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新規範発見塾 Lecture Memo vol.28

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


金を借りている国は日本に宣戦布告する
 話を戻して、七番目ですが、債権国と債務国の仲が悪くなって戦争になったとき、周辺の利害関係国はどちらの味方をしますか?
 これも日本と外国とでは一八〇度常識が違います。日本人は、外国は日本の味方をしてくれると思っている。日本が中国に「貸した金を返せ」と言ったら、中国が「返さない」。「では、軍事基地を提供せよ」、「断る」となって日本と中国が戦争を始めたとする。そのとき、周りの国はどっちについてくれますか。日本人は「日本が正しいのだから、味方してくれる」と思うが、それは反対です。みんな中国の側について日本に宣戦布告する。
 日本から金を借りている国は全部、中国にくっついて日本に宣戦布告する。
 そして、とりあえずは国内にある日本の工場を接収し、預金を没収する。そして日本が負けたときは自分の借金はチャラにして、そのうえ日本の財産をみんなで山分けして奪う。中国と一緒になって、山分けをやろうじゃないか。勝ちそうなほうにつく。それだけです。これが国際常識であり、歴史の常識です。前例なら山ほどある。それを言っていると時間がいくらあっても足りません(笑)。
 例えば、第一次世界大戦のとき、ドイツとイギリス、フランスが戦争をした。そのときアメリカは結局、イギリス、フランスのほうにつく。その理由は三つ、高校の世界史の教科書に書いてあります。世界史をとった人、手を挙げてください。いませんか?みんなとっていない。あれは偏差値に不利だから(笑)。先生もあまり教えてくれなかった。しかし教科書にも書いてあるんです。その理由の二番目に「アメリカはイギリスとフランスにたくさん金を貸していた。ドイツには金を貸していなかった」と書いてあります。だからアメリカ中の財閥、銀行、資本家は、イギリスとフランスが勝ってくれと願ったのです。ドイツが勝ったら、自分がイギリス、フランスに貸していた金がパアになる恐れがある。というわけで、「時の大統領ウイルソンにイギリス、フランスのほうへつけと強力なプッシュをした」と高校の教科書に書いてあります。自分が投資した国がかわいい。
 というふうに動くのがお金の世界の論理です。ヒットラーはそれを知っていて、一九三三年に政権をとると、アメリカからの投資を大歓迎した。フォードがそれに乗って工場進出をしたときは、暫時ユダヤ人排撃を中止してアメリカの好意をもっと得ようとした。それがドイツの安全保障になるとわかっていたのです。それから周辺国は武力が強いほうへつく。正義も金の貸し借りもその後であって、まずは勝ちそうなほうへつく。当たり前ですね。これが根本です。
 日本は武士道の教えが浸透しているらしく、正義のほうへつくと言う人がいる。理想主義者は良いが、現実では日本でも何はともあれ勝つほうについたほうがいいんです。
 
世界一貸している日本は、世界で一番立場が弱い国
 その次は、同じことを繰り返して言いますが、周辺国は自分が金を貸しているほうにつく。借りているほうにはつかない――ということからわかることは、日本は世界で一番立場が弱い国だということです。世界中に一番たくさん貸している国、ということは、「早く滅べ」と思われているわけですね。「パアになってほしいな」と思われている。サラ金から借りた人が、サラ金会社がつぶれてほしいと思っているのと同じです。
 たまたま先日、パチンコ屋さんの業者の大会があって、挨拶せよとお呼びがかかったから行ってきたのですが、びっくり仰天したのは、去年の秋からパチンコの売上高が急に半分に減ったという。
 パチンコ屋さんは、昔は何万店もあったのが、今は一応一万五〇〇〇店。店をあけているのが一万三五〇〇店。ますますこれから休業が増えて、一万店を割るだろうというくらいお客が来なくなった。
 「何でそんなに急にお客が来なくなったんですか」と聞いたら、根本的にはギャンブル好きの荒っぽい人が減ってきたらしい。それから、この二〜三カ月、急にお客が減った原因はサラ金が貸さなくなったからだという。グレーゾーン金利の問題がありましたね。サラ金に高い金利を取ってはいけない、と規制したので、一斉にやばい人には貸さなくなった。だから、借りられなくなった人がいて、その人たちがパチンコをしなくなる。
 というと、今までパチンコ屋で派手に使っていたのは、あれはサラ金のお金なんだという荒っぽい話ですね。だから、世の中が健全になったわけで、喜ばなければいけないが、ともかく、そういう人たちはサラ金会社がつぶれてくれることを祈っていますね。こんなことは、ごくごくシンプルな常識を言っているのです。
 同じように、中国にくっついて日本に宣戦布告して、中国が勝ったら自分も戦勝国だと乗り込んでいって、まずは借金チャラ。さらに日本から何か分捕ってやれ、ということになるでしょう。これが国際常識であるということが大前提です。第二次世界大戦のとき、日本はそういう目にあっています。日本に宣戦布告した五〇カ国の大部分は、それまで何の関係もない遠方の国々でした。
 
