2-5 舶用ジャイロコンパス
2-5-1 中国ジャイロコンパス業界の概況
船舶用ジャイロコンパスの国内生産は1960年代から始まった。国内のジャイロコンパス技術は外国製品と大きな格差があり、国産ジャイロコンパスの船舶への搭載率はまだ低い。現在、中国市場では国産と輸入のジャイロコンパスの販売比率は1:4、国内の製品は主に沿岸船舶に装備され、殆どの遠洋船舶は輸入品を装備している。
中国2004年度の船舶の総製造量は1,117隻、うち、総トン数2,000トン以上の船舶にはジャイロコンパスの装備が必要とされており、対象船舶は約1,000隻(民生用船舶の製造量)と推測される。国内産と輸入のジャイロコンパスの販売比率から見ると国内の製造総量は約200台、輸入量は800台と推測される。
国内のジャイロコンパスの製造企業は以下の三社である。
(1)国内ジャイロコンパス生産企業の生産量表(生産量順)
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企業名称 |
04年度ジャイロコンパス生産量(台) |
04年度ジャイロコンパス販売量(台) |
04年度民生用船舶用ジャイロコンパス販売量(台) |
1 |
九江儀表廠(江西省) |
200 |
200 |
50 |
2 |
上海航海儀器総廠 |
120 |
120 |
80 |
3 |
重慶長平機械廠 |
85 |
85 |
70 |
計 |
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405 |
405 |
200 |
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(2)舶用ジャイロコンパス製品の主な販売方式
舶用ジャイロコンパスは全て直接販売で、販売先は各地の中小規模の造船所と国内船主である。大手造船所は輸入製品を採用している。
(3)国内ジャイロコンパス製品の主要販売地域
調査した両社の主な販売先及び販売量は表のとおりである。国内ジャイロコンパス製品の主な販売地域は浙江、江蘇、山東及び湖北省等である。
生産企業 |
主な販売先 |
年間販売量 |
九江儀表廠 |
浙江省楽清七里港船業有限公司 |
5台 |
楽清市東方造船有限公司 |
15台 |
浙江黄岩玻璃鋼船廠 |
7台 |
青島遠洋運輸公司 |
10台 |
上海航海儀器総廠 |
武昌造船廠 |
3台 |
南京金陵船廠 |
5台 |
江蘇省無錫船廠 |
3台 |
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2-5-2 中国における民間用舶用ジャイロコンパスの輸入状況
中国民間用ジャイロコンパス業界の製品輸入状況
前述のように、国内産のジャイロコンパスの市場占有率は20%と低い。(中国船舶工業協会による)
2004年に輸入されたジャイロコンパスの主なブランドは、ドイツの“Anshutz”、英国の“Meridian”標準型等である。
中国造船工業は近年急速に発展しているが、中国のジャイロコンパス製造メーカーは当面足踏み状態が続くと考えられる。主な発展傾向及び影響の要因は下記のとおりである。
● 国内製品は技術とアフターサービスの面で遅れており、輸出船の船主は海外製品を指定する。
● 中国ジャイロコンパスの生産企業3社は、全て国有企業で、技術も国内技術を採用している。生産・経営の面でも合理化が遅れている。
● 技術面では、デジタル化及び小型化が進むと考えられる。
専門家は何年か先には国内民間用ジャイロコンパスの生産総量は20%の増加率を見込んでいる。
年 |
2005年 |
2006年 |
2007年 |
民間用ジャイロコンパス販売量(台) |
240 |
290 |
350 |
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2-5-4 中国舶用ジャイロコンパス大手生産企業に対する調査
現在、国内のジャイロコンパス生産企業は僅か3社であるが、うち2社について調べたところ、両社の経営状況は良くなく、利益率はマイナスとなている。ジャイロコンパスは技術水準が高く、経営状況の不良が企業の新製品開発にも悪い影響を及ぼしている。
(1)主な製品
現在、同社は3種類の製品の生産・販売を行っている。操舵機、ジャイロコンパス等の船舶航海装置、油圧製品及び他の小型電力設備等である。
そのうち主な製品は船舶航海装置:ジャイロコンパス、ジャイロコンパスと操舵機を組み合わせた装置等であり、これらの製品は国内造船所及び国防産業に使われている。
2004年の売上収入は46.4百万人民元(=6.9億円)、販売利益総額は△6.6百万人民元(=△1.0億円)であった。
うち、航海装置の販売額は全体の75%を占めている。油圧製品は電液サーボバルブと電磁球式方向転換バルブで全体の20%である。他の製品は電力メーター及び小型風力発電機等であり全体の5%である。
2004年の主な生産品目
製品種類 |
生産量 |
販売量 |
うち民間用製品の販売量 |
製品総販売額 |
ジャイロコンパス、ジャイロコンパスと操舵機を組み合わせた装置 |
200台 |
200台 |
50台 |
3,400万元 |
CP-11xxシリーズとセットの操舵装置 |
60台 |
58台 |
- |
油圧製品 |
- |
- |
- |
900万元 |
電力メーター及び小型風力発電機 |
- |
- |
- |
300万元 |
総計 |
- |
- |
- |
4,600万元 |
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(2)生産設備
名称 |
加工能力(台/年) |
製造国 |
立型加工機械、単軸ジグ中ぐり盤、ジグ中ぐり盤、ジグ測量機械、超高精度旋盤等 |
300 |
米国、ドイツ、英国 |
|
(3)資機材の調達
(主な調達区域)
原材料の仕入れ全て国内から、仕入れ先は華東地区50%と華北地区30%に集中している。
