海上は交通戦争
近年、海上を航行する船舶が高速化しウミガメにとって大きな脅威となっています。海面付近で生活するウミガメは、船を避けきれず衝突したりスクリューに巻き込まれる事故が急増しているようです。死んだウミガメの甲羅が大きく損傷している様子からも容易に推測ができます。割れた甲羅を背負ったまま産卵に訪れる母ガメを目にすることもあります。
死んで漂着したオサガメ。このカメもポリ袋などを食べていた。
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アカウミガメの死体から出てきたプラスチックのパイプ
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ゴミに苦しむカメ
ウミガメの主食は甲殻類や魚、クラゲ、海草などです。これまで海に漂う物はほとんどが彼らの食物でした。
海洋汚染が進み太平洋の真ん中でさえポり袋やプラスチック類が漂うようになりました。野生生物たちには、これらがエサと見えてしまうのです。多くのウミガメが人間の出したゴミを食べて死んでいます。
甲羅が砕かれて死んだアカウミガメ
海面近くで生活するウミガメが、船舶に接触したり、スクリューに巻き込まれたりする。
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ウミガメも窒息死
死んで漂着したアカウミガメを解剖すると食道や胃にイワシなど小魚がたくさん詰まっていたことがあります。普通ウミガメがこれほど大量に魚を捕らえるのは不可能。イワシの群を追って漁網に迷い込んだカメが網の中の小魚をむさぼるうちにそこから出られなくなったものと考えられます。
肺呼吸のウミガメは1〜2時間おきに水面に出て息継ぎしなければ窒息してしまうのです。こうした事故は世界的にも頻発しカメの脱出装置の付いた網の使用が義務づけられている国もあります。
広範囲の保護対策を
卵の盗掘や産卵地の減少、海洋汚染などウミガメを取り巻く環境は多くの問題を抱えています。各地で行われているウミガメ保護は大半がボランティアによる陸上の活動です。海中でカメを襲う問題には何の対策もなされていません。彼らを絶滅から救うためには、ウミガメの生息地を広範囲に守る必要があります。法律や保護体制の強化など国による対策が急がれています。
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