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8 特別海域及び特に敏感な海域の特定及び保護
特別海域として南アフリカ南部水域の早期かつ効果的な実施
 
8.1 当委員会は、MEPC 54が改正MARPOL附属書Iの特別海域として南アフリカ南部水域の指定に合意し、改正MARPOL附属書Iの第11規則11項の特別海域に関する修正案を承認したことを想起した。
 
8.2 当委員会は、修正が議題5の下で採択されたこと(5.19項)、MARPOL条約第16条の修正手順に従って、特別海域に関するMARPOL附属書Iの改正が2008年始めまで発効しないことを銘記して、加盟国政府及び業界団体に任意で直ちに特別海域の要件を遵守すること、特に、特別海域が未発効の間、油タンカーに南アフリカ南部水域で貨物タンクの洗浄を控えることを要求している、文書MEPC 55/8/1の附属に含まれた回章案を承認した。当委員会は、事務局に可能な限り早期に回章(MEPC.1/Circ.543)を配布することも指示した。
 
8.3 INTERTANKOからのオブザーバーは、提案された回章を支持し、特別海域が未発効の間、メンバーに特別海域の要件の遵守を促すと述べた。
 
PSSA提案見直し書式
 
8.4 当委員会は、MEPC 53が、総会が決議A.982(24)の下で採択した、特に敏感な海域の特定及び指定のためのガイドライン(PSSAガイドライン)の見直しを最終化したことを想起した。当委員会は、MEPC 54が、改正PSSAガイドラインによる重要な変更に応じたMEPC.1/Circ.510として回章された、PSSA提案のIMOへの提出のためのガイダンス文書の改正文書を承認したこと、及びPSSA指定のためのMEPC決議の統一書式も承認したことを銘記した。(MEPC 55/21、附属11)
 
8.5 当委員会は、米国が提案したPSSA提案見直し書式案(MEPC 55/8、附属)を審議した。文書を説明して、米国代表団は、見直し書式がPSSA提案のしっかりした見直しを促進し、改正PSSAガイドライン(A.982(24))を満たすと述べた。
 
8.6 当委員会は、米国の提案を審議し、会議場からの意見を考慮して、わずかな改正を加え、附属20に記載された、PSSA提案見直し書式を承認した。
 
ガラパゴスPSSAに関するNAV 52の結果
 
8.7 当委員会は、MEPC 53が決議MEPC.135(53)によりPSSAとしてガラパゴス諸島を指定したこと及び総会が第24会期において総会決議A.976(24)により関連保護措置として“避けるべき海域”を採択したことを想起した。これに関連して、当委員会は、文書MEPC 55/8/2に含まれたPSSAに関するNAV 52の結果、特に、MSCが採択を招請された、新しいガラパゴス特に敏感な海域における強制船舶通報制度(GALREP)をNAVが承認したことを銘記した。当委員会は、PSSAへ入域及び出域している船舶、並びにガラパゴス諸島内へ入港する船舶のための2件の強制通行分離方式の実施のため、NAV小委員会がエクアドルに審議のため同小委員会の将来の会期に提案の提出を促したことも銘記した。
 
トレス海峡PSSAの水先制度
 
8.8 当委員会は、MEPC 53が決議MEPC.133(53)によりグレートバリアリーフPSSAの拡大としてトレス海峡を指定したことを想起した。これに関連して、当委員会は、トレス海峡の水先制度並びに2006年10月6日から発効のオーストラリア及びパプアニューギニアのトレス海峡における強制水先の導入に関してシンガポール代表団が表明した懸念に関する、文書MEPC 55/8/2/Add.1に含まれPSSAに関するNAV 52の結果を銘記した。
 
8.9 文書MEPC 55/8/3を紹介して、共同提案者BIMCO、INTERTANKO及びINTERCARGOの代表として、ICSからのオブザーバーは、トレス海峡の環境の脆弱さを認める一方、その生態系と航海困難さが、特に、大型船の通航と関連され、トレス海峡の水先制度に関連してオーストラリア政府が発行した水路通報8/2006を懸念する、と述べた。ICSからのオブザーバーは、MEPC 53が検討の後会議の一致した見解を反映するための発行された米国の声明を含めたことを想起し、当委員会に本件の理解を再度断言することを招請した。要求により、ICSの声明は、附属21に添付された。
 
8.10 ICSの文書MEPC 55/8/3の紹介に続き、議長は、歴史的に、当委員会が“勧告する”の語句で始まる運用上の項目で決議を採択する時、同項目の内容は勧告の性質である;それゆえ、異なる解釈によりMEPCが採択したすべての決議の見直しを余儀なくさせると述べた。議長は、当委員会にこのことを当委員会が勧告として採択している決議MEPC.133(53)に関しても合意することを要求した。当委員会は、決議MEPC.133(53)が勧告の性質であるとする議長に合意した。
 
8.11 当委員会での検討に続き、オーストラリアは、議長の見解に合意する、しかし、文書MEPC 55/8/3のすべての点には合意しないと述べた。
 
8.12 シンガポール代表団は、決議MEPC.133(53)が勧告の性質であるとする当委員会の決定の委員長の総括に合意すると述べた。そういうものとして、シンガポール代表団は、決議MEP.133(53)が国際航海に使用される同海峡又は他の海峡を通過する船舶の強制水先のための国際法に基づいたものではないと繰り返した。それゆえ、シンガポールは、オーストラリアに当委員会で到達した理解に従って水路通報8/2006及び16/2006の立場を見直すことを強く促した。要求により、シンガポールの声明は、附属22に添付された。バハマ、チリ、中国、キプロス、ギリシャ、インド、イラン、イスラエル、イタリア、日本、ラトビア、リベリア、マーシャル諸島、ナイジェリア、ノルウェー、パナマ、韓国、ロシア、タイ、英国及び米国代表団が同声明に参加した。
 
