アスペルガー障害
A: 二つ以上で示される対人的相互作用の質的障害
1)対人的相互反応を調節する非言語的行動の障害(目と目で見つめる、顔の表情、体の姿勢など)
2)仲間関係を作れない
3)楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有できない(他人の興味あるものを見せる、指差すなど)
4)対人的または情緒的相互性の欠如
B: 行動、興味および活動の限定された反復常同的な様式で、以下の一つ以上を満たす
1)異常なほど常同的で限定されたことにだけ興味をもつ
2)特定の習慣や儀式に頑なにこだわる
3)常同的で反復的な衒奇的運動(手足をぱたつかせたり捻じ曲げる、複雑な全身の動き)
4)物体の一部に持続的に集中する
スペクトラムとしての自閉症
1)三つ組(三つの障害)
i)人との相互交渉
ii)コミュニケーションの障害
iii)想像力の発達の障害
・結果として生じる、「狭く硬い反復的な活動や興味のパターン」
・三つ組は、単独でも、他の障害と合併しても生じる
・知的障害のどのレベルでも生じる
病因
本当の病因については、分かっていない
1)心因論
2)原因と医学的症状
3)自閉症と染色体
4)二次的症状
心因論
カナーの報告:
自閉症の両親は、知的レベルが高く、真の暖かさにかけ、強迫的性格である
その後の報告:
自閉症児の両親と正常児の両親では有意の差はなかった
原因と症状
(1)言語認知障害
・知的レベルに一致しない言語発達の遅滞と逸脱がある
・その結果として自閉などの他の症状が出現する
・その根底に脳の障害を考える
・その後、言語・認知の障害と自閉の諸症状はともに脳の障害から生じるとされた
(2)感覚の過敏
・脳のシステムの障害
・情報の処理・操作の困難
・視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など
・感覚刺激から意味を取り出すのが困難
(3)集中力の欠如
・目的のない多動
・情報処理の困難
・指向性注意の障害
(大切なものとそうでないものを区別する)
(刺激への注意の配分を決める集中過程)
(注意の持続過程)
(4)視覚と聴覚理解の乖離
・ITPAによる認知のバラツキ
・知覚入力過程の障害
・自閉的視覚行動・・・立体視の欠如
(横目遣い、指間凝視、点滅凝視、照準現象など)
・自閉的聴覚行動
(耳ふさぎ、爪掻き音など)
二次的症状
(1)変化への抵抗
(2)スケジュールの障害
(3)コミュニケーションの障害
(4)瞬間想起現象
(1)変化への抵抗
・環境への順応困難
・常同行動との関連
・同一性保持との関連
・次の行動への移行困難
(2)スケジュールの障害
・時間の概念の存在
・時間的順序の記憶・活用の困難
・開始と終了の理解
・予測の困難
(3)コミュニケーションの障害
・言語能力との関連
・社会的技能、象徴化、感情表出、感情読み取りの困難
・聴覚的表示よりも視覚的表示
・対人的スキルの乏しさ
・集団参加の困難
(4)瞬間想起現象
・受動的、自生的記憶想起
・タイム・スリップの存在
・時に言語開始前後に遡る
・周囲からの理解困難
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