2-6 舶用GPS
2-6-1 中国舶用GPS業界の概況
中国GPS行業協会、中国漁船漁機行業協会等によれば、現在中国船舶用GPS製品は国内市場の60%以上を占めているとされるが、コア技術となるICチップは全て輸入に頼っている。
国内の船舶用GPS生産企業は規模が小さく、生産量が少ないうえに、技術的にも遅れており、アフターサービス体制も不十分である。
中国GPS技術応用協会によれば、中国で生産された船舶用GPSは主に漁船と中小型の貨物船及び客船に使われている。
中国漁船漁機行業協会によれば、中国には現在40万隻の漁船があるが、GPSを装備しているのは20%〜25%ぐらいで、GPS装備は殆どの海洋漁業船に集中している。一隻に一台と計算すると、中国の漁船のGPSの使用総量は8万台から10万台ぐらいと考えられる。
一方、中国交通部によれば、中国のエンジン付船(貨物船と客船。漁船を除く)は12万隻ぐらいで、うち、GPSを装備しているのは75%〜80%ぐらい、一隻に一台と計算すると、これらの船のGPSの使用総量は9万台から9.6万台ぐらいと考えられる。
以上のデータから、現在中国船舶のGPSの総装着数は17万台から19.6万台ぐらいと推測される。漁船漁機行業協会と主要なGPS代理店によれば、船舶用GPS製品の更新周期は約5年なので、年間平均更新台数は3.4万台から3.92万台ぐらいと考えられる。
なお、中国で建造される100総トン以上の船舶は、2004年度で1,117隻であるが、これらの船舶には、外国製を搭載するものが多いと思われる。
GPSの中国生産企業は規模が小さく、中国漁船漁機行業協会によれば、現在、国内で一定規模(年間売り上げ500万元以上)に達しているGPS生産企業は、極めて限られている。うち、舟山中裕議器有限公司は中国水産科学研究院漁業機械儀器研究所からの技術サポートを受けており、国内では最も技術的に進んでいる企業である。
(1)国内企業によるGPS生産・販売状況(販売量順):
(2)下表は会社の販売方法に関する問題を2社に訪ね、話しを纏めた結果:
前述のとおり2004年の中国船舶用GPS業界総需求量は3万台後半から約4万台の間と推測され、輸入品と国産品の比率から推測すると、中国船舶用GPS業界の総輸入量は1.4万台から1.6万台程度と考えられる。
輸入品の主なブランドは日本の古野、JRC、トップコン(Topcon)、アメリカのGarmin、JAVAD等である。
中国船舶用GPS業界は20年を経て、ここまで発展して来た、それを2つの段階に分けて分析した:
内容 |
業界発展初期 |
現在 |
国産及び海外 製品の比率 |
100%輸入 |
国内製品は全体の約60%を占めている。 |
技術 |
位置の測定のみ |
位置測定、海図、自動航行にも利用。 |
価格 |
一台の平均価格は一万元超 |
一台の平均価格は2千〜3千元程度。 |
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中国政府はGPS産業の育成発展に力を入れているので、将来中国船舶用GPS業界の発展の歩調は速まるだろう。但し、中国船舶用GPS業界の発展の過程には下記のような問題点がある:
(1)中国船舶用GPS製品のコア技術となるICチップは輸入に依存しており、業界発展のボトルネックとなっている。現在、国内で僅か1社のみがICチップの試生産を行っているが、大量生産が出来ず、ICチップを輸入に頼る局面はまだまだ続くだろう。
(2)中国船舶用GPS生産企業は規模が小さく、製品開発する能力が足らない。
現在、中国の船舶用GPS生産企業の規模は小さく、リーダー的な企業は出ていないので、製品の開発能力が足りない、企業同士の真似ばかりで、業界の発展の妨げになっている。
中国漁船漁機行業協会等によれば、中国海洋漁業船と小型貨物船・客船におけるGPSの装着率の増加に伴い、今後も船舶用GPSの需要は増えていくとしている。
2-6-4 中国舶用GPS大手生産企業に対する調査
州市郷城華潤電子有限公司と舟山中裕議器有限公司の2社を対象に調査した。
2-6-4-1 州市郷城華潤電子有限公司
2004年の売上収入は646万人民元(=9,690万円)、販売利益総額は12.3万人民元(=180万円)であった。
(1)主な製品
現在、同社は船舶用GPS、衛星航路誘導装置と魚群探知総合機器等の衛星誘導設備の研究、開発と製造を行っている。
これらの製品は漁船に多く使われており、2004年度の同社総販売額の90%を占めている。他の製品は無線通信設備等で全体の10%になっている。
下表は2004年度同社の各製品の主要販売量:
製品種類 |
生産量 |
販売量 |
総販売額(万元) |
船舶用GPS |
1,630台 |
1,600台 |
5,510,000 |
船舶用衛星航路誘導装置、魚群探知総合機器 |
500台 |
500台 |
300,000 |
無線通信設備 |
- |
- |
649,000 |
総計 |
- |
- |
6,459,000 |
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(2)生産設備
名称 |
加工能力(台/年) |
製造国 |
自動貼付け機、マイクロ波検出機器、マイクロ波暗室、近距離検知システム、超防塵電子生産ライン、超防塵試験室 |
5,000 |
日本、中国 |
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(3)資機材の調達
(主な調達区域)
