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3 船舶リサイクリング
3.1当委員会は、第54回会期において船舶リサイクリング作業部会を設置し、結果として文書MEPC 54/3(ノルウェー)により提出された提案文書を基に安全かつ環境上適正な船舶の再資源化のための国際条約の最初の草案文書を作成したことを想起した。
 
3.2 当委員会は、条約案をさらに作成し;条約案の下で必要なガイドラインの暫定リストを作成し;及び当委員会の第55会期に文書の報告書を提出するために船舶リサイクリングに関する会期間通信部会の設置の合意も想起した。
 
3.3 当委員会はさらに、第54会期において、2005年12月12日〜14日にジュネーブでバーゼル条約が主催した、第2回船舶解体に関するILO/IMO/BC共同作業部会の報告書を審議して、船舶リサイクリングの分野でのILO及びバーゼル条約と継続した協力の価値に合意した。共同作業部会のさらなる会合も審議されたが、船舶リサイクリング作業部会は、MEPC 55においてその様な助言を行うことがより適した立場であると結論づけた。
 
3.4 当委員会は、その視点で、今会期において、条約案のさらなる作成を続行するべきであることに合意した。
 
通信部会の報告書及び改正条約案に関する問題の審議
 
3.5 通信部会の報告書を含む文書MEPC 55/3/2を紹介して、ノルウェーは、当委員会が新しい条約のさらなる作成のための基本文書として同案を使用することを提案した。通信部会のほとんどの作業は、同案の作成に充てられた。ガイドラインの準備リストも作成され、報告書の附属2に含まれている。他の多くの附属は、採択された作業方法に関する情報、参加者の意見の概要、数件の参加者の具体的な貢献、及び条約案の現在の表現が採択された場合、現在のILO文書を害する可能性があることの懸念を表明したILO理事から通信部会へ送られた書簡を含んでいる。
 
3.6 当委員会は、ノルウェー及び条約案に関する意見を含む文書、すなわち:日本のMEPC 55/3/6及びMEPC 55/3/8、グリーンピースのMEPC 55/3/7、バーゼル条約事務局のMEPC 55/3/11、インドのMEPC 55/3/12、フランスのMEPC 55/3/14、CESAのMEPC 55/3/15、ICS及び共同提案産業組織のMEPC 55/3/16、ILOのMEPC 55/3/17並びにICSのMEPC 55/INF.12を提出した各代表団に感謝した。当委員会は、上記文書を作業部会で審議するべきであることに合意した。
 
3.7 続く検討で、大多数の代表団は、通信部会の結果を全面的に支持する並びにノルウェーに対し提供したリーダーシップ及び達成した進捗に感謝の発言を行った。
 
3.8 当委員会は、条約案が、MARPOL附属書Iの下のIOPP証書の対象である、400GT以上の船舶を規定していること、しかし一部の規則が条約案の下の証書の発行とSOLASで要求された安全構造証書の発行が関連していることを銘記した。しかしながら、SOLASは500GT以上を対象としていることが指摘された。検討の後、当委員会は、条約案の対象として500GT以上を使用することに合意した。
 
3.9 当委員会は、ノルウェーの文書MEPC 55/3/2に含まれた改正文書を条約案のさらなる作成のための基本文書として作業部会で使用することに合意した。船舶リサイクリング作業部会は、プレナリーで検討の間に作成された意見及び提出文書に含まれた提案を考慮して条約案をさらに作成することを指示された。
 
条約案のためのガイドラインの適切な書式の検討
 
3.10 当委員会は、条約案が一定のガイドラインの作成を必要としていること、及び事実、当委員会が通信部会にその様なガイドラインの暫定リストの作成を指示したことを想起した。通信部会の議論の間、数カ国が、ガイドラインの代りに、同規則を支援するために船舶解体施設のためのコードを作成するべきであるとの見解であった。同部会参加国間での意見の交換の後、大多数は、ガイドラインのリストを作成するべきであるとの結論であり、少数がコードを審議することができるとの見解であった。数カ国は、現段階でこの問題に関して決定することは時期尚早であるとの意見を述べた。(MEPC 55/3/2、10.3項)
 
