船舶リサイクリング作業部会の報告書
3.27 当委員会は、同部会が、時間的な制約を考慮して、各問題の検討前に各文書の紹介を行わず、代りに検討中に各文書を紹介すると決定したことを銘記した。同部会は、時間不足のため同部会で検討できない問題に関する文書を後の検討、例えば次回の通信部会、又は次回の作業部会会合、での検討のため保持することに合意した。
条約案の文書のさらなる作成
3.28 当委員会は、第3条に関連して、同部会が条約適用の400GTの下限の引き上げ及び規則B-I-4により現在予想される安全構造証書に反するとして、国際油濁防止証書とリサイクリング証書との一致を検討したことを銘記した。同部会は、本件を扱う最善策としての最終結論には至らなった、しかし、安全構造証書の関連の全部をスクエアブラケットで囲むことに合意した。
3.29 しかしながら、当委員会は、条約の下限を500GTに引き上げに既に合意したことを想起し、船舶リサイクリング条約の証書を他の条約と一致させないとの明確な選択も銘記した。
3.30 当委員会は、国内でのリサイクリングを意図している純粋な国内海運を含めることにより、主管庁の膨大な作業及び負荷を引き起こす結果となるとした代表団の懸念も銘記した。
3.31 当委員会は、付録1に含む制限物質のリストに関連する日本が作成した提案の同部会の合意を銘記し、文書MEPC 55/3/8を基に同部会次回会合へ付録1の完成した案を提出するとした日本の意志を銘記した。当委員会は、同部会が長時間に渡り新物質をリストに追加するための規則B-I-1に特別の規定を設けるべきであるかを検討し、規則B-I-2の規定で十分であると合意したことも銘記した。
3.32 危険物質一覧表に関して、当委員会は、同部会が新造船及び既存船のインベントリーの作成は異なる審議であると認めたことを銘記した。新造船のインベントリー作成に関して明確化された具体的な問題はない一方既存船については3件の主要な問題が明示された:
.1 既存船のインベントリー必要性の正確なレベルを定義することの困難さ;
.2 既存船のインベントリーの規定の時期;及び
.3 危険物質の検査に携わる人員の安全。
これに関連して、米国は、既存船のインベントリーの規定の時期を扱っている規則B-I-4(2)の文書の代案を提案した。そして、それは、検討及び数カ国の支持の後、スクエアブラケット付きで条約案に導入された。
3.33 当委員会は、同部会が条約のための必要な検査の問題に関する日本の基本的な立場を検討したことを銘記した。検討の後、文書は修正された、しかし調査のためスクエアブラケットをそのままとした。
3.34 当委員会は、ILOオブザーバーが船舶リサイクリング活動に従事する陸上労働者を含むすべての労働者に適応する職業上の安全及び健康に関する種々のILO条約及び勧告に注意を促している、国際労働機関の理事長からIMOへの2通の書簡に同部会の注意を促したことも銘記した。同氏はさらに、職業上の安全及び健康問題に関するILOガイドライン並びに特に、出版物“船舶解体の安全と健康:アジア諸国及びトルコのためのガイドライン”に注意を促した。ILOは、現在のIMO条約案ではILO権限内の事項がこれまで考慮さていていないことを懸念し、それゆえILOオブザーバーは、現在の提案された条約案がこの地域に関連したILOの義務及び他の文書に影響を与え駄目にする可能性があると述べた。同氏は、ILO条約の適応される締約国による、義務又は解釈に先入観又は矛盾をなくすためIMO条約案がILO基準と完全な一致の確保が重要であることを銘記した。同氏は、同氏が同部会並びに引き続く本件に関する他のIMO会合及び通信部会への提出を変更する予定である一定の変更を保持していた。