8.13 これに応じて、オーストラリア代表団は、附属23に記載された、声明を作成した。ニュージーランド及びパプアニューギニアが同声明に参加した。
 
8.14 デンマーク代表団は、オーストラリアの取組を支持し、特に、適切に敏感な海域へ強制水先制度を導入した措置を支持した。デンマーク代表団の声明は、附属24に記載された。
 
8.15 キプロス代表団は、シンガポールの声明を支持する一方、“国際航海に使用される海峡の強制水先”が現在国際法の法的骨子の範囲外であり、加えて、トレス海峡でのその様な制度の導入が他でも行われるという結果について深く懸念すると述べた。ギリシャが同声明を支持した。
 
9 受入施設の不備
9.1 当議題項目の下で2件の文書:西ヨーロッパの海ゴミと廃棄物受入施設に関する文書MEPC 55/9(国際地球の友);及び港湾の受入施設の行動計画案に関するFSI 14の結果を報告している文書MEPC 55/9/1(事務局)が当委員会に提出された。
 
海ゴミと受入施設
 
9.2 文書MEPC 55/9を紹介して、国際地球の友は、西ヨーロッパの海ゴミ及び廃棄物受入施設の状況に関する調査の結果を説明した。同文書は、海洋投棄が広く行われていること、及び、西ヨーロッパでさえ、港湾の受入施設の十分さが懸念されることを指摘している。同文書は、海事産業における船員及び他の仕事の間で海ゴミの影響の自覚を高めることが最終的にゴミのない海洋への効果的で追加された方法となると結論付けている。
 
9.3 バヌアツを含む、多数の代表団は、文書MEPC 55/9で国際地球の友が作成した勧告及び海事産業における船員及び他の仕事の間で海ゴミの影響の自覚を高めることの必要性を支持した。これに関連して、当委員会がMARPOL附属書Vの見直しを審議する際、文書MEPC 55/9の附属に含まれた船外に投棄された廃棄物のリストを全員の心に留めることが提案された。
 
9.4 当委員会は、関連したEU Directive 2000/59の実施の結果港湾の受入施設の十分さの問題に取り組んでいる欧州委員会による進捗を銘記した。当委員会はさらに、関連した問題に取り組む際に経験を共有するとしたEUによる申し出を銘記した。
 
9.5 当委員会は、国際地球の友が提供した情報に評価を表明した。
 
港湾の受入施設のための行動計画
 
9.6 当委員会は、当議題項目の下で受入施設に関するFSI 14の結果(MEPC 55/10/2、2.15項及び2.16項)で2件の行動項目を審議した。
 
9.7 港湾の受入施設のための行動計画案に関して、当委員会は、MEPC 52が受入施設の不備に取り組むための行動計画を作成するために問題地域の明示を意図した提案を招請したことを想起した。当委員会は、港湾受入施設のフォーラムが港湾の受入施設の使用を高めることへの着手に関してMEPC 53へ情報を提供したことも想起した。
 
9.8 当委員会はさらに、MEPC 53の結果を基に、事務局が多数の作業項目を明示した港湾の受入施設の不備に取り組むための行動計画案を作成したことを想起した。そして、各項目は、背景、情報、完了目標日及び作業に責任を有するIMO機関が含まれている。FSI 14は、検討の後、行動計画案に合意した。(FSI 14/19、13.6項)
 
9.9 当委員会は、文書FSI 14/19の附属11に記載された行動計画案を承認した。地域的配置を認めるためのMEPC決議の作成の提案に関する行動項目“5.1−規定事項−受入施設のための地域的配置を確立するためのガイドラインの作成”に関して、当委員会は、文書MEPC 55/9/1で提供された情報を銘記した。
 
9.10 これに関連して、当委員会は、MEPC 44が、決議MEPC.83(44)で、2000年3月に港湾廃棄物の受入施設の十分性を確保するためのガイドラインを採択したことを想起した。5.15項及び5.16項は以下の様に述べている:
 
“5.15 地域ごとの港湾廃棄物管理計画は、それを船舶が廃棄物を海洋へ排出することの動機付けのないことを確実にする方法で実施する場合、解決策となる。その様な地域計画の作成において、関連する船舶の決められた廃棄物保管能力が入港までの間廃棄物を保つのに十分であることを達成しなければならない。その様な計画は、国家間の緊密な協力を要求する。
 
5.16 地域計画で個々の港湾における廃棄物受入施設の十分さを判断して、MARPOL73/78の締約国は、地域内ですべての船舶のすべての廃棄物を陸揚げする能力に特に配慮する必要がある。”
 
9.11 当委員会は、決議MEPC.83(44)がすでに地域的配置の問題のガイダンスとなっていることを認め、関連したMARPOL規則が各国に受入施設の提供を要求していること及び地域的な配置が現在のMARPOLの要件に反する可能性のあることの事実からして十分な港湾の受入施設を提供するMARPOLの義務を満たしていると地域的配置を認めるためのさらなるMEPC決議を採択することが適切でないことに合意した。にもかかわらず、その様な適切な地域的配置の便利さを認め、当委員会は、それをMARPOL条約の要件を考慮して受入施設を提供するための措置を認めることに合意し、加盟国にいかにしてこのような地域的配置をより良く制度化することが可能であるか当委員会の将来の会期に見解を提出することを要求した。


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