原材料仕入れは金属材料を主に、一般金属材料(ステレス、銅、鋳物アルミ等)と特殊金属材料(合金鋼、プラチナ等)に分かれている。
(主な調達先)
(4)販売先
製品販売は全て国内向けである。主な販売地域は浙江省と山東省で、うち、浙江省の販売額が全体の65%を、山東省が25%を占めている。
販売は全て直接販売で、顧客は各地の造船所と船社である。販売比率は造船所が75%、船社が25%となっている。販売員が約20人いる。
主な顧客は以下のとおり。
最終顧客リスト |
製品種類 |
年間納入量 |
支払方法 |
浙江省楽清七里港船業有限公司 |
ジャイロコンパス、ジャイロコンパスとセットの操舵装置 |
5台 |
小切手 |
楽清市東方造船有限公司 |
15台 |
浙江黄岩玻璃鋼船廠 |
7台 |
青島遠洋運輸公司 |
10台 |
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(5)代金決済等
同社は受注生産である。生産工期が長く、通常は3ヵ月〜4ヵ月かかる。
支払い方法は商談の上契約で決める。顧客の信用度により三つの支払い方法がある。
信用度 |
支払い方法 |
良好 |
着払い |
普通 |
20%頭金、残額は着払い |
低い |
先払い |
|
(6)製品輸送
同社は自社の運送車両を持っておらず、製品の配送は鉄道運送以外は全て提携輸送会社に委託している。
(7)今後の事業計画
同社の敷地面積は40万m2、うち工場面積は23.5万m2、緑地面積は14.2万m2で、軍事工場の標準に基づき造られた工場である。会社はコンピューターによる精密機器の設計、加工センター、試験及び模擬試験用設備を有しており、米国、ドイツ、英国等から輸入した生産、調整、測定用設備も保有している。GB/T19001及びGJB/Z9001(航空計器計表質量管理体系認証)を取得している。
現時点で工場の拡張計画はないが、既存設備でのジャイロコンパスのセット製品の生産・販売を増やす計画がある。今後三年間の生産・販売量の計画は以下のとおりである。
年 |
2005 |
2006 |
2007 |
生産販売総量(台) |
240 |
280 |
336 |
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(1)主な製品
2004年の売上収入は69.3百万人民元(=10.4億円)、販売利益総額は△0.68百万人民元(=△0.1億円)であった。
以下の船舶用品の生産・販売を行っている。
第一類:ジャイロコンパス、自動操舵装置等の航行装置。これらの製品は2004年販売額の30%を占めている。
第二類:機関室用自動化設備。2004年の販売額の30%を占めている。
第三類:油圧自動化設備。2004年の販売額の20%を占めている。
その他の製品:無線通信設備、ステレス厨房設備、金属製品等。
下表は2004年の主要製品の生産・販売量:
製品種類 |
生産量 |
販売量 |
うち民間用 製品販売量 |
製品総販売額 |
ジャイロコンパス、操舵装置セット |
120台 |
120台 |
80台 |
2,040万元 |
機関室用自動化設備 |
50台 |
50台 |
不詳 |
約2,000万元 |
油圧自動化製品 |
- |
- |
- |
約1,400万元 |
無線通信設備、ステレス厨房設備、金属製品等 |
- |
- |
- |
約1,400万元 |
総計 |
- |
- |
- |
6,900万元 |
|
(2)生産設備
名称 |
加工能力(台/年) |
主な設備の製造国 |
防塵組立室、加工センター、プレス加工機、旋盤、精密測量設備 |
100 |
米国、日本、デンマーク、スイス |
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(3)販売先
現在、同社の主要な製品は機関室用自動化設備、船舶航行用自動化設備、油圧製品の三種類に分かれている、それぞれ自動化事業部、導航自動化事業部と液電事業部が担当している。同社のジャイロコンパスは導航自動化事業部が運営管理している。
以下はジャイロコンパスだけの販売形態について記載する。
同社のジャイロコンパスは全て国内で販売されており、主要な販売エリアは華東地区、華南地区、東北地区と華中地区の四大市場である。上海市、浙江省、江蘇省を主とする華東地区の販売比率が一番高く、全体の30%を占めている。華南地区の主要販売エリアは広東省と福建省で25%、東北地区の主要販売エリアは遼寧省で25%、華中地区の主なエリアは重慶市と湖北省で全体の売上の20%を占めている。
同社の販売形式は、全て直接販売で、販売本部が造船会社か船主に直接販売する。
なお、現在同社本部の販売人員は15人である。
現在、販売先の中で、造船所が70%、船主が30%を占めている。
主な顧客リスト |
製品種類 |
年間需求量 |
支払い方法 |
南京勝華船廠 |
ジャイロコンパス |
6台 |
分割支払い |
南京金陵船廠 |
5台 |
浙江振華船舶製造有限公司 |
5台 |
温州市東方船廠 |
4台 |
武昌造船廠 |
3台 |
江蘇省無錫船廠 |
3台 |
揚州科進船廠 |
3台 |
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(5)代金決済
支払い方法は、通常分割払い。具体的には、契約時に総額の30%、引渡し時点で残りの70%を支払う。製品の保証期間は1年である。
(6)製品輸送
同社は自社の運送車両は持っていない。製品配達は全て運送会社に委託しており、運送料は別途顧客が負担している。
(7)今後の事業計画
現時点で、工場の拡張計画はない。今後3年間のジャイロコンパスの生産量計画は以下のとおり。
年 |
2005 |
2006 |
2007 |
生産、販売総量(台) |
144 |
172 |
206 |
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