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資料3
インシデントプロセス法
 
メリット
(1)事例提出者は批判されず、たくさんのアイデアをもらうことができ、仲間に支えられる体験ができる(次回から、自分の事例を取り上げてほしいという人が出やすくなる)
(2)偉い人の話を聞かなければならないという雰囲気でなく、自分が当事者になっていろんなアイデアが出せる雰囲気で仲間作りをする機会になる
(3)アイデアを提供したことを感謝される機会 など
 
欠点
(1)深い洞察力ある専門家による根本的な解決方法を聞く(スーパーヴァイズを受ける)というものではないので、消化不良的なものが残ることがある
 
手順
(1)ルールの説明
・事例提出者は、プライバシーを守り個人名は伏せること
・事例提出者のために、アイデアをたくさん提供するためにする事例検討であること。誰か偉い人が「こうするというもんだ」というコメントをして終わりという方法ではないこと
・ありきたりのアイデアは、もう既に試しているだろうから、少し突飛でも構わないのこと。参加者が自分のこととして一緒に考えてくれる体験の機会というくらいに考えること
・事例提出者に対して、「〜〜をしていない」「〜〜はおかしい」という言い方はしない、あくまで「自分ならこうする」という言い方をすること。批判めいたコメントに対しては、司会者から「改めて、自分ならどうするかという主旨で発言してください」というルール確認コメントが出される
・時間制限を設け、必ず40分から1時間で終わること
・検討メンバー数人にならなかった周りのギャラリーは、途中での発言はしない。最後に司会から求められてからアイデアを補足する発言をすること
 
(2)メンバーの選出(事例提出者、司会、書記、検討メンバー数人)
・事例提出者は家族でも担任でも良い、具体的な事例場面があること
・司会は、検討の流れを時間制限の中で枠付けし、批判発言に対して注意する(ことができる人)
・書記は、発言の要旨を板書する(できるだけ、ぱっと見てわかるように書ける人)
・検討メンバーは、数人(今月生まれの人とか、血液型が事例提出者と同じ人とか、姓がカ行の人など、ここで仲間意識が芽生えることもある)にする(多すぎると時間がかかりすぎる)
・メンバーにならなかった人はギャラリーとなり、発言は求められるまでしないで観客となって見守る(5分)
 
(3)事例の提出:事例提出者は、みんなにアイデアをもらいたい事例について、概要とアイデアが欲しい状況などを説明する(5分から10分くらい)
 
(4)情報の収集:検討メンバーは、自分が担当者として解決のためのアイデアを考えるために知っておきたい情報をマナーに沿って尋ねる(10分から15分くらい)。司会は、批判的なコメントが出ないようにコントロールする。
 
(5)視点とアイデアの提供:検討メンバーは、自分なら当事者としてこういうふうに対応してみるというアイデアを発表する。発表は挙手の早いもの順。前の人と同じアイデアは禁止(とすることによって、様々なアイデアが出るし、先を競って発表しようという雰囲気になって盛り上がります)。司会者は事例提出者のメリットになるように、いろいろなアイデアが出るように促す。必要に応じて、ロールプレイやシュミレーションなどその場で実演するのも良い。(10分から15分くらい)
 
(6)ギャラリーからの補足アイデア:黙って見守っていたギャラリーから、自分ならこういうアイデアもあるというアイデアを発言しても良い時間。上と同じく、事例提出者に対する批判は禁止。(5分くらい)
 
(7)事例提出者がコメント:みんなのアイデアを聞いて、まずはお礼。参考になったアイデアを発表し、取り組みへの抱負を語る。(3分)
 
(8)おしまいの儀式。司会から今日の検討内容についてまとめをする。(2分)
 
資料4
実習台本
 
台本 1: 学校への不満
 
 「自閉症も他の子も変わらないですよ」と言って、集団の型にはめ込もうとされ、子どもが学校に行きたくないと言うようになりました。障害に対して理解してほしいという家族の願いを先生に伝えるためには、どうしたらよいでしょうか。
A)地元保育園に通い、療育機関に通っている6歳アスペ女子の家族として
B)養護学校に通い、療育機関にかつて通っていた小3自閉男子の家族として
 
台本 2: 成人期の当事者から
 
 あなたの勧めてくれたどの相談窓口に行っても、「現状ではどこもあなたのような人の相談にのるところはないですよ」と言われて、だんだんイライラしてきてしまいました。親の会としてきちんと活動をしないのが良くないのではないですか。
A)専門学校に通う20歳アスペ男子本人として
B)いったん就労したが、やめて今は在宅の37歳アスペ女子本人として
 
台本 3: 自分より年上の人から
 
 子どもはすでに成人期で施設入所しているが、兄弟にこれまで負担をかけないようにしてきたが、自分も体力が弱くなってきたので、そろそろ兄弟に任せていく部分も増やしていきたいと考えています。どうしたものでしょうか?私よりも若い世代のあなたに聞くのは気が引けるのですが。
 
台本 4: 親の会の仲間同士の問題で
 
 同じ親の会に所属している○○さんは、いつも例会といっても仲の良い仲間とおしゃべりしているだけで、子どもが他の子のものを取ったり、他の子が嫌がっているのに大声を出しても、とめないのがとても気になります。しょうがないと私は達観できません。何とかしてください。


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