3.11 当委員会は、問題の核心は、関連した基準が強制を意図したものであるのか又は勧告を意図したものであるのかということであることに念を押した。強制の場合は、コードがより適切である。そうでないときは、ガイドラインが正しい選択肢である。それゆえ、ガイドライン及びコードの選択は、重要である。しかし、今会期で最終決定に到達する必要はないが、この問題は、当委員会が審議する必要のあるものの一つである。
 
3.12 フランスは、“安全かつ環境上適正な船舶解体施設の管理のためのコード”を起案するための提案を含む文書MEPC 55/3/4を紹介した。フランスは、MEPCが仲裁の責任及びコードの一貫性を保持すると共に、同コードの作成を、第3回ILO、バーゼル条約及びIMO共同作業部会に委ねるべきであることを提案した。フランスは、ISPSコードの様に、同コードを2のパート:強制規則を含むPART A、及び勧告を含むPART Bに分けるべきであることも提案した。フランスは、最後に数件の特定のJWGのための委託事項を提案した。
 
3.13 当委員会は、MEPC 55/3/3の提出並びに同条約案及び関連ガイドラインの作成及び効果的な実施のための貢献の申し出に対し、国際標準化機構(ISO)にも感謝した。当委員会は、同文書を作業部会で審議するべきであることに合意した。
 
3.14 議長は、船舶解体施設のためのコードをガイドラインの代りに作成するべきであるかどうかの問題に関して、及び、持ち上がった問題が重要であるばかりか複雑であると述べている、フランスの他の提案に関しても、検討を開始した。議長は、当委員会が今会期にコードを作成することが必要であるかに関して意見を交換するべきであり、その後、当委員会がその作成をフランスの提案である第3回共同作業部会で行うことを原則として合意するかどうかを提案した。
 
3.15 検討中、多数の代表団が発言した。強制コード又はガイドラインのいずれを作成するかに関して、明らかにガイドラインの作成の支持が大多数であった。当委員会は、条約案及び関連ガイドラインの作成がすべての必要な制御の要素の考慮を確保することに合意した。条約案の下で要求されたガイドラインの作成をIMO/ILO/BC共同作業部会ではなく、MEPCで行うべきであるとの意見の支持が大多数であった。
 
3.16 検討の結果、当委員会は、条約案の下のガイドラインを本会合及び必要であれば作業/通信部会を通して作成することを決定した。
 
危険物質のインベントリー並びに検査及び証書のためのガイドラインの作成に関する検討
 
3.17 当委員会は、前回会期において、日本(MEPC 54/3/1及びMEPC 54/3/7)及びドイツ(MEPC 54/3/6)が提出した、有害物質一覧表(インベントリー)並びに関連した検査及び証書の問題を扱っている3件の文書を審議したことを想起した。当委員会は、インベントリーの概要を、条約案の重要な一部とすることに反対して、分離したガイドラインとすることに合意した(MEPC 54/21、3.22.2項)。さらに、当委員会は、同ガイドラインの作成に関する作業を継続するとしたドイツ及び日本の申し出を歓迎した。
 
3.18 文書MEPC 54/3/1の共同提案者として日本及びドイツは、危険材料一覧表及び単一のリスト案の作成を提案したガイドライン案の紹介を招請された。同文書は、造船サプライチェーンにおいて物質情報の申告の規定を認める必要性、及び供給者の適合宣言を規定する必要性を検討した。最終的に、同文書は、既存船のインベントリーのPart Iの作成のための特別の規定をさらに検討するべきであることを銘記した。
 
3.19 IACSは、IACSメンバーが、個々の危険物質及び当該物質による検査官への身体的な危険を判断する現実的な制限を考慮して、いかにして検査義務を果たすことを意図しているか説明している文書MEPC 54/3/13を提出した。IACSは、既存船に関して特定の危険物質が存在するか否かを同文書の検討の基礎とするべきであると指摘した。IACSは、既存船の焦点が危険物質の存在及び場所であり、量ではないこと、も主張した。
 
3.20 当委員会は、危険物質一覧表(インベントリー)の作成の問題に関して意見を含む文書を提出した代表団、つまり、ドイツ(MEPC 55/3/5)、日本(MEPC 55/3/9)、バーゼル条約事務局(MEPC 55/3/10)、IACS(MEPC 55/3/13)、及びCESA(MEPC 55/3/15)、に感謝した。当委員会は、これらの文書を作業部会で審議すること、そして同部会では、当委員会がこの政策問題を検討する前に、何が既存船のためのインベントリー作成の適切なアプローチであるのかを検討することに合意した。
 
