目標とするソーシャルスキル
(a)人と一緒に何かすることを楽しめる
(b)相手の反応を読み取れる
(c)状況を読み取れる
(d)コミュニケーション
(e)自己コントロール
高機能自閉症スペクトラム障害(ASD)への対応の基本
●一人ひとりで異なる面があることを前提として、対応の仕方を工夫すると共に他の子どもと比較しない
●わがままと障害との区別が困難な部分があるのも事実だが、すべてをわがままと決めつけずに対応する
●本人が自立的に行動できるように課題や環境設定などに配慮して自己効力感を持ちやすくする
●何をしたらよいか、また何をしてはいけないかが明確になるようにめりはりの利いた指示をして、不必要な叱責を避ける
●否定的な表現を減らして、望ましい行動を教えるようにする
高機能自閉症スペクトラム障害(ASD)への対応の留意点・1
●本人の行動が場面や関わる人によって大きく異なり得ることを念頭に置いて実態を把握する
●プライドを尊重して“子ども扱い”をし過ぎない
●これまでの経験から自信を失って投げやりになったり被害的に受け取りやすくなっていることもしばしばあるので、本人の長所をほめると共に、これから少しずつがんばっていけばよいと伝えて前向きな気持ちを持てるようにする
●不安な気持ちが行動として表れることも念頭において振り回されずに受けとめる。本人を安心させると同時に、初めに枠組みを明確にしたり今後の見通しを伝えたりする
高機能自閉症スペクトラム障害(ASD)への対応の留意点・2
●周囲からどのような行動が期待されているかについて、当然分かっているはずと決めつけずにきちんと説明する
●“屁理屈”を述べ立てたり相手の気持ちを逆なでするような発言をしたりして尊大に見えても、腹を立てない。本人に理解しやすい論理展開を心がけながら、相手の気持ちに合せた適切なふるまい方について説明する
●適切な要求の表現の仕方などを伝えて量低限必要なコミュニケーションがとれるようにする
●独特のこだわりや感覚の過敏などから時に突如として混乱することがあるが、慌てたり力で押さえつけようとしたりせず本人が安心できるように対応する
●周囲に大きな迷惑のかからない日課へのこだわりや興味の偏りについてはおおめにみる
自閉症における薬物療法の位置づけ
●薬物療法は対症的である
→自閉症そのものを治すのではなくて自閉症に伴う精神・行動上の問題を軽減して、治療・支援全体がより有効になることを目指す
薬物療法に伴う幅広い利益と危険性とのバランスを検討することも必要である
精神科薬物療法
(1)向精神薬
(1)抗精神病薬(強力安定剤)
・定型 ・非定型
(2)抗不安薬(緩和安定剤)
(3)抗うつ薬
・三環系 ・四環系 ・SSRI ・SNRI
(4)気分安定薬(感情調整薬)
(5)中枢刺激薬
(6)睡眠薬 多くはベンゾジアゼピン系である
(2)その他
・抗てんかん薬あるいは抗けいれん薬 など
抗精神病薬
幻覚・妄想に対する薬物
●定型:従来から使用されている薬物であり、ドパミンという神経伝達物質の活動を抑える作用がある。
幻覚・妄想を軽減する作用が強い薬物:ハロペリドール(セレネース(R)など)、ピモジド(オーラップ(R))など
不安や興奮を鎮静する作用が強い薬物:クロルプロマジン(コントミン(R)など)、プロペリシアジン(ニューレプチル(R)など)など
●非定型:セロトニンなどドパミン以外の神経伝達物質にも作用する新しい薬物である
リスペリドン(リスパダール(R))、オランザピン(ジプレキサ(R))など
抗うつ薬
うつ病、うつ状態に対する薬物
●三環系
イミプラミン(トフラニール(R))、クロミプラミン(アナフラニール(R))など。夜尿やAD/HDに使用されることがある
●四環系
●選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI):
フルボキサミン(デプロメール(R)、ルボックス(R))、パロキセチン(パキシル(R))、セルトラリン(ジェイゾロフト(R))
うつに加えて、強迫性障害(フルボキサミン、パロキセチン)、パニック障害(パロキセチン、セルトラリン)、社会不安障害(フルボキサミン)に有効とされる
●セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):
ミルナシプラン(トレドミン(R))
抗うつ薬、特にSSRIとSNRIについて、18歳未満のうつ病では抗うつ効果に比して自殺衝動の増加の度合いが大きいとして慎重な使用が求められている
気分安定薬
気分障害、特に双極性障害(いわゆる躁うつ病)に対する薬物
衝動性や攻撃性に対する効果も期待される
感情調整薬ともいう
炭酸リチウム(リーマス(R))
カルバマゼピン(テグレトール(R)など)、
バルプロ酸(デパケン(R)など)
(この2剤は抗てんかん薬でもある)
中枢刺激薬
メチルフェニデート(リタリン(R))、ペモリン(ベタナミン(R))
正式には、
ナルコレプシーと難治性うつ病、遷延性うつ病に対する薬物
チックは禁忌、6歳未満の小児は原則禁忌
AD/HDの約2/3で何らかの行動の改善をもたらす
効果の発現は比較的速やか
自閉症スペクトラム障害(ASD)にAD/HD症状を伴う場合に一定の効果をあげるが、典型的なAD/HDよりも有効率が低く、興奮などの副作用が起きやすいという。特に知的な遅れが重い場合は不適当なことが多い
なお、現在、メチルフェニデートの除放剤を申請中
その他の薬物
抗不安薬
緩和安定剤ともいう
主にベンゾジアゼピン系:
ジアゼパム(セルシン(R)など)、
ブロマゼパム(レキソタン(R)など)、ロラゼパム(ワイパックス(R)など)など
ベンゾジアゼピン系以外ではタンドスピロン(セディール(R))など自閉症で大量に使用すると脱抑制のためかえって行動が悪化することがあるので、注意を要する
睡眠薬
ベンゾジアゼピン系が多い
クロニジン(カタプレス(R))
降圧剤だが、チックや衝動性に有効という
漢方薬など
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