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(2)窒素
 窒素は、懸濁態有機窒素、溶存態有機窒素そしてアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素+硝酸態窒素(以下、硝酸態窒素とする)の4形態とし、アンモニア態窒素と硝酸態窒素が植物プランクトンに摂取される。
 また、植物プランクトンの細胞内の窒素は、呼吸及び枯死によって懸濁態有機窒素、溶存態有機燐及びアンモニア態窒素や硝酸態窒素になる。さらに、溶存態有機燐及び懸濁態有機燐は、温度依存によって分解され、溶存態無機燐に回帰する。
a. 懸濁態有機窒素
 懸濁態有機窒素は、植物プランクトンの枯死による回帰と溶存態有機燐への分解、そして沈降によって表す。
 懸濁態有機燐(PON:mgN/l)の時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、FCpon: 植物プランクトンの枯死による懸濁態有機窒素回帰率、BPr: 最適水温時の枯死(被食)速度(/day)、e: 自然対数、T: 水温(℃)、Topt: 最適水温(℃)、ANC: 植物プランクトンの窒素と炭素量比(gN/gC)、KTbpr: 枯死に係わる水温係数(/℃)、Kpon: 溶存態有機燐への分解速度(/day)、KTbp: 分解に係わる水温係数(/℃)、Svpon: 懸濁態有機燐の沈降速度(m/day)である。
 
b. 溶存態有機窒素
 溶存態有機窒素は、植物プランクトンの枯死や呼吸による回帰と懸濁態有機窒素の分解による増加と、そして無機化による減少で表す。
 溶存態有機燐をDON(mgN /l)とすると、DONの時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、FCdon: 植物プランクトンの枯死による溶存態有機窒素回帰率、ANC: 植物プランクトンの燐と炭素量比(gN/gC)、BMr: 最適水温時の呼吸速度(/day)、e: 自然対数、KTbmr: 呼吸に係わる水温係数(/℃)、T: 水温(℃)、Topt: 最適水温(℃)、BPr: 最適水温時の枯死(被食)速度(/day)、KTbpr: 枯死に係わる水温係数(/℃)、Kpop: 溶存態有機燐への分解速度(/day)、KTbp: 分解に係わる水温係数(/℃)、Kdon: 溶存態有機窒素の無機化速度(/day)である。
 
c. アンモニア態窒素
 アンモニア態窒素は、植物プランクトンの枯死による回帰、有機物の無機化、底泥からの溶出による増加と、植物プランクトンの摂取による減少で表す。
 アンモニア態窒素(NH4:mgN/l)の時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、FCnh4: 植物プランクトンの枯死によるアンモニア態窒素回帰率、ANC: 植物プランクトンの窒素と炭素量比(gN/gC)、BPr: 最適水温時の枯死(被食)速度(/day)、KTbpr: 枯死に係わる水温係数(/℃)、T: 水温(℃)、Topt: 最適水温(℃)、Pnh4: 植物プランクトンの窒素摂取時のアンモニア態窒素優先率、Pm: 最適環境下での増殖速度(/day)、f(T): 水温制限関数、f(I): 光制限関数、f(N): 栄養塩制限関数、Kdon: 溶存態有機窒素の無機化速度(/day)、KHont: 硝化に係わる溶存酸素量の半飽和定数(mgO2/l), KHnnt: 硝化に係わるアンモニア態窒素の半飽和定数(mgN/l)、FLXnh4: 底泥からのアンモニア態窒素の溶出速度(/day)である。
 
d. 硝酸態窒素
 硝酸態窒素はアンモニア態窒素の硝化と底泥からの溶出による増加と、植物プランクトンによる摂取と脱窒素による減少で表現する。
 硝酸態窒素(NO23:mgN/l)の時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、Pnh4: 植物プランクトンの窒素摂取時のアンモニア態窒素優先率、ANC: 植物プランクトンの窒素と炭素量比(gN/gC)、Pm: 最適環境下での増殖速度(/day)、f(T): 水温制限関数、f(I): 光制限関数、f(N): 栄養塩制限関数、KHont: 硝化に係わる溶存酸素量の半飽和定数(mgO2/l)、KHnnt: 硝化に係わるアンモニア態窒素の半飽和定数(mgN/l)、NTM: 最適水温時の硝化速度(/day)、KHodoc: 溶存態有機炭素の分解に係わる溶存酸素量の半飽和定数(mgO2/l)、Kdoc: 溶存態有機炭素の分解速度(/day)、AANOX: 呼吸による炭素消費に対する脱窒素率、KHndn: 脱窒素に係わる硝酸の半飽和定数(mgN/l)、FLXno23: 底泥からの硝酸態窒素の溶出速度(/day)である。
 
