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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


(資料)
阿左美沼溜池堤塘敷及び東貯水池水面
及びグランド使用に伴なう賃貸借契約書
 笠懸村長、赤石晋一郎を甲とし、群馬県競艇株式会社代表秋山千秋を乙とし、乙の経営せるモーターボート競走施行に伴ない笠懸村長の管理せる末尾記載の阿左美沼溜池堤塘敷及び東貯水池水面及びグランド使用に対し、モーターボート競走に必要なる施設をなすに当り左の通り賃貸借契約を締結す。
一、前記借主代表は、群馬県競艇株式会社秋山千秋とする事。
二、賃貸借期間は、昭和二十九年十月一日より十ヶ年間とし、期間満了後は双方協議の上再契約することを得。
三、右賃貸借料金は、昭和二十九年十月一日より昭和三十年九月三十日までの一ヶ年間は年額金八拾萬円也とし、払込期日は拾月参拾壱日に必らず払込む事。
 但し、残期については双方協議の上、決定するものとする。
2、乙はボートレース施行の都度賃貸借料金とは別に売上金の二%の一割を甲に支払う事。
四、溜池堤塘敷使用に関しては灌漑用水に妨害となる一切の行為を為さざるは勿論損傷せざる様乙は常時注意を払う事、万一、損傷等発生した場合は天災その他不可抗力を除く外、借受人に於て復旧する事。
五、東貯水池に対しては、貯水池の水面のみを区域とし、該貯水池築造の趣旨に反せざる範囲に於いて之を使用し貯水池の水量の増減は待矢場両堰土地改良区に関する場合のみ、その他如何なる場合といえども絶対に之を為さざる様常時借受人に於いて管理するものとすること。
六、該溜池及貯水池の周辺に対し、特別の施設をなし又は家屋の建築及植樹等には貸主の承認を受ける事。又第三者に転貸借は絶対になさざる事。但し貸主の承認したる場合はこの限りでない。
七、貯水池周辺の道路は、車輌及び一般の交通に支障なからしむる事、万一交通に支障をきたす損傷等発生した場合は借受人に於いて復旧する事。
八、乙は競艇事業及び施設を他に譲渡する場合は甲の同意を得るものとする。
九、乙は競艇事業廃止したる時は甲に対し施設一切を現状のまゝ無償譲渡する事。
十、以上各項の外、必要を生じたときは臨機双方協定の上之を定めるものとする。
十一、借主は、二名以上の保証人を選定し本契約の責任を負わしむる事、但し保証人は貸主の承認したる者たる事。
十二、保証人は本契約を承認し、借受人に於いて契約不履行の場合は、その責任を負い、貸主に対して毫も損害をかけざる事。
十三、以上各項のうち假令一項たりとも不履行の行為ありと認める時は、何時たりとも本契約は解除し賃貸借の効力を失う。
 右各項双方に於て承認したる事を證する為本契約書弐通を作成し記名捺印の上当事者各壱通を所持する。
昭和弐拾九年拾月拾七日
貸主 溜池堤塘敷及東貯水池及グランド管理者
笠懸村長 赤石晋一郎[印]
借受人 桐生市本町五丁目参百四拾五番地
群馬競艇株式会社
発起人代表 秋山千秋[印]
保証人 桐生市宮前町弐丁目千九百参拾六番地
早川政野[印]
立合人 群馬県新田郡笠懸村大字阿左美弐千五百七拾四番地ノ弐
笠懸村議会議長 関口七雄[印]
立合人 群馬県新田郡笠懸村大字久宮八拾四番地
高橋盛一[印]
 
三 競艇施行町村指定申請
 笠懸村長赤石晋一郎と群馬県競艇株式会社代表秋山千秋との間に阿左美沼溜池堤塘敷地等の賃貸借契約が成立した翌年の三十年三月には桐生市が施行権を取得し、そのまた翌三十一年十一月にはいよいよ初開催をみるに至った。
 他方、これと前後して新しく笠懸村長に就任した籾山琴次郎氏は、着任と同時に競艇施行指定町村の申請に着手、隣接の山田郡大間々町、新田郡薮塚本町へ呼びかけて三町村長連名による競艇施行指定申請に臨んだ。
 そこでこの文中では、これら三ヵ町村がどのような情勢の中で申請へと進んでいったか、当時を振返ってその経過と概況をたどってみたいと思う。そこで最初に笠懸村をはじめとするこれらの町村財政状況を知り、これを基にして作成された申請書の内容へと筆を進めてゆく。
(一)申請書の提出と町村財政
 公営競技、その目的の多くは市町村等の地方財政への寄与である。したがって国が施行権を認可する場合、そのほとんどを戦争災害復旧等、地方の赤字財政解消を目標として行なってきた。言うなれば今日まで公営競技と地方財政とは切り離せない関係の上におかれて存続してきたのである。この関係は、阿左美水園競艇組合の沿革を知る上にも外してはならない要点である。以下、競艇実施を計画した笠懸村、大間々町、薮塚本町三ヵ町村の当時の財政事情を資料を基にして明らかにすると共に、競艇の収益金を如何なる事業に充てようと計画したかをあわせて綴ってみたい。
 問題の競艇施行町村指定申請書は、時の知事竹腰俊藏氏を経由して自治庁長官太田正孝氏宛提出された。その進達書の中で、竹腰氏の知事としての意見が次のように述べられているので参考としたい。
(参考)
昭和三十一年十月十一日
群馬県知事 竹腰俊藏[印]
自治庁長官
太田正孝殿
モーターボート競走法に基づく競走施行者指定申請書の進達について
 管下、新田郡笠懸村、同郡薮塚本町、山田郡大間々町長より連名を以ってモーターボート競走法に基づく競艇施行者として指定せられたき申し出がありましたところ、三団体中、笠懸・薮塚本町は純農村地帯として優良農産物の生産に成績顕著なるものがあり、大間々町は、これら周辺農産品の加工集散地として三者一体、当地域の産業経済の推進力となっておりますが昭和二十八年以降、連年凍霜、冷干害の惨禍を蒙り、農家経済は頓に衰えたため、三団体の財政運営にもたらした影響は深酷を極めた上、当面の災害対策、町村本来の業務達成にも支障を来たす結果となったのでこれが打開策として在笠懸村地内阿左美沼競艇場においてモーターボート競走を施行し事業収益金をもって財政の好転と山積せる各種事業の遂行を図るに至ったのであります。
 事業の成果予測については、笠懸村は既に阿左美沼を中心とする観光地域として四季を通じて行楽者多く、薮塚本町は旧来鉱泉地として名を駈せ、更に大間々町は赤城山観光開発コースの基点であり、なお東京・日光・大間々に桐生を同週するシルクロードの中央にあり、町内高津戸渓谷の景勝に杖をおくもの又極めて多い関係上、三者共通利便と相侯って立地好条件に恵まれているので現在同競艇場において競艇施行の既得権を有する桐生市との協定に宜しきを得れば必ずや目的達成に効果をもたらすものと思料されますので特別の御詮議をもって競艇施行者としての指定を賜りますよう三町村長提出にかかる申請書を添えて進達いたします。
 以上、上に掲げた知事の進達書にもみられる通り笠懸村・薮塚本町・大間々町はその地形上からいっても大間々町を要(かなめ)とする扇状形を為しており、昔から大間々扇状地または笠懸扇状地としてこの地方に知られている。
 人口あわせて三万五千、大間々町を除く他の二町村は、純農村地帯として収入の大部分を主産物である甘藷・麦・そ菜・養蚕等にたよっており、大間々町はこれら産物品の集散地であった。
 ところが当時、連年にわたってこの地を襲った凍霜害、冷干害はこれらの町村に対して一様に経済的な打撃を与えた。この結果、課税客体の減少、町村税収入の低下、滞納の増加と相侯って町村行政は停滞を余儀なくされていたのである。こんなわけで、従来から共存共栄の形をとって歩を合わせてきた三町村が、新しい町村行財政の確立と基礎づくりを目標に、挙げて一部共同体(今日の阿左美水園競艇組合)の設立へと新しい行政施策を打ち出していったわけである。
(二)競艇施行町村指定申請書とその内容
 昭和三十一年十月十一日、競艇施行指定町村の申請書が提出された。前文でも述べたが笠懸村長籾山琴次郎氏が中心となって薮塚本町並びに大間々町の関係者等が寄って再三にわたる協議の結果、申請書は、知事を通じて自治庁長官宛提出された。いうまでもなく、申請書を三者連名の形式で提出したのは、自治庁及び地方財政委員会の示した『施行町村指定基準』に適合せしめるためと、指定を受けた後に関係三ヵ町村による一部事務組合を組織するということを前提としたものである。
 次に申請書のうちその主な内容を紹介して沿革を知るための参考としたい。
 
笠発第三、三一四号
昭和三十一年十月十一日
笠懸村長 籾山琴次郎 [印]
大間々町長 北村吉三郎 [印]
薮塚本町町長 室田直忠 [印]
自治庁長官
太田正孝殿
モーターボート競走施行町村指定申請書
 標記について別紙のとおり関係書類を提出いたしますから特別の御詮議を以て御許可賜りたく此段申請致します。
一、地方交付税及び人口に関する調べ(別表1)
二、笠懸村、大間々町、薮塚本町の歳入歳出予算現計及び決算見込額調べ(別表イ〜ハ)
三、災害復旧費並びに必要止むを得ない臨時事業費の内容(別表1〜3)
四、モーターボート競走開催に関する収支見込書(別記1)
五、収益金の使途方法(別記A〜C)
 以上一〜五の各事項が申請書に添付された主な関係書類であるが、これらのうち、一、二は三町村施行権申請時における各町村毎の財政事情を知るために必要と思われ、また、三に掲げた災害復旧費並びに必要止むを得ない臨時事業費の支出内容及び五に掲げた収益金の使途方法では、公共事業費支出部分で共通して学校建設、増改築をその事業目的にかかげているが、この理由として最も適切なものが笠懸村の示した六・三制実施並びに学級の増加に伴う校舎等教育施設の拡充であろう。
 昭和三十一年といえば、終戦直後のベビーブームといわれた昭和二十一年から二十三年にかけて誕生した子供達がちょうど学校へ入学する年頃なのである。自然各町村とも公共事業の第一を学校建築、教育施設の拡充といったところにふり向けたことは、時代の反映を最も如実に写し出しているといってよいかも知れない。同時に競艇場誘致当時の反対者の唱えた学校教育への弊害という心配がこの時点では収益金によって教育の振興を図るという事になるのであるが、これを見るようにいつの時代でも物事を行なう場合、その結果をどのように利用し、どのような理論的な位置づけをするかということで決まるようである。
 次に、収支見込書(別表4)であるが、この内容を阿左美水園営の初開催の実績に照らしてみると、一日の入場人員一、五三〇人、勝舟投票券売上金額一日平均四百万円というような見込みと実際の難かしさをはっきりと現わし、あわせて、初開催当時の苦しい運営経過を物語っているようでもある。
(別記A)
笠懸村の収益金使途方法
一 公共事業費
(1)学校建設費
 六・三制並びに学級増加に伴う中学校校舎の増築並びに老朽校舎の建設費に充当する。
(2)道路・橋梁の整備拡充
 農道の整備拡張費に充当する。
二 産業の振興
(1)農家の多角経営の諸施設
 農業の多角経営を図るため、乳牛の導入と生産物の集荷処理場の費用に充当する。
(2)凍霜害・冷害対策費
 たび重なる凍霜害・冷害により農家所得は急激に低下しているので、この対策として無霜害地帯に共同桑園設置と稚蚕共同飼育場設置に充当する。
(3)畑地灌漑用水路の設置
 畑地灌漑用水路の設置により米穀の増収を図り、食糧確保に備える。
(別記B)
薮塚本町の収益金使途方法
一 公共事業費
(1)学校建築費
(イ)小学校老朽校舎の改新築
(ロ)中学校特殊教室増築
(2)土木費
(イ)町道の改修
(ロ)町道新設
(3)消防費
(イ)消防ポンプの機動化
(ロ)貯水池の大増設
(ハ)消防団員給与改善
(4)衛生費
(イ)伝染病予防
(ロ)結核予防
二 産業振興費
(1)農業費
(イ)大正用水誘致
(ロ)畑地灌漑施設増設
(2)商工業費
(イ)観光事業振興
(ロ)商工業育成保護
(別記C)
大間々町の収益金使途方法
一 町村合併により新町村建設計画事業として次のようなものがあり、その財源に充てる。
(1)小学校老朽校舎改築事業
 特に老朽の甚だしい大間々小学校校舎八教室改築工事。
(2)公営住宅建設事業
 毎年二〇戸〜三〇戸建設している。
(3)消防施設事業
 昭和三十一年度より三ヵ年計画により国庫補助金を受けて自動車ポンプを購入する。
(4)養老院建設事業
 一〇〇人収容として計画、本年は五十人収容分を建設中。
(5)観光並びに都市計画事業
 本年度より都市計画、観光施設事業を計画。
(6)産業振興事業
 畑地灌漑事業(四〇〇町歩)を実施。
(7)道路・橋梁改修事業
 逐次実施している。
(8)失業対策事業
 本年度中に開始予定。
(9)その他上水道・公民館・保育園等の計画がある。


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