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1.4.2 PWCメーカー
 ボーティング・インダストリーの「2004年マーケット・データブック」によると、2003年の米国PWC市場における順位は、上からBRP、ヤマハ、カワサキ、ポラリス、ホンダとなっている。
 
<Bombardier Recreational Products Inc.>
 
【概要】
 (エンジンメーカーの記述を参照
 PWCの主要製品は、「シードゥ(Sea-Doo)」である。
 
<Yamaha Motor Corporation, USA>
 
【概要】
 (エンジンメーカーの記述を参照
 同社はPWCについて現在、「ウェイブランナー(WaveRunner)」のブランド名で10機種を生産する。ウェイブランナーには2ストロークエンジンと4ストロークエンジンがあり、最近、需要が高まっている4ストローク機種では「最も手ごろな価格」で販売するという製品開発に注力し、業界2位の地位を守っている。ウェイブランナーのVXシリーズから出した110スポーツと110デラックスは、前者が6,999ドル、後者が7,699ドルで、4ストロークPWC平均価格の1万ドルを大きく下回る。エンジンは従来の2ストロークよりも排ガス量を75%削減し、エンジン音を80%低減させ、燃費も20%向上した。2人以上乗れる機種が主流となっていることから、同社では、家族向け製品として売上げ増加を期待している。
 
<Kawasaki Motors Corp., U.S.A.>
所在地:9950 Jeronimo Road, Irvine, CA 92618-2084
電話:949.770.0400/ ファックス:949.460.5600
従業員:480人
年間売上高:2億5000万ドル
年間純利益:非公開
 
【概要】
 米国カワサキ・モータース(KMC)は、川崎重工業傘下の米国子会社で、北米市場におけるオートバイとATV、ユーティリティー車、そしてPWCの販売を一手に引き受ける。元々は、「カワサキ・モーターサイクル(Kawasaki Motorcycle Corp.)」として、オートバイ製造工場を米国に初めて開設するため、1966年にシカゴに米国本社を構えたのが米国市場進出の始まりである。当時のKMCには米国内の顧客も、流通網もなかったが、小規模の起業家たちがKMCのオートバイを流通させる契約に応じ、それによって実質的な事業が始まった。
 KMCは、米東海岸に販売会社「イースタン・カワサキ・モーターサイクル(Eastern Kawasaki Motorcycle Corp.)」を立ち上げていたが、1968年、同社とシカゴ本社を合併させた「カワサキ・モータース(KMC)」を米国本社として南カリフォルニアに移転させ、現在に至っている。
 KMCがオートバイ部門から事業を拡張したきっかけになったのは、1973年のPWC事業である。俗に呼ばれる「ジェットスキー(Jet Ski)」という商標のもと、立って操縦するというボンバルディアによる最初のPWCを、椅子にまたがって操縦するオートバイ型に変えて発表したところ、大当たりしてPWC業界の第1位の地位に躍り出た。その後、1980年にはATVとユーティリティー車の製造・販売にも進出し、それぞれの市場で大手の地位を確立した。
 米国PWC市場でジェットスキーはしばらく最大手の座にあったが、ボンバルディアが「シードゥ(Sea-Doo)」を発表し、ブランド名と強力なディーラー網に支えられてカワサキのジェットスキーを追い抜いた。さらに、近年では、ヤマハの「ウェイブランナー(WaveRunner)」にも抜かれた模様で、ジェットスキーにとってはPWC市場低迷の中、厳しい競争を強いられている状況である。ポラリスが同市場から撤退したとは言うものの、2002年からホンダが同市場に参入しており、厳しい状況は変わらない。
 KMCは、従業員480人以上を雇い、1,500以上のディーラーと契約し、年間2億5,000万ドル以上を売り上げる。カリフォルニア州アーヴァインの米国本社のほかにKMCは、地域別販売営業所を運営している。営業所が設置されている都市は、ニュージャージー州ピスカタウェイ、ジョージア州アトランタ、テキサス州フォート・ワース、ミシガン州グランド・ラピッズである。
 KMCの提携会社には、川崎重工業の米国子会社である「カワサキ・モータース製造(Kawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A)」(KMMC)がネブラスカ州リンカーンにある。KMMCは、小型エンジンの製造工場をミズーリ州メリーヴィルで運営している。米国内に開設した日本の車両製造工場(実質的にオートバイと自動車)では、1974年に米国進出したKMMCが最初である。
 親会社の川崎重工業は、米国本社「Kawasaki Heavy Industries (U.S.A.),Inc.」をニューヨークに構える。その他の米国子会社には、Kawasaki Rail Car, Inc.、Kawasaki Robotics (U.S.A.), Inc.、Kawasaki Construction Machinery Corp. of America、Kawasaki Precision Machinery of America、Kawasaki Gas Turbinesがある。
 
<American Honda Motor Co., Inc.>
 
【概要】
(エンジンメーカーの記述を参照
 PWCについては、現在、「アクアトラックス(Aqua Trax)」というブランドで5機種を生産している。PWC市場では、最も遅く参入したことから、市場シェアは、ボンバルディア、ヤマハ、カワサキ、ポラリスに次いで5社中最下位である。しかし、ポラリスがすでに撤退しているため、ホンダというブランド力とエンジン技術を武器にヤマハとカワサキを脅かす存在になると見られる。
 
1.5 舶用機器市場の現況
(ブランズウィックの舶用機器部門)
 総合プレジャーボートメーカーを目指すブランズウィックは、GPSメーカーのナブマン(Navman)、ノーススター(Northstar)及びMXマリーン(MX Marine)を企業買収するとともに、流通業者のベンロック(Benrock)の資産とP&A流通業者であるケロッグ・マリーン(Kellogg Marine)を買収して、舶用機器の製造、流通及び販売を扱うブランズウィック・ニューテクノロジーズ・マリーンエレクトロニクス(BNTME)部門を構築している。
 
(JRC、東海岸に流通網構築)
 舶用電子機器製造会社の米国JRC(Japan Radio Co.)は、1021 S.W. Klickitat Way, D-101, Seattle, WA 98134に所在し、日本のJRCで開発製造されたレーダーや魚群探知機、GPS、プロッター、MF/HF & VHFのラジオ電話、衛星電話、船舶自動識別装置(Automatic Identification System: AIS)の機器を米国で卸販売を行っている。
 
 同社は、2005年の夏に、東海岸の新たな倉庫を開設した。この新施設によって、「ディーラー向けのロジスティックスや流通および顧客対応を大きく強化できる。」、「過去2〜3年で、我々の製品の需要は大幅に高まった。このサード・パーティ施設は、特に東海岸と湾岸に所在するディーラーへの新製品納品の効率を、大幅に高めることができる。」と同社は語った。
 同社によると、返品処理や受注処理、サービス要望、各種問合せは従来通りシアトル本部で受け付ける。現段階では、完成品だけが東海岸倉庫に集荷される。各種部品や付属品はシアトルの倉庫で在庫管理される。(ボーティング・インダストリー、10/09/2005)。
 
(発展するGPS需要)
 産業調査会社フロスト・アンド・サリバン(Frost & Sullivan)によると、携帯情報機器や自動車、飛行機、ボート向けのGPS市場は北米だけで2003年に47億ドル、2008年までに90億ドルに達する見込みであると伝えている。外国に派遣される軍隊の位置確認や、大陸間弾道弾ミサイルの探知を目的に、連邦政府はこれまで27基の人工衛星を1万1,000マイルの軌道に打ち上げており、米納税者はそのために150億ドルの税金を払っている。
 しかし、1990年代終盤からGPSの娯楽利用が開花し、その結果、本来の目的である軍事活用より民間利用の方が圧倒的に多くなった。その割合は100対1と言われている。その恩恵を受けているのはガーミン(Gamin Ltd.)である。2002年だけで、200万個の携帯型GPSが米国で売れた。同社は2003年、「2,500ドルのボート専用GPSを開発し、見本市で初めて紹介しただけで5,000個を受注した」と報じられている(フォーブス(Forbes)、10/27/2003)。


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