2-7 船舶用衝突防止装置
2-7-1 中国船舶用衝突防止装置の需要動向
中国の船舶用レーダーは半分以上を輸入に依存している。なかでも、船舶用衝突防止装置は国内には生産企業がなく、すべて輸入している。
総トン数1万トン以上の船舶には、衝突防止装置を設置しなければならない。2004年に中国で建造された1万トン以上の船舶は134隻である。輸入比率は100%で、ブランドは主に日本の古野、JRCとイギリスのRaymarine等である。
中国造船業における大型船建造の増加に伴い、中国における船舶用衝突防止装置の需要も増えるが、現在の輸入依存の状況は当面変わらないと考えられる。
◆ 衝突防止レーダーはハイテク製品として、その科学技術力がとても高くて、開発のコストも高く、リスクも大きい。しかも核となる技術は中国においては国家に管理され、一般的な企業は衝突防止レーダーの中核技術を獲得することができず、研究・開発能力も備えていない。
◆ 既に、海外の主要メーカーの技術と性能は非常に高いレベルに達しており、新規参入は非常に難しい。しかも船舶用衝突防止装置を用いる大型船舶の数はそう多くない。
2-8-1 中国舶用デッキクレーン業界の概況
中国の舶用デッキクレーン業界は、既に国内造船業のニーズを充足しており、海外からの輸入はない。2004年の中国国内市場での需要量は300台弱と推測され、一部の外商投資企業が生産する舶用デッキクレーンは輸出も多い。
中国船舶工業行業協会の甲板機械分会によれば、2004年、中国国内でデッキクレーンを生産する事業者は8社である。
(1)2004年中国舶用デッキクレーン生産業者の生産販売情報(上位5位)
順位 |
企業名 |
生産量
(台) |
販売量
(台) |
販売総額
(万元) |
国内販売量
(台) |
1 |
国営華南船舶機械廠(広西省梧州市) |
200 |
200 |
9,500 |
140 |
2 |
辻産業重機(江蘇)有限公司(江蘇省張家港市) |
- |
- |
- |
- |
3 |
南京中船緑洲機器有限公司(江蘇省南京市) |
97 |
85 |
3,500 |
40 |
4 |
武漢舶用機械有限責任公司(湖北省武漢市) |
32 |
32 |
1,200 |
30 |
5 |
広西梧州恒宇港船機械製造有限公司(広西省梧州市) |
4 |
4 |
85 |
4 |
6 |
無錫市江南船舶設備有限公司 |
|
|
|
2 |
7 |
南京東昇船用設備有限責任公司 |
|
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|
2 |
8 |
大連北方船舶補機有限公司 |
|
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1 |
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(2)国内の主なデッキクレーン製造事業者と主要顧客
企業名 |
主要顧客 |
国営華南船舶機械廠 |
江南造船(集団)有限責任公司
滬東中華造船(集団)有限公司
南通船廠
臨海回浦船廠
澄西船廠 |
辻産業重機(江蘇)有限公司 |
江蘇東方造船有限公司
江蘇江揚船舶集団有限公司 |
南京中船緑洲機器有限公司 |
大連新船重工有限責任公司
江南造船(集団)有限責任公司
江蘇揚子江船廠有限公司
江蘇東方造船有限公司 |
武漢舶用機械有限責任公司 |
中国長江航運集団青山船廠
大連船廠
上海外高橋船廠
江南造船(集団)有限責任公司
滬東中華造船(集団)有限公司 |
広西梧州恒宇港船機械製造有限公司 |
浙江造船有限公司
7817廠 |
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● 中国の造船業の著しい発展、特に大型遠洋船舶の生産量の増加につれて、国内の舶用デッキクレーンの需要は急速に増加している。
● 海外からの技術導入等により、国内の甲板機械生産企業の生産能力も増加している。
● 日本の辻産業株式会社が中国に投資して工場を建設したのを始め、マックグレゴー(Macgregor)社も中国企業への技術供与し、舶用デッキクレーンの製造を行っている。
中国船舶工業行業協会の甲板機械分会関係者によれば、中国のデッキクレーン業界、特に大型企業(国営華南船舶機械工場等)は国内シェアを維持しつつ、輸出量を増やそうとしている。
年 |
2005年 |
2006年 |
2007年 |
舶用デッキクレーンの販売量(台) |
350 |
435 |
544 |
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2-8-3 中国舶用デッキクレーン大手生産企業に対する調査
販売量上位の中国国内企業である国営華南船舶機械廠について調査を行った。
(1)主な製品
現在の製品は、舶用デッキクレーン、その他の甲板機械、舶用操舵装置、舶用アンカー、キャプスタンなどである。中でも、舶用デッキクレーンは主要製品で、油圧デッキクレーンと電動デッキクレーンを製造している。起重能力は1〜200トンの間である。2004年のデッキクレーンの販売額は販売総額の70%、その他のクレーン(例えば海洋クレーン)が10%、クレーン以外の甲板機械製品が15%、その他(例えば、舶用操舵装置、舶用アンカー、キャプスタン等)が販売総額の5%を占めている。
下表は当該企業各種製品2004年度の主要な経営データである。
製品種類 |
生産量(台) |
販売量(台) |
製品総販売額(万元) |
デッキクレーン |
200 |
200 |
9,500 |
その他の甲板機械 |
85 |
75 |
1,800 |
その他の製品 |
- |
- |
900 |
総計 |
- |
- |
12,200 |
|
(2)生産設備
設備名称 |
加工能力(台/年) |
主な設備の製造地 |
各類デジタル加工設備、試運転設備 |
350 |
日本 |
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(3)資機材の調達
(主な調達区域)
● 原材料はすべて国内で仕入れており、ドイツの「REXROTH」ブランドの油圧シリンダ及び油圧システムは国内の販売店から購入している。
● 貴州と北京地区からの仕入れが、それぞれ全体の仕入れ額の30%を占めている。主に油圧部品の仕入れである。鋼板の仕入れは主に武漢地区からが多く、仕入れの20%を占めている。
(主な調達先)
企業名 |
主な調達品 |
貴州航空工業(集団)有限責任公司(貴州省貴陽市) |
油圧シリンダ |
北京液圧件三廠(北京市) |
油圧シリンダ |
博世力士楽(常州)有限公司(江蘇省常州市) |
油圧シリンダ及び油圧システム |
武漢綱鉄(集団)公司(湖北省武漢市) |
鋼板 |
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(4)販売先
製品の70%は国内で販売されており、華東、華南地域(上海、南京、厦門、広州)に集中している。一部の製品は大連、武漢にも販売されている。同社は自主輸出入権を持っており、主な輸出先はベトナムである。
販売方式は全て直接販売である。同社は北京、大連、上海、武漢、南京などの国内各地及び海外ではベトナムに販売事務所を設立して、製品の販売およびアフターサービスを行っている。販売スタッフは40人いる。
販売先は造船所向けが65%、船主向けが35%である。
(5)代金決済
支払い方式は双方の協議によって決まるが、一般に、契約締結時に商品代金の20%〜30%を前受けする。具体的な比率は双方の協議によって決まる。生産完了後、残金を支払う。支払い確認後、貨物を発送する。
(6)製品輸送
現在、同社はトラック約十台を保有している。輸送コストについては、メーカー側が輸送を行なう場合、契約価格には運賃が含まれておらず、別途請求することになる。
(7)今後の事業計画
同社は70年代以降、長年にわたり舶用甲板機械の設計・製造を行っており、中国における甲板機械の主要生産企業の一つで、海洋工程設備の設計・製造も行っている。
現在、最大吊り上げ能力150トンまでの大型舶用クレーン、大型楊錨機(チェーン直径114mm用)、張力300トンの各種巻上機を生産している。各種の船舶用の電動油圧クレーン、救命ボートダビット、油圧操舵装置、原油洗艙機、舶用ギヤボックスなども供給するとともに、海洋石油プラットフォームのような海洋構造物に各種の海洋クレーン及びその他の海洋工程設備を供給する。
同社は専門の製品開発設計所を有し、14人の高級技師がいる。CADシステムを用いて製品の設計と開発を行い、データ管理システム(Product Data Management)、ERPシステムも導入している。
工場には、各種の先進的なマシニングセンター及び各種NC加工設備、最大試験モーメント22,000トンメートルのクレーン試験台、200トンの巻上機試験台及び800kN・m以上の操舵装置試験台を有する。
同社はISO9000国際品質保証システムを取得している。
現時点で工場の拡張計画はない。今後3年間のデッキクレーンの生産計画は以下のとおりである。
年 |
2005 |
2006 |
2007 |
生産・販売量(台) |
220 |
240 |
260 |
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