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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


二 阪神電車競艇臨時駅
 競艇場のすぐ前を阪神電車が走っているが出屋敷、武庫川間のちょうど中間となるので観客の足の便を考えて阪神電車に競艇場前に駅を設けるよう折衝、難航したが阪本元市長自らが阪神電鉄と交渉し結局競艇場前に尼崎センタープール前駅を特設することに決った。しかし停車についてはまだ人家も少ないので競艇開催日の前日から最終日まで臨時停車することになった。その後附近住民は人家、工場も相当たちならんできたので競艇開催日だけでなく常時停車駅にしてもらいたいと阪神電鉄と交渉し昭和三十六年一月十八日より尼崎センタープール前駅は常設するに至った。
三 売店
 競艇場の売店は水道電気の設備をもつ甲型(一〇坪)を十五戸、電気設備のみの乙型(一坪)を五戸建築し甲型売店は資格実績信用のある市内在住者で現に飲食業の許可をもち調理士の免許のあるものから公募して希望者数百名の中から抽選により選定したが乙型売店は公募せず未亡人で組織されている婦人共励会、身体障害者協会、周辺婦人会など社会事業を行っている団体の運営を助成するため優先的に割当てた。しかし競艇を開催し売店を経営する段になり予想した入場人員一日五、〇〇〇人〜一〇、〇〇〇人より大幅に下まわり一日平均三、五〇〇人程度しか入場者がなかったため、特に甲型売店は経営が苦しく一ヵ月の家賃一四、〇〇〇円が支払えず店も閉めるという業者も出てくる始末であった。
四 オーナー
 当時のオーナー権の考え方は施行者はボート・モーターは所有しないのが常識とされていた。しかし財政状態がひっ迫している尼崎市のこと絶対に競艇開催による赤字を出さないためにもボート・モーターを市が所有してオーナー支出をしないことが必要だと考えた。そこで事業課長松井唯一氏はこの問題につき笹川良一氏と話合いを重ね、結局笹川良一氏が折れ尼崎市はエンジンを所有することになった。
第三節 大庄地区大湿地帯の開発
一 開発概況
 競艇場建設と合わせて大庄地区大湿地帯の開発を実施したがその状況は次のとおりである。
一 開発面積 二七二、〇八四平方米
二 開発状況
競艇場用地  一二一、五二一平方米
公園用地    二〇、五六一平方米
婦人会館用地   二、三七〇平方米
明倫中学校用地 三二、二七四平方米
成徳小学校用地 二四、三一一平方米
啓明中学校用地 一六、五〇〇平方米
市営、県営、公団住宅用地 五四、五四七平方米
二 開発経費
 この開発の経費四八〇、〇二四、四八一円については競艇場建設の際意図したとおり競艇事業による収益金でまかない、その他の収入と合わせて市税は全然使わなかった。
 
第二章 競艇事業の歩み
第一節 思い出の開催
一 初開催
 初開催は昭和二十七年九月十四、十五、十六、二十一、二十二、二十三日の六日間の日程で実施した。招待券一〇、〇〇〇枚を関係方面に配布しAB級ボート六十隻が水上に飛沫をあげ期間中の売上げを四、五〇〇万円とふんだが九月十四日の第一日目は三、八六〇、一〇〇円、六日間二八、八六七、九〇〇円の成績で終了した。レース運営については思ったよりスムーズに運び事故はなかった。
二 全国地区対抗競走
 昭和三十二年五月二十八日〜六月二日の六日間、当時日本選手権競走と共に競艇界の二大競走の一つとされていた全国地区対抗競走を開催した。特筆すべきは総額五十万円のファンサービスである。その内容は毎日先着有料入場者に入場券と引換えで、
一 スピードくじによる賞品進呈
二 毎日第三、第四レースに連勝式予想投票券を進呈し的中者に賞金二万円を進呈
