日本財団 図書館


 
 1988年7月15日、遠州灘海岸に体長2.1m、体重250kgもある大きなウミガメが死体となって漂着しました。近海では、ほとんど見ることのないオサガメです。調査の結果、お腹から34枚以上ものポリ袋など(下表参照)が出てきました。人間の出したこれらのゴミを食べてしまい消化できずに胃や腸に詰まらせてしまったのです。
 クラゲ類を好んで食べるオサガメは海面に漂うポリ袋などを本来のエサと見分けることができなかったのです。
 外洋に棲むオサガメでさえ、こうした被害に遭うのです。目のとどかない海の中がいかに汚れてしまっているかを物語っています。
 未消化物の中には、あきらかに日本製とわかるものがいくつもありました。
 
 
●オサガメのお腹に詰まっていた物
分類 サイズ(cm)
1 透明ポリ袋 20枚 15×14、17×25、2.5×15、19.5×8.4、14×5、28×44、9.0×30、35×41、11×30、32×32、35×28、41×30、35×25、20×8、25×37、20×15、12×18、18×28、5×6、28×10、
2 乳白色ポリ袋 2枚 37×40、10×7、
3 灰色ポリ袋 1枚 30×30、
4 茶色ポリ袋 1枚 18×9、
5 青色ポリ袋 1枚 30×30、
6 透明シート 5枚 25×45、10×10、32×32、12×7、30×28、
7 不定形シート 4枚 12×3、13×7、7×3、8×7、
8 アルミ片 1個 4×2、
9 木片 2個 6.5×2、4×1、
10 小枝 2個 13、17、
11 テグス 少々
12 小石 1個
13 その他
 
オサガメ
 
 体長2.5m、体重800kgにもなる最大のウミガメです。硬い甲羅を持たず、脂質の背中にタテ5本の隆起線があるのが特徴です。
 最も外洋に適したカメで赤道を中心に世界各地で観察されていますが、生態はあまり知られていません。産卵地では卵が根こそぎ食用として採られ続け、最も絶滅に近いウミガメです。食肉用としたり、油を採るために捕獲される事もあります。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION