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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


昭和二十八年七月十日
 初開催。
 天候、快晴。
 入場者六、〇五四名、売上四、九六〇、九〇〇円は期待以上のものであり、この二星霜の間共に苦難と戦ってきた全関係者一同欣喜雀躍(きんきじゃくやく)する。
 
初開催当時の常滑競走場
 
昭和二十八年九月二十五日
 十三号台風来襲甚大なる被害をうけ、一時開催を中断する。
 初開催以来順調なる成績を挙げ、漸く事業も軌道に乗ったかに見えた秋、東海地方に来襲した台風十三号は予想外の猛威を逞しうし未曾有の大被害を生ぜしめ、建物及び器具物品の倒壊流失、護岸の決潰等枚挙に遑なく、正視に堪えざる惨状を呈し、その被害総額も実に三〇、〇〇〇千円にもなんなんとし、直ちに全従業員を連日総動員し復旧に全力を傾注したのではあるが、何分にも母体である常滑、西浦、鬼崎、大野の各町自体が甚大なる被害を蒙りこれが復興に必死の有様であり、行政上からしても先ず町民の安定を図るべきことは当然であり、工事関係業者もその方面に優先使用されるため競艇場復旧の見通しは全くたたず、取敢えず一時競走の中断の止むなきに至ったのであるが、十月五日組合議会全員協議会を開き今後の方針について協議次の通り決定した。
一 続行運営する。
二 復旧は競走場建設要領の最低の線にて工事を行うものとする。
三 再開は十月二十三日を予定して工事を行うものとする。
四 四ヵ町より復興資金として一〇、〇〇〇千円の融資を受ける。
五 開催未払金二四、一八〇千円の処置については支払いの延期を願い、各債権者にお願いをする。
 競走再開の決定により、管理者常滑町長より運輸大臣及び県知事に対し国庫納付金の免除並に復興資金の融資方の陳情、また愛知県モーターボート競走会にまで復興資金の援助方等をお願いする仕儀となった。
 台風により競艇場壊滅の報にいち早く連合会より笹川副会長、菊地職員が来場、悉く現地調査をされ意外の被害に驚き、復興状況について強い関心をもたれていたのであるが、漸く再開のめどのついた十月十四日服部正次事業課長(現常滑市助役)が上京、連合会滝山理事長、原田競技部長と協議検討した結果、十月二十三日より開催は可能と認められ選手配分及び其の他の手配をする事に決定した。
昭和二十八年十月十九日
 施行組合事業部長滝田福三氏(後に初代常滑市民病院長となる)退職。
 施設会社発足当初より陰に陽に常滑競艇場発展に尽された功労者であり、各関係者の慰留により引続き滝田次郎前施設会社社長と共に施行組合の相談役となる。
 これにより服部事業課長が今後事務局の運営の最高責任者となった。
昭和二十九年四月一日
 四ヵ町施行組合解消、市営となる。
 常滑町、西浦町、鬼崎町、大野町、それに三和村が加わり五ヵ町村合併による市制施行に基き組合は発展的解消をなし常滑市営となる。
 施行者として自治庁長官よりの指定認可は同月十日許された。
昭和二十九年八月一日
 服部事業課長退職。
 常滑陶器の卸問屋として手広く家業に精励されておるその事業手腕に嘱目されて新会社の事務長に懇請就任されていた服部課長は競艇事業運営の目途のついた一周年レースを契機に数々の苦難の想い出を胸に秘めて本来の家業に精励のため退職され後任に森下現課長が就任となった。
 台風の影響は長く尾を引いた。街の復興も一応形だけは整ったとはいうものの台風で受けた損害を取り返すに血眼であった。
 ましてや競艇場に来てレジャーを楽しむなど心の余裕はなかった。否、逆に災害後早々に始まった競艇事業に対する批判が高まり、当時競艇場へ来るファンは隣近所に知れないよう、わざわざ別に用事を作ったり、なるべく人目につかないよう裏道を廻って来場されたとのことである。これでは成績の挙がるはずもなかった。
 旧会社より引継いだ建設負債二〇、〇〇〇千円、台風により要した復興資金約二〇、〇〇〇千円、加えて開催事業費の取引業者に対する支払金棚上げ分約二五、〇〇〇千円が大きく常滑競艇にのしかかってきて、その毎月支払うべき金融機関への金利さえも満足には払えない有様であった。
 
