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III 防除作業実施時における危険範囲設定テーブルの作成
1 目的
 本業務は、海上災害防止センターが作成したHNSデータベースに記載されている有害液体物質について、物質毎に流出量、風速、気温等の条件を設定して大気拡散の状況を推定し各物質毎の危険範囲設定を行うためのテーブルを作成するものである。
 
2 概要
 本業務の作業概要を以下に示す。
(1)危険範囲設定のためのテーブルの作成作業
 米国海洋大気庁(NOAA)及び米国環境保護庁(EPA)が作成した化学物質拡散シミュレータソフトウェア「ALOHA*」の日本語化を行い、「日本語版ALOHA」を用いて、国内で輸送されている有害液体物質毎に流出量、風速、気温等の各条件下における大気拡散状況の推定を行い、各物質毎・条件毎の危険範囲設定のためのテーブルを作成した。
 
(1)「ALOHA」化学物質データベースの登録
 テーブル作成の対象とする化学物質について、「ALOHA」の化学物質データベースへの情報登録を行った。
 
(2)「ALOHA」ロケーション情報の登録
 「ALOHA」での大気拡散状況推定に、地理的な位置情報を設定する必要があるため、「ALOHA」ロケーションデータベースへ東京都の位置を仮設定した。
 
(3)推定結果出力図の作成
 化学物質、流出量および気象条件毎に、「ALOHA」での大気拡散状況推定のための入力条件ファイルの作成を行い、各入力条件での「ALOHA」上で大気拡散状況推定の計算を実施し、出力図を取りまとめ、危険範囲設定のためのテーブルを作成した。
 
*) ALOHA(Areal Locations of Hazardous Atmospheres):
 危険化学物質の大気拡散予測シミュレーションソフトウェア。
 米国海洋大気庁(NOAA: National Oceanic & Atmospheric Administration)、および米国環境保護庁(EPA: U.S.Environmental Protection Agency)の開発。
 
(2)危険範囲設定のためのテーブルの作成に使用するためのALOHA日本語化作業
 「ALOHA」プログラムについて、オリジナル(英語版)の日本語化作業を実施した。これにより物質の性状が分れば拡散シミュレーションが日本語で可能となる。
 
(1)「ALOHA」プログラムの日本語化
 「ALOHA」プログラムについて、使用されている用語の日本語への翻訳を行い、プログラムの再構築を行った。実施方針として、計算結果がオリジナルプログラムと差異が出ないよう、内部機能に係わる変更は一切実施せず、入力画面および出力画面に関しての用語、および全角文字への対応処理の変更のみを行うものとした。
 
(2)「ALOHA日本語版」の動作確認
 オリジナル(英語版)と作成した日本語版プログラムに、作成したテーブルを双方に入力し、同一の出力結果が出るか確認を行った。
検証結果として、図III-1 オリジナルと日本語版の拡散予測結果比較例に示す通り、同一の拡散予測結果が得られた。
 
図III-1 オリジナルと日本語版の拡散予測結果比較例
 


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