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新規範発見塾 Lecture Memo vol.28

 事業名 基盤整備
 団体名 東京財団政策研究所 注目度注目度5


参議院選挙を意識し過ぎている
 むしろ安倍さんは、人事で失敗するだろうと思います。自民党の中での経験年数が浅いから、友達づき合いが少ない。だから自分の知っている人を集めて大臣にする。それは小泉さんも一緒でした。ただし小泉さんは「自分の言うとおり働け」という強さがあったが、安倍さんはそこがまだないのでしょう。だから集めた人が自分勝手に動きはじめています。そこが違うのかなと思っていますが、こんな話をする予定ではなかった(笑)。
 ともかく、参議院選挙を意識し過ぎていると思います。だから、国民の支持率が下がっているのだと思いますが、ここはひとつお得意の外交で点をとってもらいたい。しかし、外交で何をすべきかということを彼に教える人がどうもいないらしい。外務省に聞くと、事なかれ主義のご説明が上がってくる。防衛省の人に聞くと、アメリカから聞いたことを答えるだけかどうかは知りませんが、どうもアメリカ離れしていません。日本で一番情報をたくさん持っているのは警察です。圧倒的に警察が情報を持っています。でも、外交に関してまでは持っていない。警察は国内向けであって、外交に関して根本的で飛躍的な意見を持った人は少ないでしょう。政治家は自分の再当選が一番の大事です。外交はそれが金ヅルになるかどうかだけです。
 そういう人を集めて、国家安全保障会議を今からつくろうとしているが、ろくなものができるわけがない。組織をつくり、ポストをつくって、予算をむだ遣いするだけで、なんにも情報は集まってこない。それでも断じて参議院選挙の前につくってしまおうというのは、それは偉いと思っています。
 参議院選挙は負けるかもしれないから、今のうちに進めてしまえというのが三つあるわけですね。国家安全保障会議と教育再生会議と国民投票法です。
 防衛庁を防衛省にするのは、あっという間にできてしまいました。これは大変なことですね。誰も反対しないのですから。今まで反対した人はどこに行ったのか。日本人は変化が早いのです。だから、安倍さんは小泉さんのときのように、もっと過激にやってもみんな通ってしまうと私は思っています。
 
借金を踏み倒す国には、軍隊を出し駐留するのが常識
 話を戻しますが、原子爆弾を持つところまで階段を二六段ぐらい上がりなさい、というわけです。「二六段だから、多いことはありません」ということを今から言いたいのです。
 まず、世界の常識と日本の常識とはまるで違っているということを、今から七つ、八つ、言います。
 第一番は、借りた金はなるべく返さない。これが世界の常識です。死んでも返そうというのが日本の常識で、こんなのはほんとうに珍しい。国際金融の話ですよ。国内金融と違います。国際金融の世界を見てください。外国は返さないのが当たり前だと思っています。これが一番目。
 二番。返さないのは国内でもそうなのですが、国際金融は特にそうで、すぐに踏み倒そうとする。理由は、警察も裁判所もないからです。そういう世界へ日本は踏み込みつつある。
 三番。日本政府は外国政府に対して交渉をしない。特に、民間債権の取り立てに関しては逃げてしまう。民間のことは民間でどうぞと言って、大使館も領事館も逃げてしまう。こんな政府は珍しい。外国の政府は一生懸命、民間のでも何でも取り立てに励んでくれます。日本ではかばってくれません。「民間のことは民間で」と言って逃げてしまいます。
 四番。踏み倒す国に対しては軍隊を出すことになっている。こんなのは国際常識です。国家対国家は主権を持っていますが、軍事力に対してだけは言うことを聞く。というのがまずは常識です。戦争をやるかやらないかは別として。
 五番。さらには、駐留することになっている。そこにずっといるぞ、と、実際にそうやっている。お金を借りていると、やがて債権国の軍隊がそこに軍事基地を持つことになる。日本だって昔アメリカから金を借りていたから軍事基地があるのです。今は貸しているのだから、「帰れ」と言えばいいのです。むしろ「きちんと返済するかどうか心配だ」と言って、日本がアメリカに軍隊を駐留させていい。
 こんなのは国際関係論の常識、イロハのイです。これを日本で言うと「正気ではない」と思われます。ワシントンで言うと「そうだ」と言います。ちょっと変わった日本人がいるようだから、ご意見を聞こうと、ワシントンにいたときアメリカ人が集まってきた。もっとも、これはアメリカ人の中でもちょっと変わった人です。「ワシントンにいるのは、あれは変な人たちだ」と田舎のアメリカ人はそう言っています。
 そういう人たちに私が「アメリカは日本に国債を売りつけて、とめどもなく日本から借金をしている」と言ったのは二十年前のことです。当時は対日貿易赤字と円からドルヘの資金環流が大問題でした。その象徴は日米自動車戦争で、アメリカの自動車会社が倒産に瀕していた。それは労働者をきちんと訓練しないからで、故障車が続出でした。それで、アメリカ国民は日本の自動車を買うようになってしまった。
 これはアメリカの国内問題であって、フォードでもGMでも経営者が自分の社員をきちんと納得させればいいのに、それをしないでワシントンヘ来て「日本をやっつけろ」と言う。クライスラーのアイアコッカが有名ですね。すると、アメリカ政府がそのとおり動く。ホンダやトヨタにアメリカヘ来て部品を買えとか、工場をつくれと言う。アメリカ国民のしつけをトヨタにやってくれと言っているわけです。こんなバカな話があるかということですね。
 日本も「そんなバカなことが、あるか」と言いながらも、結局それをやるが、それで日本の金がアメリカにたくさん落ちる。その上、アメリカの国債も大量に買ったが、これをきちんと返してくれるかどうか。
 というときでした。そこで私が言ったのは「やがてアメリカは返さなくなる。日本は取り立てるために、ホワイトハウスと国会議事堂の間の空いた土地に『債権取り立て回収機構』のビルディングを建てる。それに何という名前がつくか知っていますか。『イエローハウス』と言うんですよ」と話すと「おもしろいやつが来た」と言って喜んでいます。怒らない。「理屈で言えばそうだ」と思うからです。まさかそうはならないと思っていますが、理屈はそうです。ホワイトハウスの隣にイエローハウスが建つ。オーバーでおもしろい、それからユーモアもある、という反応です。これを日本で言っても、新聞、雑誌は載せてくれません。仕方がないから自分の本に書く(笑)。
 まずイエローハウスが建って、次に日本の軍隊がアメリカに駐留する、と言うとみんなびっくりするが、アメリカがもっと小さい国ならそうなるのです。別に珍しい話ではありません。
 