 昭和三十年三月五日市長伊奈長三郎氏任期満了により引退され、昭和三十年三月二十七日滝田次郎氏市長となる。
 伊奈前市長は施行者代表として、滝田市長は施設会社代表として、何れも常滑競艇を生み出し今日ある日を育て来た方々であり、この事業についての理解と認識は他の追随を許さないものであった。
 
 昭和三十年五月六日常滑市役所において競艇事業運営について市長、前市長、前参与(元町村長)、収入役、相談役の各氏が集まり協議検討した結果
一 事業経営については時節柄極力支出予算を切りつめ残った経費で宣伝し、月間二、五〇〇千円の予算を作製する。
二 現在三〇有余名の職員を二〇名程度にし、臨時従業員も二〇%程度切りつめる。
三 超勤手当及び整備員登録手当は返上させる。
四 半田市と一部事務組合設立の話し合いをする。
五 事情止むを得ない時には廃止も研究しなければならない。
六 人件費として基本給を二五〇千円に定め、それに売上高に応じてその割合を手交し、職員及び作業員賃金の給料とする。
 旨の話し合いがなされ、これを基本として翌日市長より事業白書が発表され、経費節減の方法として人員整理が決定された。
 職員、従業員にしてみれば、初開催以来今日まで長年苦楽を共にして来た何ら罪のない同僚が、事業の不振を理由にして解雇されざるを得ないということは到底堪え難しとして、職員は超勤手当、登録整備員手当、残業時賄料の辞退及び競艇場夜警任務はわれわれ職員が交替し合って任につく旨、また臨時従業員は基本賃金を一率に一〇円減額、交通費支給辞退の条件を付した歎願書を市長に提出、解雇を思いとどまってほしいと陳情をくり返して来たが、市当局は大局的に見て整理の実施は止むを得ざることであるとして遂に、泣いて馬謖(ばしょく)を切るに至ったのである。
 乏しい予算が更に切りつめられた。宣伝費並に諸経費の徹底的節約が厳命され、従来業者委託であったもので職員の手で出来ることは全部職員で実施し経費の節減に努めた。
 街貼りポスターの貼付、看板類のさしかえ、選手用ユニホーム、ヘルメットを着用してサンドイッチマンとなり街頭宣伝、更には大小幾つかの場内便所の汲取り作業等々・・・いつ果てるともわからない苦難の道が続いた。
 対外関係においては、一応業者未払金は棚上げしたものの、一部の業者からは裁判に付されたり、金融機関よりの融資金については事業の性格上早期返済を迫られたり、加えて、受任団体よりは受任業務の態勢確立を旨に一日売上四、〇〇〇千円以下の場合は、四、〇〇〇千円売上げがあったものとして交付金を納入されたいとの申し入れがあり又当時一日二・五レース出走していたオーナー会社よりはオーナー賞金未払金の強い納入督促等、一日売上げ二、五〇〇千円の予算にては如何ともなしがたく、誰の目にもこのままでは最早競走の続行は困難なり、と思われる状況であった。
昭和三十三年一月十四日
 半田競艇との合併問題起る。
 小さな半島の中に、例え東側西側とに分れているとはいえ同種の競走場が二ヵ所もあっては、運営が成りたたないのではないかとの理由で、東海海運局並びに受任団体が中心となり、半田競艇との合併について話し合いが進められたのであるが、交渉過程における諸般の事情もむづかしく合併は難航した。
昭和三十四年三月二十六日
 市長滝田次郎氏任期満了引退、久田慶三氏市長となる。
 県会議員選挙出馬のため在職一期にて滝田次郎氏市長引退、第三代市長に元西浦町長、前常滑市助役であった久田慶三氏が就任された。
 久田市長の持論は西浦町長時代より常滑を中心とした近隣町村の発展は、市制施行と共にこの事業の遂行により財源を得る以外に術なしとて、一貫した積極派の代表者であった。
昭和三十四年九月二十六日
 伊勢湾台風来襲、壊滅的打撃を受ける。
 第十三号台風に見舞われ、幾許も経ずして再び古今未曾有といわれた伊勢湾台風の来襲・・・天の試練としてもあまりにも苛酷であった。
 台風接近の報と共に非常配備に着いた全職員が、血の出る思いをして買った板切れ一枚とても飛ばされまい、ガラス一枚とて割られまいと必死の防御を試みたのであるが、凡そ人力の及ぶところのものではなかった。
 執行本部、主審、副審をはじめ競技本部、選手控室など主要建物はほとんど全壊流失した外、約二八〇平方米の艇庫、整備庫は原形を止めない程吹き飛ばされて大破、コンクリート道路もずたずたに切りさかれ見るかげもない。難を免れたのは一部屋根の吹っ飛んだ投票所と鉄筋コンクリート造りのスタンドの痛ましい姿だけで、損害額は三〇、〇〇〇千円以上となった。
 当初八〇、〇〇〇千円余の工事費の借入金でスタートしその後僅かではあるが収益金を借入金の返済に充て、前年度末には借入金も六三、〇〇〇千円とまでに漕ぎつけ、やりくり算段ながらも徐々に返済の希望もついてきた矢先、約二〇、〇〇〇千円の痛手を受けた去る二十八年秋の十三号台風に次ぐ二度目の大きな災害だけに、関係者もさすがに呆然自失となった。
 復旧について久田市長は「市内の陶器工場や海岸線の住家が大きな災害を受け、これが一応復旧しなければ競艇の再建には乗り出さない。レースの始まるのは早くて新春であろう」と・・・また交渉を続けてきた半田競艇との合併問題についても「半田競艇場は再開不能と聞いているが、いままで通り半田市側と交渉を続け、単独か共同経営か何れかの結論を出す」とすでにはっきり存続の考えをもち、後日市議会にて存続か廃止かが協議された際には大多数が反対であったにもかかわらず、市長の職を賭して再開に踏み切ったのである。
昭和三十四年十一月十二日
 半田競艇廃止決議のため合併問題打ち切りとなる。
 伊勢湾台風で競艇場の施設のほとんどを失った半田競艇では、再び三〇、〇〇〇千円以上の費用をかけて再開する意志なしとの結論となり、半田市議会で廃止が決議された。
 
 再度に及ぶ大試練も乗り越え、その後社会情勢の安定、諸種の経済事情の好転等により逐次成績も向上し、漸く昭和三十六年度に至り長年の念願であった借入金の返済、旧会社にかかわる出資金も完済し、所期の目的である地方財政への寄与、即ち繰出金二五、〇〇〇千円を見るに至ったのである。
 
昭和三十九年七月二十三日
 半田市営開始
 両市の親善と繁栄を図るためこのたび、月間二日間を半田市に競走場を貸与、半田市営競走を開催することとなる。
 久田市長の事業運営方針として、ファンあっての競走場であれば収益金の一部ではあるが当然来場者に何らかの形で還元すべきであるとの主旨により、昭和四十年度より施設改善に着手、来場者が聊かでも満足されるよう「環境の良い競走場、家族連れで安心して楽しめる競走場」をモットーとして順次改善工事が進められた。昭和四十二年七月全国各位のお許しを得て、新装のレース場で、過去十五年間せめて一度でもと、この事業に関係した者全員が祈念し続けてきた「四大競走」の一つである、第十三回モーターボート記念競走を主催する光栄に浴し得たのである。
 
新装!第1スタンド(41年4月)
 
スタート2秒前・・・スタンド完成記念レースから


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