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3.4 底質試料採取操作(採泥)
3.4.1 採取操作前の準備
(1)採取にあたっては試料採取計画に基づき、調査目的を十分に理解し、目的に合致した試料が得られるよう調査地点を代表する試料を採取する。
(2)使用する試料採取器具は予め調査地点の水(バケツ等で採取)で2、3回共洗いを行う。ただし海面に油膜が生じていたり著しく汚染していると判断される場合、もしくは緊急を要する場合は共洗いを行わず、採泥器は水中に投下後、中層で2〜3度上下させることで共洗いに替える。
 直前の採取地点における採取作業により器具類が著しく汚染した場合など、必要に応じて共洗いの代わりにポリタンクで携行した水道水を用いて汚れを落とす。
(3)試料容器は採取直前まで栓を外さず、採取が完了したら速やかに密栓する。
(4)試料採取地点のおおまかな水深を把握する。水深20〜30m以下の場合は、錘付メジャー等を用いて水深を計測する。
 
3.4.2 試料採取操作
 海域(沿岸)での海底泥の採取は、調査地点において船上から作業を行う。採泥はスミスマッキンタイヤ型採泥器を用いて行う。
 以下にその手順を示す。
(1)スミスマッキンタイヤ型採泥器にロープがしっかり結んであるか確認する。
(2)採泥器本体を静かに水中へ投入する。
(3)採泥器が水面に到達したことを確認した時点で、ロープの目盛により手すりから水面までの距離を読み取り、記録する
(4)水底に到達する3〜5m手前で、採泥器の投下を一旦止め、そこから採泥器を自由落下させる。
(5)ロープの緩みにより水底へ到達したことが確認できたら、ロープがピンと張るまで引き上げ、ロープの目盛で手すりから水底までの距離を読み取り、手すりから水面までの距離を差し引いた数値を水深として記録する。
(6)採泥器を船上まで引き上げ、採泥器内の水や小石ごと試料をバット内に取り出す。温度計を採泥試料に差し込んで泥温を測定し、記録する。
(7)少しずつ場所を変え、採泥操作を3回以上繰り返す。ただし緊急を要する場合は1回の採泥操作で直ちに以下の試料調整を行う。採泥回数を記録する。
(8)バット内の異物(礫、小石、木片等)をショベルで除去する。
(9)試料を均一に混合する。
 
 採取した試料は速やかに性状等を観察・測定する。項目は色、堆積物、夾雑物、泥温、試料の状態(砂、泥の別)とする。
 
・外観は、泥の色や質を観察し、簡潔に記録する。
・泥の色は「褐」「黒」「灰」「緑」等の色と、「濃」「淡」を組み合わせて簡潔に表現する。写真の撮影も行っておくとよい。
・泥の質は、「泥」「砂泥」「砂」「れき」等に区分し、貝殻や生物の混入具合等も記録しておく。
 
(10)調製が終了した試料をショベルで試料容器へ移し入れる。
(11)蓋部より水漏れのないことを確認し、試料容器の外側の汚れを拭き取って冷暗所(保冷剤を入れたクーラーボックス)に保存する。
 
3.4.3 試料採取量
 底質の試料採取量は余分な水、夾雑物などを除去した状態の底質で試料容器(500ml)に9割程度を目安とする。
 ただし、誤って満杯にした場合は試料を捨てることはせず、そのまま静かに密栓する。
 
3.5 水質試料採取操作(採水)
3.5.1 採取操作前の準備
(1)採取にあたっては試料採取計画に基づき、調査目的を十分に理解し、目的に合致した試料が得られるよう調査地点を代表する試料を採取する。
(2)調査対象のHNS物質が浮遊性物質の場合は表層水をバケツで採取する。
(3)調査対象のHNS物質が海水溶解性(もしくは比重が海水と同等の物質)の場合は、ニスキン型採水器を用いて試料を採取する。
 この場合の採水層は、災害発生の流出源深度等から判断して適切な採水水深を設定する。適切な採水水深が判断しにくい場合は、原則として表層下1m層で採水を行うこととする。
(4)流出したHNS物質の浮遊性物質・海水溶解性(もしくは比重が海水と同等の物質)の区分について判断する。この判断が困難な場合は、バケツによる表層水採水とニスキン型採水器による採水の両方を行うものとする。
(5)使用する試料採取器具は予め調査地点の水(バケツ等で採取)で2、3回共洗いを行う。
 ただし海面に油膜が生じていたり表層水が著しく汚染していると判断される場合は共洗いを行わず、ニスキン型採水器は水中に投下後、中層で2〜3度上下させることで共洗いに代える。直前の採取地点における採取作業により器具類が著しく汚染した場合は、必要に応じて共洗いの代わりにポリタンクで携行した水道水を用いて汚れを落とす。
 バケツで表層の試料を採取する場合は、採取した水を1〜2度捨ててから、試料の採取を行う。
(6)試料容器は採取直前まで栓を外さず、採取完了後速やかに密栓する。
 