国際金融は必ず軍事交流になっていく
 六番目。アメリカが軍隊の駐留を認めない、となると、日本は自然にもう金を貸さなくなる。心配ですからね。すると、向こうは困る。それで結局、「どうぞ、いてください」になるのです。だから、国際金融をやっていると債権大国はだんだん軍事大国になってしまいます。債務国は軍事基地を提供し、債権国は軍隊を海外派遣するようになる。取り立て力を持ったバクチ場の経営者や高利貸しの話が小説によく出てきますが、それと同じです。
 当たり前のことを言っているだけです。珍しくも何ともない。もし、これを避けようとするなら、その前に保障占領という前例がある。担保をとる話です。
 例えば、第一次世界大戦が終わったとき、負けたドイツはフランスに対して賠償金を払うと約束した。しかしドイツが最後まで払うかどうかわからないから、フランスはルール地方の一部、工業地帯の一番活発なところに軍隊を入れた。「これは侵略でも占領でもない、担保にとっただけだ。ドイツがきちんと払えば、いずれ軍隊は引き上げる」とフランスは主張しました。そういう保障占領という前例があるわけですね。
 「日本はもっと国際化せよ」と皆が言うが、アメリカが「金を貸せ」と言うならどこかを保障占領しなければいけない――とまで考える人はいない。私はワシントンで「保障占領しようかと思うが欲しいところがない。担保のとりようがない」と言いました。なぜかといえば、日本はまずは石油が欲しい、天然ガスが欲しい。ところが、これは戦略物資だから日本へは輸出しないし、もちろん担保には出さないと言っている。
 「日本国民に『アメリカへ行って何を買いたいか』と聞けば、『石油と土地と女だ』と言うだろう――そのころですよ。今は女性は要らないと言うでしょう――。アメリカはそれを出すか?」と言ったら、みんな笑っていましたが。それ以外に欲しいものはない。あるとすれば軍事力です。アメリカの軍事力を買って、日本に置いておいて、「きちんとやれよ」と言えばいい。これは担保をとっているようなものです。
 ということに現在アメリカは気がついて、グアム島まで逃げて帰ろうとしているわけですね。そう考えるとわかりやすい。
 ともかく信用限度を越えて借金を重ねるのなら、担保を出せ、担保がないんだったら軍隊を出すぞ、と言うとアメリカ人は笑っているし、日本人も笑っていますが、この調子で行けばそうなります。相手がアメリカだから、みんなびっくりするが、もっと小さい国なら不思議はない。
 担保もとらずにシベリアに行って、一〇〇〇億円も二〇〇〇億円も投資し石油を掘ったりするから没収されるのです。三井物産は前にも同じ目にあっている。そのとき三井物産がしたことは、元通産次官を副社長にするということです。通産省の命令でイランに石油化学工場をつくったんだから、通産省の力でイランから取り返してこい。しかし、そんな力が通産省にあるわけはない。そういう前例があるにもかかわらず、またまたサハリンで同じ失敗をしている。日本人は大変お人よしですね。三井物産の歴史にはきちんと書いてあるのかどうか。会社がつぶれかけたほどの話です。そういう教訓が全く残っていないというのは不思議なものです。終身雇用のはずなのに変です(笑)。みんな忘れてしまうんですね。日本は日進月歩です。ほんとうにおもしろい。


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