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2-1-4 中国舶用ディーゼルエンジン大手生産企業に対する調査
 中国の大手舶用ディーゼルエンジンメーカーである
(1)滬東重機株式会社、(2)大連船用ディーゼルエンジン廠、(3)鎮江中船設備有限公司の鎮江船用ディーゼルエンジン廠、(4)上海ディーゼルエンジン股分有限公司について、以下述べる。
 
2-1-4-1 滬東重機股分有限公司
(1)主な製品
 現在、滬東重機股分有限公司は主に舶用ディーゼルエンジン、関連部品、予備品、鋳・鍛造品及びその他の製品の設計、製造、販売を取り扱っている。
 2004年の売上収入は1,151百万人民元(=172.7億円)、販売利益総額は94.3百万人民元(=14.1億円)であった。
 具体的には、MAN-B&W低速ディーゼルエンジン、WARTSILA中速ディーゼルエンジン、390系列中速ディーゼルエンジン、PC、PA系列中速ディーゼルエンジンなどである。2004年度はMAN-B&W低速ディーゼルエンジンと390系列中速ディーゼルエンジンのみの生産であった。両機種を合わせて、2004年度の販売総額の87.5%を占めた。その他の製品としては、発電所、地下鉄のシールド機械、工事機械などのプラント設備があり、それらは2004年度売上総額の12.4%を占めた。
 
 下表は当該企業各種製品2004年度の主要な経営指標である:
製品種類 生産量
(台)
生産出力
(万kw)
販売量
(台)
製品総販売額
(万元)
MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 60 68.62 59 100,400
390系列中速ディーゼルエンジン 2 1.76 2 400
地下鉄のシールド、工事機械 - - -
総計 - - 115,175
(出典:傑勝調べ)
 
(2)生産設備
名称 設備製造国
TMS-35VNC数値制御ボール盤、3.5X12.7M数値制御ボーリング・マシン、直径160mm据え置き型・ボーリング・マシン、直径160mm数値制御ボーリング・マシン、D4000X16000mm旋盤、4.5X14M数値制御ボーリング・マシン、27M数値制御ボーリング・マシン、水力ダイナモメーター、滑油分油機、深穴ボール盤、数値制御ボール盤 チェコ、ドイツ、イギリス、日本
(出典:傑勝調べ)
 
(3)資機材の調達
(主な調達区域)
 原材料(鋼材、ディーゼルエンジン部品など)の80%が国内(上海と上海周辺エリア)の仕入れである。海外からの購入は日本のクランクシャフトをメインとする。
 
(主な調達先)
企業名 主な調達品
上海滬東鍛造廠(上海市) 鍛造品
神戸製鋼所(日本) クランクシャフト
(出典:傑勝調べ)
 
(4)販売先
 製品は殆どが国内販売で、輸出はきわめて数少ない。国内販売率が98%に達している。ディーゼルエンジン本体は全て国内販売である。会社は自主輸出入権利を有する、輸出拡大の計画は現時点ではない。
 
図3 滬東重機国内販売先内訳
(出典:傑勝調べ)
 
 販売先から見ると、現在、会社の国内販売先は上海と広東省辺りに立地している中国船舶工業集団公司の傘下の造船所がメインである。その他では江蘇省地域にある民間造修船企業と遼寧省地域にある中国船舶重工集団公司の傘下企業である。
 販売の形態的には100%直接販売である。現在会社の製品はすべて当該会社の販売部と造船所の間で直接販売されている。
 現在、販売チームには41名のスタッフがいる。
 
 以下は当該企業の主要な造船所ユーザーリスト:
顧客造船所リスト 製品種類 04年納入台数
滬東中華造船(集団)有限公司 MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 12
広州文沖船廠有限責任公司 MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 5
江南造船(集団)有限責任公司 MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 5
南通中遠川崎船舶工程有限公司 MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 5
上海外高橋造船有限公司 MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 4
江蘇新世紀造船股分有限公司 MAN-B&W低速ディーゼルエンジン 3
(出典:傑勝調べ)
 
(5)代金決済
 滬東重機と顧客との決算方式は分割払いである。具体的な段取りは以下の通り:
支払時期 支払金額 付注
1 購入意向の契約を締結する時 総額の10% もしもディーゼルエンジンの製造が終わった後に造船所が商品の代金の残額を支払わなければ、会社は納品しなくてよい。これと同時に造船所は年利子5.5で計算する滞納金を罰金として支払わなければならない。
2 正式に契約を締結する時 総額の20%
3 製品の生産が終わった時 総額の60%
4 据付する時 総額の5%
5 正式に使用をして1年間の保証期間が終わった時 総額の5%から修理費用を差し引き残額を支払う
(出典:傑勝調べ)
 
(6)製品輸送
 滬東重機は自社の運送船を保有しておらず、全て専門の運輸会社に委託して製品を水上輸送している。
 自社工場内の埠頭まで大型の貨物車で輸送し、そして埠頭から納品場所まで水上輸送する。輸送日数は華東地区まで一日、華南地区まで七日、華北地区まで十日、華中地区まで二十日かかる。
 輸送は主にCIF方式である。
 
(7)今後の事業計画
 同社は“第11次5ヵ年計画”期間中の発展計画を制定、今後5年のうちに、臨港新生産基地の建設と本部生産能力の改善の二大プロジェクトの実施を通して、ディーゼルエンジンの生産能力を大幅に引き上げる。
● 既存工場の改造計画:同社は1.5億元を投入して技術改造を行う。2005年の年間生産量は114万馬力に達しており、2006年の計画年間生産量は140万馬力、2008年には180万馬力まで引き上げる。
● 臨港新生産基地の建設計画:同社は2003年11月30日に上海臨港経済開発集団と船舶用の大出力ディーゼルエンジンの臨港新基地建設に関する戦略協力意向書を締結した。2005年3月、滬東重機、CSSC、日本の三井造船株式会社の三社は合資の意向書を締結した。上海に“上海中船三井造船ディーゼルエンジン有限公司”を設立し、この合資会社が船舶用大出力ディーゼルエンジンの臨港新生産基地の建設を行う。当該基地の面積は土地80haを使う予定であり、三段階での建設を予定している。
(第一段階)2005年〜2007年 工場建設後100万馬力の年間生産能力を備える。
(第二段階)2008年〜2011年 竣工後、200万馬力の年間生産能力を備える。
(第三段階)2012年〜2014年 竣工後、300万馬力の年間生産能力を備える。
 
 今後、3年間の同社のディーゼルエンジン製品生産・販売計画
年代 2005 2006 2007
生産・販売総量(馬力) 1,140,000 1,250,000 1,400,000
(出典:傑勝調べ)
 
2-1-4-2 大連船用ディーゼルエンジン廠
(1)主な製品
 現在、同社は生産ライセンスを取得しているMAN B&WとWARTSILA SULZERのディーゼルエンジンの生産と販売を主業務としている。
 2004年の売上収入は94.4百万人民元(=14.2億円)、販売利益総額は4.1百万人民元(=0.6億円)であった。
● 現在の主要製品はディーゼルエンジンで同社の全売り上げの90%を占める。
● 会社は2004年度、MAN-B&W系列低速ディーゼルエンジンとSULZER系列低速ディーゼルエンジンを生産した。その他に、ディーゼルエンジンの部品を生産した。
 
 下表は当該企業の各種製品2004年度の主要な経営指標である:
製品種類 生産量 生産出力 販売量 製品総販売額(万元)
MAN-B&W系列低速ディーゼルエンジン 27台 273,950kw 27台 50,000
WARTSILA SULZER系列低速ディーゼルエンジン 5台 80,580kw 5台
(出典:傑勝調べ)
 
(2)生産設備
名称 加工能力
(馬力/年)
製造国
フライス・マシン、重量級のNCのフライス・マシン、NC加工センター、NC据え置き型ボーリング・マシン、大型熱処理装置などの設備を揃える熱処理作業場、構造作業場、VLCC大型主機関用の近代化的な組立て工場。 800,000 ドイツ、
英国、
日本
(出典:傑勝調べ)
 
(3)資機材の調達
(主な調達区域)
● 原材料は主に国内調達であり、金額ベースでは全体の75%である。
● 海外調達部品のメインはクランクシャフトである。仕入れ地域は日本に集中している。
● 国内調達は、鋼材、ディーゼルエンジンの部品等であり、仕入れ地域は遼寧省に集中している。
 
(主な調達先)
企業名 主な調達品
大連金州船機有限公司(遼寧省) 舶用ディーゼルエンジンの付属品
神戸製鋼所(日本) クランクシャフト
(出典:傑勝調べ)


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