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4 船舶からの大気汚染の防止
MARPOL附属書VIの状況
 
4.1 当委員会は、MARPOL附属書VI“船舶からの大気汚染防止のための規則”を含むMARPOL 73/78の1997年議定書が、2006年6月26日に、世界の総商船船腹量に対する割合の約70%に相当する、36ヵ国となり、MEPC 54以降国数及びトン数双方で十分な増加となったことを銘記した。議長は、他の加盟国にも批准を促した。
 
4.2 当委員会はさらに、世界中の多くの地域で大気の品質問題への船舶排出の寄与率が増大しているという事実及びMARPOL附属書VIに見られる現在の基準を超える十分な改良を可能とする種々の技術改良が存在することは広く知られているという事実のため、MEPC 53は、MARPOL附属書VIの全般的な見直しを行うこと及び2007年の業務完了目標としてBLG小委員会の作業計画に含めると合意したことを銘記した。
 
4.3 当委員会は、BLG 10が実際の見直し作業を開始したこと及び技術的作業を行うため作業部会を設置したこと及び会期中に非常に生産的な開始をしたこと、しかし、業務の多さ及び複雑さのため並びに2007年の完了目標を考慮して、2006年11月13日〜17日に、ノルウェー、オスロで開催する会期間会合を計画したことも銘記した。
 
硫黄分監視
 
4.4 当委員会は、MEPC 45以来燃料油の世界的平均残留硫黄分監視計画がオランダ及び多数の加盟国の指導及び不完全な基金の下で試験的に実施されてきたこと及びMEPC 52がIMO予算の下での恒久的な基金の設立のため理事会への働きかけを合意したことを想起した。第93回理事会は、本件を審議し、2006年1月1日以降監視計画を継続するため事務局に必要な資金を割り当てることに合意した。
 
4.5 当委員会は、文書MEPC 55/4/1でオランダが提供した情報、特にほぼ90%のサンプルが硫黄分1.5〜4%m/mの間であったことを銘記した。ほぼ50%が2〜3%m/mの間であった。79,592件のサンプルの内の219件(0.3%)が硫黄分4.5%m/m以上であった。2004年の7件に対して5件のサンプルが硫黄分5%以上であった。
 
4.6 当委員会は、2003年、2004年及び2005年に測定された燃料の平均残留硫黄分により現在5回目の結果を表す平均値を示したことも銘記した。最初の平均値は1999年、2000年及び2001年のデータに基づき、参考値を2.7%として設定した(ガイドライン5項)2003-2005年の3年間の平均値は2.7%であった。前回2002-2004年の3年間の平気値は、2.67%であったので、わずかに増加している。
 
4.7 当委員会はさらに、ガイドラインが、年間のいつでも3年間の平均値が参考値を0.2%超えた場合(6項)、MEPCは船舶からのSOxを削減するさらなる措置の必要性を検討しなければならないと規定している。このことは、2005年の間は起こっておらず、当委員会は、この段階でさらなる措置をとらないことに合意した。
 
4.8 当委員会は、2006年及び今後硫黄分監視はIMO事務局が実施することを銘記し、2006年1月1日以降IMOの通常予算の下での硫黄分監視計画の継続に関して事務局が提供した情報(MEPC 55/INF.6)及び油検査会社が契約に署名したことを銘記した。
 
4.9 当委員会は、今回はオランダが硫黄分監視計画の結果を提示する最後の機会であることを銘記し、当委員会は、オランダに5年間の試行期間に行った優れた業績に感謝及び満足を表明し、重要な情報と共に事務局に提供した試行計画の成功に経済的貢献をした加盟国(デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン及び英国)に評価を表明した。
 
排気ガスSOx洗浄システムのための洗浄水基準
 
4.10 当委員会は、MEPC 53が排気ガス洗浄システム(EGCS)のためのガイドラインを採択したことを想起した。そしてそれは、生態系に影響を与えないことを証明しない限り、廃液を閉鎖された港湾で排出してはならないと規定している。
 
4.11 当委員会は、MEPC 53がEGCS-SOx洗浄水に関するより具体的な勧告及び基準を将来作成するべきであることに合意したこと及び加盟国にこの問題に関する情報のMEPC 54への提出を招請したことを銘記した。MEPC 54は、同会期に情報の提出がなかったこと、しかし、数カ国の加盟国が現在進行中の試行及び開発についての情報を提供したことを銘記した。それゆえMEPC 54は、同招請を延長し、本件を今会期で再検討することに合意した。
 
4.12 当委員会は、文書MEPC 55/4/5(英国)及びMEPC 55/4/8(フィンランド及びノルウェー)を審議して、その様なガイドライン又は基準を採択することが機器の製造者並びに沿岸国及び寄港国の双方に重要であることに合意した。当委員会は、洗浄水基準に関する2件の提案を共同提案として統合した非公式会合を開催したという、英国、フィンランド及びノルウェーが提供した情報を銘記した。当委員会は、大気汚染作業部会に、可能であれば今会期での審議及び採択のため、基準を定めるガイドライン案を最終化することを指示した。
 
停泊地における船舶のための陸上供給電源の標準化
 
4.13 当委員会は、MEPC 54が港湾における船舶の陸上供給電源接続の標準化に関するドイツ及びスウェーデンからの提案(MEPC 54/4/3)を審議したことを想起した。MEPC 54は、陸上供給電源接続の標準化が産業界にとって有益であること、しかし、いかなる決定を行う前にもより多くの情報及びさらなる調査が必要であることに合意し、事務局に関連する国際及び政府間組織と連絡を取り、今会期に報告することを指示した。
 