3.35 当委員会は、規則C-1に関して、ILOオブザーバーが同部会に、ILOガイドラインの具体的な参照を行うべきである及び、IMO条約に批准する各国を拘束するガイドラインを作成することなく、同文書が船舶リサイクリング施設における安全及び健康に関するガイダンスの第一の情報源としてこれらのガイドラインを言及することが可能であると提案したことを銘記した。日本が、C章の規則に示された参照テーブル並びにILO及びバーゼル条約ガイドラインの一致する規定を含み、船舶リサイクリングに関する完全なガイドライン案を提案された同部会の会期間会合へ提出する意志を同部会に通知した時に同部会で広範囲な議論が行われた。同部会は、日本の提案を評価及び歓迎し、プレナリーで作成された決定を考慮して、条約の文書にILOのガイドラインの参照を作成しないことを決定した。さらに当委員会は、多数の代表団がガイドラインの起案に関する日本の作業を支援するため援助及び専門知識の提供を申し出たことを銘記した。
3.36 当委員会は、“加盟国が許可した船舶リサイクリング施設は、環境及び人間の健康に関する有害な影響を減少、最小化及び最終的には取り除く管理システム、手順及び技術を確立すること”と記載された規則C-3(1)の最初の文を、安全及び健康に関して、以下の行動の優先度を反映して、変更するべきであると銘記したILOオブザーバーが着手した同部会の検討を銘記した:
.1 hazard(偶然性の高い危険)/risk(意図的に冒す危険)を取り除くための目的;
.2 不可能な場合、原点におけるhazard/riskの管理;
.3 hazard/riskの最小化;及び
.4 適切な防護服又は機器(PPE)の提供。
理論は、取り除くことが第一の項目へ向けられていない場合、hazard/riskを取り除くための努力が無駄になるものである。しかしながら、このことは、常にhazard/riskを取り除くことが可能であることを意味するものではない。同部会は、ILO提案に意見が一致し、採択前に条約の文書をふさわしく調整することに合意した。さらに、米国は、達成不可能な基準を不注意で条約に含まないことを確実にするため本検討を反映して起案作業の指揮をとることを申し出た。
3.37 当委員会は、同部会が検討を行ったこと及び条約案に多数の修正を行ったこと、及びこの作業が通信部会で継続する予定であることも銘記した。
3.38 インド代表団は、当委員会に文書MEPC 55/3/12で揚げた5件の問題、すなわち:リサイクリングのための船舶の販売及び購入をカバーする契約;“火気作業のためのガスフリー”証明;自力で航行する船舶、及び曳航により航行する船舶双方のリサイクリング準備;リサイクリング工場への最終航海;登録抹消、があることを通知した。インドは、この問題を引き続く条約案の作成に関する検討で引き受けることを要求した。
船舶リサイクリング施設のためのガイドライン
3.39 当委員会は、船舶リサイクリング施設のためのガイドライン作成の問題に関する同部会の検討を銘記した。同部会は、文書MEPC 55/3/2の附属2に含まれたすべてのガイドラインのリストに合意したことも銘記した。同部会はさらに、船舶リサイクリング施設のため並びに検査及び証書のためのガイドラインの文書案を次回会合へ提出するという日本の申し出を銘記し歓迎すると共に、各ガイドラインの1又は2ページの概要の作成を通信部会に課すことに合意した。当委員会は、多数の代表団が船舶リサイクリング施設のためのガイドライン作成のため日本へ支援及び専門知識の提供を申し出たことを銘記した。
3.40 当委員会は、国際標準化機構(ISO)が同部会にISOが船舶リサイクリング地域で関心のある1又はそれ以上の地域に関する作業の標準化を行うことを意図していると説明した文書MEPC 55/3/3を提出したことを銘記した。ISOは、MEPCとの協力を提案した、しかし、同部会は、条約のためのガイドライン案の要件に関する自身の審議を最初に正式なものとすることが必要であり、この申し出を審議するには早すぎると感じた。
有害物質一覧表(インベントリー)のためのガイドライン
3.41 既存船のための有害物質一覧表の作成のためのガイドライン案に関して、当委員会は、上記3.33項で検討した、経験した現実的な困難に関する情報を銘記した。
