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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation


地方競走会初めての選手養成 その三
 大村の競走場の建設後、競走会と大村市では年内の初開催を目標に八月二十日を期し、長崎県モーターボート選手養成会を設立第一回選手の養成に着手した。元来選手の養成と言う事は、競走法にも示すように、これは全競連の職域であり、地方競走会や施行者が自らタッチすべき筋合ではなかったが、第一に全連の発足が遅れ、選手養成の段階に至らなかった事と、全国での初開催を大村市に誘致するための所謂地固めであり、あくまで臨機の処置であった事はいうまでもない。市と競走会では度々の打合わせにて一応資金を三十万円と定め、双方折半と決定し同時に次のように役員を決定した。
名称 長崎県モーターボート選手養成会
会長 森田副会長
副会長 猪川事業課長
〃 加藤理事
役員 川本常務
〃 馬場常務
〃 藤瀬監事
監事 鶴見理事
顧問 坪内会長
優秀揃いの志願者
 二十六年八月二十五日には入所試験を挙行、新聞其の他の広告にて集った志願者百十余名の内、第一次合格者五十九名、更に詮衡して三十名を入所者と決定、同時に入所式を挙行、九月一日より指導が開始された。
指導員、エンジン関係、松永辰三郎(検査員)
法規類庶務 猪川事業課長
繰艇関係(元海兵少佐)藤村魁一(選手志願者)
養成班長(元航空兵) 山下 勇(〃)
養成監督(元陸軍大尉)山田平次郎(〃)
 今回は急場の養成であったため、学歴や年令にこだわらず体験者を優先とした。
 入所生の年令は森寅一の四十才を頭に年少二十一才の白浜重明であり、職歴は旧軍人、山下、藤村、山田の外、船長、機関士、自動車運転手等の前職者であり、年少白浜は教職の前歴者であった。施行者側にて、先に注文しておったレース用十五馬力モーターボート二十隻と競走会より注文の十二馬力、サービス、エンジンボート二隻も到着した。
 今回の養成期間は一ヵ月と定め入所生より入会金一千円宛を徴収、外に若干の燃料代を申受けた。何分にも正式の指導者を持たない養成であれば、実質的には研究会の様な行方で、レースの構成や、法規の指導にも教官自らが競走法と首っ引きで指導するという状態で、期間中種々問題もあったが、猪川課長や軍人出の指導者にて統制ある養成が行なわれ、又レース場の使用からボート・エンジン、器具類の使用にも、施行者より充分な便宜を与えられ、精神的にもユトリある訓練が行なわれたと思う。
 月日は流れて一ヵ月の養成期間も終わりを告げ、季節的にもそぞろ郷愁をそそる晩秋とはなったが、未だ全連が発足しないため、登録の方法もなく、練習生の各自の努力と練習に任せる外なかった。かくして十一月二十五日かねて大村市計画の西日本アマチュアモーターボート選手権大会が挙行されて全員参加、大過なく実績を納め得たのである。
 元々この度の練習生の大半が前職を擲(なげう)って参加した所謂家族持ちであり、年内開催がお流れとなったいま、見舞われるのが明日からの生活問題で、入会以来無理を重ねた人が大部分であり、時たまたま歳末を控え、彼等の日常には目に余るものが見えて来たのである。市と競走会では可及的救済策を行なった事は勿論であるが、選手自身の決意と努力は又注目すべきものがあった。
 年末アルバイト、門松商い、日傭稼ぎ等々全く涙ぐましき最後の努力が続けられたもので、この選手第一期生こそは全国競艇選手の草分けであり、競艇発展のための原動力ともなった。
 次に行なわれた四月六、七、八の三日間、大村初開催には全員出場、当時全連の報告書に見る如く長崎選手強し、の感を与え得たこの功績は、大きく不滅の灯火でなくてなんであろう。
登録試験合格者
 三六 小野
(亡)三七 横溝
(現)三八 真島
(転)三九 別府
(現)四〇 池田増雄
(現)四一 松尾今吉
福岡審判 四二 藤村
(転)四三 山下正義
(現)四四 山内
(転)四五 夫津木
(現)四六 末続
(転)四七 山下 勇
(転)四八 小泉
福岡審判 四九 山田
(亡)五〇 岩谷
(現)五一 毎熊(古田)
(現)五二 友永
(転)五三 清水
(亡)五四 磯村
(転)五六 長興
(転)五七 福下
(転)五八 江副
(現)五九 白浜重明
(転)六〇 浜田
 六一 川田
 最後に筆者は当時身近な関係者として今なお厚い親しみと、深い愛着を残すものであり、今後なおベテラン選手の一層の健康と活躍を大きく期待してやまない。
 