金を貸す国は軍事大国化するもの
 これから、中前提に進みます。というか、結論をもう一回まとめて言うのですが、その一、海外債権を持つと立場が弱くなる。その二、周辺にも味方がなくなる。つまりこれからの日本外交はほんとうは大変なのです。
 その三、そのとき頼るのは自分の武力だけである。だから、国際化する国は必ず軍事大国になる。なぜか。国際化して金を貸すのだから、金はある。それだけ金を儲けたのだから、技術も生産力も持っている。それを取り立てのほうへちょっと回すわけですね。だから軍事大国になる。金も技術もやる気もある大国ですから、わりと簡単にそうなるわけです。もともとの実力が高いのです。
 そのとき何をするかといえば、昔であれば海軍をつくりました。イギリス海軍が世界の七つの海を回っていたというのは、「取り立て部隊」が回っていたのです。今のアメリカも航空母艦が一〇隻とか一二隻とか、増えたり減ったりしていますが、一隻何兆円もかかるが、減らせということにはなかなかならない。クリントンのとき軍事力をだいぶ減らしましたが、それでも航空母艦は十何隻も持ってあちこちに置いてある。あれは「取り立て部隊」だからです。サラ金の暴力団と同じことですね、根本は。つまりお金をかけても、それに見合う利権が海外にあるということです。
 私がワシントンでスピーチをしたとき、「アメリカはお困りでしょう。日本は今、金が余っているから、原子力航空母艦をつくって、アメリカの海軍には日本から帰ってもらってもいいんです」と言ったら、反応が二つあった。一つは「絶対に帰らない、絶対につくらせない」。もう一つは「おお、いい考えだ。やってくれ。一隻、二隻と言わず、五隻ぐらいつくってくれ。ただし、オペレートはアメリカにやらせろ。アメリカにレンタルかリースせよ」と。「ああ、レンタル航空母艦もなかなかいいな」と思いましたが、そこで言ったのは「アメリカの持っている原子爆弾とバーターしよう。一〇〇発ぐらい貸せ」。
 そう言うと、「話せるやつだ」となる。過激なやつだなどとは絶対言いません。もし「過激なやつだ」と言ったら、「アメリカと一緒だ。どこが過激だ」と言い返せばいい。こういうことをワシントンの日本大使館にいる外務省の人に言うと、みんな逃げてしまう。「なるほど、そうだ。次から自分もそう言おう」とは言わないですね。「日本国のためだ、やれ」と言っても、「もう、帰ってくれ」(笑)。
 さて、国際化する国、特に金を貸す国は軍事大国化します。これは「法則」だと思います。ですから、軍事大国化への階段を上がりたくない人は、ここで横へおりてください。おりる道を申し上げます。その場合には、国際警察とか国際裁判所をうんと強くするというほうへ、その国は行きます。
 つまり、国際社会を共同体として強いものに仕上げる。すると、単独で対処しなくて済みます。それが国連ですね。ですから、北朝鮮で迷惑をこうむっているのは日本ですが、単独では対応しないで、国連決議をとってから対応すると格好がいい。そうすると仲間も増える、という道を日本は選ぶわけです。
 だから、「日本はやたら国連が好きだ」とサッチャーに笑われた。「国連なんて、何の頼りになる。まるで神様みたいに信仰しているが、愚かだ」とサッチャーに言われた。しかし「サッチャーの言うとおりだ。国連の正体はこんなにひどい。私は知っているぞ」と誰も言わない。知っている人はたくさんいるのにもかかわらずとは不思議です。
 だから、日本は言論が不自由な国ですね。誰かが言ってもテレビや新聞は逃げてしまいます。それで、私は自分の本に書く。これが結構、売れるんですね。だから、日本の新聞、テレビには感謝しています。おかげで私の本が売れる(笑)。当たり前のことを書いていて、ともかく何万部か売れる。しかも同じことをこの二十年、何回書いても売れる。これは新聞、テレビが変わらないから、同じことを何回でも言える。だから皆さんもぜひやるといいと思います。けれども、このごろちょっと世の中が変わってきました。世の中が私のほうへ寄ってきた。だから、これは困った、また新製品を出さなければいけないと思っています(笑)。


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