4.14 事務局からの報告書(MEPC 55/4/6)に加え、当委員会は、同報告書に関して意見を述べた提出文書である、MEPC 55/4/13(スウェーデン)及びMEPC 55/4/10(IMarEST)を審議した。
 
4.15 当委員会は、ISOが停泊地における船舶の陸上供給電源の標準化に関する作業部会を設置したこと及び当委員会に進捗に関する最新の情報を送付すると約束したことを銘記した。
 
4.16 数カ国の加盟国は、船舶の基準に関連した電気技術的文書を作成することはISOではなくIECの権限であり、IMOは適切にIEC基準の規定を継続するべきであると指摘した。
 
4.17 当委員会は、IMarESTがISO及びIECの間で進行している作業に参加したこと及び同機関の文書で焦点をあてた技術及び安全の問題を強調する予定であるとの同機関が提供した情報を銘記した。
 
4.18 当委員会は、世界的な標準が海運界に有益であることに合意し、その様な標準の最終化を歓迎した。しかしながら、当委員会は、解決するべき技術的な問題がまだあること及び当委員会がMARPOL附属書VIに含めるためのいかなる決定も、標準の最終化まで待つべきであることに合意した。
 
MARPOL附属書VI及びNOxテクニカルコードの統一の解釈に関するBLG 10の決定
 
4.19 当委員会は、BLG 10がMARPOL附属書VI及びNOxテクニカルコードの実施並びに関連した実施の問題に関する8件の統一の解釈(UIs)に合意し(MEPC 55/10-BLG 10の結果。3.15項;及びBLG 10/19、附属13)、附属8に記載されたUIsに合意し、事務局にMEPC.1/Circ.540としてそれらの発行を指示した。
 
SECA適合証書の標準書式
 
4.20 当委員会は、MEPC 53が、決議MEPC.130(53)により、船上における排気ガス−SOx洗浄システム(EGCS-SOx)のためのガイドラインを採択したことを想起した。ガイドラインの目的は、MARPOL附属書VIの第14規則(4)(b)の要件への適合を確保するためその様なシステムの設計、試験、検査及び証書のための要件を特定することである。同ガイドラインは、各EGCS-SOx装置にSECA適合証書を発給することを要求している。しかしながら、ガイドラインに添付された証書の標準書式はない。
 
4.21 文書MEPC 55/4/9(事務局)を審議した後、当委員会は、ガイドラインの統一の解釈の目的のため及び特に寄港国監督を促進させるために、ガイドラインに標準証書書式を添付するべきであることに合意した。当委員会は、大気汚染作業部会にSECA適合証書を承認のため最終化することを指示した。
 
船舶からの温室効果ガス排出に関連する事項
 
4.22 当委員会は、総会が、決議A.963(23)により、“船舶からの温室効果ガス排出削減に関するIMOの政策と実施”を採択したことを想起し、当協会が実施するべき同決議からの課題がまだあることを銘記した。
 
4.23 当委員会は、化石燃料の燃焼からの温室効果ガス排出を原因とする気候の変化が多くの国で着々と懸念を増大させていること、及び科学者がより多くの関連する証拠を発見したことを銘記した。地球温暖化からの驚異は、あまりにも重大で無視できない、また、海運産業は、環境にやさしくかつ燃料効率の良い輸送方式であるが、行動を起こさなければならない。IMOは、決議A.963(23)の中で、算定された気候変化の影響は、GHG排出の源の一つを構成する国際海運からの排出を制限又は削減するための措置の実施を要求していることを認めた。
 
決議A.963(23)へのフォローアップ
 
4.24 当委員会は、MEPC 54がMEPC 54への文書による報告書でカバーされていない進捗状況に関して、大気汚染作業部会議長岡村敏氏(日本)による口頭での報告及び文書による報告書を同部会の議長による報告書の形式で今会期へ提出したこと(MEPC 55/4)を銘記した。当委員会は、同部会議長の報告書、特に決議A.963(23)の2(b)項で求められているとして、添付された作業計画案を予定表とともに審議した。
 
4.25 当委員会は、当委員会が総会決議のすべての行動項目に従うべきであること及びIMOが世界的、地域的又は国家的レベルでの単独行動を防ぐため指導的な立場を維持するべきであることに合意した。MEPCは、国際海運のためのGHG戦略及びメカニズムの作成の指揮及び他の関連する国連組織と緊密な協力を継続しなければならない。
 
4.26 当委員会は、作業計画の中の数件の課題が厳しいものであること及び成功が加盟国及びオブザーバーの積極的な参加に大きく左右されることを銘記した。当委員会は、第一の主要な課題が効率の点からのCO2排出ベースラインのための方法論の審議である。さらに、同作業は、機関ばかりではなく海運産業全体にとって最も重要であり、イメージを改善し環境保護及び気象学的に重大な挑戦であることを世界に示すことが必要である。同作業には、産業界、加盟国及びオブザーバーのすべての分野からの専門家を必要とするため、当委員会は、すべての関係者にその様な専門家が人間及び環境の検討の利益の結果となるこの重要な作業に携わることの確保を招請した。
 
4.27 当委員会は、附属9に記載された作業計画案を予定表承認し、加盟国政府に船舶からのGHG排出の制限又は削減を達成することを必要とした必要なメカニズムの特定及び作成の目的で、同作業に真剣に参加することを招請し、事務局に適切に編集上の変更を行うことを指示した。


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