原材料の主な仕入れ先は国内にあり、企業総仕入れ量の95%を占めている。主要な仕入れ地区は華南地区である。
国外からは日本などから、全体仕入れ量の5%を輸入している。輸入はGPSのICチップが主である。
(主な調達先)
企業名 |
主な調達品 |
福建強力光電科技集団(福建省泉州市) |
ディスプレー |
光電製作所(日本) |
GPS ICチップ |
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(4)販売先
同社の製品は全て国内販売になっている、主な販売地区は福建、広東地区及び北方地区で、うち、福建と広東の販売額は企業総販売額の40%を占めている。
同社は直接販売と代理店販売を実施している。うち、直接販売が30%、本社直轄の代理店を通しての販売が70%である。販売スタッフは20名いる。
比較的規模の大きな代理店は以下のとおりである。
代理店リスト |
製品種類 |
年間販売量 |
上海市長江口通道維修中心 |
“華潤”ブランド船舶用GPS |
30台 |
広西北海市中興航海議器部 |
同上 |
50台 |
浙江舟山市定海区金通電子設備経営部 |
同上 |
20台 |
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同社の主な顧客(造船会社)は以下のとおりである。
同社の製品は量産品である。通常、30台以上買上げの顧客は直接会社の本部で、他の顧客は代理店で購入する。
(5)代金決済
支払い方法は先払いである。
(6)製品輸送
製品の配送には通常、中国郵便局のEMSを利用している。
(7)今後の事業計画
現時点で工場の拡張計画はない。今後3年間の生産予定は以下のとおりである。
年 |
2005 |
2006 |
2007 |
生産・販売量(台) |
1,700 |
1,800 |
2,000 |
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2004年の売上収入は494万人民元(=7,410万円)、販売利益総額は29.0万人民元(=435万円)であった。
(1)主な製品
現在、企業はGPSの誘導アンテナ、マイクロ波製品、伝送器、GPS船舶用航路誘導機器、魚群探知機等の製品の開発、生産及び販売を行っている。
● 主な製品は車載用GPS(カーナビ)のアンテナで、総販売量の50%を占めている。
● 船舶用GPS、魚群探知機のヘッド部及び船舶用GPSのアンテナも生産を行っている。
● 他の製品は航空用航路誘導アンテナ、沿岸用航路誘導製品等である。
下表は同社2004年度各製品の主要な販売データ:
製品種類 |
生産量 |
販売量 |
製品総販売額(万元) |
船舶用GPS |
360台 |
360台 |
190,000 |
魚群探知機のヘッド部 |
100台 |
100台 |
70,000 |
航路誘導アンテナ |
- |
- |
- |
総計 |
- |
- |
4,940,000 |
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(2)生産設備
名称 |
船舶用GPS製造能力(台/年) |
製造国 |
自動貼付け機、マイクロ波検出機器、マイクロ波暗室、近距離検知システム、超防塵電子生産ライン、超防塵試験室 |
2,000 |
アメリカ、日本、中国 |
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(3)資機材の調達
(主な調達区域)
● 原材料の仕入れは国内からの調達が、全体の95%を占めている。
● 同社が使用するGPS-ICチップは全てアメリカから輸入している。
● 国内の仕入れ部品は、液晶ディスプレー、各種プラスチック製品等である。
(主な調達先)
(4)販売先
同社の製品は80%が国内で販売されている。輸出は主に航路誘導機器用のアンテナで、航路誘導機器自体の輸出はない。
同社は自営輸出入権を持っているが、現時点で輸出に力を入れる計画はない。
製品の国内での販売エリアは、広州、上海及び北京等の地域が主で、これらの地域のみで総販売額の80%を占めている。販売方法は、直接販売である。
主な顧客リスト
最終顧客リスト |
製品種類 |
年間需求量 |
支払い方法 |
大連梦夢遠漁業有限公司 |
GPS船舶用航路誘導機器 |
10台 |
分割払い |
天津市遠洋漁業公司 |
GPS船舶用航路誘導機器 |
5台 |
江蘇南通市海倫漁業有限公司 |
GPS船舶用航路誘導機器 |
8台 |
浙江揚帆船舶集団有限公司 |
GPS船舶用航路誘導機器 |
- |
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同社の製品は中、高レベルの製品なので、値段が高い。顧客が会社のサンプルを見て、注文する。
(5)代金決済
支払い方法は、一回に20台以上を購入する顧客は契約する除35%を支払い、残金は着払いの分割払いである。一回に20台未満を購入する場合は先払いである。
(6)製品輸送
製品の配送は、通常、中国郵便局のEMSを利用、または客が自分で運ぶ。
(7)今後の事業計画
現在同社に工場の拡張計画はない。今後3年間の生産予定は以下のとおりである。
年 |
2005 |
2006 |
2007 |
生産販売量(台) |
400 |
450 |
450 |
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