3.5.2 採水容器(バケツ)による表層試料採取操作
 海域(沿岸)での試料採取は、調査地点において船上からステンレスバケツを用いて作業を行う。
 以下にその手順を示す。
(1)採水バケツの取っ手にロープがしっかり結んであるか確認する。
(2)採水バケツを静かに水中へ投入する。
(3)採水バケツが着水したら2〜3度ロープを上下させ、容器内に充分な表層水が入ったことを確認する。
 目視による確認が困難な場合は、ロープの緩みにより採水容器が水面へ到達したことが確認できたら、2〜3度ロープを上下させてロープを引き上げ、容器に充分な重みがあることが確認できるまで、この操作を繰り返す。
(4)採水バケツを船上に引き上げ、水温を測定し記録する。
 採取した水を、ステンレス製ロートをセットした試料容器(サンプル瓶)に少量注ぎ入れ、試料容器の中を静かに濯いで廃棄し、共洗いする。サンプル瓶の共洗いは2〜3度繰り返す。ただし試料に油膜が生じている場合は共洗いを行わない。
(5)共洗い後に残った水は廃棄し、再度採水操作を繰り返す。
 大きなゴミや生物の死骸、枯れ葉等が入った場合は、採水をやり直す。試料の中にゴミ等が入ると腐敗分解し水質に影響が出るので、少なくとも試料容器の中に入らないように、スパチュラ(へら)等を用いて取り除く。
 再度の採水操作が困難な場合は、共洗い後残った試料を混合用スパチュラ等を用いて撹拌し、均一に混合する。
(6)共洗いしたサンプル瓶に、採取した水を静かに注ぎ入れ、直ちに密栓する。
(7)蓋部より水漏れのないことを確認し、試料容器の外側の汚れを拭き取って冷暗所(保冷剤を入れたクーラーボックス)に保存する。
 
3.5.3 試料採取量
 水質の試料採取量は試料容器に9割程度(容器の肩口まで)を目安とする。
 ただし、誤って満水にした場合は試料を捨てることはせず、そのまま静かに密栓する。
 
3.5.4 ニスキン型採水器による試料採取操作
 海域(沿岸)での試料採取は、調査地点において船上からニスキン型採水器を用いて作業を行う。
 以下にその手順を示す。
(1)ニスキン型採水器にロープがしっかり結んであるか、メッセンジャーの投下に障害となる結び目等がないことを確認する。
(2)採水器を静かに水中へ投入する。
(3)採水器が着水し採水器の上部まで水に浸かったことを確認した時点で、ロープの目盛により手すりから水面までの距離を読み取り、記録する
(4)そのまま静かに採水する水深まで採水器を降ろし、ロープをできるだけピンと張った状態で、メッセンジャーを投下する。
(5)メッセンジャーの投下を確認したら、その場所で2〜3度採水器を上下させてから船上に引き上げ、採水器の上下をしっかり抑えてこぼさないように注意しながら、2〜3度転倒混合する。
 採取した水をステンレス製ロートをセットした試料容器(サンプル瓶)に少量注ぎ入れ、試料容器の中を静かに濯いで廃棄し、共洗いする。試料容器の共洗いは2〜3度繰り返す。
(6)採水器を再度密閉し、上下をしっかり抑えてこぼさないように注意しながら、2〜3度転倒混合する。
 共洗いした試料容器に、採取した水を静かに注ぎ入れ、直ちに密栓する。水質の試料採取量は、採水容器(バケツ)を用いた採水と同様、試料容器に9割程度(容器の肩口まで)を目安とする。
(7)残った水に温度計を投入し、水温を測定し記録する。
(8)蓋部より水漏れのないことを確認し、試料容器の外側の汚れを拭き取って冷暗所(保冷剤を入れたクーラーボックス)に保存する。


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