(3)リンの変化量
 リンは、懸濁態有機リン、溶存態有機リンそして無機態リンの3形態とし、無機態リンが植物プランクトンに摂取される。
 また、植物プランクトンの細胞内のリンは、呼吸及び枯死によって懸濁態有機窒素、溶存態無機窒素及び無機態リンの3形態になる。さらに、溶存態有機リン及び懸濁態有機リンは、温度依存によって分解され、無機態リンに回帰する。
a. 懸濁態有機リン
 懸濁態有機リンは、植物プランクトンの枯死による回帰と溶存態有機リンへの分解、そして沈降によって表す。
 懸濁態有機リン(POP:mgP/l)の時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、FCpop: 植物プランクトンの枯死による懸濁態有機リン回帰率、BPr: 最適水温時の枯死(被食)速度(/day)、e: 自然対数、T: 水温(℃)、Topt: 最適水温(℃)、APC: 植物プランクトンのリンと炭素量比(gP/gC)、KTbpr: 枯死に係わる水温係数(/℃)、Kpop: 溶存態有機リンへの分解速度(/day)、KTbp: 分解に係わる水温係数(/℃)、Svpop: 懸濁態有機リンの沈降速度(m/day)である。
 
b. 溶存態有機リン
 溶存態有機リンは、植物プランクトンの枯死や呼吸による回帰と懸濁態有機リンの分解による増加と、そして無機化による減少で表す。
 溶存態有機リン(DOP:mgP/l)の時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、FCdop: 植物プランクトンの枯死による溶存態有機リン回帰率、APC: 植物プランクトンのリンと炭素量比(gP/gC)、BMr: 最適水温時の呼吸速度(/day)、e: 自然対数、KTbmr: 呼吸に係わる水温係数(/℃)、T: 水温(℃)、Topt: 最適水温(℃)、BPr: 最適水温時の枯死(被食)速度(/day)、KTbpr: 枯死に係わる水温係数(/℃)、Kpop: 溶存態有機リンへの分解速度(/day)、KTbp: 分解に係わる水温係数(/℃)、KHp: 植物プランクトンのリン摂取に係わるオルトリン酸態リン濃度の半飽和定数、Kdop: 溶存態有機リンの最低無機化速度(/day)、Kdpalg: 植物プランクトンの無機化に係わる定数(ms3/gC/day)である。
 
c. 無機態リン
 オルトリン酸態リンは、植物プランクトンの枯死による回帰、有機物の無機化、底泥からの溶出による増加と、植物プランクトンの摂取による減少で表す。
 オルトリン酸態リン(PO4:mgP/l)の時間変化は次式の様になる。
 
 
 ここで、FCpo4: 植物プランクトンの枯死によるオルトリン酸態リン回帰率、APC: 植物プランクトンのリンと炭素量比(gP/gC)、BPr: 最適水温時の枯死(被食)速度(/day)、KTbpr: 枯死に係わる水温係数(/℃)、T: 水温(℃)、Topt: 最適水温(℃)、Pm: 最適環境下での増殖速度(/day)、f(T): 水温制限関数、f(I): 光制限関数、f(N): 栄養塩制限関数、KHp: 植物プランクトンのリン摂取に係わるオルトリン酸態リン濃度の半飽和定数、Kdop: 溶存態有機リンの最低無機化速度(/day)、Kdpalg: 植物プランクトンの無機化に係わる定数(ms3/gC/day)、FLXpo4: 底泥からのオルトリン酸態リンの溶出速度(/day)である。


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