三 毎日の有料入場者全部に入場券と引換えで優勝地区及び優勝レース出場選手の予想投票券を進呈し賞金一〇万円を的中者に按分
したことである。売上額は六日間五二、三五五、九〇〇円で新記録の好成績をおさめ優勝者は登録番号一二一金藤一二三選手であった。
第二節 競艇廃止問題
一 市長競艇廃止を言明
 昭和三十四年七月松戸競輪事件に端を発した公営競技廃止論の余波は全国に拡がり昭和三十五年一月兵庫県阪本元知事は「社会悪の根元を絶つ」と県営競輪の廃止を声明した。たまたま尼崎では当時派手な暴力事件が新聞紙上をにぎわし市民の間で暴力追放の声高く、又青少年の不良化防止が叫ばれていたこともありその声はボートレース廃止問題にまで拡がり昭和三十五年三月十二日、時の市長薄井一哉氏は予算市会本会議施政方針演説で「昭和三十五年度限りで競艇を廃止する」と言明した。市議会の革新系議員はこれを支持したが保守系議員は議会無視であるとして市長につめよった。市長はその後出てきた競艇場従事員その他の補償等の事後処理問題のため一年延長して「昭和三十六年度まで競艇を開催する」と改めた。
二 競艇等廃止特別委員会を設置
 市長の提案を受入れた市議会は佐藤俊夫委員長を含めた十一人で競馬、競輪、競艇廃止に関する特別委員会を設置した。
三 伊丹市競艇廃止に反対の申入れ
 この廃止声明に対し借上施行者である伊丹市は財政再建団体として再建途上にあり財政計画に基づき競艇事業益金を財源としての継続事業に着手している現状にあり、事業の存廃が市政に及ぼすところ極めて大なるものがあるので廃止計画については承服できかねるので再考を促すと申入れてきた。
四 県モーターボート競走会補償を要求
 兵庫県モーターボート競走会は競艇廃止により一挙にして社団法人としての法人格をも喪失すると共に一時に多数の失職者を出し生活の脅威を招来することとなるので従業員の年収の五年分の一四〇、一四四、一九〇円を市に対して要求した。
五 市長競艇廃止の意思変らずと言明
 昭和三十六年三月市議会において薄井元市長は質問に答えて
(一)競艇廃止の決意は変らない。
(二)廃止についての具体案については五月末までに提示する。
と言明した。市長のこの言明をめぐって市会は揺れに揺れたが結局議会は全員一致で市長の提案を承認し昭和三十七年三月末をもって廃止することに決定した。
六 尼崎愛市の会陳情書を市会に提出
 その後市民各層において競艇存廃について激しい論議がなされたが昭和三十六年十二月十五日尼崎愛市の会(代表者本岡芳一)は貧弱な文教施設の強化拡充こそ緊急の要務であり今莫大な競艇収益を捨てる時期ではないとして「競艇廃止声明撤回についての陳情書」を市会に提出した。
七 伊丹市再度廃止反対の申入れ
 伏見伊丹市長、垂同元市会議長は薄井元市長を訪問し競艇の存続を再び要請し、廃止ならば伊丹市の三年間単独開催又は三億円の補償を認めるよう要求した。
八 市民期限つき存続請願書を市長、市議長に提出
 昭和三十六年十二月市会では尼崎愛市の会競艇廃止声明撤回陳情は審議未了で閉会となったが、市内各地の有力者より一部存続派市議の紹介で競艇の期限つき存続請願書が市長、市議会議長に提出された。
九 県モーターボート競走会二年延長の申入れ
 こういう状勢の中で県モーターボート競走会は“競艇廃止に伴う補償金の要求については貴市が競艇場事業を今後二ヵ年間継続されることが決定せられた場合においてその申入れを撤回致します。なお二ヵ年後において競艇場を閉鎖された時本会は貴市に対し之に伴う補償等の要求は一切致しません”との申入書を市長に提出した。
十 地元婦人会、福祉団体廃止延期を要望
 又地元東地区社会福祉連絡協議会、大庄東婦人会は当初廃止声明には歓迎の立場をとっていたが教育施設、社会教育事業、道路関係事業が近接他都市より数段劣っており諸般の情勢からみて「当分の間理由付延期とすることを希望する」と市に対して要望した。
