の充実は課題である。
 
図3-13 乗務員の接遇・介助の改善点
回答者数:101人(複数回答)
 
※ここから3ページは、前ページ(9)その他(38.6%、39人)の内訳を整理した。
 
表3-4-1 その他乗務員の接遇・介助の改善点 その1
乗車拒否、無愛想など乗務員の接遇面の改善(20件)
・嫌そうな態度で対応する乗務員がいるので、改善してほしい。(3件)
・障害者に対する乗務員の口調を優しくしてほしい(2件)
・混雑等の理由で乗車拒否をしないでほしい。(1件)
・乗車のとき、乗務員に「通勤ラッシュだから」と言われた。乗務員のマナーを徹底してほしい。
・車いすを乗降させる事を面倒に思う、もしくは表情に出す乗務員がいるが、これはサービス業に従事する者としては不適格であるので、改善してほしい。
・無愛想な乗務員が多い上に、ノンステップバスであるのに乗車拒否をする乗務員が時々いる。
・やさしく声をかけてほしい。
・障害者本人に行き先等を尋ねないで、介護者に尋ねるのは移動主体である障害者を侮辱するのに値する行為と見なさざるを得ないので止めてほしい。
・1人の乗客という意識のない対応、言葉遣い。
・応対が人によって良い悪いの差がありすぎる。気持ちよくというか、普通に乗りたい。
・障害者に対する乗務員の態度が悪い。(2件)
・乗降時に気持ちの良いコミュニケーションがとれるとなおさら良い。
・乗車拒否、バス停にいるのに通過する、事前の電話連絡を強要する等はやめてほしい。車いす対応バスであるのだから一般乗客同様に扱ってほしい。
・乗車拒否はやめてほしい。(乗務員の健康状態を理由に介助をしないと言われた事がある。そういう事はないようにしてほしい。)
・電動車いすで乗車する時に乗務員に「早くして」と言われたことがある。
・スロープの出し方がよく分からない乗務員がいてそのことにいらいらして(舌打ちされたこともあり大変不愉快だった)乗車拒否されたことがあったので改善してほしい。
一般乗客へのアナウンス(2件)
・一般のバスの乗客に車いすの乗降を知らせるために車内・車外放送をした方がよい。
・車内でまず始めに車いす指定シートを用意していただくか、放送を流す等して車いす
スペースのシートに座ろうとしている乗客に声をかけてほしい。
 
表3-4-2 その他乗務員の接遇・介助の改善点 その2
乗務員の増員(1件)
・乗務員の他にもう一人乗務させてほしい。
スロープの取扱方法を習得してほしい(11件)
・スロープの出し入れを知らない乗務員がいるので徹底してほしい。
・スロープの出し方くらい知っていてほしい。客がスロープの出し方を指導しなくてはならないのはおかしい。
・スロープの扱い方法を徹底してほしい。
・スロープの乱暴な扱い。
・バス停に来ると客を降ろす時に車体を傾ける。降りた後、車体を水平に戻さないでスロープを出そうとするため、なかなか出ない。そのため時間がかかってしまう。
・スロープが着地する位置を確認しないまま無理に乗降させる。
・スロープの出し入れが乱暴な場合があるので、静かに展開するよう配慮してほしい。
・スロープの取り付け方を知らないくせに、こちらが指摘すると素直に応じない乗務員がいる。介助者の方がスロープの取り付け方を知っている。
・使用方法(ニールダウン、スロープの固定等)を全くわかっていない乗務員が多い。車いすを使用する上での危険についてもわかっていない。研修をもっと充実させるべきである。
・車いす対応バスについての知識をもってほしい。スロープの出し方やニーリングについての知識がなかったり、スロープを片付けなければバスの扉が閉じないような構造(安全装置)になっていることを知らないため、バスを発進できなかった事があった。
・スロープ展開の操作方法を乗務員がよく把握していないため、乗車に時間がとてもかかるので操作方法の習得を徹底してほしい。
正しい乗降介助を習得してほしい(2件)
・乗務員が基本を知らなかったため、見ていて不安になった。スロープで高齢者の車いすをお腹側から前向きに降ろしたので、高齢者が前から落ちそうになった。
・出発するまでに最高30分かかったりするのをどうにかしてほしい。
スロープの日常点検をしてほしい(1件)
・毎日スロープの出し入れの点検をしてほしい。先日、スロープを出したら戻せなくなるという故障があり、長い時間がかかり、次のバスに乗り換えて移動したことがあった。
バス停に正着してほしい(5件)
・停車は歩道に近づけて歩道と平行にしてほしい。
・歩道の柵と後部乗車口を合わせて止めてほしい。
 
表3-4-3 その他乗務員の接遇・介助の改善点 その3
バス停に正着してほしい(つづき)
・歩道ぎりぎりにスロープがかかるので、スロープが歩道からはずれて、車いすを押している介助者が向うずねをけがした。以後バスには乗らないようにしている。
・柵や植込がある停車位置だと何度も何度もバスを動かすので、時間がかかる。
・停留所の構造が問題。
始発バス停乗車時に一番最初にのせてほしい(1件)
・最後に乗ると車いすスペースに座った人をどかさなければならず、誠に申し訳ないので、始発バス停乗車時に1番最初に乗せてほしい。
固定方法を習得してほしい(2件)
・固定の仕方を理解していない乗務員がいる。
・固定用備品を全く用意していない。
障害者優先に乗車できるよう配慮してほしい(1件)
・車いすスペースの跳ね上げ式の座席は他の乗客が座ってしまう前にまず跳ね上げてほしい。
座席の格納方法を習得してほしい(1件)
・座席の起こし方を知らない乗務員がいる。
介助者が走行中の車いすを支えている場合、固定しなくて良いと思っている(1件)
・ヘルパーがいると乗務員が勝手に固定をしなくてもよいと思ってしまうのが困る。
急ブレーキ、急発進はやめてほしい(5件)
・多くの障害者は、頚椎に負担がかかってはいけない状態にあるので、急停止、急発進は絶対にしないでほしい。
・焦った運転を控えてほしい。
・障害者を乗せている自覚がない。
・急ブレーキ、急発進はやめてほしい。
・車いすはバスの中でとても不安定になるので安全面での配慮を十分にしてほしい。
フリーパスの確認をしっかりしてほしい(1件)
・フリーパスの確認をしっかりと全員にしてほしい。
乗務員の教育を徹底してほしい(2件)
・車いすの取り扱い等乗務員の教育を充実させる際には必ず当事者参画のもとで、実際に即したものにしてほしい。
・技術の向上と保持のために、バス会社には、1人1人が1ヶ月に1度は、研修を受けるような体制を作ってほしい。
その他(1件)
・乗降時バスの乗務員には非常に感謝している。構造的にもっと改善があれば、乗務員も車いす使用者も助かる。
 
(10)車いす固定ベルト(床面と固定)の認知状況、使用経験
 
(1)認知状況
 車いすスペースの床から車いすの下部を3ヵ所、4本のベルトで固定できる事を知っていた車いす使用者は、69.4%である。
 
(2)使用経験
 使用経験者は、全体の44.9%である。
 
図3-14 車いす固定ベルトの認知状況と使用経験
回答者数:98人
 


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