若松、芦屋の選手養成 その四
 予て建設中であった福岡県若松、芦屋の競走場もいよいよ完成が近まり、レースの初開催には地元選手の養成という事が急場の問題となってきた。元来選手の養成は全競連の直轄業務であり、大津の養成所で実施される筈であったが、当時競走場が各地に続出して到底同所での収容が不可能であり、若松と芦屋では年内開催を急いだ結果、全連の諒解を得て選手の養成を先進地長崎競走会に委託したもので、二十七年八月十六日両市の代表者が来大、競走会役員と市内常盤屋旅館にて会合、選手養成の件を協議の結果正式に委託を決定。九月一日より次の条件を以て実施する事となった。
養成の期日 二ヵ月
使用モーター キヌタ十五馬力
艇 ハイドロプレン及ランナーバウト
養成人員 五十名
その他所要経費等
 八月二十六日若松市にて入所試験を挙行した。
 長崎競走会より三浦理事長、川本常務の外、試験委員長西謙太郎(競技委員長)、試験委員 松永辰三郎(検査委員)、藤村魁一(審判委員)、山田平次郎(審判委員)、峯敏彦(審判委員)の七名を派遣、合計七百名を数えた。応募者中若松関係四百六十余名は同日施行、芦屋関係二百三十余名は翌二十七日芦屋にて施行した。試験は試験委員の手で絶対厳正に行なわれ、採点の結果五十数名が合格点に達し、この内から若松関係三十二名、芦屋関係十八名をそれぞれ地元役員の手で選考採用決定した。この間若松対芦屋の採用人員に付き対立、双方譲らない強い場面も見られたが結局三対一の応募者比率で、西試験委員長の裁定に一任した。
 九月一日大村水明荘にて全員五十名の入所式挙行、九月二日より訓練を開始した。
担当者次の通り
担当役員 三浦理事長
〃 幸尾専務理事
〃 川本常務理事
各一日交代担当
指導部長 西 謙太郎
全般 藤村 魁一
操縦数学エンジン 山田平次郎
整備 松永辰三郎
法規・国語・社会 峯 敏彦
助手(選手)楠本 寛之
〃(〃)平尾 幸治
 選手宿舎と事務所を水明荘に置いた。
訓練場 大村市東ノ浦水面
入所生 五十名中一名は色盲のため中途脱落した。
 かくして六十日間の訓練は、大過なく遂行され、十一月五日芦屋にて登録試験が行なわれ第一次、第二次試験を通して四十九名が登録試験に合格と決定した。
 養成期間中、無届外出や同僚間のリンチ問題、町の与太者相手の武勇伝等、関係者でも相当手古摺ったものだが、特筆したい事は訓練生中四名の赤痢患者を出し、患者は直ちに避病院に収容したものの、寮の大消毒や一定期間の使用禁止等で荘内での賄い等も出来なくなり、西指導部長宅に炊事場を移し、炊き出しを行なう事となり、西夫人が材料の仕入れから賄い等一切を主宰、助手三名を配して応急の間に合わせる等、全くテンヤワンヤの場面もあった。とも角も競走会は予定の六十日間選手養成を完了して、若松、芦屋の初開催に備え得た事は競走会全役員、西指導部長、松永整備員、藤村、山田、峯の四指導員、助手楠本寛之、平尾幸治の諸子が協力一致、火の玉となって事に当った賜で、この功績は永遠不滅の灯であり、わが競走会誇りの一つである。


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