日本財団 図書館


2-4-3 中国舶用プロペラ大手生産企業に対する調査
 2004年の国内売上上位の大連船用推進器廠と鎮江中船ワルチラプロペラ有限公司について調査を行った。
 
2-4-3-1 大連船用推進器廠
(1)主な製品
 同社は約40年の舶用プロペラ生産の歴史を持つ。
 2004年の売上収入は101百万人民元(=15.2億円)、販売利益総額は3.1百万人民元(=0.5億円)であった。
 主な製品は直径3〜11メートルの舶用プロペラであり、これらの2004年の売上金額は全体の売上の90%を占める。また、主なプロペラ部品はプロペラブレード、可変ピッチプロペラケーシング、プロペラ保護カバー等であり、これら部品の2004年の売上金額は全体の10%を占めた。
 
2004年の主な生産品
製品種類 生産量 販売量 売上金額 国内市場占有率
舶用プロペラ 2,000トン 1,800トン 9,000万元 18%
その他プロペラ部品 - - 1,108万元 -
(出典:傑勝調べ)
 
(2)生産設備
名称 処理能力(トン/年) 主な設備の製造国
30トン、7トン中域周波数誘導電磁炉
DV4-1000スペクトル分析機器
五軸連動NCフライス盤等
2,500 ドイツ、イギリス
(出典:傑勝調べ)
 
(3)資機材の調達
(主な調達区域)
 原材料は全て国内で仕入れており、仕入先は華東地区及び華北地区に集中している。うち、華北地区からの仕入比率は50%、華東地区からの仕入比率が30%、その他の地区からが20%である。
 
(主な調達先)
企業名 主な調達品
大連中海金属于集団有限公司(遼寧省大連市) SUS316鋼
江西銅業集団公司(江西省鷹潭市)
葫芦島東北有色金属集団有限公司(遼寧省葫芦島市) 亜鉛
(出典:傑勝調べ)
 
(4)販売先
 製品の80%は国内で販売され、主な販売地区は遼寧、華東と華南地区にある。うち、遼寧省での売上が総額の35%を占める。輸出が全体の20%を占め、西欧、マレーシアの造船所、船主等に輸出している。販売は直接販売で、営業担当は30人いる。
 
主要な顧客リスト
顧客 製品種類 2004年納入量 支払方式
大連造船重工有限責任公司 舶用プロペラ 8 小切手
滬東中華造船(集団)有限公司 4
江南造船(集団)有限責任公司 3
上海求新造船廠 6
大連新船重工有限責任公司 -
上海市外高橋造船有限公司 -
南通中遠川崎船舶工程有限公司 -
(出典:傑勝調べ)
 
(5)代金決済
 同社は取引先企業をその信用度に基づき、支払方式を3種類に分けている。
信用度 支払方法
良好 着荷後、支払
普通 前金30%、着荷後、残額支払
悪い 振り込み確認後、出荷
 
(6)製品輸送
 同社は自社運送車両5台を持ち、製品を目的地の港まで輸送している。その後の輸送は客先手配が一般的である。
 海上輸送は専門の輸送会社に委託している。
 
(7)今後の事業計画
 現在、CSIC中国船舶科学研究センターと提携して、各種の固定ピッチプロペラ、可変ピッチプロペラを設計、生産することとしている。同社はCCS、LR、DNV、ABS、NK、KR、BV、GL、RINAの九つの船級協会の認可を取得するとともに、1997年にISO9002品質体系認証を取得した。
 鋳物工場、NC加工工場及び表面仕上げ工場を整備した他、海外から先進のプロペラ加工用五軸連動NC旋盤を購入し、直径が9m以上の大型船舶用プロペラを加工できるようになった。現在、工場の一回の溶解能力は110トンに達し、最大吊り上げ能力100トンのクレーンを備え、直径11m以下、完成品重量100トン前後の超大型プロペラが生産可能である。年間生産量は2,000トンに達している。イラン向けVLCCプロペラの直径は10m、完成品重量は72トンで、中国での初めての超大型船舶用プロペラを生産した。
 同社は、既存の設備を利用して大型プロペラ製品の生産増量及び拡販を行っている。今後三年間の生産・販売計画は以下のとおりである。
 
2005 2006 2007
製販総量(トン) 2,200 2,500 3,000
(出典:傑勝調べ)
 