3.42 当委員会は、次回会期への提出のため同ガイドラインの最終化に努力をするという日本及びドイツからの再度の申し出に感謝した。
ILO/IMO/BC共同作業部会の第3回会合
3.43 当委員会は、同部会が2007年のILO/IMO/BC共同作業部会の第3回会合の必要性を審議したこと、条約案の準備が高い優先度でありさらに使用可能な時間が限定されていることを認めた広範囲な検討に続き、同部会の大多数が第3回共同作業部会会合の開催の必要性に関する決定を当委員会の次回会期までの延期に合意したことを通知された。
3.44 当委員会は、本件の異なる側面を再度検討し、共同作業部会の委託事項を作り替えることが現実的でも望ましくもないことに既に合意して、同部会と同様の結論、すなわち、この段階で共同作業部会の第3回会合の必要性に関して決定はできないこと及び次回会期においてこの決定を検討するべきであること、に至った。その合間に、当委員会は、2006年11月の来る会期に続き、その様な会合を主催する順番である、ILOの管理組織の決定を待つことにした。
3.45 ICFTUは、ILO/IMO/BC共同作業部会の第3回会合の時期を明示していない、3.44項の当委員会が合意した立場に懸念を表明し、決議A.962(23)で生じている義務に反していると述べた。
会期間通信部会
3.46 当委員会は、ノルウェーが調整役を申し出たことを銘記し、会期間通信部会を行うことの必要性に合意した。当委員会は、以下の通信部会の委託事項案も合意した:
MEPC 55で設置された船舶リサイクリング作業部会の報告書(MEPC 55/WP.5)及びMEPC 55で達した決定を考慮して、船舶リサイクリング通信部会*は、以下を指示された:
.1 条約案をさらに作成すること;
.2 条約案の下で必要なガイドライン案をさらに作成すること;及び
.3 審議のため文書による報告書を船舶リサイクリング会期間作業部会に提出すること。
会期間作業部会
3.47 当委員会は、条約案をさらに作成するため、及びガイドライン案の作成を継続するためMEPC 56の数週間前に会期間作業部会を開催することに合意した。英国は、IMO本部の改修工事を考慮して適切な場所で本会合を開催するための必要な手配を行うことを確認した。当委員会は、以下の、会期間作業部会の委託事項案も合意した:
船舶リサイクリング会期間通信部会及びMEPC 56に提出された関連文書を考慮して、船舶リサイクリング会期間作業部会は、以下を指示された:
.1 条約案をさらに作成すること;
.2 条約案の下で必要なガイドライン案をさらに作成すること;及び
.3 文書による報告書をMEPC 56に提出すること。
声明
3.48 当委員会は、同部会へトルコが同国のリサイクリング施設を使用して条約及びガイドライン案に従い2隻の船舶のリサイクリングの試行を行うことを提案したと通知した、同代表団の声明を歓迎した。トルコは、同国が船舶リサイクリングの可能性のある候補者となることが期待されるため、主な船舶リサイクリング及び貢献国からの代表団ばかりでなく、IMO、ILO及びバーゼル条約からのメンバーと共に監督役会を立ち上げることを提案した。
3.49 アルゼンチン代表団は、船舶リサイクリングに関する条約の作成は、ILO及びバーゼル条約との協力でIMOの法律委員会の責任とするべきであると述べた。
3.50 グリーンピース・インターナショナルは、船舶リサイクリング問題に関する声明を作成した。要求により、同声明を附属7に添付した。
*調整者:
Mr. Sveinung Oftedal
The Ministry of Environment
P.O. Box 8013 Dep.
N-0030 Oslo, Norway
Tel: +47 22 24 56 79
E-mail: Sveinung.Oftedal@md.dep.no
上記の連絡先は2006年11月1日から有効である。
|
|