十一 市会浄政会条件付廃止を申入れ
 市会浄政会(幹事長菊本定一氏外十名)は昭和三十七年三月二十日
(一)昭和三十七年度昭和三十八年度は競艇を継続し昭和三十九年三月限りでこれを廃止する。
(二)これにより生ずる収益を特定財源として
(ア)教育施設の整備充実を図る
各中学校の特別教室の完備と体育館を建設
各小学校の施設の完備並びにプールの建設
地区公民館を建設し社会教育活動を促し地域社会の向上を図る。
(イ)青少年対策の強化充実及び社会環境の浄化を図る。
(三)昭和三十九年三月限りの廃止に際して県モーターボート競走会並びに伊丹市は本市の方針指示に協力すること。
を市長に申入れた。
十二 市議会正副議長注目の発言
 これらの動きにより大石、梶本正副議長から市会各派正副幹事長会において「伊丹市、県モーターボート競走会の三年間存続すれば補償要求白紙還元するとの条件を考慮し存廃問題判断の一つとしてほしい」と注目の発言が行われた。
十三 市長市会に判断を任す
 市長はこれらの情勢から昭和三十七年三月十二日予算市会施政方針演説後競艇存続やむを得ずとの発言を行い市会に判断を任せた。市会競艇等特別委員会、廃止派委員会は市長の心変りを激しく追求し、再度市会を開会し市長の決意を聞くこととなった。
十四 市長競艇存続を繰り返す
 再会市会では新政会は競艇存続発言の市長の真意を追求したが市長は教育施設の遅れを認め体育館プールをつくりたい。競艇存続は情勢の変化によると繰り返した。
十五 伊丹市、県競走会一年間存続認れば補償要求しないと申入れ。ここに至り伊丹市及び県モーターボート競走会は廃止に伴う補償は競艇が一年間存続されるなら一切要求しないと文書をもって申入れた。
十六 市会友正クラブ浄政会存続賛成、新政会競艇廃止貫徹声明を発表
 昭和三十七年三月二十日市会競艇等廃止特別委員会において市長は二年間の期限つき存続を表明し収益金でプール体育館、校舎改築を約束した。これに対して市会友正クラブ浄政会はそれぞれ会合して市長の提案に賛成の共同声明を発表した。又、新政会は競艇廃止貫徹声明を発表した。
十七 議会運営委員会に競艇存続に伴う議案を提出
 昭和三十七年三月二十三日市会議員総会において佐藤競艇等廃止特別委員長が廃止貫徹決議文を朗読、薄井元市長は競艇二年間存続を表明した。新政会は責任を追求し浄政会は英断と讃えた。そして競艇存続に伴う三議案を議会運営委員会に提出した。議場は野次と拍手にわいた。
十八 市会総務委員会競艇存続でもむ
 翌三月二十四日大石市議長は三十日予定の本会議を繰上げて二十六日再開と決定し競艇存続に伴う諸案をこの日上程するよう市へ要望、市はこれを了承した。市会総務委員会は競艇存続でもんだ。佐藤委員らは市長を鋭く追求したが市長は廃止は信念だが二年だけ収益を教育費にと繰り返し答弁した。
十九 競艇事業執行予算承認さる
 三月二十六日市会本会議が開催され昭和三十七年度の競艇事業執行予算を提案し承認されここに存続が決定した。
二十 二年間の存続後も引き続き競艇開催が決定
 その後昭和三十七年度昭和三十八年度において競艇事業は平穏無事に執行され廃止期限の昭和三十九年三月が来たがこの間売上げも順調に延び教育施設の充実に努力したので大いに実績があり市民各層から“現在においては社会的に好ましくない点は多いが弊害をできる限り除去してこの財源をもって教育施設、社会福祉事業に貢献してほしい”との陳情要望が数多く市議会においても多数をもって競艇事業の存続が議決され昭和三十九年度以降も引き続き競艇事業を実施することとなった。


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