2-4-3-2 鎮江中船ワルチラプロペラ有限公司
(1)主な製品
 主な製造・販売品目は固定ピッチプロペラ、可変ピッチプロペラ及びプロペラ部品である。
 2004年1月から6月まで(同社の決算の関係上、半期のデータとなった)の売上収入は39.3百万人民元(=5.9億円)、同期間の販売利益総額は4.8百万人民元(=0.7億円)であった。
 うち、固定ピッチプロペラの2004年の売上金額は全体の70%を占めた。
 その他、可変ピッチプロペラが20%を、プロペラブレード、可変ピッチプロペラ、プロペラ保護カバー等の部品が全体の10%を占めた。
 
2004年度同社各種製品の主要経営指標:
製品種類 生産量 販売量 売上金額
プロペラ 1,500トン 1,200トン 8,600万元
プロペラ部品 - - 900万元
(出典:傑勝調べ)
 
(2)生産設備
名称 加工能力(トン/年) 設備の製造地
各種の加工設備、検査設備 160台 2,500 フィンランド等
(出典:傑勝調べ)
 
(3)資機材の調達
(主な調達区域)
 原材料が全て国内で仕入れており、仕入先は瀋陽、上海及び江蘇省に集中している。瀋陽地区からの仕入率は40%で主な仕入れ材料は銅である。上海地区からの仕入率は40%で主な仕入れ材料はアルミ、マンガン、ニッケル等である。江蘇省からの仕入率は20%で主な仕入れ材料はステンレス等の金属材料である。
 
(主な調達先)
企業名 主な調達品
瀋陽銅興産業有限公司(遼寧省瀋陽市)
上海物貿中心有色金属交易市場(上海市) アルミ、マンガン、ニッケル等金属
泰興金太陽金属制品有限公司(江蘇省泰興市) ステンレス鋼
(出典:傑勝調べ)
 
(4)販売先
 製品の70%は国内で販売され、納入先は主に華東と華南地区に集中している。華北地区では主に大連で販売され、大連での2004年の販売額は全体の10%であった。同社は自営輸出入権を持ち、現在、製品の30%は海外へ輸出されており、主な輸出先は東南アジアと西欧である。
 販売方式は全て直接販売である。
 
主な顧客リスト(造船工場):
造船所 製品種類 年間納入量
大連新船重工有限責任公司 大型コンテナ船用プロペラ 2台
滬東中華造船(集団)有限公司 各種船舶用プロペラ 15台
江南造船(集団)有限責任公司 大型コンテナ船用プロペラ 9台
葫芦島渤船重工工貿総公司 貨物船用プロペラ 10台
(出典:傑勝調べ)
 
(5)代金決済
 通常は分割払で、締約締結時に30%〜40%を支払い(具体的な金額は双方が協議)、生産完了後、振り込み確認の後、製品を出荷する。
 
(6)製品輸送
 同社は自社で車両3台を持ち、製品を海上輸送する場合は、自社の車両で港まで運び、そこから水上輸送企業に輸送を委託している。
 
(7)今後の事業計画
 同社は旧鎮江船用プロペラ廠工場の4.1万m2の土地を有し、生産建屋面積が1.45万m2、大型8メートル立型加工旋盤、50トン溶解炉等の生産設備122台(セット)、テスト及び検査設備30台(セット)余り、海外から輸入した新型NC旋盤も有する。直径8メートル以内の各種の固定ピッチプロペラ、可変ピッチプロペラ及びプロペラ部品等を生産できる。1979年の生産開始以来、企業は既に国内と海外客先のため15,000個の各種プロペラを生産したが、うち万トン級以上の船舶に装備されるプロペラが200個余りある。
 鎮江中船ワルチラプロペラ有限公司は会社設立後、1億元以上を投資して、鎮江市丁卯開発区に新工場を建設中である。新工場の計画敷地面積は5.5haで、2007年の生産開始予定である。新工場の完成後、現在の生産能力と合わせると、同社の年間プロペラ生産量は4,000トン以上になる見込である。
 今後三年間のプロペラ製品の製造・販売計画は以下のとおりである。
 
2005 2006 2007
製造・販売量(トン) 2,000 2,500 4,000
(出典:傑勝調べ)


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION