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新規範発見塾 Lecture Memo vol.28

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


これらの予測はみんな進んでいる
 さて、いま言ったような予測は、実はみんな進行中のことなのです。もとから言えば、まず日本は官民ともに海外投資や海外融資を控えるようになりました。貯金するのをやめました。日本の貯蓄率は下がりに下がって、もう世界の中では低いほうになってしまいました。
 それから、働くのもやめました。労働時間の統計を見ると、無茶苦茶休みが増えたのです。三連休なんかが増えました。世界で一番働かない国民は日本。だから「勤勉だ」などと言うが、まあ勤勉かもわからないが、国民総労働時間という統計をつくったら休んでばっかりいる。だから、地下鉄がまもなく倒産すると言っている。新しく地下鉄をつくったけれども、通勤客が全然増えない。黒字になる見込みが全くないと言っています。
 それから、国連強化で債務の取り立てをみんなでやろうというのも努力中です。
 それから、日本は強大な武力を持って海外派兵をする。これはやりかけていますね。防衛庁が防衛省になったのですから。こんなことがほんとうに実現するかと思ったら、あっという間にできてしまった。不思議な国ですね。あっという間に防衛省になって、誰も怒っていません。市ヶ谷に行っても、デモ隊なんて一人もいません。今までわあわあ言っていた人は、いったいどこへ行ったのだろうと思います。みんな賢い。信念を貫くなんていう人はいないらしい。もともと信念はなかったのでしょうね。格好いいと思うから言っていただけなんでしょう。
 ということは、いま声高に言われていることも大体そんなものでしょう。これは非常にいいことだと思います。日本は現実主義の国で、そういうふうにパッパッと変わる弾力性がある。フレキシビリティーがあるというのはいいことです。
 つまり、日本では建前を守り通すなどは、あまり美しいことではない。誰もついてこない。原理原則を立ててやるというのはヨーロッパなんですね。それはキリスト教の考えです。「最後の審判」がありまして、最後は神様がバサッと決めてくださる。それを信じていない人のほうが、今は多いと思いますけれども、そういう伝統から発するセンスとか、常識は今でも生きています。
 最後の審判があるときには、魂が出頭しなければいけません。生きているときの行いを全部、神様が裁く。だから、霊魂というのは不滅であって、同一でなければいけない。霊魂に一つ一つはっきり名前がついていないと、神様は裁判ができないので困る。だから、そのときいい判決をもらって天国へ行こうと思う人は、「これが私の霊魂です。これが私の行いです。あの人と私は違います」と区別を立てて暮らしていないといけない。だから、個人主義になる。個人責任になるわけですね。
 
世の中は複雑怪奇、世界の人はタチが悪い
 ところが、日本人はなるべく隠れていたほうが得だというわけで、「みんなでやりました。私はどちらでもよかったんです」と、そういう生活をしている。すると、こんなに住み心地がいい国になる。現になっています。
 これを壊そうとする人は、共同体の麗しさを壊そうとする人なのです。そこで「日本を個人主義の国にしてしまえば、アメリカと競争条件がイコールになる」とアメリカは考えて、一生懸命壊した。前川レポートがそうですが。そのとき日本人は、個人主義のほうが自由でいいな、勝手でいいなと思った。地域共同体は市役所にやってもらおう。職業共同体は不要。契約通りの賃金で結構。親の面倒なんか見たくない、子供の面倒も見たくないと思った。それでも済むなら、そのほうがラクでいいとみんな個人主義になってしまった。
 それで、今のようになってしまった。家族主義が壊れた。それから、共同体主義が壊れた。まあ、実は壊れていない部分が多いのですが、それはまた話しましょう。
 経済学は、みんな個人主義でできています。一人一人が契約して社会をつくったという前提です。個人というのは神様によってつくられ、自由で、独立で、基本的人権を持っていて、それが契約して社会をつくったから、金持ちと貧乏人がいてもまあ仕方がないや、と、こういう発想からの理論がいまだにある。
 日本人は「そんなばかな」と思いますね。日本の神話を見てください。神様が天からおりてきたときは、もう地面には人間が先にいた。神様が人間をつくったということはない。天照大御神がおりてきたときは、もう人間がいた。天照大御神が人間のまねをして、機(はた)を織ったり、田植えをしたりして働くようになった。だから、一番人間尊重的なのは日本です。こちらのほうがずっといいと思います。
 アメリカで社会科学を習って帰ってくると、人間というのはよくないものだ、ほうっておくとすぐ悪魔の誘惑に負けるものである、という発想になる。この考えはキリスト教ですね。
 一方、人間のもともとの生地は悪くない、というのが神道の考えです。だから、汚れに染まっているのは洗えば終わりである。もう一回当選してみそぎをすれば大臣になれる。向こうはそうはいかない。悪いヤツはもともといるのであって、洗ったぐらいではごまかされない、と考えます。そういう違いがありますから、そこまで考えて国際関係も考えたほうがいいのではないかと思います。
 日本が考えているような麗しい国際親善は、口で言っているだけではだめです。援助を配っているだけでもどうやらだめです。
 だから、やはり原子爆弾を持て。それから、軍事力の海外派兵を必要とあればするぞ、というところを見せて、そのうえでホームステイや留学生とたくさん交流する。両方やらないとダメではないか、ということをわからずにただ金を貸しているのが「債権大国・日本のアキレス腱」です。
 日本のアキレス腱は第一に軍事力を持っていないということで、第二は世界の人はタチが悪いということを知らないことですね。これが二つのアキレス腱です。
 世の中、いろいろと複雑怪奇でありまして、理想どおりにはいきません。どうも、ご清聴ありがとうございました。


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