3.21 当委員会は、船舶リサイクリング作業部会にプレナリーでの検討の間に作成された意見及び提出文書に含まれた提案を考慮して危険物質一覧表の作成のためのガイドライン案の文書のさらなる作成を指示した。
 
実施中の条約案の作成に関連する組織の問題に関する検討
 
3.22 当委員会は、船舶リサイクリング作業部会が承認した前回会期において、新たな条約の作成のための暫定作業計画を銘記したことを想起した。同計画に従うと、当委員会は、今会期で以下を行う:
 
.1 2007年のILO/IMO/BC共同作業部会の第3回会合の、必要性、具体的な目的及び作業計画を審議すること;
 
.2 船舶リサイクリングに関する新たな条約の作成についてIMOの他の組織の参加の必要があるかどうか審議すること;
 
.3 条約案をさらに作成するため及びガイドラインの作成を継続するための会期間通信部会の必要性を審議すること;及び
 
.4 通信部会の報告書を基に条約の3回目の案をさらに作成すること及びガイドラインの作成を継続するためのMEPC 56に先立ち開催する会期間作業部会の必要性を審議すること。
 
3.23 検討を行い、当委員会は、3機関が承認したILO/IMO/BC共同作業部会の委託事項の変更を審議することは、現時点では非現実的であり望ましくないことに合意した。それゆえ船舶リサイクリング作業部会に、現在の委託事項の範囲内で問題を審議するため、2007年のILO/IMO/BC共同作業部会の第3回会合が必要であるかどうか検討することを要求した。
 
3.24 当委員会は、条約作成の時間枠から考えてまた作業の性質により、条約案の作成に他のIMO組織を巻き込む必要はないことにも合意した。
 
3.25 当委員会はさらに、作業部会に会期間通信部会の必要性並びに会期間作業部会の必要性、時期及び可能な場所を検討することを指示した。
 
作業部会の設置
 
3.26 当委員会は、議長Mr. Jens Koefoed(ノルウェー)の下で、以下の委託事項で船舶リサイクリング作業部会の再設置に合意した:
 
 加盟国による提案及びプレナリーで作成された意見を考慮して、船舶リサイクリング作業部会に以下を指示した:
 
.1 プレナリーの間に作成された意見及び文書での提案:MEPC 55/3(事務局)、MEPC 55/3/6(日本)、MEPC 55/3/7(グリーンピース)、MEPC 55/3/8(日本)、MEPC 55/3/11(バーゼル条約事務局)、MEPC 55/3/12(インド)、MEPC 55/3/14(フランス)、MEPC 55/3/15(CESA)、MEPC 55/3/16(ICS及び共同提案産業組織)、MEPC 55/3/17(ILO)、及びMEPC 55/INF.12(ICS)を考慮して、文書MEPC 55/3/2(ノルウェー)を基本文書として安全かつ環境上適正な船舶リサイクリングに関する国際条約案の文書をさらに作成すること;
 
.2 プレナリーの間に作成された意見及び文書MEPC 55/3/2(ノルウェー)の附属2、MEPC 55/3/3(ISO)及びMEPC 55/3/4(フランス)での提案を考慮して、船舶リサイクリング施設のためのガイドラインをさらに作成すること;
 
.3 プレナリーの間に作成された意見及び文書MEPC 55/3/5(ドイツ)、MEPC 55/3/9(日本)及びMEPC 55/3/10(バーゼル条約事務局)、MEPC 55/3/13(IACS)、及びMEPC 55/3/15(CESA)での提案を考慮して、文書MEPC 55/3/1(日本)を基本文書として危険物質一覧表の作成のためのガイドライン案の文書をさらに作成すること;
 
.4 2007年のILO/IMO/BC共同作業部会の第3回会合の、必要性を審議すること;
 
.5 条約の2回目の案をさらに作成するため及びガイドラインの作成を継続するための会期間通信部会の必要性を審議すること、及び必要な場合、同部会の委託事項案を作成すること;
 
.6 条約の2回目の案を準備するため及びガイドラインの作成を継続するためMEPC 56に先立ち開催する会期間会合の必要性及び予想規模を審議すること、及び必要な場合、同会合の委託事項案を作成すること;及び
 
.7 2006年10月12日、木曜日に文書による報告書をプレナリーに提出すること。


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